シャム猫

大器晩成らしい

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大輝の場合28

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フォークダンスが始まり、生徒達がくるくると踊る中、用意しておいたバスに乗り込む。

肝試しの準備の為、各クラスの学級委員長や副委員長、担当の教師数名を乗せ、廃校へと向かった。

少しの間、目を閉じ、休憩をとは思うが、思った以上に胸がむかむかしてしょうがない。

湖箔が他の生徒と踊ってるのを、ただ見ているだけなのは、思っていた以上に辛かった。

堂々と、湖箔の白い手をとり、細い身体に必要以上にピッタリとくっ付いて踊っているのを見て、無理矢理にでも引き剥がし、自分の腕の中へと囲い込みたいと、誰にも触れさせたくないと、そんな権利などないのに、強く思った。

ハァ~

早々に、あの場を退散できて、この担当になって良かったのかもしれない。

あのまま、あそこで見ていたら、誰彼かまわず八つ当たりをしてしまったかもな。


「廃校に着きましたが、校庭で方向転換をさせて頂きますので、安全の為、皆様に降りて頂くのは、その後にさせて頂きます。・・・・・・バックします。バックします。・・・・・・はい、到着で~す。それでは、扉を開けます。皆様、お降りの際は、お忘れ物なきようお気を付け下さい。それでは、行ってらっしゃ~い」


・・・思っていた以上に、不気味だな。

あらかじめくじで決めておいた担当場所へ、それぞれが散って行くが、腰が引けているのが多い。

懐中電灯一つを持って、中を歩かないといけないし、場所によっては、人が来るまで1人で居なくてはならないからな。

俺の担当は、プールに設置されているトイレの中、いじめを阻止する事ができず、生徒を死なせてしまい、責任を感じて自殺したという教師役だ。

胸に包丁が刺さってる様に見えるよう細工されたジャケットを着て、内側から血が滲んだ様に見えるよう、血糊をつけていく。

・・・こんなもんか。

ちなみに、ここのチェックポイントに判子は置いていない。

何故なら、押すのは、俺の拇印だからだ。

まぁ、湖箔とフォークダンスを踊れなかったのだから、これくらいの意地悪は許されるだろう。

ククッ

ちゃんと気付く事ができるか、今から楽しみだ。






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