シャム猫

大器晩成らしい

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ジョエルの場合62

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部屋に戻り、買ってきた食材を、冷蔵庫の中へと仕舞った。


ソファーに腰掛け、時計を見ると、16時40分。

思った以上に、早く帰ってこれたな。

食堂が開く時間まで、後20分。

シーツを交換しておくか。


脱衣スペースに行き、棚から、シーツを取り出し、寝室へ。

ベッドからシーツを剥ぎ取り、綺麗なのと交換。

布団を整え、剥ぎ取ったシーツは、洗濯機の中に入れ、スタートボタンを押した。

今着てるのは、明日、洗おう。


湖箔がいないと、途端、時間の進みが遅く感じる。

テレビをつけ、時間だけを気にしながら、適当に番組を流し見た。

・・・つまらないな。

ゆっくり、階段から行くか。

テレビを消し、スマホと鍵を手に、部屋をでた。


4階、3階と通り過ぎ、2階で、湖箔に会えないかなと期待しながら下りて行く。

「あっ」

「んっ?」

踊り場を曲がった時、2階の廊下から、階段の方に出て来た4人の中に、湖箔がいた。

いいタイミング。

運がいい。

思わず漏れた俺の声に反応し、見上げた湖箔と、目が合った。

その瞬間、湖箔が、ふわりと微笑んだ。

「Hi.ジョエル」

「Hi.湖箔」

速足で階段を下り、湖箔の許に。

「「「先生、こんにちわ」」」

そういえば、こいつらもいたんだ。

「こんにちわ」

「珍しいですね?階段で下りてくるなんて」

「最近運動をしていないからね。偶には、と思って」

「5階だから、階段の上り下りだけでも、いい運動になりそうですね」

「そうだね。急いでいない時は、なるべくこっちを使うようにしようかな」

湖箔達と話しながら、階段を下り、食堂へ。


今日は、カツ丼に豆腐となめこの味噌汁、おしんこ、か。

メニューを見ながら、列に並ぶ。

入学式から約2ヶ月半。

そろそろ慣れてもいい頃だとは思うが、湖箔が来ると、場の落ち着きがなくなるんだよな。

チラチラ、そわそわ、ざわざわ。

浮つく野郎が多数。

誰にも手を出されないよう、湖箔は俺のものだと主張し、できるものなら、誰にも見られないよう、腕の中に隠してしまいたい。





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