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「お待ちしておりました」
いや、寝てたよね?
ほんとなら、あの白い空間でご対面じゃないの?
「えっ、いえっ、ここで合ってますよ」
じ~、めっちゃ目が泳いでいるんだけど。
「そんな事より、やっと一区切りついたのですね。永い間、あの世界の浄化をして下さり、ありがとうございました」
自分の意思で居た訳じゃないですよ。
何百年も、軟禁の上、強制労働だからね。
訴えられるものなら、訴えたいくらいだからね。
娯楽や便利な物が溢れている世界から、あんな何にも無い不便で退屈な所に行かされるのは、苦痛以外の何ものでもないからね。
それに、一区切りってどういう事?
「申し訳ないのですが、世界の汚染が進んだ時、異世界から聖なる者を泉に送り込み、それによって、少しずつ清浄化して貰っているのです。そして、世界の浄化が完了すると同時に、自動的にここに通じる門が、現れるようになっているのです。」
送り込み?
私、自分の意思で、あの泉まで行ったんだけど。
「ええ、探検心を利用しました。こんな大きなお店あったかな?こんな道あったかな?貴女の場合、こんな洞窟あったかな?ですね。興味を惹きそうなものを目の前に出現させて、自ら来てくれる様に、誘導しました。」
なるほど、まんまと嵌った訳だ。
「でも、貴女のおかげで、一旦ですが、浄化が終了したので、大体300~400年くらいは、あの泉に誰かを送り込まないで済むのです。感謝しています」
・・・でっ?
感謝をしてくれるなら、言葉ではなく、長年の勤務に対する対価をプリーズ。
「勿論です。願い事を三つ叶えましょう」
では、一つ目ですが、十個、願い事を叶えてください。
「それは、無理です」
《元の世界の記憶を全部思い出させる》というのと、《ここに来た時点の世界に戻す》というお願いは最低でもしないと、元の世界の記憶があやふやな状態で、どの時代に戻されるか判らないと聞いたのですが、そんなの、ここから帰される時に、願わなくてもするのが、当たり前ですよね。
何百年も奉仕をさせておいて、実質一個しか願いを叶えないのは、おかしくないですか?
「ぐぬぬぬ、全部で四個」
十個。
「五個」
十個。
「六個!これ以上は無理です!」
しょうがないですね。
では、六個で手を打ちましょう。
いや、寝てたよね?
ほんとなら、あの白い空間でご対面じゃないの?
「えっ、いえっ、ここで合ってますよ」
じ~、めっちゃ目が泳いでいるんだけど。
「そんな事より、やっと一区切りついたのですね。永い間、あの世界の浄化をして下さり、ありがとうございました」
自分の意思で居た訳じゃないですよ。
何百年も、軟禁の上、強制労働だからね。
訴えられるものなら、訴えたいくらいだからね。
娯楽や便利な物が溢れている世界から、あんな何にも無い不便で退屈な所に行かされるのは、苦痛以外の何ものでもないからね。
それに、一区切りってどういう事?
「申し訳ないのですが、世界の汚染が進んだ時、異世界から聖なる者を泉に送り込み、それによって、少しずつ清浄化して貰っているのです。そして、世界の浄化が完了すると同時に、自動的にここに通じる門が、現れるようになっているのです。」
送り込み?
私、自分の意思で、あの泉まで行ったんだけど。
「ええ、探検心を利用しました。こんな大きなお店あったかな?こんな道あったかな?貴女の場合、こんな洞窟あったかな?ですね。興味を惹きそうなものを目の前に出現させて、自ら来てくれる様に、誘導しました。」
なるほど、まんまと嵌った訳だ。
「でも、貴女のおかげで、一旦ですが、浄化が終了したので、大体300~400年くらいは、あの泉に誰かを送り込まないで済むのです。感謝しています」
・・・でっ?
感謝をしてくれるなら、言葉ではなく、長年の勤務に対する対価をプリーズ。
「勿論です。願い事を三つ叶えましょう」
では、一つ目ですが、十個、願い事を叶えてください。
「それは、無理です」
《元の世界の記憶を全部思い出させる》というのと、《ここに来た時点の世界に戻す》というお願いは最低でもしないと、元の世界の記憶があやふやな状態で、どの時代に戻されるか判らないと聞いたのですが、そんなの、ここから帰される時に、願わなくてもするのが、当たり前ですよね。
何百年も奉仕をさせておいて、実質一個しか願いを叶えないのは、おかしくないですか?
「ぐぬぬぬ、全部で四個」
十個。
「五個」
十個。
「六個!これ以上は無理です!」
しょうがないですね。
では、六個で手を打ちましょう。
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