何で僕を?

大器晩成らしい

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陛下の合図で、

「お通ししろ」

扉番に声をかける。

「「失礼します」」

ビクッ

思わず、驚いてしまったが、陛下を見ると、同じ様に驚いていた。

初めて聞いた。

記憶を探っても、見当たるわけが無い。

返事があるまで入室は待つようにと言った事があるが、あの時、確か、

『競争社会で育ったもので、待つ事は苦手なのです』

とか何とか、以来、待つ事もなければ、失礼します等と、入室時に言われた憶えも無い。

異世界人とは常識がまるっきり違うのだと半ば諦めていたのだが、葵殿を見ていて、個人の性格によるものだと、解かった。


常々陛下が、月夜殿と仲直りするようにと言われるが、仲直りも何も喧嘩をして、仲が悪いわけではないので、なんとも。

ただ苦手で、触らぬ神に祟りなし、とばかりに避けてしまうだけなのだが・・・

私だけでなく、互いに歩み寄ろうとか、理解しようは思えないのだから、仕方ないだろう。


葵殿は、私達の考える常識に近い常識を持っているように感じる。

葵殿から、

「世間の一般常識を親から学ぶ前に、異世界に召喚されてしまい、そういう機会を失ってしまったせいもあると思います。僕も、こちらの常識をまるで知りませんので、教えていただけるのなら、月夜と一緒に学ぶのもいいかもしれません。申し訳ないのですが、お願い出来ませんか?」

と言われてしまい、素直に、こちらも申し訳ない気持ちになる。

成人していない子供を召喚して、親から引き離してしまったのに、いくら、言動や態度が、子供らしからぬとはいえ、生活の保障だけをして、親の代わりとなって、愛情をかけて世話をする者を手配しなかったのは事実。

戦闘に関する教育の報告は、日々されていたが、それ以外の教育がどの程度施されたかに関しては、正直、注目はしていなかった為、記憶に無い。

いやっ、貨幣価値や物価についてと、各職業における賃金については、かなり深く勉強していると報告はあったな。

そして、その知識を基に、莫大な金銭を要求されたのは、苦い思い出だ。

ちなみに、今回も、同等の金額を支払う事になっている。


「カーネリアン・コウ・オーレンジ、宰相をしています。至急、教師の手配を致しますので、予定を組む時間を下さい。月夜殿も、葵殿と離れたくないでしょう。ぜひ、ご一緒にどうぞ」



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