何で僕を?

大器晩成らしい

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「月夜様、2泊でお取りしてきましたが、この後どうされますか?このまま馬車で、買い物に行かれますか?」

「どうする?葵ちゃん。本当は、自然回復する方がいいのは、解かってるんだけど、歩けなかったら、お買い物に行くの楽しみにしていたのに、可哀相かなって思って、寝ている間に、回復魔法をかけておいたんだけど、どう?歩けそう?それとも、俺が、抱えて行こうか?馬車をお店に横付けして、買いに行くのでもいいよ。どうする?」

「えっ、ヒールかけてくれたの?ありがとう。言われてみれば、腰とかに痛みは無いかも。一々、馬車を乗り降りしないといけないのは面倒だよ?自分で歩いて、見て回りたい。それに馬車を動かしていたら、ラピスさんが、一緒に回れないでしょ?」

「私の事はお気になさらず、楽しんできて下さい」

「ん~ん。せっかく来たんだから、一緒に楽しまなくちゃ」

「決まりだね。それじゃあ、葵ちゃん、降りようか」

月夜は、僕を抱いたまま立ち上がり、馬車から降りた。

相変わらず、力があるなぁ。

ラピスさんが、宿に馬車を預けに行ってる間、ずっと抱えたままだ。

「・・・下・ろ・し・て。自分で歩くって、言ったよね?僕」

ラピスさんが、戻って来たのに、そのまま歩き出そうとしたから、抗議させてもらった。

「チェッ、もう少し、堪能していたかったのになぁ。仕方ない。その代わり、手は繋いだまま、決して離しちゃ、ダメだからね」

「うん、分かった」

はぐれたくないからね。

ガッチリ手を握って、歩き出した。



ここは、湖のあった場所とは違って、随分と暖かい。

あっちは標高が高かったからね。

なのに、ウサ耳ローブを着せようとしてきたから、嫌だって突っぱねた。

あんまり、拒否するものだから、渋々、月夜が昔着ていたっていう薄手のローブを、収納から引っ張り出し、貸してくれた。

ウサ耳ローブ、突っぱねて良かったよ。

あんなのを着て歩いてたら、暑いし、目立ちまくってると思う。


「何で間に合わないかな~」

薄手のローブ、僕用に、可愛く凝った作りの物をデザインして、ちゃんと発注をしていたんだって。

でも、今回の旅行には、間に合わなかったみたい。

凄く、がっくりしてる。

でも、考えてもみてよ、僕がこっちの世界に召喚されてから、普段着にスーツにウエディングドレス(ついでに下着)と、短期間にたくさん作らせたんだから、しょうがないと思うよ。

作れる量には、限界ってあるんだよ。

頑張ってくれているのだから、無理を言ったらいけない。


「こんな無骨なローブ、可憐な葵ちゃんには似合わないのに」

って、ぶつくさ言ってるけど、気にしないもんね。

僕はこういうシンプルな物でも、全然構わないんだからね。





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