1 / 12
ハルマ
しおりを挟む俺はハルマ。簡単な自己紹介をしよう。この世界にいる”クリーチャー”と呼ばれる怪物を対峙する仕事に携わっている。そのクリーチャーってどんな奴かって?なら、お教えしよう。クリーチャーっていうのは、人間が裏で操っている操り人形のような奴。見た目は何かの生物に似た姿をしていれば、機械生命体の姿をしている奴もいる。いろんな奴がいてな、外部からの指示に従い人間を襲うことに使われることが多い。その人間が誰かって?それはな、君たちのような一般人さ。なんでそんなの持ってるかわからないけど、人間が自分の手を穢さず怪物に力を借りて裏で操り人間を襲う。つまり、操っている誰かの仕業で動いてるんだ。
人間は、自然に便利なおもちゃを手に入れると悪用してしまう。そのおもちゃをぶっ壊して操っている誰かを懲らしめるのが俺の仕事だ。
給料がどれくらい貰っているかって?聞きたい?実は、お給料なんてもらってません。一円もね。まぁ、この仕事はいわば「ヒーロー」っていう職だからな。どっかの組織に属してるわけでもない。人間では倒せない怪物をたった一人で戦ってんだ。
突然俺の腰につけてあった正方形の小型パッドがブルブルと震えだした。ブザー音が鳴りながらもものすごい振動で動き続けているそれは、クリーチャーを対峙するために持ち歩いているガジェットなんだが、その用途というのがいろいろあってだな。今鳴っているのは、この付近にクリーチャーがいるという通知だ。早速バッドの画面を見て位置を確認する。ここから南お方角に反応が。
おっと申し訳ない。これはクリーチャー探索機能が付いているガジェットだ。縦横4センチほどの黒いパッドで画面いっぱいいっぱいに今いる位置からクリーチャーの位置を示してくれている。ちなみに見てわかる通り、あっ、小説だから伝わらないか。この画面には上から居場所を見下ろしたように映し出されているんだが、その理由は今頭上に探索型ドローンを飛ばしている。ドローンが自動でクリーチャーを見つけ付近にいることを知らせてくれたから今情報を得られたって訳だ。
ドローンを自分の居場所まで戻っていくようにプログラムする。今、頭上にドローンが戻ってきたみたいだ。このドローンには映像に捕らえたクリーチャーの生体情報を確認できるため、そのデータが入ったメモリーを抜き取った。
じゃあ、早速お仕事に行くわけだが、もしお仕事見学に行きたいのでばくれぐれもクリーチャーに襲われないように気を付けたまえ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
登山用の森の奥深くに反応が見られた。非常に距離が近くなってきている。一旦反応が出ているところで立ち止まった。
「よし、この辺りだなぁ。いくらでも待ってやるからよう。さっさと出て来いよ」
独り言を言うと俺は口笛を吹きながら右手につけてる腕時計のようなアイテムのスイッチを押し起動させる。
口笛を淡々と吹き続けた。なんかこういうところに来ると自然と一体化した気分になって口笛を吹きたくなったんだ。
「かくれんぼなんてする気はないぞ。さっさと出てこい!」
俺がそんな台詞を吐いて手に持ったクナイ型の武器を後ろの太い木のほうに投げた。その時に、木の上から何かがこっちに襲い掛かってくる瞬間を捉えた。
俺は、その襲い掛かってくる”怪物”にクナイを投げたのだ。
「みーつけた」
クナイに右手が刺さった状態で暴れていた。今俺の目の前で暴れているそいつがクリーチャーだ。先程ただの操り人形とは言ったが、ちゃんと血は出るみたいだ。生々しい赤い血がクナイの形をした武器が刺さった手から出ている。
「やったぜ!じゃ、早速お仕事始めんぞ」
今回のクリーチャーは、見た目が猿に似ていて長く鋭い爪を生やしたクリーチャーのようだ。誰かが裏で操っているのだが、今は目の前のこいつを何とかしないといけない。
俺は、先程起動させた右手に付けたアイテムに縦2.5センチ程の細長い黒いチップを差し込む。
「HARUMA 装着準備完了」
音声が流れだすと、「システムを起動させますか?」という表示がアイテムに映し出される。そして俺はそれに「YES」と答えた。
クリーチャーが右手に刺さった武器を引っこ抜きこっちに投げてきた。
だが、俺のほうに投げられた武器は次の瞬間に無意味となった。俺の身体に素早いスピードで黒い装甲が両手両足から上半身、さらに顔のほうに装着される。顔にはバイザーが付いており、視界が鮮明に見える。身体にフィットした装甲は自分の身体に何の支障もなく動きやすい。
「ここからは遊びじゃなくお仕事だ」
俺は両足の先に力を入れクリーチャーのほうへ跳んでいく。そして、クリーチャーの顔面に蹴り一発決めた。
さらにそこから連続パンチの打撃を加え、相手の爪がこっちへ向かっていくのをバイザーが捕らえたため、その反応に攻撃を避ける。そして、相手が爪で顔面を突き刺す動きに避け、その時の腕を両手で持ち背負い投げを決めた。相手は背負い投げの勢いで遠くへ飛ばされ木に衝突する。そして立ち上がり獣の唸る声をだし、こっちを睨んだ。操り人形なのにリアルな唸り声がするとは。なかなか本格的に作られている。まぁ、そんなのどうでもいいんだが。
「変な声だせるのも今の内だ」
右手に付けたアイテムからぱかっと蓋を上げる。チップの収納ケースが付いているのだ。プラズマ発光体のような形をした黒いチップを取り出しそれを左手の装填口に差し込んだ。すると「システムを起動させますか」という表示が左手の画面の部分に映し出された。「YES」と答えると、左手がキャノン砲の形に切り替わる。その光景はサイボーグが腕を武器の形に変える姿を意識するかのようだ。
「動くなよ」
暗いトーンで相手に言うと、左手のキャノン砲の銃口からオレンジ色のエネルギーが溜まりだす。その時に左腕に振動が起きて思わず右手でブレないために腕を抑えた。
クリーチャーがこっちに勢いよくジャンプし襲い掛かってきた。
ポイントを定めてエネルギー弾を一発発射する。大きさ10センチ程のエネルギー弾がクリーチャーに向かって放たれ、顔面にヒットした。そして次の瞬間、クリーチャーの顔から胸辺りまでがエネルギー弾の熱で溶かされていった。見る見るうちに身体が焦げていき溶かされていく。これがエネルギー弾の威力である。
「ま、今日はこれくらいだな。さて、こいつを操っている人物を見つけ出すとするかな」
装甲を外し元に戻ると、自然の空気を鼻で思い切り吸い込む。そしてさっきの口笛を吹きながら下山していった。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる