ネオ・クリーチャー

Aiリアン

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犯人

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 登山用の森に、黒い高級スーツを纏い、両指にはプラチナ製の指輪で髑髏や龍柄のものを1本ずつ付けている。超耳には軟骨を、しかも高級そうな金属製ピアスを付けている。第一印象がなんとも近寄りがたいその男が階段を難なく登っていく。一段一段音もたてずにゆったりとした歩きだった。現場についた男は、有名ブランドメーカー製のスマートフォンに電話を一本入れ通達をした。携帯から6回もコール音が鳴り、7回目でようやく相手が出始めた。

 「ごきげんよう、ケント様。おそらく例のものと思われるのを発見いたしましたよ。ケントさんの代わりに見つけて参りましたのでご連絡させていただきました」

 「で、どうなんだ?」

 「見たところ、ご使用いただいたと思われるものなのですが。残念ながら破壊されていますねぇ。無残な姿で破壊されていますよ。これでは使い物にはなりませんねぇ」

 「で、俺はどうしたらいい?もう俺にはクリーチャーに頼るしか逃げ切れないんだ。何とかしてくれ!」

 男は、ケントという男の依頼に少々困った表情で考えていた。何とかしてくれというのであれば、いつもお客様にはやってもらわないといけないことがある。それをケントという男に頼んだ。

 「ケント様。今回の件で貴重なクリーチャーが破壊されてしまったため、その交換条件として賠償金を請求していただくという形で、また新しいクリーチャーをそちらにお渡しするという条件でいいとおっしゃるならそうさせていただきます。いかがでしょう?」

 「何言うんだ。金なんてあるわけないだろ!そのクリーチャーだって俺の貯金全額を出して購入したんだ。それから金なんて持ってない。冗談じゃない!」

 これまたケントという男の発言に困った表情を浮かべる。だが、その条件をのんでいただかない限りこちらも手の尽くしようがない。
 森の中にすがすがしい風吹き渡り、目の前で焼き殺されたクリーチャーの屍骸から漂う焦げた臭いが、高級スーツの男の鼻の穴に吸い込まれていく。

 「じゃあ、お金は後日いただくという形で構いません。とりあえず新しいクリーチャーをそちらにお渡しいたしましょう」
 
 また、森の中に風が高級スーツの男に吹き渡る。そして、男は前髪が風になびく。右の頬を上にあげ、ニヤリと笑みを浮かばせる。

 「じゃあ、そうしてくれ。できれば早めにしてくれよ。こっちは客なんだからわかるよな」

 「はい。ケント様は貴重なお客様です。ご安心を。それでは失礼いたします」

 そして電話を切る。
 森の中の景色を見つめ空気を思い切り吸う。このクリーチャーの屍骸の匂いさえなければ自然のいい香りなのだが。まぁ、とりあえず男はクリーチャーをケントという男に差し出すようスマートフォンのメモに書いて保存した。
 とてもうれしそうな表情を浮かべスマートフォンの電源を切った。

 「ハルマ。お前が活躍しているのを実感して、俺は何よりもうれしい。流石だ」

 そして、目の前のクリーチャーの屍骸に一蹴りして森を下山していく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あの森にまさかこんな寒い時期に登り来るなんて。
 ボロボロの上下衣服で、人気のない小さな公園のちょうどいい隠れ場に身をひそめながら辺りを見回している男がいた。スキンヘッドでガタイのいい右腕に龍の刺青が入った男である。男の地面には、たった1万円しか残ってない折り畳み財布が置いてある。中の1万円を再度確認しニヤリと左頬を上げる。
 
 「これだけでもなんとかなる。あとはクリーチャーだ。あの森の中で誰かに壊されて、慌てて逃げてきたが。まぁ、大丈夫だな。俺の姿なんて誰も見ていないだろうし」

 何度も男は自分のスマートフォンを手に取り時間を確認した。このまま警察から逃げられる時間はどれくらいあるだろうか。なんせクリーチャーがいなくなってから頼りすぎた分、自分の意志で行動することに怠り始めている。クリーチャーは便利なおもちゃだった。この財布だってクリーチャーを操作して襲った人から奪ったものだから。自分の手で直接奪うことなく犯行に使いやすかった。しかし、壊されてしまったためもう頼れるおもちゃがない。新しいのが来るまで何とか自分でこの場を乗り切るしかなかった。

 「ったく。クリーチャーが壊されるなんて聞いてないぞ。教えてくれてもよかったのに」

 男が右手に持ってその場に投げ捨てたのは、前の猿クリーチャーのコントローラーである。コントローラーは、自分で操作もできるし自動で敵を認識して襲うようにもできていた。あの時は緊急時で自動で動くようにしたがまさか壊されるとは思っていなかった。だから今度は自分で操作してみることにした。

 「早く来てくれよ」

 男は辺りを見回し、例のクリーチャーが来るのを待ち続ける。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 今俺は新しいガジェットを作っている。これがあればどんなところでも上ることだって可能になる。随分とたくさんの武器を備えてはいるがこれらにガラクタなどなく、全部必要な武器とガジェットだ。何を作っているかだって?見てわかる通り巻き尺にような形にトリガーが付いてるみたいだろ。えっ?わからない?あっ、小説だもんなこれ。すまん。まぁ、このガジェットはクレーン機能が付いているんだ。ここのトリガーを押すと、あっ、また小説であることを忘れてしまった。今から説明するから想像で理解してくれ。トリガー部分を押すことによってクレーンのようにロープが出てきて引っ掛けることが可能。重さは200キロまで余裕にいける。また、ポインターもついているから、狙ったターゲットに合わせてトリガーを引いて引っ張ることも可能だ。試しに今ここで実践してやろう。
 俺の秘密基地には大量の部品が辺り1面落ちている。なんとまぁ汚い基地だがここでは武器の実験やトレーニングをするところであり、常にクリーチャーの情報を集める場になっている。だいたいヒーローっていうのは秘密基地があるもんだ。そして俺にも秘密基地がある。
 さて、試しに4メートルほどの天井にポイントを合わせてクレーンの実験を行う。トリガーに指を添えて天井に向かって新しいガジェットを向ける。そしてトリガーを押す。勢いよく出てきたロープがいい感じに天井の引っ掛ける部分に絡んだ。

 「あとは上がれば」

 そういって今度はガジェットの側面に突き刺さっているチップを前に押し出す。すると自動で高速かつスムーズに上がっていく。

 「軽い軽い。余裕だな」

 そして、天井まで着いた。ここでクレーンをもとに戻すにはクレーンのロープをhが付いている部分で斬るか、kレーンの引っ掛け部分を外して元に戻すかだが、ロープが絡まったので斬らなければならない。
 天井の引っ掛け部分に腕を置ロープを切ろうとした瞬間だった。体重が一気にかかったため引っ掛け部分が壊れてしまい一気に下へ降下していく。

 「うわーーーー」

 そして下のゴミだらけの地面に落下した。下には何も敷いてなく、思いっきりお尻と腰辺りに地面が衝突した。

 「いててて。なんだよもぉ」

 お尻を抑えながらもゆっくり立ち上がった。特に身体中に激痛が走ることはなかった。やっぱり普段からトレーニングとかしてるから筋肉がいい感じのクッションになったのかな?とか考えながら地面に落ちた新開発ガジェットを手に取った。

 「いてて。あーあ。また壊しちゃった」

 また修理しなきゃいけなくなったと考えるとこの基地ももはやリフォームしなければならないと考え始めた。この変にソファーを置けるスペースがあって、この変にテレビをおいて、ここがベッド。とか考えながら新開発ガジェットを今使ってるガラス製の机の上に置く。
 机の上においてあるラジオが、ニュース報道をし始める。どれも物騒なニュースだ。交通事故、20代の男女カップルが死体で発見された、殺人犯の逃亡、建物が壊滅、怪物の出現。えっ?怪物の出現?このニュースに関してはほかの物音を無視し、集中しながら聞いていた。
 巨大な生命体が町中に被害を出している。それを聞いた瞬間急いで現場に向かう用意をする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 サイの姿をしたクリーチャーが町にいる人たちに被害をもたらした。建物や車が次々と破壊されていく。
 スキンヘッドの男がコントローラーでクリーチャーを操っている。町がどんどん崩壊していく。人々が叫び、恐怖に染まり、逃げていく。殺された人は無残な姿となって死んでいく。老若男女問わず。

 「もう、ただ逃げ続ける日々なんて終わりだ。ここで全員殺す。行け!」

 そして、自動で動くように設定した。人々が避難する場所に突っ込んでいく。人間が、建物が、車が、町全体が壊れていく。その姿を見て楽しそうにとあるビルの屋上から見物する。

 「このまま全員死ね!」

 「死んだ方がいいのはあんたのほうだ」

 男の後ろから誰かの声が。振り返ると男の胸元に黒い装甲を身にまとった者の膝が近づいてきた。男は吹き飛ばされながらコントローラーが手から離れていった。
 
 「おっさんだったのか!あのクリーチャーを操ってんのは!」

 「なんだお前!俺の邪魔をするな!」

 「まぁ、話を聞け。今すぐあのクリーチャーをおとなしくさせれば見逃がしてやらんでもない。あんたを追いかけまわしたり、捕まえもしない」

 「そんな半島に受けられるか!俺は、あのクリーチャーっていう化け物を暴れさせて、これまで多くの被害をだした。殺人、傷害、窃盗、そして今回のテロもな。今お前に見つかってこれほどまでやって見逃す?そんな野郎がどこにいる!」

 さっきのラジオで言ってた事件って、まさかこのおっさんがやっていたのか。たしか見た目が180センチ程のガタイのいい龍の刺青を入れた男が殺人を犯し、逃亡したというニュースを聞いたことある。まさに目の前にいる奴じゃないか。しかも今回はクリーチャーを使用してテロまで。こいつは見逃せない。

 「まぁ、とりあえず。今ここであんたにはお仕置きをしようかねぇ。どうやらクリーチャーを使用した経験は過去に何度かあるようだし」

 そして男と黒い装甲を身にまとった者はじっとにらみ合う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺は新開発ガジェットでスキンヘッドの男に向けて、クレーンロープを放つ。
 見事に絡まった男が地面に膝まづく。

 「なんだこれ!どうなってんだ!」

 暴れるが、ロープが切れずにじたばたし続けるスキンヘッドの男に駆け寄った。

 「あいつをどこで手に入れたか教えろ。教えなければ」

 絡まった状態の男持ち上げてフェンスの外へ投げる。うわー、と声を上げるが。ロープの固定されているため効果はせず吊り上げ状態になっている。こういう脅しをしても無駄かもしれないがやってみる。

 「さっさと話せ!」

 「こ、断る!」

 男の言葉にがっかりした俺はそのままクレーン尾ガジェットを地面に落として、急いで町の被害を止めるためにクリーチャーのほうへ向かう。
 ガジェットを話すと男が急降下していく。が、途中でフェンスに引っ掛かり、男は吊り上げ状態になった。

 一方、俺はそんな男をほっといてサイのクリーチャーのほうへ向かう。
 右腰にある装置に、右手のアイテムから鳥の羽の形をしたチップを取り出し装填させる。
 「起動させますか?」とバイザー部分に表示され、「YES」と答えると、背中からジェット機の羽に似たパーツが現れた。宙に舞う自分の身体がジェットの羽の飛行により軽くなった。そして際のクリーチャーに向かって思い切り顔面パンチを浴びせると、衝突の勢いでクリーチャーが多少傾き始めるが、立ち直る。

 「いってぇ。もう面倒だなぁ。一気に片付けるか」

 そして、避難している人たちに早く逃げろとコールした。ほとんどが逃げたところで、左腕の装填口にプラズマ発光体の形をしたチップを挿入し「起動させますか?」の返事に「YES」と答える。そして空中からキャノンの腕に切り替わり、エネルギー弾を貯める。
獣の唸る声をこちらに上げるクリーチャー。そんなクリーチャーに銃口を向ける。そしてエネルギー弾を発射させた。一気に角から顔が焼けていき溶け始める。そこからさらにもう一発エネルギー弾を発射させる。素早いスピードで身体が溶けていった。そして、クリーチャーは屍骸となった。

 「お仕事終わりっと」

 そして俺は、その場を去っていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 スキンヘッドの男は夕方になっても、ロープの絡まっているのに苦戦していた。

 「あらら、惨めな姿ですこと。ケント様。お迎えに来ました」

 「な、なぁ。これを切ってくれ。早く。身体中が締め付けられて痛いんだ」

 「かしこまりました」

 ロープを切ろうとするのは、電話で対応していた高級スーツの男だった。

 「ケント様。じっとしていないと危ないですよ」

 「わかったから早くしてくれ」

 するとケントという男はあることに気づく。

 「待て!着地するところがないこのままだと落ちる。おいやめろ!」

 「ケント様...。あなたはわがまますぎます。ここらへんでもう終わりにいたしましょう」

 「何言ってんだ。こっちは客だぞ」

 「大事なお客様であるケント様はこれまで私をどれほど裏切り、わがままに付き合わされたとお思いですか?貴重なクリーチャーを2体も破壊され、お金もまだお支払いされてなく、遅いからという理由でわたしを脅してきました。私がやっていることを世間に広めるぞと。あなたはただの営業妨害です。もうお客様ではありません」

 するとロープがだんだん切られていくのをケントは視界にとらえた。

 「わかった。謝る。た、助けてくれ。お願いだ」

 すると暴れていくせいでロープがだんだん刃で斬らなくてもちぎれていくようになった。そしてロープ完全にちぎれケントは、身体が巻き付いた状態で落下していく。その姿を高級スーツの男は見届けるだけだった。

 「どうもありがとうございました」
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