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彷徨い
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私は重たい足をゆっくりと一歩一歩踏みしめて歩く。自分の部屋を出て、一階のリビングに来いと言われたので、重苦しい精神状態のまま向かった。
私の大学受験は終わり、卒業式だけとなったため、自宅で合格通知の返事が来るのを待っていた。私はこの待っている間が何よりも不安で仕方がなかった。合格通知が来るまであと何日が経つのだろう。後どれ程待っていればいいのだろう。そんなことを考える日々が続き、考えすぎたのか身体が重たく感じる。
そんな中で、私のことに関して家族と話し合いをすることになった。もし落ちたらどうするのか?本当にこの先どう生きていくのかを話し合うという。
1階のリビングに私以外の全員が、ソファーに座って私が来るのを待っていた。
みんなが暗い表情になっているからか、リビングは時計の秒針の音だけが鳴り響く程に静かだった。そして空気もなんだか悪い感じである。なにかシリアスなムードが部屋中を包み込み、私が立ち入るのが怖くなるほどであった。
「杏奈。さっさと来なさい」
母親のその言葉通りさっさと空いているスペースに向かった。隣には弟の幸平が座っていた。
幸平は、私の座るスペースを少し空けるために、数センチだけ横にずれた。
私が座る所定地には座布団が敷いてあった。それは新品で、某有名な家具製品を販売しているところであろう物のの商品に似ている。
「杏奈。ちゃんと本気で受けたわよね?受験に」
母親が先に言いだした。その言葉は私のことを信用していないのが窺えるような発言である。それを聞いて私の精神状態がさらに重くなっていく。
「そりゃそうだよ...」
「もし落ちたりしたらこの先どうするの?」
なんでそんな話を今するの?受験で一番苦しい状況なのは私なのに。
「杏奈!どうするんだって訊いてるんだ!」
少し怒声を混じえたようなトーンで私に言いだしたのは父親だった。その声でびっくりした私はまともに目の前の二人の顔を見れなかった。
「だから...本気だったって言ってるじゃん。だから心配しないで」
「心配させるような状態にさせたのはあんたでしょ!学校の成績も良くなくて、友達ともあまり仲良くないって聞いてるし。何より今回の受験は杏奈の人生が掛かっているのよ!杏奈を一番心配してるのは家族である私たちなの!これ以上心配させないでちょうだい!」
「母さんの言う通りだ。大学受験は今後の人生が掛かっているんだ。何よりお前は成績が良くない状況なのに大学なんて。友達も高校でロクに出来なかったのに、大学でやっていけるのか?そういうのを考えたうえで受験したのか?」
私は負けちゃダメだと思い、二人に言い返す。
「受けたところでは学びたいことがあるの。だから友達とかそんなのは行ってみないとわからない。私が受けたいと思ったから受けた。だって私の人生じゃん」
「よくそんな偉そうなこと言えるな!お前は長女だから、弟の幸平には何も背負わせないために育てたんだぞ。苦労したんだ。姉であるお前の真似をして変な道を歩ませないためにお前を大事に育てたんだ!だからこうして心配しているんだ」
父親の発言は完全に私のためじゃないことがよく分かる。弟のためだ。
何も背負わせないために私に何もかも背負わせる。私はいつも負担をかけられ、こうやって追い込む。確かに何かあってからじゃ遅いのはわかっているが、今は私が苦しい思いをしているのにそれを分かってなどいない。
だいたい幸平だって、関係ないのになぜここへ呼ぶのか。呼ぶ必要があったのか?
どうせ3人とも私を追い込んで偉そうなこと言って、私に重圧をかけることを少し楽しんでいるんだ。こうやって味方が多ければそりゃあどんなキツイことを言いたい放題言えるだろう。
こういう状況になって大勢で追い込んで、私を弱らせる。弱いもの虐めだ。多分3人はそんなこと思ってないだろう。
隣に座っていた幸平が痺れを切らしたのか「チッ!」と舌打ちをした。つまらないんでしょ?と言いたいくらいである。
「これで落ちたら、お前の面倒など見ないからな!」
「#単語_家_ルビ_うち_#は生易しい家庭なんかじゃないからね!」
父親と母親が容赦なく追い打ちを私に食らわせる。
幸平がどこかへ向かって行くのを、私は黙って見ていた。手をもじもじと動かしながら精神を安定させながら、幸平が冷蔵庫に向かって行くのをただ黙って見る。
目を反らした私に父親が「オイッ!」と怒声を上げながら、私を睨んだ。
「わかったな!受験に失敗したら誰も助けんぞ」
「幸平にも安心させるためにちゃんと受かっていたらいいけど。もしもの時のためにこうして話し合ってるの。またこの話の続きをするから。わかった?」
私は二人にだけ聞こえるように「わかった...」と返事をした。そして今回の私の話が終わったのだ。
それから二日が経った。弟が昼頃ポストに郵便物が入っていたというので取り出した。
その中の一枚に私宛の手紙が入っていたというので、届けに来てもらった。
「大学の手紙...」
受け取った時、私は何か不安を感じた。
渡されたのは、「ここからめくって」と書いてある紙だった。このパターンで来ることに私は嫌な予感しかしない。
私が急いでめくると、真っ白の面に2行ほどの文章が書かれてあり、それを読んでいく。そして私は読みきった後に、最後に書かれてある言葉をを復唱した。
「...不合格。...不...合格」
私は、頭の中がパニックに襲われた。そして身体がだんだん軽くなっていくような感覚になった。
手紙を持っていた手に力が入らなくなり、ベッドに座っていたため横に倒れる。その落下するスピードも速く感じ、私の身体が布団から反発すると同時に、何度も頭が跳ねて振動する。
「もう...あと一つしか...」
大学は全部で2つ受けた。そのうちの1つが不合格となった。私は抑えきれない不安が一気に増加し、立ち直れないような感覚に襲われる。何を考えても前向きになれない。
なぜ不安が大きくなるかというと、もう一つの大学の方が偏差値が高く、低い方の大学の合否がこの結果であるためそう思ってしまう。
そして何より、家族の二日前に言われた言葉がフラッシュバックされ余計にしんどく感じる。
「もう私...だめなのかな...」
私はずっと家族からの屈辱に耐え、高校を3年間通ってきた。学校でも楽しいことなんてなかった。だがそんな人生とも終われると思った。
私は幸せに大学を過ごすために、まず独り暮らしをしたい。それから高校では出来なかった彼氏を作って充実した人生を歩みたい。それから大学ではとにかく遊びまくって、サークルとか入って悔いのないキャンパスライフを送ること。これが目標だった。だが、そんな日が来ないかもしれない。
私は考えれば考えるほど不安に押しつぶされそうになり、身体を丸くさせ、自分を抱きしめる。
「もう...これ以上嫌な人生を送りたくない...」
ボソッと言うと、私の部屋に幸平が入ってきた。
「なぁ、大学の合格通知だろ?さっきの。どうだったんだよ。まさかじゃないけどさ、不合格なんて言わないでほしいんだけど。これ以上俺たちに迷惑かけるのはやめてほしいからさ。んでどうだった?」
私は何も言わなかった。何も言いたくなかった。言ったら傷つくからである。しかし幸平はしつこく訊いてくる。相手のことなんてお構いなしなのか。いや、私だからだろう。
「なぁ、どうだったの?言わないなら見るからねぇ」
私の床に落ちた手紙を拾って、幸平は2行の文章が書かれてあるところを見た。
「嘘...落ちた...。なぁ、これからどうすんの?おい、返事しろよ。お前に訊いてんだって」
「もう黙っててよ...」
「何?聞こえねぇんだよ!」
すると私は、ベッドを勢いよく起き上がり、幸平の胸ぐらを掴んだ。さっさと出て行ってほしいというのが頭中に駆け巡り、言葉にはしなかったが黙って部屋を追い出す。
「落ちたかって質問しただけだろ?なぁ!お前の...」
話している最中だったが、最後まで聞かずに私はドアを勢いよく閉めた。
そのあと部屋のカギを締めて、誰も入れないようにした。ドアから離れて、その奥にいるであろう幸平を恐れる私は、無気力になりその場でしゃがみこんだ。
頭を抱え込みながら悲観し、自分を責め込む。それしか考えられない。どうせ私のせいなんだから。誰も慰めてくれないんだから。自分を責めるしかなかった。
(なぁ、落ちたんでしょ?父さんと母さんになんて言うの?)
奥で私を追い詰める幸平の声に耳を塞いだ。だが、声は手の隙間から漏れて聞こえないわけではない。
ドアをドンドンと叩いているのも、ドアの響きで分かる。
私にやめてほしいと言える気力がなく、まるで私を容赦なく殺しにかかってきている恐怖感に襲われている。
もう辛い。やめてほしい。お願いだから今すぐやめて。声に出して言いたかったけど、言おうとしたらなんだか苦しくなって呼吸がおかしくなっていくようだった。過呼吸のように酷くなってきている。
(二人に言うからな。お前が不合格になったことを。どういうだろうなぁ。二人とも)
「言わない...で」
なかなか声が出ない。出そうとすればする程掠れた声になるし、何より苦しい...
私は3分程今の苦しい状態に襲われた。
家に家族が揃ったというので、私は父親と母親に全てを告げた。
「杏奈!ちゃんと集中して受験に行ったって言ったわよね!嘘だったの!?」
「違います...本気でやったんです。受験...」
私は敬語を使うまでに堂々と話せなくなった。
「じゃあ何なの!?この『不合格』って!」
そんなもの説明しなくてもわかるはず。落ちたのだ。そんなことはわかっているの筈なのに、なんでわざわざ訊くのかわからない。
それに私は今この状況が嫌で嫌で逃げ出したい。もう説教はうんざりだ。
今回は幸平がいないからマシな方と考えたが、そうでもなかったようだ。今幸平がいなくても、二人の態度は変わらない。いや、以前よりも酷く怒っていた。もうどの道私はこうなるのはわかっていた。不合格と聞いて絶対に慰めてはくれないということを。
「ごめんなさい...」
「謝って済む問題じゃないだろ。お前、弟の幸平にまで辛い思いをさせる気か?幸平が今のお前を見習ってしまったらどうするんだ!」
父親のこの前よりもでかくなった怒声に私は恐怖を感じ、ただ萎縮することしか出来なかった。
「ごめんなさい...ごめんなさい...ごめんなさい」
私は何度も二人に謝った。そして土下座までした。涙を流しながら、情けないとわかっているが、今私がやらなきゃいけないのはこれしかないと判断し、ただ謝り続ける。
「ごめんなさいなんて今更通用するわけないでしょ!あんたがやったことなんだから。なんでこんな姉に育ったのかしら。高校を間違えなかったらこんなことにならなかったのかしら」
母親こそ今更な話をぶつぶつと言い出した。
「いい加減にしとけ!謝っても意味ないやろ!とりあえずもう一個の大学を待つしかないし。それが無理やったらもうどうにかしろよ。もうお前みたいな奴面倒見切れん」
「返事は?杏奈!」
頭を下げた状態で私は「わかりました」と返事をした。
そして次の日だった。ただ私は残っている大学の合否を待ち続けた。朝からずっと部屋に閉じこもり、郵便が来たら即ポストを確認するために準備をしていた。そして今現在13時ちょうど。郵便のバイクの音が聞こえた。私は外を確認してみると、私の家のポストに郵便屋さんが紙らしきものを入れたのを発見する。
1階に降りて、玄関を出て郵便物を受け取った。
全部で4枚入っており、全てを持って玄関に急いで入った。
今度こそ不合格など許されない。私は郵便物を玄関先の廊下で散らばせる。その中に一枚大学の手紙が入っていた。
私はてっきり茶封筒の郵便物もあったためそっちかと思ったが、違っていた。嫌な予感しかしなかった。
私は手紙に書いてあった「裏面をめくってください」の文字に緊張が走る。
「嘘でしょ...嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ!」
裏面のめくる部分を素早くめくった。
『今回の受験結果をお伝えいたします』
その文字の下に大きく黒い太文字でこう書かれてあった。
『残念ながら合格には至りませんでした』
思わず絶句してしまう。もう何も言葉が出ない。足元がふらついてくる。
「...なんでよ。もう嫌だ...。嫌だ!」
最後の嫌だを大声で言ったのが上にいた幸平にバレた。
幸平が頭を抱えながらしゃがみこんでいる私を見て降りてくる。
「なんだよ。どうした?姉ちゃん?」
私は幸平を突き飛ばして2階を駆け上がる。部屋に向かってひたすら駆け上がった。
部屋に入ると鍵を締め、私はその場にしゃがみこんだ。そして涙が止まらない。
目から溢れ出る涙は、私の中に溜まっていたすべての負の感情が外へ漏れ出すように出てくる。
もう終わった。何もかも希望が無くなって未来を失った。私が望んでいた幸せな未来じゃない。もう死んだも同然のようだった。
親と話し合うことになった私は、当然いつもの揉めあいが起きた。父親と母親と弟の3人に酷い言葉で追い打ちをかけられ、どんなに浪人の間頑張ると言っても、許してくれるような状態じゃなかった。自由にしてほしい。今はそんなことばかり考えていた。
部屋に閉じこもり、私はみんなが寝静まったころに窓の外を見て涙を流す。真っ暗な夜の外の風景が、まるで私の今の精神状態のように真っ暗で明かりがなければ道を彷徨ってしまう程に暗かった。
恐らく冷たい空気が漂っているだろうから、暗くて寒い外は、私の今の心の状態と似ているだろう。
私は外に行きたくなった。私の心と同化出来ると感じた外に出たほうが、家にいるよりも良いかもしれないと思った。
私は家の玄関に向かうため、1階に降りる。誰にも見つからないようにしたいため、廊下の電気は点けなかった。音をさせないようにゆっくりと部屋を出て一歩一歩忍び足で歩き出す。階段は衝撃を与えなければ音もしないし、丈夫に出来ているため、体重をかけても軋む音など鳴ったりはしない。
何とか1階に辿り着いた私は、すぐ目の前にある家庭用電話の横に置いてある、メモ用紙に目が入った。
「もうここに帰りたくない...」
私は誰にも聞こえないように言うと、メモ用紙を一枚千切って、ペン立てから油性の黒インクボールペンを取り出した。
もうここに居たくない。その想いが頭の中を埋め尽くし、ボールペンを3本指で強く握りしめる。そしてメモ用紙に簡単に家族に対するメッセージを書き記した後、ボールペンを仕舞ってその場を出ていく。
手ぶらで外に出てしまったが、別に今用意が必要な物はない。このままでいい。余計な物がある方が面倒になるから。
私は近くに設置されている公園に向かって行く。だが目的地は公園ではなく、そのエリア内にある深い森がある。そこへ向かうのだ。目的はただ一つ。
「私なんていなければよかったんだ...」
親に迷惑をかけ、弟にも無様だと思われ、学校の同級生からも足を引っ張るお荷物だと思われたに違いない。私なんていない方が良かった。私はこの世界にいらない存在だった。きっとそうだ。
だから私は、黙って誰にも見つからずに済む場所で、独りで死ぬ。これが正しい選択に違いない。
「何が幸せな未来...楽しい人生だ。私にそんなのあるわけないのに...」
高望みしていた自分を、今物凄く恥じいている。そして愚かだと感じる。
私は深い森の奥の方に進んだ。もうゴミやら汚いヘドロのようなもの、さらには古びた看板が散乱し、全く自然のいい匂いもしない、生ゴミの密集地帯に漂うような臭いが鼻の中に吸い込まれる。呼吸を止めてもわずかに鼻の粘膜がやられそうな匂いのせいで吐き気がする。
だが、別にここでもいいや、と判断した私は付近に落ちていたガラス瓶の破片を取り出した。そして喉元にその破片の鋭利な先端部分を突きつける。
「みんな...ごめんね」
そういうと私は喉元に向かってガラスの破片を突き刺そうとした。
「ようこそ」
何やら後ろから女性の声が聞こえた気がする。私は誰かが自殺の邪魔をしに来たのかと思い後ろを振り返り、手に持っていたガラスの破片の先端部分をその誰かの方に向ける。
だが振り返ると、なぜかそこには誰もいなかった。それだけじゃない。さっきまで深い森の中だった場所がなぜか違う場所になっていた。
私の大学受験は終わり、卒業式だけとなったため、自宅で合格通知の返事が来るのを待っていた。私はこの待っている間が何よりも不安で仕方がなかった。合格通知が来るまであと何日が経つのだろう。後どれ程待っていればいいのだろう。そんなことを考える日々が続き、考えすぎたのか身体が重たく感じる。
そんな中で、私のことに関して家族と話し合いをすることになった。もし落ちたらどうするのか?本当にこの先どう生きていくのかを話し合うという。
1階のリビングに私以外の全員が、ソファーに座って私が来るのを待っていた。
みんなが暗い表情になっているからか、リビングは時計の秒針の音だけが鳴り響く程に静かだった。そして空気もなんだか悪い感じである。なにかシリアスなムードが部屋中を包み込み、私が立ち入るのが怖くなるほどであった。
「杏奈。さっさと来なさい」
母親のその言葉通りさっさと空いているスペースに向かった。隣には弟の幸平が座っていた。
幸平は、私の座るスペースを少し空けるために、数センチだけ横にずれた。
私が座る所定地には座布団が敷いてあった。それは新品で、某有名な家具製品を販売しているところであろう物のの商品に似ている。
「杏奈。ちゃんと本気で受けたわよね?受験に」
母親が先に言いだした。その言葉は私のことを信用していないのが窺えるような発言である。それを聞いて私の精神状態がさらに重くなっていく。
「そりゃそうだよ...」
「もし落ちたりしたらこの先どうするの?」
なんでそんな話を今するの?受験で一番苦しい状況なのは私なのに。
「杏奈!どうするんだって訊いてるんだ!」
少し怒声を混じえたようなトーンで私に言いだしたのは父親だった。その声でびっくりした私はまともに目の前の二人の顔を見れなかった。
「だから...本気だったって言ってるじゃん。だから心配しないで」
「心配させるような状態にさせたのはあんたでしょ!学校の成績も良くなくて、友達ともあまり仲良くないって聞いてるし。何より今回の受験は杏奈の人生が掛かっているのよ!杏奈を一番心配してるのは家族である私たちなの!これ以上心配させないでちょうだい!」
「母さんの言う通りだ。大学受験は今後の人生が掛かっているんだ。何よりお前は成績が良くない状況なのに大学なんて。友達も高校でロクに出来なかったのに、大学でやっていけるのか?そういうのを考えたうえで受験したのか?」
私は負けちゃダメだと思い、二人に言い返す。
「受けたところでは学びたいことがあるの。だから友達とかそんなのは行ってみないとわからない。私が受けたいと思ったから受けた。だって私の人生じゃん」
「よくそんな偉そうなこと言えるな!お前は長女だから、弟の幸平には何も背負わせないために育てたんだぞ。苦労したんだ。姉であるお前の真似をして変な道を歩ませないためにお前を大事に育てたんだ!だからこうして心配しているんだ」
父親の発言は完全に私のためじゃないことがよく分かる。弟のためだ。
何も背負わせないために私に何もかも背負わせる。私はいつも負担をかけられ、こうやって追い込む。確かに何かあってからじゃ遅いのはわかっているが、今は私が苦しい思いをしているのにそれを分かってなどいない。
だいたい幸平だって、関係ないのになぜここへ呼ぶのか。呼ぶ必要があったのか?
どうせ3人とも私を追い込んで偉そうなこと言って、私に重圧をかけることを少し楽しんでいるんだ。こうやって味方が多ければそりゃあどんなキツイことを言いたい放題言えるだろう。
こういう状況になって大勢で追い込んで、私を弱らせる。弱いもの虐めだ。多分3人はそんなこと思ってないだろう。
隣に座っていた幸平が痺れを切らしたのか「チッ!」と舌打ちをした。つまらないんでしょ?と言いたいくらいである。
「これで落ちたら、お前の面倒など見ないからな!」
「#単語_家_ルビ_うち_#は生易しい家庭なんかじゃないからね!」
父親と母親が容赦なく追い打ちを私に食らわせる。
幸平がどこかへ向かって行くのを、私は黙って見ていた。手をもじもじと動かしながら精神を安定させながら、幸平が冷蔵庫に向かって行くのをただ黙って見る。
目を反らした私に父親が「オイッ!」と怒声を上げながら、私を睨んだ。
「わかったな!受験に失敗したら誰も助けんぞ」
「幸平にも安心させるためにちゃんと受かっていたらいいけど。もしもの時のためにこうして話し合ってるの。またこの話の続きをするから。わかった?」
私は二人にだけ聞こえるように「わかった...」と返事をした。そして今回の私の話が終わったのだ。
それから二日が経った。弟が昼頃ポストに郵便物が入っていたというので取り出した。
その中の一枚に私宛の手紙が入っていたというので、届けに来てもらった。
「大学の手紙...」
受け取った時、私は何か不安を感じた。
渡されたのは、「ここからめくって」と書いてある紙だった。このパターンで来ることに私は嫌な予感しかしない。
私が急いでめくると、真っ白の面に2行ほどの文章が書かれてあり、それを読んでいく。そして私は読みきった後に、最後に書かれてある言葉をを復唱した。
「...不合格。...不...合格」
私は、頭の中がパニックに襲われた。そして身体がだんだん軽くなっていくような感覚になった。
手紙を持っていた手に力が入らなくなり、ベッドに座っていたため横に倒れる。その落下するスピードも速く感じ、私の身体が布団から反発すると同時に、何度も頭が跳ねて振動する。
「もう...あと一つしか...」
大学は全部で2つ受けた。そのうちの1つが不合格となった。私は抑えきれない不安が一気に増加し、立ち直れないような感覚に襲われる。何を考えても前向きになれない。
なぜ不安が大きくなるかというと、もう一つの大学の方が偏差値が高く、低い方の大学の合否がこの結果であるためそう思ってしまう。
そして何より、家族の二日前に言われた言葉がフラッシュバックされ余計にしんどく感じる。
「もう私...だめなのかな...」
私はずっと家族からの屈辱に耐え、高校を3年間通ってきた。学校でも楽しいことなんてなかった。だがそんな人生とも終われると思った。
私は幸せに大学を過ごすために、まず独り暮らしをしたい。それから高校では出来なかった彼氏を作って充実した人生を歩みたい。それから大学ではとにかく遊びまくって、サークルとか入って悔いのないキャンパスライフを送ること。これが目標だった。だが、そんな日が来ないかもしれない。
私は考えれば考えるほど不安に押しつぶされそうになり、身体を丸くさせ、自分を抱きしめる。
「もう...これ以上嫌な人生を送りたくない...」
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「なぁ、大学の合格通知だろ?さっきの。どうだったんだよ。まさかじゃないけどさ、不合格なんて言わないでほしいんだけど。これ以上俺たちに迷惑かけるのはやめてほしいからさ。んでどうだった?」
私は何も言わなかった。何も言いたくなかった。言ったら傷つくからである。しかし幸平はしつこく訊いてくる。相手のことなんてお構いなしなのか。いや、私だからだろう。
「なぁ、どうだったの?言わないなら見るからねぇ」
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「嘘...落ちた...。なぁ、これからどうすんの?おい、返事しろよ。お前に訊いてんだって」
「もう黙っててよ...」
「何?聞こえねぇんだよ!」
すると私は、ベッドを勢いよく起き上がり、幸平の胸ぐらを掴んだ。さっさと出て行ってほしいというのが頭中に駆け巡り、言葉にはしなかったが黙って部屋を追い出す。
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そのあと部屋のカギを締めて、誰も入れないようにした。ドアから離れて、その奥にいるであろう幸平を恐れる私は、無気力になりその場でしゃがみこんだ。
頭を抱え込みながら悲観し、自分を責め込む。それしか考えられない。どうせ私のせいなんだから。誰も慰めてくれないんだから。自分を責めるしかなかった。
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ドアをドンドンと叩いているのも、ドアの響きで分かる。
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(二人に言うからな。お前が不合格になったことを。どういうだろうなぁ。二人とも)
「言わない...で」
なかなか声が出ない。出そうとすればする程掠れた声になるし、何より苦しい...
私は3分程今の苦しい状態に襲われた。
家に家族が揃ったというので、私は父親と母親に全てを告げた。
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「違います...本気でやったんです。受験...」
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「じゃあ何なの!?この『不合格』って!」
そんなもの説明しなくてもわかるはず。落ちたのだ。そんなことはわかっているの筈なのに、なんでわざわざ訊くのかわからない。
それに私は今この状況が嫌で嫌で逃げ出したい。もう説教はうんざりだ。
今回は幸平がいないからマシな方と考えたが、そうでもなかったようだ。今幸平がいなくても、二人の態度は変わらない。いや、以前よりも酷く怒っていた。もうどの道私はこうなるのはわかっていた。不合格と聞いて絶対に慰めてはくれないということを。
「ごめんなさい...」
「謝って済む問題じゃないだろ。お前、弟の幸平にまで辛い思いをさせる気か?幸平が今のお前を見習ってしまったらどうするんだ!」
父親のこの前よりもでかくなった怒声に私は恐怖を感じ、ただ萎縮することしか出来なかった。
「ごめんなさい...ごめんなさい...ごめんなさい」
私は何度も二人に謝った。そして土下座までした。涙を流しながら、情けないとわかっているが、今私がやらなきゃいけないのはこれしかないと判断し、ただ謝り続ける。
「ごめんなさいなんて今更通用するわけないでしょ!あんたがやったことなんだから。なんでこんな姉に育ったのかしら。高校を間違えなかったらこんなことにならなかったのかしら」
母親こそ今更な話をぶつぶつと言い出した。
「いい加減にしとけ!謝っても意味ないやろ!とりあえずもう一個の大学を待つしかないし。それが無理やったらもうどうにかしろよ。もうお前みたいな奴面倒見切れん」
「返事は?杏奈!」
頭を下げた状態で私は「わかりました」と返事をした。
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1階に降りて、玄関を出て郵便物を受け取った。
全部で4枚入っており、全てを持って玄関に急いで入った。
今度こそ不合格など許されない。私は郵便物を玄関先の廊下で散らばせる。その中に一枚大学の手紙が入っていた。
私はてっきり茶封筒の郵便物もあったためそっちかと思ったが、違っていた。嫌な予感しかしなかった。
私は手紙に書いてあった「裏面をめくってください」の文字に緊張が走る。
「嘘でしょ...嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ!」
裏面のめくる部分を素早くめくった。
『今回の受験結果をお伝えいたします』
その文字の下に大きく黒い太文字でこう書かれてあった。
『残念ながら合格には至りませんでした』
思わず絶句してしまう。もう何も言葉が出ない。足元がふらついてくる。
「...なんでよ。もう嫌だ...。嫌だ!」
最後の嫌だを大声で言ったのが上にいた幸平にバレた。
幸平が頭を抱えながらしゃがみこんでいる私を見て降りてくる。
「なんだよ。どうした?姉ちゃん?」
私は幸平を突き飛ばして2階を駆け上がる。部屋に向かってひたすら駆け上がった。
部屋に入ると鍵を締め、私はその場にしゃがみこんだ。そして涙が止まらない。
目から溢れ出る涙は、私の中に溜まっていたすべての負の感情が外へ漏れ出すように出てくる。
もう終わった。何もかも希望が無くなって未来を失った。私が望んでいた幸せな未来じゃない。もう死んだも同然のようだった。
親と話し合うことになった私は、当然いつもの揉めあいが起きた。父親と母親と弟の3人に酷い言葉で追い打ちをかけられ、どんなに浪人の間頑張ると言っても、許してくれるような状態じゃなかった。自由にしてほしい。今はそんなことばかり考えていた。
部屋に閉じこもり、私はみんなが寝静まったころに窓の外を見て涙を流す。真っ暗な夜の外の風景が、まるで私の今の精神状態のように真っ暗で明かりがなければ道を彷徨ってしまう程に暗かった。
恐らく冷たい空気が漂っているだろうから、暗くて寒い外は、私の今の心の状態と似ているだろう。
私は外に行きたくなった。私の心と同化出来ると感じた外に出たほうが、家にいるよりも良いかもしれないと思った。
私は家の玄関に向かうため、1階に降りる。誰にも見つからないようにしたいため、廊下の電気は点けなかった。音をさせないようにゆっくりと部屋を出て一歩一歩忍び足で歩き出す。階段は衝撃を与えなければ音もしないし、丈夫に出来ているため、体重をかけても軋む音など鳴ったりはしない。
何とか1階に辿り着いた私は、すぐ目の前にある家庭用電話の横に置いてある、メモ用紙に目が入った。
「もうここに帰りたくない...」
私は誰にも聞こえないように言うと、メモ用紙を一枚千切って、ペン立てから油性の黒インクボールペンを取り出した。
もうここに居たくない。その想いが頭の中を埋め尽くし、ボールペンを3本指で強く握りしめる。そしてメモ用紙に簡単に家族に対するメッセージを書き記した後、ボールペンを仕舞ってその場を出ていく。
手ぶらで外に出てしまったが、別に今用意が必要な物はない。このままでいい。余計な物がある方が面倒になるから。
私は近くに設置されている公園に向かって行く。だが目的地は公園ではなく、そのエリア内にある深い森がある。そこへ向かうのだ。目的はただ一つ。
「私なんていなければよかったんだ...」
親に迷惑をかけ、弟にも無様だと思われ、学校の同級生からも足を引っ張るお荷物だと思われたに違いない。私なんていない方が良かった。私はこの世界にいらない存在だった。きっとそうだ。
だから私は、黙って誰にも見つからずに済む場所で、独りで死ぬ。これが正しい選択に違いない。
「何が幸せな未来...楽しい人生だ。私にそんなのあるわけないのに...」
高望みしていた自分を、今物凄く恥じいている。そして愚かだと感じる。
私は深い森の奥の方に進んだ。もうゴミやら汚いヘドロのようなもの、さらには古びた看板が散乱し、全く自然のいい匂いもしない、生ゴミの密集地帯に漂うような臭いが鼻の中に吸い込まれる。呼吸を止めてもわずかに鼻の粘膜がやられそうな匂いのせいで吐き気がする。
だが、別にここでもいいや、と判断した私は付近に落ちていたガラス瓶の破片を取り出した。そして喉元にその破片の鋭利な先端部分を突きつける。
「みんな...ごめんね」
そういうと私は喉元に向かってガラスの破片を突き刺そうとした。
「ようこそ」
何やら後ろから女性の声が聞こえた気がする。私は誰かが自殺の邪魔をしに来たのかと思い後ろを振り返り、手に持っていたガラスの破片の先端部分をその誰かの方に向ける。
だが振り返ると、なぜかそこには誰もいなかった。それだけじゃない。さっきまで深い森の中だった場所がなぜか違う場所になっていた。
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真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
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邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
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