黒曜の誓い、竜を狩る者たち

ンヴ

文字の大きさ
48 / 100

48

しおりを挟む

常闇の城、玉座の間。闇の聖者ノクターンが放つ絶望的なまでの闇のオーラの前に、俺たちは息を詰まらせていた。彼の歪んだ理想は、この世界を永遠の闇に閉ざそうとしている。

「私たちは……そんな未来は望まない!」
ルナが、涙を浮かべながらも、強い意志で叫んだ。
「私たちは、光の中で、みんなで笑い合って生きていきたいの!」

「ならば……その矮小なる希望、この私が、無慈悲に打ち砕いてやろう」
ノクターンは、そう言うと、ゆっくりと玉座から立ち上がった。その体から、世界を覆い尽くさんばかりの、絶望的なまでの闇のオーラが放たれ始めた。

その時、俺の脳裏に、アウストラの言葉が蘇った。
『光の聖者ルクスは、陽光の頂に封印されています。ノクターンの闇の力が強大になるほど、その封印は不安定になるでしょう。もし、ルクス様を解放できれば、ノクターンに対抗できる唯一の希望となるかもしれません』

そして、アルドリスもまた、何かを思い出したように声を上げた。
「そうだ……! 土の聖者ガイア様も、今は力を回復されているはず! ガイア様の『大地の守り』があれば、この城の邪悪な波動を少しでも抑えられるかもしれない!」

「しかし、どうやって……? ここからでは、あまりにも遠すぎる……」
ザナックが、絶望的な表情を浮かべる。

「私が行きます」
アウストラが、静かに、しかし力強く言った。彼女は、いつの間にか俺たちの後を追い、この常闇の城まで来ていたのだ。おそらく、星詠みの力で、最悪の事態を予見していたのだろう。
「私の星詠みの力と、ガラン殿たちが開発した改良型の転移装置を使えば、短時間で陽光の頂と、ガイア様の聖域へ到達できるはずです。私が、必ずお二人を説得し、援軍としてお連れします。それまで……どうか、持ちこたえてください!」

「アウストラさん……!」
俺は、彼女の勇気と決意に胸を打たれた。

「フン、無駄な足掻きを。お前たちがどれだけ時間を稼ごうとも、この私を止めることなどできはしない」
ノクターンは、嘲るように言ったが、その瞳の奥には、ほんの一瞬だけ、警戒の色がよぎったように見えた。

「アウストラ、頼んだぞ!」
ガランの声が、どこからともなく響いてきた。彼もまた、エルネストと共に、この城の近くまで来て、俺たちを支援してくれていたのだ。
「ウルフルム、ルナ、ザナック、アルドリス! お前たちは、何としてもノクターンを食い止めろ! アウストラが戻るまで、絶対に諦めるな!」

「「「応!!」」」
俺たちは、力強く叫んだ。

アウストラは、俺たちに一礼すると、その姿を光の中へと消した。彼女は、最後の希望を繋ぐために、命がけの旅に出たのだ。

「さて、邪魔者もいなくなったことだし……始めようか、終末の宴を」
ノクターンは、そう言うと、その両手から無数の闇の触手を伸ばし、俺たちに襲いかかってきた。

俺たちは、四人で力を合わせ、ノクターンの猛攻に立ち向かう。
俺の剣は、聖邪のオーラを纏い、闇の触手を切り裂く。
ルナの聖なる光は、闇の力を浄化し、俺たちを守る。
ザナックの不屈の剣技は、ノクターンの防御をこじ開けようと、果敢に攻め立てる。
アルドリスの闇と光を調和させる力は、ノクターンの魔術の隙を突き、その動きを封じようとする。

しかし、闇の聖者ノクターンの力は、あまりにも強大だった。彼の闇は、まるで底なし沼のように、俺たちの力を吸い取り、そして絶望へと引きずり込もうとしてくる。

(くそっ……! アウストラさんが戻るまで、持ちこたえられるのか……!?)

俺の心に、焦りと不安がよぎる。
だが、その時、俺の胸元で、森の賢者から授かった精霊の護符が、温かい光を放った。そして、その光は、仲間たちの護符とも共鳴し、俺たちの心に、新たな勇気と力を与えてくれた。

「まだだ……! 俺たちは、絶対に諦めない!」
俺は、叫んだ。

光の聖者ルクス、そして土の聖者ガイア。
二人の聖者の力が、この絶望的な戦いに、どのような変化をもたらすのか。
そして、俺たちは、この絶対的な闇に打ち勝ち、世界に光を取り戻すことができるのだろうか――。

全ては、仲間との絆と、心の中に灯る希望の光にかかっていた。
そして、遠く離れた場所で、最後の希望を繋ごうと奮闘している、アウストラの勇気を信じて――。
俺たちの、本当の最後の戦いが、今、始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...