黒曜の誓い、竜を狩る者たち

ンヴ

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常闇の城、玉座の間。闇の聖者ノクターンとの死闘は、俺たちの想像を絶するほど過酷なものだった。彼の放つ絶対的な闇の力は、俺たちの体力と精神力を容赦なく削り取っていく。精霊の護符が放つ温かい光も、仲間たちの奮闘も、まるで底なしの闇に吸い込まれるかのように、その勢いを徐々に失いつつあった。

「フハハハハ! どうした、光の者どもよ! もう終わりか? お前たちの希望とやらも、所詮はその程度だったということか!」
ノクターンは、高笑いしながら、さらに強力な闇の波動を放ってきた。

「ぐあああっ!」
ザナックが、その波動をまともに受け、壁に叩きつけられる。彼の剣は折れ、意識も朦朧としているようだ。

「ザナックさん!」
ルナが悲鳴に近い声を上げ、癒しの光を送ろうとするが、ノクターンの闇のオーラがそれを阻む。

アルドリスもまた、闇の力でノクターンに対抗しようとするが、その力の差は歴然としており、彼の体は徐々に闇に蝕まれ始めていた。
「くっ……! このままでは……!」

俺もまた、満身創痍だった。レプリカの力はほぼ尽きかけ、聖邪のオーラも風前の灯火だ。何度も膝をつきそうになるのを、最後の気力だけで支えている。

(ここまでなのか……? アウストラさんは……まだ……)

絶望が、黒い霧のように俺の心を覆い尽くそうとした、その時。
突如として、玉座の間の天井が、眩いばかりの黄金色の光によって打ち破られた!

「なっ……!?」
ノクターンが、驚愕の声を上げる。

そして、その光の中から、荘厳な翼を持つ、神々しいまでの姿をした人物がゆっくりと降臨してきた。その人物は、太陽そのものを凝縮したかのような、圧倒的な光のオーラを放っており、その温かくも力強い光は、玉座の間に満ちていたノクターンの闇を、瞬く間に霧散させていく。

「まさか……光の聖者……ルクス……!?」
ノクターンが、信じられないといった表情で、その人物を見上げる。

「ノクターン……。あなたの永きにわたる闇の支配も、今日で終わりです」
光の聖者ルクスは、静かに、しかし威厳に満ちた声でそう告げた。その声は、まるで聖歌のように美しく、そして力強かった。

そして、ルクスの背後から、もう一人の人物が姿を現した。それは、大地のように力強く、そして岩のように頑健な体躯を持つ、土の聖者ガイアだった。彼の足元からは、生命力に満ちた緑のオーラが立ち昇り、傷ついた俺たちの体を癒し、そして力を与えてくれる。

「間に合ったようだな、若者たちよ! よくぞ、ここまで持ちこたえてくれた!」
ガイアが、力強い声で言った。

「ルクス様! ガイア様!」
俺たちは、その奇跡的な援軍の登場に、言葉を失った。

アウストラが、二人の聖者の背後から、安堵の表情を浮かべて姿を現した。
「ウルフルムさん、ルナさん! 約束通り、お連れしました!」
彼女の顔は疲労困憊していたが、その瞳には、使命を果たしたという達成感が輝いていた。

「アウストラさん……! 本当に……本当にありがとう……!」
俺は、涙ながらに感謝の言葉を述べた。

「フン、聖者が二人揃ったとて、この私を止められると思うなよ!」
ノクターンは、一瞬の動揺から立ち直り、再び禍々しい闇のオーラを放ち始めた。

「ノクターン、あなたの歪んだ理想は、もはや誰にも受け入れられません。光と闇は、対立するものではなく、互いに調和し、世界を形作るべきものなのです」
ルクスは、そう言うと、その両手から太陽のような黄金色の光を放った。

「そして、大地は、全ての生命を育む母なる存在だ! お前のような、死と虚無を振りまく者に、この世界を汚させるわけにはいかん!」
ガイアもまた、その両腕を大地に叩きつけ、強力な大地のエネルギーを呼び覚ました。

光の聖者ルクス、土の聖者ガイア、そして俺たち四人。
七つの力が、今、一つになろうとしていた。

「みんな、最後の力を振り絞るぞ!」
俺は叫んだ。

ルナは、聖なる光を最大限に高め、ルクスの黄金色の光と融合させる。
ザナックは、折れた剣の代わりに、ガランから託された予備の剣を握りしめ、不屈の闘志を燃やす。
アルドリスは、自らの闇の力を、ガイアの大地の力と調和させ、新たな防御と束縛の力を生み出す。
そして俺は、レプリカに残された最後のエネルギーと、精霊の護符の力、そして仲間たちとの絆の力を、全て一つに束ね、聖邪のオーラを極限まで高めた。

「これが……私たちの……最後の希望だあああっ!」

七つの光と力が融合し、玉座の間を眩いばかりの虹色の輝きで満たした。その輝きは、ノクターンの放つ絶対的な闇を完全に打ち消し、そして、彼の存在そのものを浄化していくかのようだった。

「馬鹿な……! この私が……こんな……光に……!?」
ノクターンの体が、徐々に崩壊していく。その瞳から、狂気と憎悪の色が消え、代わりに、ほんの一瞬だけ、何かを理解したかのような、穏やかな表情が浮かんだように見えた。
「……これが……調和……というものか……。あるいは……それもまた……悪くない……の、かもな……」
ノクターンは、最期にそう呟くと、光の粒子となって完全に消滅した。

後に残されたのは、静寂と、そして温かい光に満たされた玉座の間だけだった。
常闇の城を覆っていた暗黒の雲も消え去り、空には、美しい朝日が昇り始めていた。

「……終わった……。本当に、終わったんだな……」
俺は、その場に崩れ落ち、安堵のため息をついた。

ルナも、ザナックも、アルドリスも、そしてアウストラも、互いに顔を見合わせ、涙を浮かべながら微笑み合っていた。
ガランとエルネストも、玉座の間に駆けつけ、俺たちの勝利を心から祝福してくれた。

光の聖者ルクスと、土の聖者ガイアは、俺たちに深く感謝の言葉を述べた。
「あなた方のおかげで、世界は救われました。そして、我々聖者もまた、真の調和の意味を理解することができた。これからは、我々も、この世界の平和のために力を尽くしましょう」

こうして、長きにわたる闇との戦いは、ついに終わりを告げた。
六聖者は解放され、それぞれの聖域へと戻り、世界のバランスを守護する存在となった。
影の教団の脅威も、完全に消え去った。

俺たち蛮族討伐隊は、再び故郷の村へと帰還した。
そこには、変わらない日常と、かけがえのない仲間たちの笑顔があった。

俺たちの物語は、ここで本当に、一つの大きな結末を迎える。
しかし、それは決して終わりではない。
未来には、また新たな出会いと、新たな冒険が待っているかもしれない。

だが、俺たちは知っている。
どんな困難が訪れようとも、仲間との絆を信じ、そして心の中に灯る希望の光を頼りにすれば、必ず乗り越えられるということを。

そして、この世界が、光と闇、そして全ての生命が調和する、真に平和で、笑顔に満ち溢れた場所であり続けることを願いながら――。
俺たちの、かけがえのない日々は、これからも、永遠に続いていくのだから。
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