黒曜の誓い、竜を狩る者たち

ンヴ

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ルシファーの恐るべき計画と、女神ホーラからもたらされた非情な預言は、俺たちに重くのしかかった。ウルフルムか、ルナか、どちらかの魂が犠牲にならなければ、世界は救えない……。そんな残酷な現実を、俺たちは受け入れなければならなかった。

「そんな……そんなこと、絶対にさせない……!」
俺は、ルナを強く抱きしめ、叫んだ。彼女を犠牲にするなど、考えられもしない。

「ウルフルム……。でも、もしそれが世界を救う唯一の方法なら……私は……」
ルナは、涙を浮かべながらも、覚悟を決めたような表情で俺を見つめる。

「駄目だ! 俺が、俺が何とかする! 必ず、二人とも助かる方法を見つけ出してみせる!」
俺は、ルナの言葉を遮り、固く誓った。

しかし、ルシファーの計画は、俺たちの葛藤を待ってはくれなかった。彼が仕掛けた「歪み」は、俺たちの世界だけでなく、かつて俺たちが冒険した異世界――緑鱗族のガルドたちが住む世界――にも、同時に影響を及ぼし始めていたのだ。二つの世界で、同時に虚無の門が出現し、ルシファーの配下である堕天使軍団が侵攻を開始した。

「なんてことだ……! ルシファーめ、二つの世界を同時に……!」
ザナックが、怒りに顔を歪ませる。

「おそらく、二つの世界の『核』となる魂を同時に手に入れ、より強大な力を得ようとしているのでしょう。あるいは、我々を分断させ、それぞれの世界で消耗させるのが狙いか……」
アルドリスが、冷静に分析する。

俺たちは、二つの世界を同時に守るという、絶望的な状況に立たされた。戦力は分散され、仲間たちはそれぞれの世界で、圧倒的な数の敵と戦わなければならない。

俺とルナ、そしてアウストラとミカエルは、俺たちの世界に残された「万物を断つ剣」を探すため、そして堕天使軍団の侵攻を食い止めるために奔走する。
一方、ザナック、カイ、リアラ、リオ、セナは、異世界へと渡り、ガルドたち緑鱗族と協力して、そちらの世界の「生命を育む聖杯」を探し出し、堕天使軍団と戦うことになった。

二つの世界で、同時に激しい戦いが繰り広げられた。

俺たちの世界では、堕天使軍団の総攻撃が始まり、王都は陥落寸前まで追い詰められる。ガラン元隊長やエルネスト魔術師団長も奮戦するが、敵の力はあまりにも強大だった。
俺は、ルナの聖なる光と、アウストラの星詠み、ミカエルの神々しい力を借りて、ようやく「万物を断つ剣」が眠るという「禁断の聖域」へと辿り着く。しかし、そこにはルシファー自身が待ち受けていた。
「フハハハハ! よく来たな、ウルフルム。お前のその絶望に染まった魂、我が新たなる楽園の礎とするに相応しい」
ルシファーの力は、以前とは比較にならないほど増大しており、俺は全く歯が立たない。万物を断つ剣を手に入れることもできず、逆に深手を負い、絶体絶命の危機に陥る。

一方、異世界でも、ザナックたちは苦戦を強いられていた。堕天使軍団の力は、緑鱗族の戦士たちをも圧倒し、次々と仲間たちが倒れていく。リオとセナは、星の民の技術を駆使して抵抗するが、限界が近づいていた。カイとリアラもまた、それぞれの故郷を襲った悲劇を思い起こさせるような、堕天使たちの精神攻撃に苦しめられる。
そして、ついに、ザナックが仲間たちを庇い、敵の集中攻撃を受けて倒れてしまう。
「くそっ……ここまでか……。ウルフルム……ルナちゃん……すまねえ……」
ザナックの意識が、遠のいていく。

カイとリアラ、リオとセナもまた、絶望的な状況に打ちひしがれていた。その時、アウストラが叫んだ。
「皆さん、諦めないで! 星々が、新たな希望の光を示しています! かつての仲間……クロノス様の魂の輝きが、再びこの世界に……!」

アウストラの言葉に呼応するように、どこからともなく懐かしい懐中時計の音が響き渡った。そして、空間の歪みの中から、銀色の髪をなびかせたクロノスが、静かに姿を現したのだ。その瞳には、かつてのような歪みはなく、時を司る精霊としての、澄んだ輝きが宿っていた。

「……皆さんの声が、私を呼び戻してくれたようです。そして、女神ホーラ様も、私に再び機会を与えてくださった。この世界の歪みを正すために」
クロノスは、穏やかな笑みを浮かべ、かつての仲間たちの前に立った。彼の復活は、絶望の淵に立たされていた異世界の仲間たちにとって、まさに一筋の光明だった。

俺たちの世界で、ルシファーに追い詰められた俺の前に、ルナが立ちはだかる。
「ウルフルムを傷つけることは、この私が許さない!」
ルナは、その小さな体に宿る全ての聖なる力を解放し、一時的にルシファーの動きを封じる。

「ウルフルム……! あなたは、諦めないで……! あなたの魂は、まだ燃え尽きてなんかいないはず……!」
ルナは、俺の手を握り、その瞳で強く訴えかける。そして、彼女は、自らの魂の一部をウルフルムに分け与えるという、禁断の選択をする。

一方、異世界で倒れたザナックの心の中に、ウルフルムの声が響く。
『ザナック……! 聞こえるか……!? 俺たちは、まだ負けちゃいない……! お前が信じる限り、絆の力は何度でも奇跡を起こすんだ!』
そして、ルナから分け与えられたウルフルムの魂の力が、時空を超えてザナックの魂に共鳴し、彼を再び奮い立たせる。ザナックは、仲間たちの想いを背負い、新たな力を覚醒させる。それは、どんな絶望にも屈しない、真の「不屈の魂」だった。

ウルフルムたちの世界――禁断の聖域

ルナの魂の力と、仲間たちの想いによって復活を遂げた俺、ウルフルムは、真の「調和の力」を完全に覚醒させていた。その力は、ルシファーの闇のオーラさえも打ち消し、「万物を断つ剣」を俺の手に引き寄せた。剣は、虹色の輝きと、万物を切り裂くほどの鋭利なオーラを放っている。

「ルシファー! お前の野望も、ここまでだ!」
俺は、ルナ、アウストラ、そして熾天使ミカエルと共に、ルシファーとの最終決戦に挑む。

ルシファーは、その漆黒の翼を広げ、天を覆い尽くさんばかりの絶望的なオーラを放つ。
「フハハハハ! 面白い! 人間が、神に抗おうというのか! その愚かさ、我が力で教えてやろう!」

ルシファーは、その両手から無数の闇の槍を放ち、俺たちを串刺しにしようとする。しかし、ミカエルの神々しい光の盾が、その攻撃を寸前で防ぐ。
「堕天使よ、お前の邪悪な力は、この聖域では通用しない!」

アウストラは、星詠みの力でルシファーの動きを予測し、俺たちに的確な指示を与える。
「ウルフルム! ルシファーの力の源は、その胸に輝く『虚無の宝珠』! あれを破壊すれば、彼の力は大きく削がれるはずです!」

「分かった!」
俺は、ルナの聖なる光の援護を受けながら、ルシファーの懐へと飛び込む。ルナの光は、俺の剣にさらなる力を与え、闇を切り裂く一条の閃光となる。

「小賢しい真似を!」
ルシファーは、その巨腕で俺を薙ぎ払おうとするが、俺は「万物を断つ剣」でその攻撃を受け止め、そして弾き返す。剣と腕が衝突する度に、空間が歪み、衝撃波が周囲の岩盤を砕く。

「これが、人間の……いや、仲間との絆の力だ!」
俺は、渾身の力を込めて、ルシファーの胸の虚無の宝珠目掛けて、虹色の剣を突き出した!

「ぐおおおおおっ!」
ルシファーが、苦悶の絶叫を上げる。虚無の宝珠には、確かに亀裂が入り、そこから禍々しい闇のエネルギーが漏れ出している。

異世界――生命を育む聖杯の聖域

一方、異世界では、覚醒したザナックが、カイ、リアラ、リオ、セナ、そして復活したクロノス、ガルド率いる緑鱗族と共に、堕天使軍団と激しい戦いを繰り広げていた。

「うおおおおおっ! 俺たちは、絶対に負けねえぞ!」
ザナックの不屈の魂は、仲間たちに勇気を与え、絶望的な戦況を覆していく。彼の剣は、炎のように燃え盛り、堕天使たちを次々と薙ぎ払う。

カイとリアラは、背中合わせで戦い、互いの弱点を補い合いながら、完璧な連携で敵を討つ。リオとセナは、星の民の技術と古代魔術を融合させ、強力な防御結界や、敵を混乱させるトラップを次々と展開する。クロノスは、時を操る力で仲間たちを援護し、敵の攻撃を予測し、回避させる。ガルドたち緑鱗族もまた、地の利を活かしたゲリラ戦術で、堕天使軍団を翻弄する。

「おのれ、人間ども……そして、異世界の者どもめ……! 我が堕天使軍団が、こんな雑魚どもに……!」
堕天使軍団の指揮官である、強力な堕天使の一人が、怒りに顔を歪ませる。

しかし、仲間たちの絆の力は、彼の予想を遥かに超えていた。
ついに、ザナックの渾身の一撃が、堕天使の指揮官を打ち破り、堕天使軍団は統率を失い、敗走を始める。

そして、彼らは「生命を育む聖杯」の元へと辿り着く。聖杯は、傷ついた仲間たちを癒し、そして異世界の大地に再び生命の息吹をもたらした。


その時、俺たちの世界の「万物を断つ剣」と、異世界の「生命を育む聖杯」、そして俺が持つ「真実を映す盾」の三つの古の神器が、次元を超えて共鳴を始めた。
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