黒曜の誓い、竜を狩る者たち

ンヴ

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ウルフルムの魂の叫びは、確かに仲間たちの心に火を灯した。しかし、模倣芸術家Xが生み出した偽りの災厄たちの力は、依然として圧倒的だった。記憶の森は、過去の戦場を再現したかのような、絶望的な光景へと変貌していく。

「クハハハハ! どうした、ウルフルム! お前のその威勢も、ここまでか!」
偽りのノクスが、虚無の混沌神の力を模倣した禍々しいオーラを放ちながら、ウルフルムに迫る。その一撃一撃は、かつての世界を揺るがしたほどの破壊力を秘めている。

「くっ……! こいつら、本当にあの時のままの力を持っているのか……!?」
俺は、虹色の魂の剣で偽りのノクスの攻撃を受け止めるが、その衝撃で腕が痺れ、後退を余儀なくされる。レプリカの力ではない、俺自身の魂の力で顕現した剣だが、それでもこの完璧な模倣の前には、まだ何かが足りないように感じられた。

「ウルフルム! 油断するな!」
ザナックが、偽りのカイロスの時間操作攻撃を掻い潜りながら叫ぶ。偽りのカイロスは、ザナックの動きを先読みし、過去の失敗の瞬間を繰り返し見せることで、彼の精神を揺さぶろうとする。
「お前は、また仲間を守れないのか? あの時と同じように……」
「黙れ! 俺は、もう二度と……!」
ザナックは、怒りに任せて剣を振るうが、その動きには焦りが見え、偽りのカイロスに的確な反撃を許してしまう。

アルドリスとリアラは、偽りの原初の虚無が生み出す、全てを飲み込むかのような闇の波動に苦戦していた。
「この力……! まるで、世界の終わりを見ているかのようだ……!」
リアラの放つ精霊の矢も、闇の波動に飲み込まれ、その輝きを失っていく。
「アルドリス殿! このままでは……!」
「……分かっています! しかし、この闇はあまりにも深く、そして冷たい……!」
アルドリスもまた、自らの闇の力で抵抗しようとするが、偽りの原初の虚無のそれは、あまりにも根源的で、彼の力を上回っていた。

カイ、リオ、セナもまた、それぞれがかつて戦った強敵たちの模倣――サラシエルの策略、異世界の魔物、そして星の民のガーディアン――と死闘を繰り広げていた。彼らは、成長した力で善戦するものの、相手は自分たちの戦い方を熟知しており、じりじりと追い詰められていく。

「どうだ、ウルフルム。これが、お前たちが生み出した『物語』の結末だ。お前たちの輝かしい勝利も、しょせんは新たな絶望を生み出すための、前座に過ぎなかったのだよ」
模倣芸術家Xの声が、どこからともなく響き渡る。その声には、歪んだ悦びと、そして深い孤独が感じられた。

「お前は……一体何がしたいんだ……!? なぜ、こんなことを……!」
俺は、偽りのノクスの攻撃を必死で捌きながら叫んだ。

「何がしたい、だと? 決まっているだろう。私は、永遠に変わらない、完璧な『美』を求めているのだ。お前たちのその一瞬の輝きも、やがては色褪せ、忘れ去られる。だが、私の手にかかれば、それは永遠の芸術作品として、不滅の存在となるのだ。お前たちの絶望の表情こそが、その作品を完成させる、最後の仕上げとなるだろう」
模倣芸術家Xの言葉は、狂気に満ちていた。しかし、その奥には、自らが創造したものが失われることへの、深い恐怖と悲しみが隠されているようにも感じられた。

(創造主の……苦悩……? こいつは、ただの悪党じゃないのか……?)

俺の心に、一瞬の迷いが生じる。その隙を、偽りのノクスは見逃さなかった。
「終わりだ、ウルフルム!」
虚無の力が凝縮された一撃が、俺の胸を直撃した。

「ぐあああああっ!」
俺は、強烈な衝撃と共に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。虹色の魂の剣も、その輝きを失い、ひび割れていく。意識が遠のき、仲間たちの悲痛な叫び声が、まるで遠い世界の出来事のように聞こえてくる。

(ダメだ……! このままでは……みんなが……!)

薄れゆく意識の中で、俺はルナの顔を思い浮かべた。彼女の笑顔を、もう一度見たい。その一心で、俺は必死に意識を繋ぎ止めようとした。

しかし、偽りの災厄たちの猛攻は止まらない。仲間たちは次々と倒れ、記憶の森は、絶望の色に染まっていく。
これが、俺たちの限界なのか……?
俺たちが紡いできた物語は、こんな形で終わりを迎えてしまうのか……?
創造主の歪んだ美学の前に、俺たちの絆の力は、本当に無力なのか――。
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