午前十時を過ぎたなら ―義父との秘密が始まる―

山田さとし

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第一部 恵の選択

第二十六章 白い海(挿絵付)

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【啓介と同居 四ヶ月目】 
【20●1年4月2日 AM11:00】

リビングで。

※※※※※※※※※※※※※※※

「ドーン」という轟音がしたかと思うと再び閃光が走り、何度も雷が落ちた。

爽やかな青空は一転俄かに掻き曇り、激しい雨を降らし始める。
窓を叩き付ける雨にようやく気付いた二人が庭の方を見ると、恵が声をあげた。

「いけないっ・・せ、洗濯物が・・・」
玄関で靴を履き飛び出していくと、啓介もリビングから直接出て裸足のまま追いかけて手伝っている。

大急ぎで洗濯物を取り込み、二、三回往復しながらリビングの窓からほうり込んでいく。
ようやくその作業を終えた時には、二人はずぶ濡れになっていた。

窓の外では激しい雨が芝生の上でダンスを踊っている。

「ひゃー、まいった・・・」
啓介はそれでも笑みを浮かべながら雑巾で足を拭いている。

片足で壁にもたれるようにして何とかバランスを取っていた。
風邪をひくといけないので、恵は着替えを取りにいこうと慌てて走りだした。

義父と大きなシーツの間を擦りぬけようとしたのだが、洗濯物に足を取られてバランスを崩した。

「きゃっ・・・」
倒れそうになる恵を咄嗟に支えた啓介であったが、そのまま抱き合うようにして床に転がってしまう。

洗濯物が複雑に絡まり合い、二人は大きなシーツにくるまり身動きが取れなくなった。
目の前に白い海が広がる。

「だ、大丈夫か・・・?」

顔が見えない義父の声が布越しに曇り、遠くから聞こえるようであった。
恵の柔らかな身体の弾力が腕の中で息づいている。

「は、はい・・・お、お義父さん・・こそ」

二人は明らかに興奮していた。
顔を真っ赤にして今の状況に戸惑っている。

もつれ合う状態がもの凄く淫靡なものに思えしまう。
だが焦れば焦る程、シーツが絡んでくる。

堪らず啓介が叫んだ。

「あ、あかん・・・。
ち、ちょっと・・・動かん・・とこ」

「は、は・・・い」

義父の声に素直に従ってみる。
動きを止めると互いの身体の位置が改めて確認できた。

恵の細い身体は腕の中にスッポリと納まっている。
意外に大きくて広い義父の胸であった。

互いの心臓の鼓動が聞こえてくる。
二人はまるで時間が止まったかのように、ジッと白い海の中に漂っていた。

(お義父・・・さ・・ん)

男の匂いがした。
タバコの匂いである。
シーツの中に包まれながら、二人は温もりを感じ合っていた。

(めぐ・・み・・・)

男は自然と抱く力を強めた。
心が騒ぐ。

(なんて、やわらかいんや・・・)
啓介は恵の身体の弾力を確かめるように全神経を集中させていた。

(あぁ・・あたたかい・・・)
恵も包まれる温もりを噛みしめ、腕の中に身体を預けている。

閉じ込めていた想いが膨らんでいく。
二人は、その想いを育てるかのように抱き合ったままでいた。

雨の音が聞こえる。
時折鳴る激しい雷の音が気持ちをかき立てる。

もう、そこまできていた。

男はようやく決心したのか静かに目の前の布を取った。

天使の顔がすぐそこにいた。

半月形の大きな瞳が二つ、潤んだ光を散乱させている。
今、ぷっくりした唇のかすかな皺が見えるほどの距離にいるのだ。

(きれいや・・なんて、綺麗なんや・・・)
(あぁ・・あつい・・お義父・・さん・・・)

啓介の股間がはち切れそうに固くなり、恵の身体に押さえつけられている。
恵は義父の腕の中で、その熱い感触を興奮と共に感じていた。

二人は見つめ合ったまま時を待っている。
穏やかにそれが、弾けていく瞬間を。

「お義父・・・さ・・ん・・・」

囁きを合図に二人の顔がゆっくりと近づいていく。
唇が触れたかと思うと自然に重なった。

白い海の中、禁断の恋が解き放たれた瞬間であった。
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