午前十時を過ぎたなら ―義父との秘密が始まる―

山田さとし

文字の大きさ
55 / 77
第一部 恵の選択

第五十五章 再会

【啓介と同居 四ヶ月目】 
【20●1年4月6日 PM10:00】

翌日の夜。
ガレージで。

※※※※※※※※※※※※※※※

車がガレージに着いた時、時計は十時を示していた。
遅い帰宅で心配顔の恵は、車の窓から見えた家の明りがついていない事に少しばかり後悔していた。

早く帰ろうと言う妻に夫の武がたまの外出だからと言って主張したので、夕食も外で済ませた二人であったが、何か義父に申し訳無い気持ちで一杯だった。

それと、もう眠っているかも知れない義父の顔を一目見たかった恵であった。

「あー、疲れた。クタクタだよ・・・」

武はそう言うと、さっさと着替えを済ましベッドに潜り込んだ。

「お風呂・・入らないの?
それにお義父さんに挨拶しなくちゃ・・・」

「いいよ、どうせもう寝てるよ。
それに明日早いから風呂もいい・・・よ。
おや・・す・・・み」

そして直ぐにイビキをかき始めた。

恵は呆れた顔をしていたが、クスッと笑うと夫の頬に愛おしそうにキスをした。
本当に久しぶりのデートであった。

結婚前の頃のように二人は新鮮に寄り添い、休日をたっぷりと楽しんだ。
夜は高級ホテルのセミ・スウィートで夫の愛を幸せ一杯に受けとめる恵であった。

義父とは違うセックスの喜びがあった。
自分の心が帰っていく気がするのだ。

昨夜の余韻がまだ身体に残っている。
昨日だけは義父の事を頭から消していた。

夫とのひとときを乱したくなかった。
それが自分に出来る精一杯の償いなのだ。

愛していると思った。
だが、二人を同じ日に愛するのはやはり辛い。

昨日は武だけのものになった。
明日はどうだろう。

夫の寝顔を見つめながら、そんな事を思う自分が不思議に感じた。
この不条理な想いに迷いが無くなっている自分がいる。

少しずつ変わってきているのだろうか。
もう一度、寝顔にキスをすると恵は部屋を出ていった。

義父の所にお土産だけでも置いてこようと思う。
それは口実であったが。

もしかして起きて待っているかもしれない義父に一目でも会いたかったのだ。
その前にシャワーを浴びる事にした。

夫の温もりを消しておきたかった。
それが恵の中で作られた暗黙のルールのような気がする。

夜、義父の家にいく。
何かそれが、物凄く大それた事に思えてくる。
恵は心を決めると、入念に身体を洗うのであった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…