母娘淫乱調教―レモンティーな朝焼け―

山田さとし

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第五部 調教(香奈子)

第二十七章 Pホテル

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「どういう・・・お積りなんです?」

怒りで声が震えていた。
男を睨みつける瞳は大きく開かれているのだが、迫力は感じられず、むしろ怯えているようにも見える。
薄笑いを浮かべる男はポケットからタバコを取りだし、火をつけた。

「フゥッー・・・・」
美味そうに煙を吐きながら、目の前にいる獲物を眺めている。

黒いツーピースに身を包んだシンプルないでたちは、香奈子の華やかな美しさを返ってひきたてていた。
悩みぬいて疲れた表情もかげりをおびて神秘的で、男の狩猟本能を強く煽り立てる。

「ククッ・・・」
竹内は込上げる笑いを押さえるのに苦労していた。

(この女と俺は・・・)

セックスをしたのだ。
いまだに信じられぬ思いで香奈子の美しさに酔いしれていた。
十七年の間、胸に秘めていた恋心が昨日の勝利を一層美味なものにしてくれる。
策略は図に当り、強力な媚薬を飲まされた香奈子はレイプされたにも関わらず、エクスタシーを感じる程の官能を受け入れてしまったのだ。

『あんっ・・あっ・・あんっ・・あんっ・・・』
バックから突き上げる度にメス犬のような声をあげていた。

『いいっ・・いいっ・・あぁ、凄いぃっ・・・』

四つ足でふんばる姿は普段の上品な香奈子からは想像も出来ないものだった。
雲の上に住む上流階級の女をこの手で犯し、汚してやったのだ。

カランとグラスの中の氷が音をたてた。

竹内はタバコを指に挟んだまま口に運んだ。
ゴクリと太い喉をならす男は、胸に込上げる達成感をゆっくりと味わっている。
その満足そうな表情が香奈子の苛立ちを更につのらせていく。

「ひ、ひどい・・・」
か細い自分の呟きが涙を誘うのか、切れ長の瞳が潤みがちに光を散乱させ始めた。

(どうして・・こんな男に・・・?)
ラウンジで会ってから同じ想いが何度もよぎっていた。

熊のような大男には繊細さのかけらも無い。
夫の古くからの友人だというから我慢していたのだが、初めて会った時から醜い容姿をおぞましく思っていた。
しかも卑劣な策略を用いて夫の留守宅に家に上がり込み、香奈子を襲ったのだ。
握り締めているハンカチがワナワナと震えている。
相手の顔を見る度に、怒りとおぞましさが込上げてくる。

(こ、この男に・・・)

犯されてしまったのだ。
夫以外の男とはキスさえした事がなかったのに。

『いやっ・・いやぁ・・・』
香奈子も泣き叫びながら、必死に抵抗していた。

(なのに・・なのに・・・)
圧倒的な力の前に屈した身体は男を受け入れてしまう。

『あぐぅっ・・・』
ブズブと入っていくペニスの熱い感触を拒むどころか、待ちわびるように眺めていたのだ。

媚薬を飲まされていたせいだとは知らない香奈子は、そんな自分が許せなかった。
強いショックが理性を揺さぶり、更に不条理な官能に溺れさせていく。

『好き・・・あぁ・・竹内さん・・・』
恋人同士の如く抱き合いながら、男の名を呼んでいたのだ。

(で、でも・・・?)

どうしても納得が出来ない。
夫を裏切る程、この男に魅力を感じたのだろうか。
しかし、思わず好きだと言ってしまうほどの強烈な快感が全身を覆っていた。

(あの時・・・
気持ち良すぎて気が狂いそうだった・・・)

初めて知ったエクスタシーは、夫とのセックスでは味わった事がなく、しかも長い間、夫婦としての営みが少ない香奈子にとって想像を超えるものだったのだ。

心よりも身体が反応していた。

(きっと、私がいやらしい女だからだわ・・・)

結論はそこにいきつく。
それが媚薬を飲まされたせいだとは知らない香奈子にとっては残酷な答えだった。

今は自分の本性が淫乱な女だと認めてしまうしかない。
しかし、それでも香奈子には竹内を愛する事など考えたくもなかった。

憎しみはまだ消えてはいない。
身体は奪われても僅かに残る理性までは捕らえられたくはなかった。

喪服はその決意の現れである。

今夜はキッパリと男に告げるつもりだった。
もしも脅すようだったら法に訴えてでも拒否しなければいけない。

受け入れたとはいえレイプされた事には変わりは無い。
証拠の映像は愚かにも男から送られていたのだ。
法廷で証言すれば決して負けはしないだろう。
家庭は崩壊するかもしれないが、このおぞましい男に一生つきまとわれるよりは遥かにましである。
竹内も折角ここまで成功した自分の人生を捨てる事はしない筈だ。

夫には全てを話して離婚するしかない。

只、愛する圭子に嫌われる事は耐えがたいものではあったが香奈子自身にふりかかる罪は避ける事は出来ない。
男に犯された瞬間から自分の人生は終わったものだと諦めていたのだ。

「あ、あの・・・」

香奈子が口を開きかけた時、ウエイターが飲み物を運んできた。

「いかがです、このカクテルは有名なんですよ」
平口のグラスに薄いブルーの液体が、グラデーショーンを作っている。

「結構です・・・」
香奈子は一瞥もせずに答えた。

「そんな事よりも・・・」
眉を寄せた表情に強い意思が伺われる。

「写真を・・ビデオのデータを返してくださいっ。
さもないと訴えます・・いえ、今からでも・・・」

あんな恥ずかしい姿を撮られていたなんて。
これは犯罪ではないか。
最初から狙っていたのだ。

「あ、あなたの事は決して許せないけど・・・
データを消して二度と会わないと約束して下さるなら
私も今度の事は忘れる事にします、でも・・・」 

話しながら、香奈子の頬が興奮で赤く染まっていく。

「もし・・・
もしも、約束していただけないのなら・・・」

こみ上げる怒りを必死に押さえながら声を搾り出している。

「私、死にます・・・」
一気にまくしたてる言葉に口を挟む事なくジッと耳を傾けていた男は、おもむろに口を開いた。

「わかりました・・・」
タバコを消しながら低い声で呟いている。

「データはすぐに消しましょう・・・」

意外な事に男は承諾した。
だが、余りにもあっさりした態度に香奈子は大きな声を出した。

「そんな事・・信用出来るわけ、ないじゃないっ」

口で言うのはたやすい。
データ等はいくらでもコピーして保存出来るではないか。今更ながら、馬鹿げた提案をした自分に腹をたてていた。

瞳が潤んだ顔は今にも泣き出しそうに見える。
そのジレンマに香奈子は、やはり訴えるしかないと悟った。
只、それによって矢島家は崩壊し、愛する圭子とも別れなけらばならないと思うと、身を切られる思いがする。

「困ったなぁ・・・」
竹内は、はぐらかすように笑みを浮かべた。

「何なら誓約書を書いてもいいのですが・・・」
何を言われても白々しくて、不信感がつのる。

「う、嘘・・・又、私を騙すのでしょう?」
言葉を遮ると、更にきつい口調でののしった。

「卑怯者っ・・あ、貴方なんか大嫌いっ・・・」

甲高い声は何人かの人を振り返らせ、ラウンジに緊張が走った。
しかし、香奈子を見つめたまま微動だにしない男の態度に再び喧騒が蘇っていく。
決死の覚悟で想いをぶつけた香奈子は身体を震わせていた。

(もう、死ぬしかない・・・)

そう思いつめている。
竹内を訴え、法廷で勝利した後に自殺しようと考えていた。

(それしか・・それしか方法はないのよ・・・)

悲壮な決意を男は十分わかっている。
最初から写真等で脅すつもりはなかった。
そんな事をしたところで本当の喜び等、得られはしないのだ。
プライドの高い香奈子の事だから本気で自殺を考えているだろう。

(今が勝負だ・・・)

竹内は自分に言い聞かせている。
この瞬間に女の心を掴まなければ意味がない。

「確かに私はあなたを騙した・・・」
竹内はメガネを外すと、テーブルの上に置いた。

「ずっと、あなたを狙っていました・・・」
細い目が現れ、香奈子を睨んだ。

(うっ・・・)

ジワッと嫌な予感が走った。
迫力ある鋭い眼光に身体が射すくめられてしまう。

(こ、こわい・・・)

不安が広がっていく。
睨まれただけで力が抜けていくような気がする。
死をも覚悟した強い決意で挑んだ筈なのに。
自分がいかに無力なのか、思い知らされてしまう。

「香奈子さん・・・」
男が立ち上がった。

(ああっ・・・)
その大きな身体を見上げた時、香奈子の脳裏にあるシーンが浮かび上がった。

『咥えろ・・・』
太いペニス越しに見える顔が理不尽な命令を下す。

『ああぁ・・・』

香奈子は拒否する事も出来ずに仁王立ちする男を見上げていた。
太いペニスははちきれんばかりに反り返り、亀頭の先から透明な液をしたたらせていた。
押さえきれない欲情が胸に広がっていく。

『は・・い・・・』

逆らえないと諦めた香奈子は素直に返事をしていた。
細い指を巻きつけると脈打つコックを頬張ったのだ。

『ふぅ・・ん・・・あはぁ・・・』

男を見つめたまま唇を滑らせていく。
ひざまずく従順な姿は支配された事実を物語っていた。

「あぁ・・・」

香奈子は金縛りにあったように男の目を見つめている。
それはまるで催眠術の如く心を操り始めていた。
男を罵倒していた怒りが消え、違う感情に変わっていく。
強烈な体験で目覚めた欲望は香奈子の深層心理の中に深く植えつけられ、生半可な決意などかき消してしまう程大きく成長していたのだ。

「香奈子さん・・・」
竹内は隣に腰を下ろすと、脂ぎった顔を近づけてきた。

「これだけは分かって欲しいのですよ」

(あぁ・・・)

呟く低い声が心にしみこんでくる。
ヤニ臭い息がケダモノにされた本能を呼ぶのだろうか、身体が熱く火照る気がした。
口中に広がる生臭い味と共に興奮が蘇る。

『んふっ・・んっ・・んんっ・・んふぅっ・・・』
男の太ももを抱え込むようにして夢中でリズムを取っていた。

(美味しい・・美味しいのぉ・・・)
妖しい叫びが心の中で響いている。

「私はあなたを愛しています・・・」
ゴツゴツした指が香奈子の手を握る。

「うっ・・・」
ビクンと電流が走る。

「これは偽りでも何でもない、本当の事なんですよ」

(あぁ・・だ、駄目・・・)
囁く男の視線を逸らす事が出来ない。


「十七年間・・ずっとあなたを・・・」
握られた手から、むず痒い刺激が伝わってくる。

(わ、わた・・し・・・)

もう、逃れられない。
何もかもが手遅れだった。
改めて香奈子は身体だけではなく、心も捕らえられてしまった事を自覚するのだった。

『あはぁ・・・んん・・むふぅ・・・』

男のコックを夢中になって舌で愛撫していた。
自らの意思で欲望を貪っていた姿が、支配されていた証でもあった。

「あなたを想い続けていたんです・・・」

愛の言葉が次々と投げかけられる。
手を包む温もりが香奈子の心を溶かしていく。

「あぁ・・はぁ・・・」
険しさを失った眉のラインがカーブを描きはじめていた。

「でも、あなたの家庭を壊す事は出来ない・・・」
巧みに気持ちを操っていく。

「今夜だけでも一緒にいてくれないでしょうか?」
逃げ道をちらつかせながら香奈子を追い込んでいく。

「一度だけでいいんです。
データは破棄しますよ、必ず・・・」

(あぁ・・・だ・・め・・ち、違う・・・)

それが罠である事は香奈子も十分に理解していた。

「十二時まで・・いや、一時間だけでもいい・・・」

嘘に決まっている。
騙されてはいけない。
だが、そう想いながらも徐々に言葉に酔い始めている。

「約束しますよ・・・」
「あぁ・・・」

ギュッと握り締める力に、ため息が漏れてしまう。

「僕の方からは決して貴方に手を出しませんから」

表情の変化を読み取る男は、言葉を切らす事無くつなげていく。

「だって、そうでしょう?
無理にあなたを奪っても幸せにはなれやしない」

(だ、だめ・・・)

気持ちが揺れる。

「思い出が欲しいんだ・・・」

(ああぁ・・・)

執拗な問いかけに香奈子は逆らう事が出来なくなるのだった。

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