エリート妻色情飼育―性奴隷は人妻にかぎる―

山田さとし

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第三部 想い

第一章 退職の挨拶

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裕子入社3年目「社長室」
20●0年3月28日 AM 10:00

※※※※※※※※※※※※※※※

「今日まで長い間、ありがとうございました」
深々と頭を下げた早苗を三人はジッと見つめている。

「こっちこそ、ありがとうなぁ・・・」
幸造は歩み寄ると、早苗の手を両手で包むようにしてギュッと握った。

悟と裕子はその後ろで見守っている。
既に裕子の目から涙が溢れ、頬を濡らしていた。

裕子と早苗は特別な関係になっていた。
あの後、何度も身体を重ねたのだ。
幸造達が不在の時は「秘密の部屋」で。
早苗のマンションにも何度か泊まった。
早苗のパートナーは一足先にカナダに渡っていたので、二人は心おきなく愛し合うことができた。

裕子は自分がレズビアンプレイをするとは思いもしなかった。
別れた後は二度と会うこともない。
そんな寂しさが裕子をアブノーマルなプレイに燃え上がらせたのかもしれない。
しかも早苗はテクニシャンだった。
裕子が自分でも知らない性感帯を、金鉱でも掘り当てるように発掘していったのである。

そして早苗は「裏の秘書」の教官でもあった。
複雑な経費の処理やマネーロンダリングの手法等、丁寧に教えてもらった。
この一ヶ月余り、裕子は安藤早苗の指導の結果、全くの別人へと変身していったのである。

「社長、専務・・・」
早苗は悟ともハグを交わした後、改まるように言った。

「御指示通り、伊藤裕子さんを教育しました」
裕子の肩がビクッと反応した。

教育というフレーズが別の意味にとれたからだ。
早苗にチラリと視線を送られると顔が赤くなりそうで、隠すように俯いた。

「彼女は優秀で教えたことは全て理解しました。
これでそう・・彼女は私の代わり・・・」

「裏の秘書・・やな・・・?」
幸造が言葉を繋ぐと目を合わせ、口元を綻ばせた。

(社長・・おネェ様・・・)
裕子は口に出せない呼び名を心の中で呟いた。

「伊藤さん、こちらへ・・・」
早苗が裕子の手をとって幸造と悟の前に立たせた。

「ちゃんと正式に辞令を出してください・・・
もう、私にばかり説明させて・・・
二人ともズルいんだから・・・」

恨めし気に見つめる早苗に、二人はバツの悪そうな顔をしている。

「すみません、早苗さん・・・」
悟が頭をかきながら謝った。

「そうですよ、悟ちゃん・・・」
二人の呼び方に裕子は目を丸くした。

「あら、言ってなかったかしら・・・」
早苗がイタズラっぽく笑った。

「だって小学生の頃からだから・・・
お母さんみたいなものですもの・・・」

「たしかに・・・」
悟も嬉しそうに白い歯をこぼした。

母親の辛い記憶があったが、早苗の存在にどれだけ救われたか分からないほどだった。

「早苗はウチの会社の最古参やからなぁ・・・」
幸造も感慨深げに呟いた。

「人をお婆ちゃんみたいに言わないでよ・・・」
早苗の言葉に幸造と悟は噴き出した。

【はははは・・・】
【ふふふふ・・・】

釣られて裕子の笑い声も重なった。

三人は家族のようなものだったのかもしれない。
だからこそ、重要な秘密も共有できたのだろう。

果たして自分が早苗の代わりを務められるのだろうか。
裕子は急に不安を覚えた。

そんな裕子の表情を見て早苗は決心するように言った。

「社長・・お願いがあります・・・」
「なんや・・改まって・・・?」

早苗の真剣な眼差しに、幸造は戸惑い気味に聞いた。

「その前に質問です・・・」
「な、なんや・・・?」

男の慌てぶりに口元が綻ぶ。

「私が入社して二十年以上がすぎました・・・」
「あ、あぁ・・・」

「そのあいだ、一度も抱いてくれなかった・・・」
「えっ・・・?」

思いがけない問いに言葉を詰まらせた。

「わたし・・そんなに魅力・・・
なかったかしら・・・?」

早苗の瞳が潤みがちになり光を散乱させている。
奇麗だと、裕子は思った。

「私が社長を好きな事、分かっていたでしょう?」

その一言に幸造は俯いた。
悟も真剣な表情で聞いている。

「ああ・・知っとる・・・」
力の無い声が響いた。

「だったら・・・」
「本気になるやろぉ?」

女の声を遮る男の顔は切なく歪んでいた。
右手をギュッと握りしめている。

「あかんのや・・本気になったら・・・」

事情を知らない裕子は理解できなかったが、何か複雑な訳があることだけは感じた。

「そうですよね・・・」
諦めたように早苗が呟いた。

「私も・・だから・・・
一生、独身でいようと思ったの・・・」

何か言おうとする男を制して言葉を続ける。

「元々、レズの体質だったし・・・
だから・・・」

早苗の瞳から涙が溢れ、頬に流れていった。

「おネェ様ぁ・・・」
裕子も泣きながら早苗を抱きしめた。

無意識に禁断の呼び方をしたのには気づいていない。
二人は抱き合いながら暫らく嗚咽を漏らしていた。

「ありがとう、裕子・・・」
早苗も愛おしい呼び名で囁くと、そっと身体を放した。

「社長・・幸造様・・・」
男の顔を真っすぐに見つめている。

右手が胸のスカーフをシュルリと抜いた。
そのまま、制服のボタンを外していく。

「最後に一度だけ・・抱いてください・・・」
ブラウスがはだけ、形の良いバストがブラジャー越しに見える。

「さ、早苗・・・」
幸造は呆然と見つめるしかできなかった。

それは悟と裕子も同じだった。
二人並んで早苗の動きを見守っていた。

「もう、若くはないけど・・・」

ブラジャーからブルンと弾けたバストは、瑞々しい肌で魅力的だと裕子は思った。

スカートをストンと床に下ろすと、パンティだけの姿で幸造の胸に飛び込んでいった。

「さ、さな・・・」
男の声が唇で塞がれる。

「んん・・んふぅ・・・」
早苗の踵が浮き、背広越しに男を抱きしめている。

(おネェ様・・・)
情熱的なキスをする早苗を見つめながら、裕子は身体が熱くなるのを感じていた。

やはり愛していたのだ。
早苗は社長を。

報われない恋に同性を愛するようになったのだろうか。

分からない。
だが、これだけは確かな事実だった。

早苗は今日で退職する。
幸造と本当の意味で分かれることになるのだ。

だから。
最後に抱かれたいという早苗の願いを。
裕子は叶えてあげたいと思うのだった。

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