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第三部 凌辱
第十六章 ティータイム
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春香も最近になってようやく慣れてきた職場で、今日は羽を伸ばせそうな気がしていた。
午後三時に近くなる頃、役員の旅費精算が一段落した裕子は軽く伸びをしながら言った。
※※※※※※※※※※※※※※※
「うーん・・・やっと終わったわ。
ねえ、佐山さん、お茶にしない・・・?」
「うわぁ・・嬉しいっ・・・」
二人はイソイソと給湯室から食器を運び、美味しそうなお菓子を並べてお茶の用意をした。
普段は社長に会いに来た社員や来客が使うソファーを占領して、女達はささやかな紅茶パーティーを開くのだった。
春香が入社して暫らくして慣れてきた頃に、裕子から提案された楽しいひと時は恒例の時間として数ヶ月、続いていた。
「あぁ、ラヴェンダーの良い匂い・・・」
春香は何時も裕子が入れてくれる、この紅茶の香りが大好きであった。
「特別の店から買ってるの、高いのよ・・・」
イタズラな瞳で言う裕子であったが、確かに美味しかった。
入れ方も上手なのだろうが飲んだ後は何か身体が火照る位、元気になるような気がするのであった。
まあ、それは女になったばかりである春香の身体の変化が、そう思わせる事なのかもしれなかったが。
井上に処女を捧げてプロポーズされて以来、春香の心も身体も急に大人びて微妙な艶が出てきた気がする。
今まで経験の無かった春香は、耳年増の如く雑誌で仕入れた情報を無邪気に裕子などに話していたのだが、実際に体験してみると恥かしさに顔が真赤になってしまうのであった。
戸惑うように答えてくれていた裕子に、今更ながら申し訳なく思う春香だった。
それに・・・。
この頃、妙に身体が疼くのであった。
何だか胸も大きくなったような気がする。
さすがにあの日以来、二人は清い関係を保っていたのだが。
社長直々の紹介とあって、井上も余りがっついたマネはしなかった。
多分、専務の悟のアドバイスかもしれない。
よく相談すると自分でも言っていたのだ。
まさか処女を捧げた事までは言っていないだろうが、結婚の日取りも今年秋と決めた今、ゆっくりと愛を育てていきたいと言う井上の言葉が春香には嬉しかった。
全てを捧げあった二人の心は以前よりも増して深く結びつき、時折交わすキスの味も数段違うものになっていた。
それでも春香は戸惑う。
夜眠れない時など、いやこの頃は毎晩のように身体が火照ってしようがないのだ。
初めて知った男の味がそうさせるのだろうか。
世間から見るとオクテなのだろう。
遅い体験はかえって、春香の心と身体に強い官能の火をともしたのであった。
痛さよりも気持ち良さの記憶が占めていた。
はしたないと思いつつも、井上の身体を強く抱きしめて感じてしまったのである。
処女であったのに。
夜寝るときも今までした事の無いイタズラを、息を殺してするようになってしまった。
微かに目に映った井上の反り返ったものが、春香の脳裏に焼き付いている。
初めてのセックスで昇ってしまった。
自分は淫乱な体質なのだろうか。
雑誌等で読むと大半の女性は、処女喪失の時にはエクスタシーを感じないらしい。
戸惑いながらも一度知ってしまった快感は春香を凌駕し、快楽を貪っていくのだった。
ラヴェンダーの香りが春香を包む。
妖しい感情がわき上がってくる。
その気持ちを悟られぬよう笑う春香だった。
お喋りは女達の偉大な趣味である。
楽しい時は瞬く間に過ぎていく。
「あら、もうこんな時間・・・」
裕子が腕時計を見ると三時半を少し廻っていた。
いくら暇とはいえ、これ以上のサボリは社長の留守を預かる秘書としては失格である。
二人は急いで片付けにかかった。
食器を給湯室に運びながら、春香は頭が痺れる感覚がしていた。
一日中、暇過ぎて身体がだるくなってしまったのだろうか。
やたらと喉が乾いてくる。
春香はティーポットに残っていた、冷めた紅茶をカップに注ぐと一気に飲干した。
ラヴェンダーの香りが鼻をくすぐる。
今日は特に強く感じた。
午後三時に近くなる頃、役員の旅費精算が一段落した裕子は軽く伸びをしながら言った。
※※※※※※※※※※※※※※※
「うーん・・・やっと終わったわ。
ねえ、佐山さん、お茶にしない・・・?」
「うわぁ・・嬉しいっ・・・」
二人はイソイソと給湯室から食器を運び、美味しそうなお菓子を並べてお茶の用意をした。
普段は社長に会いに来た社員や来客が使うソファーを占領して、女達はささやかな紅茶パーティーを開くのだった。
春香が入社して暫らくして慣れてきた頃に、裕子から提案された楽しいひと時は恒例の時間として数ヶ月、続いていた。
「あぁ、ラヴェンダーの良い匂い・・・」
春香は何時も裕子が入れてくれる、この紅茶の香りが大好きであった。
「特別の店から買ってるの、高いのよ・・・」
イタズラな瞳で言う裕子であったが、確かに美味しかった。
入れ方も上手なのだろうが飲んだ後は何か身体が火照る位、元気になるような気がするのであった。
まあ、それは女になったばかりである春香の身体の変化が、そう思わせる事なのかもしれなかったが。
井上に処女を捧げてプロポーズされて以来、春香の心も身体も急に大人びて微妙な艶が出てきた気がする。
今まで経験の無かった春香は、耳年増の如く雑誌で仕入れた情報を無邪気に裕子などに話していたのだが、実際に体験してみると恥かしさに顔が真赤になってしまうのであった。
戸惑うように答えてくれていた裕子に、今更ながら申し訳なく思う春香だった。
それに・・・。
この頃、妙に身体が疼くのであった。
何だか胸も大きくなったような気がする。
さすがにあの日以来、二人は清い関係を保っていたのだが。
社長直々の紹介とあって、井上も余りがっついたマネはしなかった。
多分、専務の悟のアドバイスかもしれない。
よく相談すると自分でも言っていたのだ。
まさか処女を捧げた事までは言っていないだろうが、結婚の日取りも今年秋と決めた今、ゆっくりと愛を育てていきたいと言う井上の言葉が春香には嬉しかった。
全てを捧げあった二人の心は以前よりも増して深く結びつき、時折交わすキスの味も数段違うものになっていた。
それでも春香は戸惑う。
夜眠れない時など、いやこの頃は毎晩のように身体が火照ってしようがないのだ。
初めて知った男の味がそうさせるのだろうか。
世間から見るとオクテなのだろう。
遅い体験はかえって、春香の心と身体に強い官能の火をともしたのであった。
痛さよりも気持ち良さの記憶が占めていた。
はしたないと思いつつも、井上の身体を強く抱きしめて感じてしまったのである。
処女であったのに。
夜寝るときも今までした事の無いイタズラを、息を殺してするようになってしまった。
微かに目に映った井上の反り返ったものが、春香の脳裏に焼き付いている。
初めてのセックスで昇ってしまった。
自分は淫乱な体質なのだろうか。
雑誌等で読むと大半の女性は、処女喪失の時にはエクスタシーを感じないらしい。
戸惑いながらも一度知ってしまった快感は春香を凌駕し、快楽を貪っていくのだった。
ラヴェンダーの香りが春香を包む。
妖しい感情がわき上がってくる。
その気持ちを悟られぬよう笑う春香だった。
お喋りは女達の偉大な趣味である。
楽しい時は瞬く間に過ぎていく。
「あら、もうこんな時間・・・」
裕子が腕時計を見ると三時半を少し廻っていた。
いくら暇とはいえ、これ以上のサボリは社長の留守を預かる秘書としては失格である。
二人は急いで片付けにかかった。
食器を給湯室に運びながら、春香は頭が痺れる感覚がしていた。
一日中、暇過ぎて身体がだるくなってしまったのだろうか。
やたらと喉が乾いてくる。
春香はティーポットに残っていた、冷めた紅茶をカップに注ぐと一気に飲干した。
ラヴェンダーの香りが鼻をくすぐる。
今日は特に強く感じた。
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