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第四部 犠牲
第二十九章 温もり
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(わ、わた・・し・・・)
春香は戸惑いを感じた。
(何だろう・・この感覚・・・?)
こんな獣じみた行為なのに。
欲望が膨れていく。
もう耐えられない。
何故一人、ここにいるのだろう。
堪らなく寂しかった。
身体が震えてくる。
その時、細い肩がそっと抱きしめられた。
※※※※※※※※※※※※※※※
「せ、専務・・・?」
「シッ・・・」
片目を閉じた男の顔が春香の震えを止めた。
男の手の温もりが何故か嬉しかった。
「ああぁ・・・」
思わず春香は悟の胸に顔を埋めてしまった。
コロンの甘い香りがした。
男は優しく、そして強く春香の身体を抱きしめる。
「ああっ・・うぅ・・ん・・・」
春香の身体に電流が走った。
「ごめんよ、春香さん・・・」
悟の言葉が意外に思った。
「専務・・・」
顔を上げた春香に優しい声が囁いた。
「ごめんよ・・・」
そう言っただけで再び強く抱きしめた。
(専務・・・)
言葉を飲みこみ、男の逞しい腕に身体を委ねた。
抱きしめられるのが嬉しかった。
寂しさが嘘のように消えていく。
何ともいえない温もりを感じる。
(わた・・し・・・)
安堵感が春香の心を開いていく。
悟の腕に抱かれながら裕子と幸造を見た。
美しい唇に、はちきれんばかりの太くて大きなコックが出し入れされていく。
(あああ・・す、凄い・・・)
悟の腕をギュッと掴む。
心が急速にそして、確実に変化していく。
怒りも嫌悪感も消え、その淫靡な行為を食い入るように見つめていた。
「んんんんー・・あはぁ・・・社長ぉ・・・
美味し・・い・・あふぅ・・ん・・ぐぅ・・・」
裕子の切ない声が春香の心を揺さぶる。
(な、何・・この気持ち・・・・?)
押さえつけていた欲望が広がっていく。
「欲しいんやろぅ・・・?」
幸造が再び問いただす。
ズキンと言葉が刺さる。
「正直に言うてみぃ・・・」
「あ・・・ああぁ・・・」
下卑たセリフなのに、何も言い返せない。
「んんあ・・ふぅ・・・」
裕子の唇から解き放たれたコックが淫靡に光っている。
「咥えたいんやろ、お前も・・・」
声が催眠術のように心に入ってくる。
(こんな・・・こん・・な・・・)
自分が制御出来ない。
「どや、裕子・・・美味いか?」
痴態がより一層見えやすくなるように、皺交じりの指で髪を掻き上げている。
(裕子さん・・・おネェ・・さま・・・)
愛する人の顔が見える。
おぞましいコックと共に。
「おお・・・おふぅ・・ええぞぉ・・・」
「ん・・・はぁ・・ああ・・・ん・・・」
裕子の舌が這う。
浮き出た血管なぞっていく。
「あふぅ・・・おい・・しい・・・」
陶酔した表情で声を漏らした。
頭の中が白くなっていく。
「おおお・・そ、そうか・・・おおぉ・・・」
気持ち良さそうに声を絞り出している。
「よう見とるかぁ・・春香ぁ?」
執拗に挑発を繰り返してくる。
「ああ・・あはぁ・・・」
春香は見つめている。
熱い息を吐いている。
悟の腕の中で。
「欲しいんやろ、春香ぁ・・・」
「ああ・・・・・ああぁ・・・」
「お前もこんな・・・おおぉ・・・。
イヤラシイ事・・・したいんやろ?」
(ああ・・そ、そう・・・)
力が抜けていく。
「淫乱になりたいんやろぉ・・・?」
理性が崩れていく。
「ああああぁ・・あはぁ・・・」
春香の唇から舌が覗いている。
「咥えたいんやろぉ・・・?」
「あああ・・あああぁ・・・」
チロチロと動いている。
春香の唇にバイブの感触が蘇る。
裕子からレッスンを受けたシーンが脳裏に浮かぶ。
※※※※※※※※※※※※※※※
『んふぅ・・・んん・・』
唇が歪みながらコックを飲み込んでいた。
『そうよ・・・歯を立ててもいいから・・・
ゆっくり・・・そう・・上手よぉ・・・』
春香の後頭部を左手で支えながら、右手に握るバイブを唇から出し入れしていく。
裕子は天使を蹂躙する興奮に酔いしれていた。
いずれ井上にしなければいけない愛撫を今のうちに教え込んであげると言われ、春香は初めてのフェラチオのレッスンを受けていたのだ。
人工のゴム製とはいえ、実際になぞるペニスの輪郭は深いカリ首までリアルに再現されていて、春香は興奮で頭が爆発しそうになるほどだった。
※※※※※※※※※※※※※※※
だから。
今の春香には分かるのだった。
幸造の太いペニスを味わう裕子の気持ちが。
その淫靡な興奮が。
「ん・・・・ぐぅ・・・」
大きな亀頭が唇に入っていく。
(おいし・・そう・・・)
素直な言葉が心に浮かんだ。
(ああぁ・・あ、あんなに大きいのを・・・)
「んふふふふ・・・」
チラリと見た裕子の目が光った。
笑っている。
(おネェ・・さま・・・?)
「んぐっ・・ふぐっ・・んんんんー・・・」
喉の奥に押し込みながら、尚も視線を絡めてくる。
「おおおっ・・・え、ええぞぉ・・裕子ぉ。
欲しいんやろ・・春香ぁ・・・」
(ひど・・い・・・)
身体が熱くなる。
嫉妬している自分がいた。
裕子が羨ましかった。
(わ、わた・・し・・・も・・・)
欲しい。
素直にそう思った。
心が痺れていく。
「ああぁ・・・ほ・・しい・・・」
無意識に声を漏らしていた。
今、春香はハッキリと自覚するのだった。
裕子になりたい。
春香も、自分も咥えたい。
メス犬のようにひざまずき、大きなコックを口一杯に入れて味わいたかった。
ゴム製のバイブではない。
本物のペニス、幸造の太いコックを味わいたい。
目の前の裕子と同じように跪き、愛撫したいのだ。
いやらしい自分を想像すると興奮が沸き上がってくる。
(いやぁっ・・か、身体が・・熱い・・・。
欲しいっ、咥え・・たい、あああっ・・・)
心の叫びが大きくなっていく。
(ああっ・・春香も、春香もぉ・・・。
いやらしい・・・・ああぁ・・そう・・・・。
咥えたいのぉ・・あああぁ、欲しい・・・)
信じられない欲望が春香を駆りたてる。
醜い老人のペニスを咥えたいだなんて。
だが欲情が不条理であるほど興奮してしまう。
催眠術にかかったように、幸造のコックに目が釘付けになっている。
「春香ぁ・・辛抱せんでもええぞぉ・・・」
男の声に身体が、心が吸い寄せられていく。
逃げることができない。
沸き上がる激情に操られていく。
「キャッ・・・」
二人に近づこうとした瞬間、強く抱き寄せられた。
「春香・・・」
男の鋭い目が見つめている。
(せ、専務・・・)
悟の腕の温もりに心が溶けていくような気がした。
「春香・・・」
低い声が甘いマスクと共に近づいてくる。
「専務・・・」
か細い声が漏れた。
「春香・・・」
熱い息が自分の名を呼んでいる。
悟の指先が春香の顎をしゃくった。
閃光が走るままに目を閉じた。
白さが広がっていく。
「あっ・・・」
小さな叫びが悟の唇に塞がれる。
春香の中で何かが弾けた。
ずっと耐えていた欲望が自由になろうとしている。
置き去りにされた冷え切った感情が温もりに包まれていく。
唇を覆う柔らかな感触が心地良かった。
(ああああああぁ・・・)
心の中で叫びは続いていく。
(わた・・し・・・わたし・・・)
こじ開けられた唇に舌が入ってくる。
(ほし・・い・・・ほし・・い・・・)
絡め取られていく。
(あああぁー・・・)
白い闇の中で、春香の叫び声が消えていくのだった。
春香は戸惑いを感じた。
(何だろう・・この感覚・・・?)
こんな獣じみた行為なのに。
欲望が膨れていく。
もう耐えられない。
何故一人、ここにいるのだろう。
堪らなく寂しかった。
身体が震えてくる。
その時、細い肩がそっと抱きしめられた。
※※※※※※※※※※※※※※※
「せ、専務・・・?」
「シッ・・・」
片目を閉じた男の顔が春香の震えを止めた。
男の手の温もりが何故か嬉しかった。
「ああぁ・・・」
思わず春香は悟の胸に顔を埋めてしまった。
コロンの甘い香りがした。
男は優しく、そして強く春香の身体を抱きしめる。
「ああっ・・うぅ・・ん・・・」
春香の身体に電流が走った。
「ごめんよ、春香さん・・・」
悟の言葉が意外に思った。
「専務・・・」
顔を上げた春香に優しい声が囁いた。
「ごめんよ・・・」
そう言っただけで再び強く抱きしめた。
(専務・・・)
言葉を飲みこみ、男の逞しい腕に身体を委ねた。
抱きしめられるのが嬉しかった。
寂しさが嘘のように消えていく。
何ともいえない温もりを感じる。
(わた・・し・・・)
安堵感が春香の心を開いていく。
悟の腕に抱かれながら裕子と幸造を見た。
美しい唇に、はちきれんばかりの太くて大きなコックが出し入れされていく。
(あああ・・す、凄い・・・)
悟の腕をギュッと掴む。
心が急速にそして、確実に変化していく。
怒りも嫌悪感も消え、その淫靡な行為を食い入るように見つめていた。
「んんんんー・・あはぁ・・・社長ぉ・・・
美味し・・い・・あふぅ・・ん・・ぐぅ・・・」
裕子の切ない声が春香の心を揺さぶる。
(な、何・・この気持ち・・・・?)
押さえつけていた欲望が広がっていく。
「欲しいんやろぅ・・・?」
幸造が再び問いただす。
ズキンと言葉が刺さる。
「正直に言うてみぃ・・・」
「あ・・・ああぁ・・・」
下卑たセリフなのに、何も言い返せない。
「んんあ・・ふぅ・・・」
裕子の唇から解き放たれたコックが淫靡に光っている。
「咥えたいんやろ、お前も・・・」
声が催眠術のように心に入ってくる。
(こんな・・・こん・・な・・・)
自分が制御出来ない。
「どや、裕子・・・美味いか?」
痴態がより一層見えやすくなるように、皺交じりの指で髪を掻き上げている。
(裕子さん・・・おネェ・・さま・・・)
愛する人の顔が見える。
おぞましいコックと共に。
「おお・・・おふぅ・・ええぞぉ・・・」
「ん・・・はぁ・・ああ・・・ん・・・」
裕子の舌が這う。
浮き出た血管なぞっていく。
「あふぅ・・・おい・・しい・・・」
陶酔した表情で声を漏らした。
頭の中が白くなっていく。
「おおお・・そ、そうか・・・おおぉ・・・」
気持ち良さそうに声を絞り出している。
「よう見とるかぁ・・春香ぁ?」
執拗に挑発を繰り返してくる。
「ああ・・あはぁ・・・」
春香は見つめている。
熱い息を吐いている。
悟の腕の中で。
「欲しいんやろ、春香ぁ・・・」
「ああ・・・・・ああぁ・・・」
「お前もこんな・・・おおぉ・・・。
イヤラシイ事・・・したいんやろ?」
(ああ・・そ、そう・・・)
力が抜けていく。
「淫乱になりたいんやろぉ・・・?」
理性が崩れていく。
「ああああぁ・・あはぁ・・・」
春香の唇から舌が覗いている。
「咥えたいんやろぉ・・・?」
「あああ・・あああぁ・・・」
チロチロと動いている。
春香の唇にバイブの感触が蘇る。
裕子からレッスンを受けたシーンが脳裏に浮かぶ。
※※※※※※※※※※※※※※※
『んふぅ・・・んん・・』
唇が歪みながらコックを飲み込んでいた。
『そうよ・・・歯を立ててもいいから・・・
ゆっくり・・・そう・・上手よぉ・・・』
春香の後頭部を左手で支えながら、右手に握るバイブを唇から出し入れしていく。
裕子は天使を蹂躙する興奮に酔いしれていた。
いずれ井上にしなければいけない愛撫を今のうちに教え込んであげると言われ、春香は初めてのフェラチオのレッスンを受けていたのだ。
人工のゴム製とはいえ、実際になぞるペニスの輪郭は深いカリ首までリアルに再現されていて、春香は興奮で頭が爆発しそうになるほどだった。
※※※※※※※※※※※※※※※
だから。
今の春香には分かるのだった。
幸造の太いペニスを味わう裕子の気持ちが。
その淫靡な興奮が。
「ん・・・・ぐぅ・・・」
大きな亀頭が唇に入っていく。
(おいし・・そう・・・)
素直な言葉が心に浮かんだ。
(ああぁ・・あ、あんなに大きいのを・・・)
「んふふふふ・・・」
チラリと見た裕子の目が光った。
笑っている。
(おネェ・・さま・・・?)
「んぐっ・・ふぐっ・・んんんんー・・・」
喉の奥に押し込みながら、尚も視線を絡めてくる。
「おおおっ・・・え、ええぞぉ・・裕子ぉ。
欲しいんやろ・・春香ぁ・・・」
(ひど・・い・・・)
身体が熱くなる。
嫉妬している自分がいた。
裕子が羨ましかった。
(わ、わた・・し・・・も・・・)
欲しい。
素直にそう思った。
心が痺れていく。
「ああぁ・・・ほ・・しい・・・」
無意識に声を漏らしていた。
今、春香はハッキリと自覚するのだった。
裕子になりたい。
春香も、自分も咥えたい。
メス犬のようにひざまずき、大きなコックを口一杯に入れて味わいたかった。
ゴム製のバイブではない。
本物のペニス、幸造の太いコックを味わいたい。
目の前の裕子と同じように跪き、愛撫したいのだ。
いやらしい自分を想像すると興奮が沸き上がってくる。
(いやぁっ・・か、身体が・・熱い・・・。
欲しいっ、咥え・・たい、あああっ・・・)
心の叫びが大きくなっていく。
(ああっ・・春香も、春香もぉ・・・。
いやらしい・・・・ああぁ・・そう・・・・。
咥えたいのぉ・・あああぁ、欲しい・・・)
信じられない欲望が春香を駆りたてる。
醜い老人のペニスを咥えたいだなんて。
だが欲情が不条理であるほど興奮してしまう。
催眠術にかかったように、幸造のコックに目が釘付けになっている。
「春香ぁ・・辛抱せんでもええぞぉ・・・」
男の声に身体が、心が吸い寄せられていく。
逃げることができない。
沸き上がる激情に操られていく。
「キャッ・・・」
二人に近づこうとした瞬間、強く抱き寄せられた。
「春香・・・」
男の鋭い目が見つめている。
(せ、専務・・・)
悟の腕の温もりに心が溶けていくような気がした。
「春香・・・」
低い声が甘いマスクと共に近づいてくる。
「専務・・・」
か細い声が漏れた。
「春香・・・」
熱い息が自分の名を呼んでいる。
悟の指先が春香の顎をしゃくった。
閃光が走るままに目を閉じた。
白さが広がっていく。
「あっ・・・」
小さな叫びが悟の唇に塞がれる。
春香の中で何かが弾けた。
ずっと耐えていた欲望が自由になろうとしている。
置き去りにされた冷え切った感情が温もりに包まれていく。
唇を覆う柔らかな感触が心地良かった。
(ああああああぁ・・・)
心の中で叫びは続いていく。
(わた・・し・・・わたし・・・)
こじ開けられた唇に舌が入ってくる。
(ほし・・い・・・ほし・・い・・・)
絡め取られていく。
(あああぁー・・・)
白い闇の中で、春香の叫び声が消えていくのだった。
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