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第二部「上書き」
第七章 懺悔
ワインが半分ほどになったころ、祐君の目がトロンと重たそうに見えた。
裕君、お酒は飲むけど、それほど強い方ではない。
夕食でビールなんか飲むと、テレビを見ながらソファーでよく、うたた寝する。
「裕君・・・眠そうだけど、大丈夫?」
「だ、大丈夫だよっ・・・」
心配気にかけた声を否定しながらも顔は真っ赤になっている。
(たぶん・・・)
今夜の事を想像して飲みすぎたみたい。
(キャッ・・・)
私、エッチなこと・・・想像している。
きっと、私の顔も真っ赤になっているかもしれない。
「少し、横になったら、どう・・・?」
「じ、じゃあ・・・少し、だけ・・・」
かおりさんの優しい囁きに素直にしたがった祐君は、ソファーに腰をおろした。
毛布をとりに行くかおりさんを、まるで幼子のように待っている。
「じゃあ、おやすみなさい。ボウや・・・」
かおりさんのジョークに微笑みを返した裕君、目を閉じた。
まだ夜は長い。
少し寝て、酔いを醒ます方が賢明だとか思ったのかしら。
「さて・・・」
かおりさんが真面目な表情で声をかけてくれた。
「・・・」
俯く私は何も言うことができなかった。
かおりさんは私の隣りに座り、そっと肩を抱いてくれた。
「悩みがあるようね・・・」
私の頭に頬を預けるように、もたれかけてくる。
「よかったら、聞かせてくれる?」
藤本さんは何も言わずに、ワイングラスを傾けている。
「わ、わたし・・・」
消え入るような声とともに、私の両目から涙があふれ出していった。
「うぅ・・ううぅっー・・・」
そっと、抱き寄せるかおりさんの胸にぶつけるように顔をうずめた。
どれほどの時間がすぎたであろう。
藤本さんのワイングラスが空になるころ。
私はポツリポツリと、語りだした。
「レイプ・・されたんです・・・」
とても口に出して言えないことを、それでも、無理に言葉をつないでいった。
「最初は・・・無理やり・・脅されて・・・」
泣きはらした瞳から、ジワッと涙がしみだしてくるのが分かった。
「でも・・でもぉ・・・」
乾いていたはずの頬に、再び涙が流れていく。
もう、枯れるほど泣いたのに。
「か、感じて・・・感じてしまった・・の・・・」
最後まで言えず、嗚咽があふれていった。
「ウゥゥー・・ウウッー・・・」
かおりさんの胸の中で声を震わせている。
かおりさんは何も言わず、優しく頭をなでてくれている。
藤本さんも黙って聞いているみたい。
「い、淫乱・・淫乱なのぉ・・・」
不意に顔を上げ、声を絞り出した。
大粒の涙が口の中に入っていく。
「かおりさんっ・・・
藤本さん達とのことが、頭によぎって・・・」
かおりさんの腕を掴み、必死に訴えている。
「頭の中が真っ白になって・・・そして・・自分からぁ・・・」
そこまで言うと、こみ上げるものに言葉が続かなかった。
「うわぁー・・・ああぁー・・ん・・・」
再び、かおりさんの胸に飛び込み叫ぶように涙を流していく。
どれほどの時間がたったのだろう。
部屋の中は時計のかすかに刻む音と、裕君の寝息が聞こえるほど静かだった。
私はかおりさんの肩にもたれるようにして、ボンヤリと窓の外の暗闇を眺めていた。
庭の照明に小さな虫が浮かぶように飛んでいる。
月が木の陰から少し、顔をのぞかせていた。
裕君、お酒は飲むけど、それほど強い方ではない。
夕食でビールなんか飲むと、テレビを見ながらソファーでよく、うたた寝する。
「裕君・・・眠そうだけど、大丈夫?」
「だ、大丈夫だよっ・・・」
心配気にかけた声を否定しながらも顔は真っ赤になっている。
(たぶん・・・)
今夜の事を想像して飲みすぎたみたい。
(キャッ・・・)
私、エッチなこと・・・想像している。
きっと、私の顔も真っ赤になっているかもしれない。
「少し、横になったら、どう・・・?」
「じ、じゃあ・・・少し、だけ・・・」
かおりさんの優しい囁きに素直にしたがった祐君は、ソファーに腰をおろした。
毛布をとりに行くかおりさんを、まるで幼子のように待っている。
「じゃあ、おやすみなさい。ボウや・・・」
かおりさんのジョークに微笑みを返した裕君、目を閉じた。
まだ夜は長い。
少し寝て、酔いを醒ます方が賢明だとか思ったのかしら。
「さて・・・」
かおりさんが真面目な表情で声をかけてくれた。
「・・・」
俯く私は何も言うことができなかった。
かおりさんは私の隣りに座り、そっと肩を抱いてくれた。
「悩みがあるようね・・・」
私の頭に頬を預けるように、もたれかけてくる。
「よかったら、聞かせてくれる?」
藤本さんは何も言わずに、ワイングラスを傾けている。
「わ、わたし・・・」
消え入るような声とともに、私の両目から涙があふれ出していった。
「うぅ・・ううぅっー・・・」
そっと、抱き寄せるかおりさんの胸にぶつけるように顔をうずめた。
どれほどの時間がすぎたであろう。
藤本さんのワイングラスが空になるころ。
私はポツリポツリと、語りだした。
「レイプ・・されたんです・・・」
とても口に出して言えないことを、それでも、無理に言葉をつないでいった。
「最初は・・・無理やり・・脅されて・・・」
泣きはらした瞳から、ジワッと涙がしみだしてくるのが分かった。
「でも・・でもぉ・・・」
乾いていたはずの頬に、再び涙が流れていく。
もう、枯れるほど泣いたのに。
「か、感じて・・・感じてしまった・・の・・・」
最後まで言えず、嗚咽があふれていった。
「ウゥゥー・・ウウッー・・・」
かおりさんの胸の中で声を震わせている。
かおりさんは何も言わず、優しく頭をなでてくれている。
藤本さんも黙って聞いているみたい。
「い、淫乱・・淫乱なのぉ・・・」
不意に顔を上げ、声を絞り出した。
大粒の涙が口の中に入っていく。
「かおりさんっ・・・
藤本さん達とのことが、頭によぎって・・・」
かおりさんの腕を掴み、必死に訴えている。
「頭の中が真っ白になって・・・そして・・自分からぁ・・・」
そこまで言うと、こみ上げるものに言葉が続かなかった。
「うわぁー・・・ああぁー・・ん・・・」
再び、かおりさんの胸に飛び込み叫ぶように涙を流していく。
どれほどの時間がたったのだろう。
部屋の中は時計のかすかに刻む音と、裕君の寝息が聞こえるほど静かだった。
私はかおりさんの肩にもたれるようにして、ボンヤリと窓の外の暗闇を眺めていた。
庭の照明に小さな虫が浮かぶように飛んでいる。
月が木の陰から少し、顔をのぞかせていた。
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