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第二部「上書き」
第十一章 映見の決心
寝室のドアを開けると、大きなベッドが目についた。
キングサイズのベッドは大人二人なら楽に寝られることを想像させた。
(や・・だ・・・)
そのことは、私の頬を上気させるには十分だった。
藤本さんに見せないよう、わざと部屋の中を見渡すようにした。
「すごい・・広い・・・」
ベッドの他に、本棚、デスク、ソファーセット等が配置されている。
それだけで、私達のマンションのリビングとダイニングよりも広い。
「ようこそ・・我が家へ・・・」
藤本さんが、うやうやしく御辞儀をしながら右手を差し出した。
私と同じ、白いバスローブ姿だ。
お風呂上りのソープの香りが心地良く漂っている。
「ふふふ・・・」
私は素直に微笑み、藤本さんの手を取った。
「お招き・・ありがとうございます・・・」
舞踏会の芝居のように御辞儀をした。
「ハハハハ・・・」
「フフフフ・・・」
手を握り合ったまま、笑い合った。
嬉しかった。
遂さっきまでの悩んでいた苦しみが取り去られ、軽くなったような気がする。
「ありがとうございます・・・」
自然と想いを呟いた。
「私・・嬉しい・・・」
涙ぐみそうになるのを堪えながら、藤本さんを見た。
「藤本さん・・会いたかった・・・」
「映見さん・・・」
私がその胸に抱きよせられるのは、ほんの少しの力で十分だった。
「会いたかった・・・会いたかった・・の・・・」
胸元で囁く言葉を優しく抱きしめながら聞いてくれている。
「でも・・・でも・・怖い・・怖かったの・・・」
とりとめのない呟きは、自分でもよくわからなかった。
「会いたいのに・・・会いたいのに・・怖いのぉ・・・」
我慢していたはずの涙があふれる。
「うぅっ・・うううぅー・・・」
何度も泣いて、枯れ果てているはずなのに。
不安と安心が入り交じり心の中を混沌と、さ迷っている。
今の私には、泣くことしか他に出来ることはなかった。
「セックスは・・・」
私の髪をなでる感触に合わせるように、低い声が聞こえた。
「うぅ・・う・・・」
一旦、止まり、私の嗚咽を納まるのを待っている。
「セックスは絶対、なのでしょうか・・・?」
ようやく、声の意味が理解できるようになった。
「選んだパートナーとだけ・・なのでしょうか?」
静かな口調は、二人きりの寝室に穏やかに響いている。
「選ばれた人以外と愛し合うことは・・・」
抱かれた温もりに身体を預ける。
「罪・・・なのでしょうか?」
とても、心地良い。
「たとえば、テニス・・・」
何を言っているのだろう。
「パートナー以外の人とプレイする・・・」
でも、低い声が心にしみる。
「技量も上がり、より高みを目指せる・・・」
今は、それでいい。
「スワッピングも・・・」
この人が、愛おしい。
「同じと言っては、いけませんか・・・?」
藤本さん・・・好き・・・。
「レイプも・・少し、イレギュラーなスワッピング・・・」
あぁ・・藤本さん・・・。
「あなた・・映見さんの・・・人生を高める・・・」
好き・・大好き・・・。
「一つの・・プレイにすぎないのでは、ないでしょうか?」
言葉が終わる前に私から唇を重ねた。
(藤本さん・・藤本さん・・・)
言葉を絡めた舌に託す。
(好きっ・・大好きっ・・・)
抱きしめる力に私の想いを乗せる。
「あふぅ・・・んふぅ・・んんんっ・・・」
重なる唇から漏れる吐息が寝室に響いていく。
それは、全てを藤本さんに託す私の決心の表れであった。
キングサイズのベッドは大人二人なら楽に寝られることを想像させた。
(や・・だ・・・)
そのことは、私の頬を上気させるには十分だった。
藤本さんに見せないよう、わざと部屋の中を見渡すようにした。
「すごい・・広い・・・」
ベッドの他に、本棚、デスク、ソファーセット等が配置されている。
それだけで、私達のマンションのリビングとダイニングよりも広い。
「ようこそ・・我が家へ・・・」
藤本さんが、うやうやしく御辞儀をしながら右手を差し出した。
私と同じ、白いバスローブ姿だ。
お風呂上りのソープの香りが心地良く漂っている。
「ふふふ・・・」
私は素直に微笑み、藤本さんの手を取った。
「お招き・・ありがとうございます・・・」
舞踏会の芝居のように御辞儀をした。
「ハハハハ・・・」
「フフフフ・・・」
手を握り合ったまま、笑い合った。
嬉しかった。
遂さっきまでの悩んでいた苦しみが取り去られ、軽くなったような気がする。
「ありがとうございます・・・」
自然と想いを呟いた。
「私・・嬉しい・・・」
涙ぐみそうになるのを堪えながら、藤本さんを見た。
「藤本さん・・会いたかった・・・」
「映見さん・・・」
私がその胸に抱きよせられるのは、ほんの少しの力で十分だった。
「会いたかった・・・会いたかった・・の・・・」
胸元で囁く言葉を優しく抱きしめながら聞いてくれている。
「でも・・・でも・・怖い・・怖かったの・・・」
とりとめのない呟きは、自分でもよくわからなかった。
「会いたいのに・・・会いたいのに・・怖いのぉ・・・」
我慢していたはずの涙があふれる。
「うぅっ・・うううぅー・・・」
何度も泣いて、枯れ果てているはずなのに。
不安と安心が入り交じり心の中を混沌と、さ迷っている。
今の私には、泣くことしか他に出来ることはなかった。
「セックスは・・・」
私の髪をなでる感触に合わせるように、低い声が聞こえた。
「うぅ・・う・・・」
一旦、止まり、私の嗚咽を納まるのを待っている。
「セックスは絶対、なのでしょうか・・・?」
ようやく、声の意味が理解できるようになった。
「選んだパートナーとだけ・・なのでしょうか?」
静かな口調は、二人きりの寝室に穏やかに響いている。
「選ばれた人以外と愛し合うことは・・・」
抱かれた温もりに身体を預ける。
「罪・・・なのでしょうか?」
とても、心地良い。
「たとえば、テニス・・・」
何を言っているのだろう。
「パートナー以外の人とプレイする・・・」
でも、低い声が心にしみる。
「技量も上がり、より高みを目指せる・・・」
今は、それでいい。
「スワッピングも・・・」
この人が、愛おしい。
「同じと言っては、いけませんか・・・?」
藤本さん・・・好き・・・。
「レイプも・・少し、イレギュラーなスワッピング・・・」
あぁ・・藤本さん・・・。
「あなた・・映見さんの・・・人生を高める・・・」
好き・・大好き・・・。
「一つの・・プレイにすぎないのでは、ないでしょうか?」
言葉が終わる前に私から唇を重ねた。
(藤本さん・・藤本さん・・・)
言葉を絡めた舌に託す。
(好きっ・・大好きっ・・・)
抱きしめる力に私の想いを乗せる。
「あふぅ・・・んふぅ・・んんんっ・・・」
重なる唇から漏れる吐息が寝室に響いていく。
それは、全てを藤本さんに託す私の決心の表れであった。
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