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シーズン1(前編)
第一章 僕の独り言
「ねぇ、ちょっとぉ・・・」
映見がトゲのある声で囁いた。
「うん・・・?」
僕は気の無い返事をして雑誌の記事を追っていた。
「もうっ、裕君・・裕君ったら・・・」
その声がヒステリックになってきたところで、僕は顔を上げた。
「もぅ・・・」
眉をひそめた大きな瞳が睨んでいる。
妻が怒った時にみせる、いつもの表情だ。
オデコが、ほんのり赤く染まっている。
うっすら滲んだ涙がキラキラと瞳を輝かせていた。
綺麗だな、と思う。
見飽きた顔だけど、やはり美人だと嬉しく感じた。
今年の夏で結婚二年目になる。
世間では、まだ新婚気分が抜けずアツアツで羨ましいと冷やかされる時期である。
尤も大学一年の頃から付き合ってきた僕達は、もうかれこれ7年が経過している。
お互いに初恋のようなものだった。
彼女はヴァージンだったし。
僕にしろ、その頃まで経験は殆ど無くて高校時代に友人と共にパーティーのどさくさで、派手な女の子相手に童貞を失ったという程度だけど。
(だから・・・)
大学のゼミの中でもひときわ目立っていた可愛い女の子が、僕の身体の下で懸命に痛みを堪える顔を見た時の感動は今でも忘れられない。
この人を一生、愛し通そうと心に誓ったんだ。
「やめてよ、本当にぃ・・・」
まだ怒った表情のまま映見は僕の手から雑誌を取り上げると、テーブルの下に隠すように置いた。
「恥ずかしいよぉ・・それに・・・」
小柄な背中を更に丸めて声を潜めている。
「みじめだわ・・・」
訴える目に僕は圧倒されながらポツリと呟いた。
「ゴメン・・・」
沈黙が二人を包む。
店の喧噪が5秒ほど遅れて耳に届いてくる。
「イヤラシイ・・・」
最後のセリフはさすがにしつこく感じて、僕は大きな声を出した。
「いいじゃないか、
雑誌くらい読んだって・・・」
ジョッキを握ると、残りのビールを一気に飲み干した。
僕の喉が上下に動いていく。
暫く見つめていた妻は、やがて力無く視線を落として呟いた。
「だけど・・・」
消え入りそうな声なのに、僕の胸には十分に染み込んできた。
(僕だって・・・)
十分、分かってるさ。
(でも・・・)
たかが、本じゃないか。
僕の目がそう語るのを感じるのか、映見の長い睫毛がヒクヒクと揺れていた。
テーブルの下の雑誌には、女優の写真と共にゴシック文字が躍っていた。
『特集!セックスレス夫婦の逃げ道』
『スワッピングパーティーの潜入ルポ!』
「この頃変よ、裕君・・・」
細い肩越しに声が聞こえた。
「だって・・・」
意を決したように映見は口を開いた。
「毎日残業で遅いし、
休日は家でゴロゴロしてるだけで・・・」
「だから、こうして外食してるじゃないか・・・」
「ええ・・・素敵な、焼き鳥屋さんで、ね」
僕の反論はピシャリと跳ね返されてしまった。
「家から歩いて2分の近さで・・・
それもジャージとサンダル履きの姿でもこれる、
とぉってもオシャレなお店ですものね」
堰を切ったように妻はしゃべり始めた。
「私の愛する旦那様は・・・
釣った魚にはもう興味が無いのか、
妻と会話もせずにエロ本を読む方が
楽しそうにしてるし・・・」
勢いが良かった声も徐々にトーンダウンしていく。
「これでも私はデートのつもりなのよ・・・
お化粧だって一生懸命してきたのに・・・」
力無く店の喧噪にとけ込んでいった。
これで何度目だろうか。
僕はすまなそうな表情で妻を見つめた。
よそ行きでは無いにしろ小綺麗に着飾った姿は、確かに場末の焼鳥屋では浮いて見える。
薄いピンクのスーツの胸元はV字にカットされてチラリと谷間を覗かせている。
くびれたウエスト、それに畳に座っているから分かりにくいけど、折りたたんだ足は伸ばすと長い筈だ。
家事も料理も得意で、性格も優しい映見は僕にとって申し分のない妻である。
(だけど・・・)
僕は最近感じる倦怠感に包まれながら心の中で叫んだ。
(どうしようも無いじゃないかっ・・・)
勿論、妻を愛しているさ。
かけがえのない人だと思う。
でも26歳の僕は今が男盛りなんだ。
そう、種の本能というべきか。
何か得体の知れない欲望がムクムクと体中に広がってくる。
発情しているんだ。
ローンもないし比較的サラリーの良い会社に勤めているから小遣いには不自由しない。
でも、フーゾクなんかには興味が無い。
何か、むなしいじゃないか。
やっぱり、愛がなくちゃあ。
仕事も忙しいし、責任も重くなっている。
僕は爆発しそうだった。
何か突拍子の無い事をしたい。
例えば気の遠くなるようなスケベでヘビーな体験をしたいんだ。
「私じゃ・・・ダメなの?」
こんな事を映見に言ったらムキになってこう言われるだろう。
(そう、ダメなんだ・・・)
心の中で何度も呟いている。
僕はもう普通のセックスには飽き飽きしているんだ。
確かに妻は美人でスタイルもいい。
形のいいバストだってDカップはあるだろう。
でも付き合って7年にもなる僕にとって、抱きたいと思うほどトキメキが沸かない。
キスしても美味しく感じられないんだ。
これじゃあ、まるで倦怠期を迎えている中年夫婦のようじゃないか。
TVなんかでグラマーなアイドルを見るたびに思うんだ。
(一発、やりてぇっ)
そう、誰だっていいんだ。
口説いて、恋に落ちてみたい。
そして、獣みたいに求め合えれば最高なのに。
飽きちゃったんだ。
僕達、夫婦のセックスに。
お嬢様育ちの映見は極端な恥ずかしがり屋だ。
照明を消した状態でしか裸にもなってくれない。
体位も未だに正常位オンリーだし。
今時、信じられないって?
でも本当だからしようがない。
AVビデオなんてもってのほかさ。
この間、一緒に観て興奮しようと借りてきたけど、怒って暫く口もきいてくれなかった。
そんな雰囲気が出来ちゃうと夫婦なんて、かえって変わりにくくなるものかもしれない。
そう、たとえば。
世の中の夫婦で妻にフェラチオしてもらっている旦那様は、どれくらいいるのだろうか。
少なくとも僕でない事は確かだ。
他の奥さんはフェラチオしてるのかなぁ。
みんなどうやって説得したのだろうか。
イヤ、そうじゃない。
みんなだって苦労している筈さ。
じゃないとあれだけフーゾクが、はやるものか。
さすがにお金を出してまでして欲しくはないしなぁ。
それは半ば意地なのかもしれない。
一度でも妻にしてもらえれば、呪縛が解けるのかもしれないけど。
フェラチオ童貞は映見にあげるって決めているんだ。
でも、やっぱり無理だろうな。
僕の奥さんがそんな事する筈無いもの。
雑誌のエッチな記事を見てるだけで、文句を言う位なんだから。
このまま歳を食って、しょぼくれた中年夫婦になるのかなぁ。
そんなの、イヤダ!
妻以外の女とセックスをしたい。
絶対、誰かにフェエラチオしてもらうんだ。
でも、フーゾクはイヤダ。
今、僕はジレンマの中にいる。
じゃあ、どうすれば良い?
不倫でもするのか?
それはダメだ。
フェアじゃないし、バレたら離婚になっちゃう。
映見を愛しているし、別れたくはない。
それよりも、そう・・・。
スワッピング!
僕はこの頃、妙にこのフレーズに取り憑かれている。
夫婦交換ならお互いフィフティ・フィフティだろ?
僕も浮気をするけど、妻もするんだ。
考えても見てよ。
愛する妻が他の男に抱かれる。
そんな想像をするだけで、もの凄く興奮する。
今、読んでいた雑誌の記事にも詳しく書いてあった。
僕達夫婦だって出来ない訳がない。
だけどビールを口に含みながら映見の顔を見たとたん、僕の意気込みは消沈した。
まだ怒っているのか、ふくれっ面のまま横を向いている。
こうなると彼女は頑固なんだ。
「あり得ないな・・・」
僕はジョッキの中で苦笑いをした。
「なぁに・・・?」
映見が訝しげに僕を見ている。
カァーと熱い血が駆け上ってくる。
「な、何でもないさ・・・」
僕は慌てて殆どビールが残っていないジョッキを飲むふりをした。
見つめてくる大きな瞳が小さな光を散乱させている。
僕は自分の想像に胸をドキドキさせながら曖昧な笑みを浮かべていた。
「変な、裕君・・・」
店の喧噪の中、妻の呟きが微かに聞こえた。
映見がトゲのある声で囁いた。
「うん・・・?」
僕は気の無い返事をして雑誌の記事を追っていた。
「もうっ、裕君・・裕君ったら・・・」
その声がヒステリックになってきたところで、僕は顔を上げた。
「もぅ・・・」
眉をひそめた大きな瞳が睨んでいる。
妻が怒った時にみせる、いつもの表情だ。
オデコが、ほんのり赤く染まっている。
うっすら滲んだ涙がキラキラと瞳を輝かせていた。
綺麗だな、と思う。
見飽きた顔だけど、やはり美人だと嬉しく感じた。
今年の夏で結婚二年目になる。
世間では、まだ新婚気分が抜けずアツアツで羨ましいと冷やかされる時期である。
尤も大学一年の頃から付き合ってきた僕達は、もうかれこれ7年が経過している。
お互いに初恋のようなものだった。
彼女はヴァージンだったし。
僕にしろ、その頃まで経験は殆ど無くて高校時代に友人と共にパーティーのどさくさで、派手な女の子相手に童貞を失ったという程度だけど。
(だから・・・)
大学のゼミの中でもひときわ目立っていた可愛い女の子が、僕の身体の下で懸命に痛みを堪える顔を見た時の感動は今でも忘れられない。
この人を一生、愛し通そうと心に誓ったんだ。
「やめてよ、本当にぃ・・・」
まだ怒った表情のまま映見は僕の手から雑誌を取り上げると、テーブルの下に隠すように置いた。
「恥ずかしいよぉ・・それに・・・」
小柄な背中を更に丸めて声を潜めている。
「みじめだわ・・・」
訴える目に僕は圧倒されながらポツリと呟いた。
「ゴメン・・・」
沈黙が二人を包む。
店の喧噪が5秒ほど遅れて耳に届いてくる。
「イヤラシイ・・・」
最後のセリフはさすがにしつこく感じて、僕は大きな声を出した。
「いいじゃないか、
雑誌くらい読んだって・・・」
ジョッキを握ると、残りのビールを一気に飲み干した。
僕の喉が上下に動いていく。
暫く見つめていた妻は、やがて力無く視線を落として呟いた。
「だけど・・・」
消え入りそうな声なのに、僕の胸には十分に染み込んできた。
(僕だって・・・)
十分、分かってるさ。
(でも・・・)
たかが、本じゃないか。
僕の目がそう語るのを感じるのか、映見の長い睫毛がヒクヒクと揺れていた。
テーブルの下の雑誌には、女優の写真と共にゴシック文字が躍っていた。
『特集!セックスレス夫婦の逃げ道』
『スワッピングパーティーの潜入ルポ!』
「この頃変よ、裕君・・・」
細い肩越しに声が聞こえた。
「だって・・・」
意を決したように映見は口を開いた。
「毎日残業で遅いし、
休日は家でゴロゴロしてるだけで・・・」
「だから、こうして外食してるじゃないか・・・」
「ええ・・・素敵な、焼き鳥屋さんで、ね」
僕の反論はピシャリと跳ね返されてしまった。
「家から歩いて2分の近さで・・・
それもジャージとサンダル履きの姿でもこれる、
とぉってもオシャレなお店ですものね」
堰を切ったように妻はしゃべり始めた。
「私の愛する旦那様は・・・
釣った魚にはもう興味が無いのか、
妻と会話もせずにエロ本を読む方が
楽しそうにしてるし・・・」
勢いが良かった声も徐々にトーンダウンしていく。
「これでも私はデートのつもりなのよ・・・
お化粧だって一生懸命してきたのに・・・」
力無く店の喧噪にとけ込んでいった。
これで何度目だろうか。
僕はすまなそうな表情で妻を見つめた。
よそ行きでは無いにしろ小綺麗に着飾った姿は、確かに場末の焼鳥屋では浮いて見える。
薄いピンクのスーツの胸元はV字にカットされてチラリと谷間を覗かせている。
くびれたウエスト、それに畳に座っているから分かりにくいけど、折りたたんだ足は伸ばすと長い筈だ。
家事も料理も得意で、性格も優しい映見は僕にとって申し分のない妻である。
(だけど・・・)
僕は最近感じる倦怠感に包まれながら心の中で叫んだ。
(どうしようも無いじゃないかっ・・・)
勿論、妻を愛しているさ。
かけがえのない人だと思う。
でも26歳の僕は今が男盛りなんだ。
そう、種の本能というべきか。
何か得体の知れない欲望がムクムクと体中に広がってくる。
発情しているんだ。
ローンもないし比較的サラリーの良い会社に勤めているから小遣いには不自由しない。
でも、フーゾクなんかには興味が無い。
何か、むなしいじゃないか。
やっぱり、愛がなくちゃあ。
仕事も忙しいし、責任も重くなっている。
僕は爆発しそうだった。
何か突拍子の無い事をしたい。
例えば気の遠くなるようなスケベでヘビーな体験をしたいんだ。
「私じゃ・・・ダメなの?」
こんな事を映見に言ったらムキになってこう言われるだろう。
(そう、ダメなんだ・・・)
心の中で何度も呟いている。
僕はもう普通のセックスには飽き飽きしているんだ。
確かに妻は美人でスタイルもいい。
形のいいバストだってDカップはあるだろう。
でも付き合って7年にもなる僕にとって、抱きたいと思うほどトキメキが沸かない。
キスしても美味しく感じられないんだ。
これじゃあ、まるで倦怠期を迎えている中年夫婦のようじゃないか。
TVなんかでグラマーなアイドルを見るたびに思うんだ。
(一発、やりてぇっ)
そう、誰だっていいんだ。
口説いて、恋に落ちてみたい。
そして、獣みたいに求め合えれば最高なのに。
飽きちゃったんだ。
僕達、夫婦のセックスに。
お嬢様育ちの映見は極端な恥ずかしがり屋だ。
照明を消した状態でしか裸にもなってくれない。
体位も未だに正常位オンリーだし。
今時、信じられないって?
でも本当だからしようがない。
AVビデオなんてもってのほかさ。
この間、一緒に観て興奮しようと借りてきたけど、怒って暫く口もきいてくれなかった。
そんな雰囲気が出来ちゃうと夫婦なんて、かえって変わりにくくなるものかもしれない。
そう、たとえば。
世の中の夫婦で妻にフェラチオしてもらっている旦那様は、どれくらいいるのだろうか。
少なくとも僕でない事は確かだ。
他の奥さんはフェラチオしてるのかなぁ。
みんなどうやって説得したのだろうか。
イヤ、そうじゃない。
みんなだって苦労している筈さ。
じゃないとあれだけフーゾクが、はやるものか。
さすがにお金を出してまでして欲しくはないしなぁ。
それは半ば意地なのかもしれない。
一度でも妻にしてもらえれば、呪縛が解けるのかもしれないけど。
フェラチオ童貞は映見にあげるって決めているんだ。
でも、やっぱり無理だろうな。
僕の奥さんがそんな事する筈無いもの。
雑誌のエッチな記事を見てるだけで、文句を言う位なんだから。
このまま歳を食って、しょぼくれた中年夫婦になるのかなぁ。
そんなの、イヤダ!
妻以外の女とセックスをしたい。
絶対、誰かにフェエラチオしてもらうんだ。
でも、フーゾクはイヤダ。
今、僕はジレンマの中にいる。
じゃあ、どうすれば良い?
不倫でもするのか?
それはダメだ。
フェアじゃないし、バレたら離婚になっちゃう。
映見を愛しているし、別れたくはない。
それよりも、そう・・・。
スワッピング!
僕はこの頃、妙にこのフレーズに取り憑かれている。
夫婦交換ならお互いフィフティ・フィフティだろ?
僕も浮気をするけど、妻もするんだ。
考えても見てよ。
愛する妻が他の男に抱かれる。
そんな想像をするだけで、もの凄く興奮する。
今、読んでいた雑誌の記事にも詳しく書いてあった。
僕達夫婦だって出来ない訳がない。
だけどビールを口に含みながら映見の顔を見たとたん、僕の意気込みは消沈した。
まだ怒っているのか、ふくれっ面のまま横を向いている。
こうなると彼女は頑固なんだ。
「あり得ないな・・・」
僕はジョッキの中で苦笑いをした。
「なぁに・・・?」
映見が訝しげに僕を見ている。
カァーと熱い血が駆け上ってくる。
「な、何でもないさ・・・」
僕は慌てて殆どビールが残っていないジョッキを飲むふりをした。
見つめてくる大きな瞳が小さな光を散乱させている。
僕は自分の想像に胸をドキドキさせながら曖昧な笑みを浮かべていた。
「変な、裕君・・・」
店の喧噪の中、妻の呟きが微かに聞こえた。
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