「スワッピング入門」妻が見知らぬ男に犯される時

山田さとし

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シーズン1(中編)

第九章 予期せぬ出来事

「ゴホッゴホッ・・・ゴホッ・・・」

(く、苦しい・・・)

私は目も開けられない位、激しく咳き込んだままだった。
余りにも苦しくて、涙が溢れて止まらなかったんです。

「大丈夫・・・?」
背中をさすりながら、裕君が優しく励ましてくれている。

「ウッ・・ウッー・・・ゴホッゴホッ・・・」

言葉を返そうとするのだけど声が出ない。
耳も奥の方がツーンとして、何だか海の底に沈められたような気分。

「ウウンッ・・・ウッ・・ンンッ」

どの位時間がたったのだろうか。
多分、10分以上は咳き込んでいたに違いないわ。

ようやく咳がおさまり、徐々に呼吸が楽になっていったの。

「可哀相に・・・」

優しい声が耳元で囁いている。
裕君は私が咳き込んでいる間、ずっと背中を撫でてくれていたみたい。

私は嬉しくて、その腕にもたれるように身体を預けたの。
暖かい腕が巻き付くように肩を抱いてくれている。

「ホッー・・・」

私は大きなため息をついた。
するともう一方の手が伸び、髪を撫でてくれる。

(気持ち・・・いい・・・)
私は暫く、この優しい愛撫を受け止めていた。

「ゴメンね、裕君・・・」

うっとりと目を閉じたまま、私は呟いた。
愛撫を途中で中止にしてしまった事に、後ろめたさを感じていたけど。

(でも、大丈夫・・・
裕君、こんなに優しい・・・)

一生懸命、頑張った私を許してくれるだろう。

「家に・・帰ったら、ゆっくり・・・
して、あげるから・・・」

途切れ途切れに声を出していた。

まだ苦しかったけど、せめてもの償いのつもりだったの。
涙で滲んだ目を開けられるまで暫くこの温もりに浸っていよう。

そう思いながら優しい愛撫に身を任せていたんです。
腕の温もりと髪を撫でられ感触が心地良い。

(そう・・・)
セックスなんてしなくても、こうしているだけでも十分幸せ。

「ねぇ・・・」
その事を告げようと目を開けた時、ようやく私は異変に気づいた。

「んっ・・んっ・・・ふっ・・んふっ・・・」

曇った声と共に、何かがが動いている。
指で涙を拭い、目を凝らした。

(な、なに・・・?)
私、息を飲んでしまった。

「んふっんふっ・・んぐぐぅ・・・
んっんっんっ・・・」

いつの間にか全裸の女がいたんです。
しかもそう、あの・・・ペニスを握って。

「あふぅ・・・んんん・・はあぁ・・・」
大きく口を開けて、頬張っているんです。

「素敵・・・とっても・・・
大きい・・太いわ・・・」

長い舌を出して先端をなぞっている。

「ああぁっ・・・」

切ない声に視線を上に向けた。
瞬間、強い衝撃が走ったんです。

「ゆ、裕君・・・」

(ど、どういう事なの?)
私の目に信じられない光景が飛び込んできた。

「ああああ・・・おおおっ・・・
あっあっあっあっ・・・」


裕君、私の夫が・・・。
見知らぬ女に愛撫されている。

「気持ちいい?んふふふふ・・・」

チラリと私に視線を向けた女が、楽しそうに言った。
カーッと、頭に血が昇っていく。

「あ、あなた・・な、何を・・・?」
あまりの事に声をつまらせる私を無視して、再びコックを飲み込んでいく。

「んぐぐぅ・・・ふぐっ・・
んんっ・・・んっんっんっ・・・」

チュバチュバと激しい音が聞こえてくる。
大量の唾液がコックにまとわりつき、粘ついた光を出している。

「あああっ・・ああっああっ・・おおおおぉっー」
裕君、声をひっきりなしに出して、私に気づきもしない。

「おおおぉっー・・・す、凄いっ・・・」

女の髪を掻きむしるように両手で押さえている。
まるで、泣きそうな表情。

「ああっ・・ああっー・・あっあっ・・・」
官能にむせんでいる。

「ひ、ひどい・・・」

私はそう呟く事しか出来なかった。
頭が沸騰しそうな位、混乱している。

「んふっんふっ・・ぐぐっ・・んんー・・・」
私ではない女が、激しく顔を上下させて裕君のペニスに唇を滑らせている。

(な、何て・・・)
残酷な光景だろう。

涙が溢れてくる。
悲しみと怒りで気が狂いそう。

「どうして・・どうして・・・?」
私、半ば気を失いながら何度も呟いていた。

「申し訳ありません・・・」
低い声が耳元で聞こえた。

「あっ・・・?」
顔を向けると直ぐ横に男の顔を見つけた。

別にハンサムでもない。
40台半ばであろうか、「まさに中年」といった風情。
ハッキリ言って「おじさん」と呼ぶにふさわしい顔。

「お気を悪くさせたでしょう?
許して下さい・・・」

馬鹿丁寧な口調は妙に紳士的だったけど、よく見るとその人、裸だったんです。
ぽっこりと膨らんだ下腹の下には、黒々としたペニスが反り返っている。

(キャー・・・)

叫びそうになった声を飲み込んだ。
そのおぞましい物に視線が釘付けになってしまった。

(だ、だって・・・)
本当に頭が混乱して何が何だかもう、分からないんですもの。

愛する夫は見知らぬ女に犯され悲鳴を上げているし。
私が今まで甘えて肩を抱かれていた男が他人で。

しかも・・・全裸だなんて。

(し、信じられない・・これ・・・
夢なんだわ、きっと・・・)

ショックの連続が取り乱す余裕すら奪っていく。
私、相手の顔を見つめたまま固まってしまったんです。

身体に力が入らない。
すると、その人、私の事を見つめ返してきたの。

笑みを浮かべている。

(な、なに・・・・この人?)
妙に落ち着いている。

(こ、こんな状況なのに・・・)
男の図々しさに呆れてしまった。

(でも・・・)

余り腹が立たないのは何故だろう。
無邪気な表情はまるで子供のようで、気持ちがはぐらかされてしまう。

「悪気は無かったのです、ただ・・・
奥さんが余りにも苦しそうだったのと・・・」

男は私が騒ぎ立てない事に安心したのか、静かな口調で話し出した。

「かおり・・・
私のワイフが興奮してしまって・・・」

チラリと見る視線の先を見ると女がこちらを見ていた。

「ねぇ、見てぇ・・・あなた・・・
私、凄くイヤらしいのぉ・・・」

鼻にかかった声を出している。

全裸のままバストをさらしている。
私のよりも遙かに大きい。

「この人の旦那様、凄くハンサムだし・・・
ペニスも大きいのぉ・・・」

とんでも無い卑猥な事を平気で喋っている。

まるで三文芝居じゃない。
何だかバカバカしく思えてくる。

「おやおや・・・」

中年男は私を見ながら首を振った。
イタズラっぽい表情に、つい私も釣られて唇を綻ばせてしまった。

後から考えると私、相当混乱していたのかもしれない。
だって、こんな危険な状況で逃げようという考えすら浮かばなかったのだから。

「本当に申し訳ない・・・」
男の人、そう言いながら肩を抱いた手で私を引き寄せたんです。

「あっ・・・」

よろめいた私は胸に寄りかかるように抱かれてしまった。
意外と筋肉質なのか、盛り上がった胸には妙に黒い色をした乳首が見えた。

「でも、凄く興奮するんですよ・・・」

熱い息が耳元にかかる。

「女房が見知らぬ男のペニスを
くわえている・・・
何と淫靡な光景でしょうか?」

肩を抱く手にギュッと力を込めてくる。

(確かに、興奮しているみたい・・・)

胸の鼓動がドクンドクンと聞こえる。
勿論、自分の心臓も同じだったけど。

「ほら・・・
あなたの旦那様も相当感じているようですよ」

言われるまま視線を向けると、夫があられもない姿で悶えていた。

「あはぁ・・・はぁっはぁっはぁっ・・・
あああ、おおおぉー・・・」

下半身をむき出しにして強烈に反応している。

「裕君・・・」

私、何をしているのだろう。
男に抱かれながら夫が犯されるのを見ている。

止めようともしないで。
こんな異常な行為を只、ジッと眺めているなんて。

ショックが強すぎたのかしら。
怒りが切なさに、変わっていく。

「これがスワッピング、なんです」

「スワッピング・・・?」
思わず聞き返した。

耳慣れないフレーズが心に波紋を作る。
得体の知れない不安となって胸に広がっていく。

「ゆ、裕君・・・」
夫の名を呼ぶ私の声は、か細く震えていた。
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