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完結編
私達の世界(1)
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世界中の様々な言語で、
『ついに、ついに追いつきました! 木村選手が愛する人に追いつきました!』
画面を見ている、あるいは音を聴いている多くの人々に伝えられる、
『果たしてどうなるのでしょう? どうするつもりでしょう? ついさっきプロポーズに失敗したばかりです! なのに彼は彼女に何を言うつもりでしょう?』
それは、私達の恋に決着がつく瞬間。
『もう私達には見守ることしかできません。邪魔をしたくない。してはいけない。いいか、絶対に邪魔をするな! 行儀よく黙って見守るんだ皆!』
ごくり。世界中の人が固唾を飲んだ。
九十億の視線の先で、無限がまず勢い良く頭を下げる。
「ごめん! 本当に悪かった!」
「……何が?」
「お前の気持ちをちゃんと考えてなかった! 一方的に気持ちを押し付けるような真似をして悲しませた! 許してくれ!」
ふ、ふうん……そのくらいは察してくれたんだ。
それで、ここからどうするの?
(なんでここに来られたのかとか、そういう事情は考えない)
あいつの表情を見ればわかる。私のこと以外なんにも考えずここまで必死に走って来てくれたんだ。柔道着のまま裸足で。
だったら、こっちもあいつのこと以外なんにも考えないようにしなくちゃ失礼だ。携帯もポケットの中にしまう。
「歩美先生……がんばって」
無限は顔を上げ、そしてすぐに言った。
「オレにはもう、こんなこと言う資格無いのかもしれない。それでも言わせてくれ。歩美、お前が好きだ! 大好きだ! 他の誰より大切に想ってる!」
「……そう」
そんなの、知ってるよ。
だからこそ、そっけない返答をしても無限はめげない。
「オレは別に、お前に仕事を辞めてほしいわけじゃなくて──いや……」
何かを言いかけて中断。そうじゃないって頭を振って言葉を選び直す。
「オレはもう夢を叶えた」
と、今度は柔道着の中から金メダルを取り出す。これには流石にびっくり。
「勝ったの!?」
「ああ、だからもういい! オレの方は十分だ! これからは、オレにお前を支えさせてくれ!」
「え?」
「お前はずっとオレを応援してくれた。お前の存在が心の支えになった。だから、今度はオレが応援する! お前が応援し続けてくれたみたいに、一番近くで夢を叶える手伝いをさせてくれ! そのためならなんでもする!」
「なっ、なんでも……?」
「なんでもだ!」
金メダリストになったのに?
これから、もっと活躍していけるはずなのに?
「主夫になる気?」
「お前の夢に必要なことなら、そうする!」
「私が仕事してる間、家を守るって?」
「ああ! 家事も子守りも任せとけ! って、まだ子供はいないけど──」
何、慌ててんだよ。
「バーカ……そんなこと、させられるわけないだろ……」
お前を引退させたりしたら日本中から叩かれちゃうよ。
でも、それならどうしたらいい? 私達の関係はどういう風になるのが正解なの?
それに私の方からも謝らなきゃ。さっきはこっちも悪かった。もっとよく考えて答えるべきだったって伝えないと。考え込み、無意識に目を逸らす私。
誤解した無限は切羽詰まった顔で迫って来た。
「頼む、オレの目を見てくれ歩美!」
「あ、いや、今のは──」
ちょっと考え事をしただけ。そう言おうとした時、突然別の小柄な影が私達に近付いて来た。金髪の小さな女の子。
「Please use it(使って下さい)」
「これ、オレに……? あ、そか、指輪代わりに……ありがとう!」
「I wish you all the best(幸運を祈っています)」
女の子は無限にチューリップの花束を渡すと、少し離れた場所で待っている母親らしき女性のところまで戻って行った。二人は可愛らしいデザインの屋台の前から引き続き私達を見守る。花屋さんの出張販売。そういえばあの屋台、さっき急にこっちの方へ移動して来たっけ。もしかしてこうなることを予想してた?
そして──
「うわっ、綺麗だ……」
何かに目を奪われる無限。私も振り返って驚く。さっきまで陰鬱な風景だった海が青い月光に照らされ神秘的な輝きを放っていた。自然の風景とは思えない光の饗宴。
「たしかに綺麗……」
「いや、お前がだよ。光に照らされたお前が綺麗なんだって」
無限は“何言ってんだこいつ”と言いたげな顔で眉をひそめた。つまり、こいつの場合お世辞じゃなくて本心からそう思ってるらしい。
たまにこういうこと言うんだよ、素で。
照れながら、もう一度向き合う。
無限は地面に片膝をついた。
そして花束を掲げる。
「歩美、オレにも一緒に歩かせてくれ。夢に向かって歩き続けるお前を、一番近くで支えさせてくれ。もちろん許してもらえるならだけど、どうか許して欲しい。
もう一度言う。いや、何度だって言う。大塚 歩美さん、結婚してください。オレには君しかいない。初めて出会ったあの日から、ずっと、ずっとそう思ってきました!」
……嘘つけ、最初は男だと思ってたくせに。
でも私しかいないってのは本当だろう。ここで私が断ったら、こいつずっと独身のまま生きていくはず。
「歩美先生……!」
「歩美!」
「歩美ちゃん!」
「正しいと思う道を行け!」
「先輩らしくです!」
「さあっ!」
──皆の声が聴こえたような、そんな気がした。でも、私はそれらの声に背を押されるより早く前に出て、花束を掲げる彼の手に自分の手を添える。
もう後戻りなんかできないよ。するつもりなんか無いけどさ。最初からこうしていれば良かった、難しいことなんか考えず。だって、答えなんかとっくの昔に決まっていた。
顔が綻ぶ。抑えようとしても、嬉しさで勝手に口角が上がる。
「私も、あなたしかいません。よろしくお願いします」
そう答えて花束を受け取り、引き換えに顔を寄せて唇を重ねる。いつかの初めてのキスと同じで無限は放心状態で固まってしまった。
全世界に中継されてるからなんだ? 写真だって撮りたきゃ撮れよ! 私はこの馬鹿が好き。ずっと一緒にいたい。だから結婚する。そんな当たり前の決断をしただけ!
「……や……やった……」
いつの間にかすぐ近くに停車していたバンから鼓拍ちゃんが降りて来る。時雨さん達も後に続く。
肝心の無限は呆けたまま。でも背中を強く叩かれ正気に戻った。さおちゃんの気付けの一発。むちゃくちゃ痛そうな音だったけど大丈夫?
「いって!? な、何が起きた?」
「しっかりしろ馬鹿! OKだよ! いいって言ってもらえたの!」
「な、何を?」
「プロポーズです、木村先輩!」
「誰が? 誰に?」
「あなたが、歩美さんにしたんでしょ」
「……おーけー? いいってこと、だよな?」
「そうだよ、何度言わせんのさ!? これでもまだわかんないか!」
駄目押しでもう一回キス。今度は熱烈なハグもオマケ。
思い出したように焚かれる大量のフラッシュ。
一番近いのは千里ちゃんのカメラ。
「すくーーーーーーぷ! 大すくーーーーーーーーーーぷ!!」
「あっはっはっ、世紀の瞬間を目の前で撮影できたね」
「は、あは、あはは……ははは……」
勇花さんの笑顔につられたように無限も笑い始める。涙目で。
「な、泣きながら笑ってる……」
「嬉しいんだよ! 嬉しすぎるんだよ!」
そう叫ぶと、私を軽々と持ち上げて今度はぐるぐる回り出した。
「ちょ、ちょっと?」
「やったぞ!! オレは、オレは歩美と結婚するんだ!!」
「だからそうだって何べんも言ってるだろ!」
脛を蹴るさおちゃん。無限は気にかけない。嬉しすぎて痛みなんてどうでも良くなってしまったらしい。
「愛してる! 愛してる歩美! 一生ずっと愛してる!」
あ~、もう、しょうがないな。お前にだけ言わせるのも不公平だ。
こっちも真っ赤な顔で叫び返す。
「私だってそうだよ! 愛してる! だから、とりあえず下ろして! 高いとこ苦手なの知ってるでしょ!」
──これが、私と無限が婚約した瞬間。幼い頃に近所の公園で出会って始まった長い恋の結末である。後で知ったところによると、父さん達も試合会場でずっと中継を見守ってくれていたそうだ。
「あなた……!」
「うむ……うむ……でかした! よろしく頼むぞ木村君!」
「やったああああああああああああああああああああああああっ! 大金星だ! 無限が大金星を挙げたぞ母さん! 馬鹿息子が自慢の息子になった!」
「ついに我が家にも娘ができる! 最高ね、あなた!」
「ねえちゃん、およめにいくの?」
「さみしい……」
「そうだね、寂しい。でも良いことなんだからお祝いしてあげなきゃ。二人とも、友樹も、歩美お姉ちゃんが戻って来たらちゃんと“おめでとう”って言うんだよ?」
「うん!」
もちろん、他の皆もね。
『ついに、ついに追いつきました! 木村選手が愛する人に追いつきました!』
画面を見ている、あるいは音を聴いている多くの人々に伝えられる、
『果たしてどうなるのでしょう? どうするつもりでしょう? ついさっきプロポーズに失敗したばかりです! なのに彼は彼女に何を言うつもりでしょう?』
それは、私達の恋に決着がつく瞬間。
『もう私達には見守ることしかできません。邪魔をしたくない。してはいけない。いいか、絶対に邪魔をするな! 行儀よく黙って見守るんだ皆!』
ごくり。世界中の人が固唾を飲んだ。
九十億の視線の先で、無限がまず勢い良く頭を下げる。
「ごめん! 本当に悪かった!」
「……何が?」
「お前の気持ちをちゃんと考えてなかった! 一方的に気持ちを押し付けるような真似をして悲しませた! 許してくれ!」
ふ、ふうん……そのくらいは察してくれたんだ。
それで、ここからどうするの?
(なんでここに来られたのかとか、そういう事情は考えない)
あいつの表情を見ればわかる。私のこと以外なんにも考えずここまで必死に走って来てくれたんだ。柔道着のまま裸足で。
だったら、こっちもあいつのこと以外なんにも考えないようにしなくちゃ失礼だ。携帯もポケットの中にしまう。
「歩美先生……がんばって」
無限は顔を上げ、そしてすぐに言った。
「オレにはもう、こんなこと言う資格無いのかもしれない。それでも言わせてくれ。歩美、お前が好きだ! 大好きだ! 他の誰より大切に想ってる!」
「……そう」
そんなの、知ってるよ。
だからこそ、そっけない返答をしても無限はめげない。
「オレは別に、お前に仕事を辞めてほしいわけじゃなくて──いや……」
何かを言いかけて中断。そうじゃないって頭を振って言葉を選び直す。
「オレはもう夢を叶えた」
と、今度は柔道着の中から金メダルを取り出す。これには流石にびっくり。
「勝ったの!?」
「ああ、だからもういい! オレの方は十分だ! これからは、オレにお前を支えさせてくれ!」
「え?」
「お前はずっとオレを応援してくれた。お前の存在が心の支えになった。だから、今度はオレが応援する! お前が応援し続けてくれたみたいに、一番近くで夢を叶える手伝いをさせてくれ! そのためならなんでもする!」
「なっ、なんでも……?」
「なんでもだ!」
金メダリストになったのに?
これから、もっと活躍していけるはずなのに?
「主夫になる気?」
「お前の夢に必要なことなら、そうする!」
「私が仕事してる間、家を守るって?」
「ああ! 家事も子守りも任せとけ! って、まだ子供はいないけど──」
何、慌ててんだよ。
「バーカ……そんなこと、させられるわけないだろ……」
お前を引退させたりしたら日本中から叩かれちゃうよ。
でも、それならどうしたらいい? 私達の関係はどういう風になるのが正解なの?
それに私の方からも謝らなきゃ。さっきはこっちも悪かった。もっとよく考えて答えるべきだったって伝えないと。考え込み、無意識に目を逸らす私。
誤解した無限は切羽詰まった顔で迫って来た。
「頼む、オレの目を見てくれ歩美!」
「あ、いや、今のは──」
ちょっと考え事をしただけ。そう言おうとした時、突然別の小柄な影が私達に近付いて来た。金髪の小さな女の子。
「Please use it(使って下さい)」
「これ、オレに……? あ、そか、指輪代わりに……ありがとう!」
「I wish you all the best(幸運を祈っています)」
女の子は無限にチューリップの花束を渡すと、少し離れた場所で待っている母親らしき女性のところまで戻って行った。二人は可愛らしいデザインの屋台の前から引き続き私達を見守る。花屋さんの出張販売。そういえばあの屋台、さっき急にこっちの方へ移動して来たっけ。もしかしてこうなることを予想してた?
そして──
「うわっ、綺麗だ……」
何かに目を奪われる無限。私も振り返って驚く。さっきまで陰鬱な風景だった海が青い月光に照らされ神秘的な輝きを放っていた。自然の風景とは思えない光の饗宴。
「たしかに綺麗……」
「いや、お前がだよ。光に照らされたお前が綺麗なんだって」
無限は“何言ってんだこいつ”と言いたげな顔で眉をひそめた。つまり、こいつの場合お世辞じゃなくて本心からそう思ってるらしい。
たまにこういうこと言うんだよ、素で。
照れながら、もう一度向き合う。
無限は地面に片膝をついた。
そして花束を掲げる。
「歩美、オレにも一緒に歩かせてくれ。夢に向かって歩き続けるお前を、一番近くで支えさせてくれ。もちろん許してもらえるならだけど、どうか許して欲しい。
もう一度言う。いや、何度だって言う。大塚 歩美さん、結婚してください。オレには君しかいない。初めて出会ったあの日から、ずっと、ずっとそう思ってきました!」
……嘘つけ、最初は男だと思ってたくせに。
でも私しかいないってのは本当だろう。ここで私が断ったら、こいつずっと独身のまま生きていくはず。
「歩美先生……!」
「歩美!」
「歩美ちゃん!」
「正しいと思う道を行け!」
「先輩らしくです!」
「さあっ!」
──皆の声が聴こえたような、そんな気がした。でも、私はそれらの声に背を押されるより早く前に出て、花束を掲げる彼の手に自分の手を添える。
もう後戻りなんかできないよ。するつもりなんか無いけどさ。最初からこうしていれば良かった、難しいことなんか考えず。だって、答えなんかとっくの昔に決まっていた。
顔が綻ぶ。抑えようとしても、嬉しさで勝手に口角が上がる。
「私も、あなたしかいません。よろしくお願いします」
そう答えて花束を受け取り、引き換えに顔を寄せて唇を重ねる。いつかの初めてのキスと同じで無限は放心状態で固まってしまった。
全世界に中継されてるからなんだ? 写真だって撮りたきゃ撮れよ! 私はこの馬鹿が好き。ずっと一緒にいたい。だから結婚する。そんな当たり前の決断をしただけ!
「……や……やった……」
いつの間にかすぐ近くに停車していたバンから鼓拍ちゃんが降りて来る。時雨さん達も後に続く。
肝心の無限は呆けたまま。でも背中を強く叩かれ正気に戻った。さおちゃんの気付けの一発。むちゃくちゃ痛そうな音だったけど大丈夫?
「いって!? な、何が起きた?」
「しっかりしろ馬鹿! OKだよ! いいって言ってもらえたの!」
「な、何を?」
「プロポーズです、木村先輩!」
「誰が? 誰に?」
「あなたが、歩美さんにしたんでしょ」
「……おーけー? いいってこと、だよな?」
「そうだよ、何度言わせんのさ!? これでもまだわかんないか!」
駄目押しでもう一回キス。今度は熱烈なハグもオマケ。
思い出したように焚かれる大量のフラッシュ。
一番近いのは千里ちゃんのカメラ。
「すくーーーーーーぷ! 大すくーーーーーーーーーーぷ!!」
「あっはっはっ、世紀の瞬間を目の前で撮影できたね」
「は、あは、あはは……ははは……」
勇花さんの笑顔につられたように無限も笑い始める。涙目で。
「な、泣きながら笑ってる……」
「嬉しいんだよ! 嬉しすぎるんだよ!」
そう叫ぶと、私を軽々と持ち上げて今度はぐるぐる回り出した。
「ちょ、ちょっと?」
「やったぞ!! オレは、オレは歩美と結婚するんだ!!」
「だからそうだって何べんも言ってるだろ!」
脛を蹴るさおちゃん。無限は気にかけない。嬉しすぎて痛みなんてどうでも良くなってしまったらしい。
「愛してる! 愛してる歩美! 一生ずっと愛してる!」
あ~、もう、しょうがないな。お前にだけ言わせるのも不公平だ。
こっちも真っ赤な顔で叫び返す。
「私だってそうだよ! 愛してる! だから、とりあえず下ろして! 高いとこ苦手なの知ってるでしょ!」
──これが、私と無限が婚約した瞬間。幼い頃に近所の公園で出会って始まった長い恋の結末である。後で知ったところによると、父さん達も試合会場でずっと中継を見守ってくれていたそうだ。
「あなた……!」
「うむ……うむ……でかした! よろしく頼むぞ木村君!」
「やったああああああああああああああああああああああああっ! 大金星だ! 無限が大金星を挙げたぞ母さん! 馬鹿息子が自慢の息子になった!」
「ついに我が家にも娘ができる! 最高ね、あなた!」
「ねえちゃん、およめにいくの?」
「さみしい……」
「そうだね、寂しい。でも良いことなんだからお祝いしてあげなきゃ。二人とも、友樹も、歩美お姉ちゃんが戻って来たらちゃんと“おめでとう”って言うんだよ?」
「うん!」
もちろん、他の皆もね。
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