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完結編
私達の未来(3)
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「じーじ?」
歩道橋のある交差点を右に曲がると天道が首を傾げた。おっ、もしかして道を覚えてるのかな? すごい、流石は私の子。
「そうだよー、これからじーじのところにいくからね」
私がそう言うと天道はにっこり笑う。
わ~、可愛い。
その時、テレビの音声だけ流しているカーナビから聞き覚えのある声が響いた。
『やっほー! みんな、今日も元気かなー?』
「あーい!」
手を上げる天道。ははは、相変わらずあの人のことも大好きだね。
声の主は葵さん。無限と結婚したわけだから、当然あの人とも親戚になった。今も我が家にちょくちょく遊びに来てる。
あ、言い忘れてたけど私、無限の実家暮らし。義理の父母と同居してる。
葵さんの話に戻ろう。読者モデル、ヒーローショー、バラエティ番組の常連を経て現在あの人は子供番組の歌のお兄、もといお姉さん。子供向けの歌ばかりとはいえオリコンの三位にも入ったことのある人気歌手。
ただ、いいかげん女装は飽きられてきた感があるので大胆な路線変更を図ろうかなってこないだ会った時に言ってた。余計なことして逆に落ち目にならないといいけど。天道が気に入ってるから歌のお姉さんをしばらく続けて欲しいなあ。
「おっ、神高の制服」
地元の高校に通う生徒達の姿を見て思わず友美の姿を捜してしまう。でも、もういないのだということを思い出して苦笑した。
私の実家から三年間、父さんとママと美樹ねえの母校に通っていた友美は今年の春無事に卒業して東京の大学へ進んだ。今度は鏡矢本家から通わせてもらうらしい。時雨さんの三人の子の面倒も見られるから楽しそうって期待してた。ふふ、これから四年間たくさん楽しんで来てね。
ちなみにあの子、結局三年間の在学中に美樹ねえを彷彿とさせる伝説をいくつか作ってしまったらしい。父さんが「やはり美樹の子よな」と感心していた。
友樹は地元の高校を目指すらしい。どうせならあの子もこっちの学校に通ってくれたら嬉しいんだけどな。まあ本人の希望する進路が一番か。
昨年こしあんが亡くなってしまったけれど、そのショックから立ち直った後は顔つきが少し男らしくなっていた。こしあんは君と一緒に過ごせて幸せだったと思うよ。あの子が好きだった君のまま、強く優しく育ってね。
「さあ、着いたよー」
実家に到着。すぐに出るので家の前に停車して天道を抱き上げる。木村家のお義父さんとお義母さんは今も現役で働いていて、当面仕事をやめるつもりはない。だから保育園に入れるまでの期間は二人が休みの日以外、ここでこの子を見てもらうことにした。うちのママならいつも家にいるし。
「あれ? 歩美じゃねえか」
「えっ、小梅ちゃん?」
結婚して隣県にいるはずの小梅ちゃんが通りがかった。息子の大進君も一緒。
「どうしてここに?」
「通がこっちに用があるから、ついでに実家に顔出さねえかって言うんで昨日の昼一緒に来た。午後には帰る。そっちは?」
「今日から仕事に復帰するんだけど、この子が保育園に入れなくてさ、しばらくはママを頼ることにした」
「あー、アタシんとこも同じだ。まあ、うちはアタシが面倒見てやれるけど」
「そうなんだ、いいね大進君、いつもママと一緒だね」
「うん」
「にひひ、ほんとオメーはアタシが大好きだな」
小梅ちゃん幸せそう。通さんとも上手くいってるみたいでなにより。
「ま、もうしばらくしたら色々改善するかもよ」
「おん? なんで?」
「ほら、今回の選挙、教育現場の改革を公約に掲げてる人がいるでしょ」
「そういう話はわかんねー」
「いるんだって」
誰かというと前の職場で校長先生をしていたあの人。雫さんから電話を受けてたことがあったでしょ? あれって選挙に出馬しないかって話だったんだ。鏡矢家のバックアップを受けて教育現場の労働環境改善のために。
当時の私の話を聞いた雫さんは、激務に苦しむ先生達を助けなきゃって考えた。なので長年教育に携わって来た校長を候補者に選んだのである。
公約で掲げている改革案の中には待機児童問題の解消も含まれている。うちの子が入園するタイミングには間に合わなかったけど、もしもあの人が今度の選挙で当選したら未来には希望が持てる。今日から働く職場も前の職場も少しずつ働きやすい環境になっていくかもしれない。
「まあ、色々良くなるなら嬉しいよな。アタシもそのオッサンに投票しとく」
「うん、その時は一票入れたげて。っと、遅刻しちゃう」
「これから仕事だっけ。アタシらも行くわ。また」
「またね!」
「ばいばーい」
「あいー」
大進君と天道も手を振り合ってお別れ。私は急いでインターホンを押した。
すぐに足音が聞こえて中からママが──って、父さんも?
「どうしたの父さん? 平日だよ?」
「昨日の仕事で腰を痛めてな……今日は休みをもらった」
「ちょっと大丈夫?」
「心配いらん。今日一日安静にしていれば治る」
本当に大丈夫か? 顔色悪いぞ。うちの子を預けてもいいものだろうか?
悩んだけど他に選択肢は無い。ママに天道を渡して車へ戻る。
「それじゃあ、お願いね! 夜に迎えに来るから!」
「はいはい遅刻するわよ。いってらっしゃい」
「急いでも安全運転でな」
「わかってます! それじゃあ天道、ママいってくるね! いい子にしてて!」
「まーまー、まーまー」
ううっ、こっちに手を伸ばしてるよ。辛い。でも行かなくちゃ。
帰ったらいっぱいちゅーするからね! いってきます!
さて、職場に到着。二年の育休を終えて復帰することになったわけだけど勤務先は別の学校になった。今度は木村家から通える距離なのでありがたくはある。
ただ、上司が……まさかだよ。相手も同じことを思ったらしい。
「まさか、またあなたが部下になるとはね」
「お久しぶりです、教頭先生……」
「今の私は校長です」
あ、そうだった。
「すいません校長先生」
「まったく、君は前から少し抜けてるんですよ、大塚先生」
「……」
私、今は木村なんだけどツッコミは入れない方がいいよね?
校長先生は相変わらずの鋭い目でジロリと睨みつける。
「君ぃ、ここは笑いどころだろう?」
「あっ、ボケだったんですね」
「当たり前です。ちゃんとわかってますよ木村先生。君と一緒にしないでください」
「はい」
相変わらずの嫌味。でも今は懐かしさとくすぐったい嬉しさも感じる。この人はこうでないと。
「何をニヤニヤしておるのかね?」
「校長が相変わらずお元気そうだと思ったもので」
「ふん、私は健康管理にも気を遣ってますからね。この十年風邪一つひいてません」
言いながら校長の席に座った後、私を見上げて一言。
「息子さんはお元気ですか?」
「はい、おかげさまで」
「私は何もしとらんだろう。木村選手はどうだね? ちゃんと奥さんとして支えてあげているのだろうね?」
「はい、もちろん」
「彼には日本中が期待しとるからね。来年のオリンピックも頼むよ」
「前回の勝ち方は不本意だったし相手にも申し訳ないことをしたから、今度こそ納得いく形で勝って凱旋したいって張り切ってます」
「結構。では君自身への質問だが、本当にやれるのかね?」
「頑張ります」
「頑張るなんてのは当たり前なんだよ。教師としてやっていけるのか聞いている」
自信があるかどうかという話なら、まだ堂々と答えることはできない。
でも──
「前の学校と同じように生徒達のために全力を尽くします。もし、また私では力不足だと感じたなら、その時は遠慮無く仰ってください。教師として成長するため先達である校長や他の先生方の意見を伺いたいと思います」
「……ふん、ならいいでしょう」
ようやく私から視線を外す校長。校長室のドアを指差して退室を促す。
「行きなさい、私もすぐ行きます。他の先生方と始業式の準備を」
「はい」
「ああ、それと」
「はい?」
「君はこの学校の卒業生でしょう。私もここへ来て日が浅い。わからないことがあったら頼らせてもらいます」
目を丸くする私。この人が私に“頼る”って言った?
「……はい! いつでもお力になります!」
「けっこう、それではまた後で」
「失礼しました!」
私は浮かれ気分で校長室を後にした。って、いけないいけない。もうすぐ新しい生徒達と初顔合わせなんだから気を引き締めないと。
「……ふん、子が出来て少しはタフになりましたか」
あれならまあ、心配することもないでしょう。
歩道橋のある交差点を右に曲がると天道が首を傾げた。おっ、もしかして道を覚えてるのかな? すごい、流石は私の子。
「そうだよー、これからじーじのところにいくからね」
私がそう言うと天道はにっこり笑う。
わ~、可愛い。
その時、テレビの音声だけ流しているカーナビから聞き覚えのある声が響いた。
『やっほー! みんな、今日も元気かなー?』
「あーい!」
手を上げる天道。ははは、相変わらずあの人のことも大好きだね。
声の主は葵さん。無限と結婚したわけだから、当然あの人とも親戚になった。今も我が家にちょくちょく遊びに来てる。
あ、言い忘れてたけど私、無限の実家暮らし。義理の父母と同居してる。
葵さんの話に戻ろう。読者モデル、ヒーローショー、バラエティ番組の常連を経て現在あの人は子供番組の歌のお兄、もといお姉さん。子供向けの歌ばかりとはいえオリコンの三位にも入ったことのある人気歌手。
ただ、いいかげん女装は飽きられてきた感があるので大胆な路線変更を図ろうかなってこないだ会った時に言ってた。余計なことして逆に落ち目にならないといいけど。天道が気に入ってるから歌のお姉さんをしばらく続けて欲しいなあ。
「おっ、神高の制服」
地元の高校に通う生徒達の姿を見て思わず友美の姿を捜してしまう。でも、もういないのだということを思い出して苦笑した。
私の実家から三年間、父さんとママと美樹ねえの母校に通っていた友美は今年の春無事に卒業して東京の大学へ進んだ。今度は鏡矢本家から通わせてもらうらしい。時雨さんの三人の子の面倒も見られるから楽しそうって期待してた。ふふ、これから四年間たくさん楽しんで来てね。
ちなみにあの子、結局三年間の在学中に美樹ねえを彷彿とさせる伝説をいくつか作ってしまったらしい。父さんが「やはり美樹の子よな」と感心していた。
友樹は地元の高校を目指すらしい。どうせならあの子もこっちの学校に通ってくれたら嬉しいんだけどな。まあ本人の希望する進路が一番か。
昨年こしあんが亡くなってしまったけれど、そのショックから立ち直った後は顔つきが少し男らしくなっていた。こしあんは君と一緒に過ごせて幸せだったと思うよ。あの子が好きだった君のまま、強く優しく育ってね。
「さあ、着いたよー」
実家に到着。すぐに出るので家の前に停車して天道を抱き上げる。木村家のお義父さんとお義母さんは今も現役で働いていて、当面仕事をやめるつもりはない。だから保育園に入れるまでの期間は二人が休みの日以外、ここでこの子を見てもらうことにした。うちのママならいつも家にいるし。
「あれ? 歩美じゃねえか」
「えっ、小梅ちゃん?」
結婚して隣県にいるはずの小梅ちゃんが通りがかった。息子の大進君も一緒。
「どうしてここに?」
「通がこっちに用があるから、ついでに実家に顔出さねえかって言うんで昨日の昼一緒に来た。午後には帰る。そっちは?」
「今日から仕事に復帰するんだけど、この子が保育園に入れなくてさ、しばらくはママを頼ることにした」
「あー、アタシんとこも同じだ。まあ、うちはアタシが面倒見てやれるけど」
「そうなんだ、いいね大進君、いつもママと一緒だね」
「うん」
「にひひ、ほんとオメーはアタシが大好きだな」
小梅ちゃん幸せそう。通さんとも上手くいってるみたいでなにより。
「ま、もうしばらくしたら色々改善するかもよ」
「おん? なんで?」
「ほら、今回の選挙、教育現場の改革を公約に掲げてる人がいるでしょ」
「そういう話はわかんねー」
「いるんだって」
誰かというと前の職場で校長先生をしていたあの人。雫さんから電話を受けてたことがあったでしょ? あれって選挙に出馬しないかって話だったんだ。鏡矢家のバックアップを受けて教育現場の労働環境改善のために。
当時の私の話を聞いた雫さんは、激務に苦しむ先生達を助けなきゃって考えた。なので長年教育に携わって来た校長を候補者に選んだのである。
公約で掲げている改革案の中には待機児童問題の解消も含まれている。うちの子が入園するタイミングには間に合わなかったけど、もしもあの人が今度の選挙で当選したら未来には希望が持てる。今日から働く職場も前の職場も少しずつ働きやすい環境になっていくかもしれない。
「まあ、色々良くなるなら嬉しいよな。アタシもそのオッサンに投票しとく」
「うん、その時は一票入れたげて。っと、遅刻しちゃう」
「これから仕事だっけ。アタシらも行くわ。また」
「またね!」
「ばいばーい」
「あいー」
大進君と天道も手を振り合ってお別れ。私は急いでインターホンを押した。
すぐに足音が聞こえて中からママが──って、父さんも?
「どうしたの父さん? 平日だよ?」
「昨日の仕事で腰を痛めてな……今日は休みをもらった」
「ちょっと大丈夫?」
「心配いらん。今日一日安静にしていれば治る」
本当に大丈夫か? 顔色悪いぞ。うちの子を預けてもいいものだろうか?
悩んだけど他に選択肢は無い。ママに天道を渡して車へ戻る。
「それじゃあ、お願いね! 夜に迎えに来るから!」
「はいはい遅刻するわよ。いってらっしゃい」
「急いでも安全運転でな」
「わかってます! それじゃあ天道、ママいってくるね! いい子にしてて!」
「まーまー、まーまー」
ううっ、こっちに手を伸ばしてるよ。辛い。でも行かなくちゃ。
帰ったらいっぱいちゅーするからね! いってきます!
さて、職場に到着。二年の育休を終えて復帰することになったわけだけど勤務先は別の学校になった。今度は木村家から通える距離なのでありがたくはある。
ただ、上司が……まさかだよ。相手も同じことを思ったらしい。
「まさか、またあなたが部下になるとはね」
「お久しぶりです、教頭先生……」
「今の私は校長です」
あ、そうだった。
「すいません校長先生」
「まったく、君は前から少し抜けてるんですよ、大塚先生」
「……」
私、今は木村なんだけどツッコミは入れない方がいいよね?
校長先生は相変わらずの鋭い目でジロリと睨みつける。
「君ぃ、ここは笑いどころだろう?」
「あっ、ボケだったんですね」
「当たり前です。ちゃんとわかってますよ木村先生。君と一緒にしないでください」
「はい」
相変わらずの嫌味。でも今は懐かしさとくすぐったい嬉しさも感じる。この人はこうでないと。
「何をニヤニヤしておるのかね?」
「校長が相変わらずお元気そうだと思ったもので」
「ふん、私は健康管理にも気を遣ってますからね。この十年風邪一つひいてません」
言いながら校長の席に座った後、私を見上げて一言。
「息子さんはお元気ですか?」
「はい、おかげさまで」
「私は何もしとらんだろう。木村選手はどうだね? ちゃんと奥さんとして支えてあげているのだろうね?」
「はい、もちろん」
「彼には日本中が期待しとるからね。来年のオリンピックも頼むよ」
「前回の勝ち方は不本意だったし相手にも申し訳ないことをしたから、今度こそ納得いく形で勝って凱旋したいって張り切ってます」
「結構。では君自身への質問だが、本当にやれるのかね?」
「頑張ります」
「頑張るなんてのは当たり前なんだよ。教師としてやっていけるのか聞いている」
自信があるかどうかという話なら、まだ堂々と答えることはできない。
でも──
「前の学校と同じように生徒達のために全力を尽くします。もし、また私では力不足だと感じたなら、その時は遠慮無く仰ってください。教師として成長するため先達である校長や他の先生方の意見を伺いたいと思います」
「……ふん、ならいいでしょう」
ようやく私から視線を外す校長。校長室のドアを指差して退室を促す。
「行きなさい、私もすぐ行きます。他の先生方と始業式の準備を」
「はい」
「ああ、それと」
「はい?」
「君はこの学校の卒業生でしょう。私もここへ来て日が浅い。わからないことがあったら頼らせてもらいます」
目を丸くする私。この人が私に“頼る”って言った?
「……はい! いつでもお力になります!」
「けっこう、それではまた後で」
「失礼しました!」
私は浮かれ気分で校長室を後にした。って、いけないいけない。もうすぐ新しい生徒達と初顔合わせなんだから気を引き締めないと。
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