ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

文字の大きさ
41 / 188

41:エロ・テロリストからの牽制

しおりを挟む
「は~~、それにしてもブレイン様からの愛は、かなり重そうだけどな?」
「───ンッ、だから!どうしてそうなるんだよっ!?」
 あきれたような顔のカイエンに、首すじを指先でなぞられ、ビクリとからだがハネてしまう。

 一夜にして、すっかり首すじは弱点のひとつになってしまったらしい。
 朝といい今といい、カイエンのイタズラに、あやうく変な声が出そうだった。
 そんな自分もはずかしくなってくるし、なにより勘ちがいを加速させるふたりに、あたまが痛くなってくる。

「だって、恋とは出会いがしらの正面衝突事故とも言いますわ!避けようもなく、突如として巻き込まれるものですもの!!だから『もらい事故』だったのでしょう?」
 キャロライナ嬢は、こぶしをにぎりしめて熱弁をふるう。
 なるほど、たしかにそういう意味でももらい事故のようなものだったと言えばそうか……。

 そのいきおいに飲まれて納得しそうになったところで、ハッとした。
 ダメだろ、そこで納得しちゃ!!
 だけどカイエンまで、さらにたたみかけてくる。

「そうそう、そのキスマークといい、制服といい、めっちゃ愛されてんじゃん。それこそテイラーをかかえてセブンが保健室連れてったとき、俺もパレっちが心配するから代わりについてったんだけどさ……いや、おどろいたわ」
 カイエンのセリフに、嫌な予感がつのっていく。

「なにが……」
「先生があたま打ってんなら、楽なカッコにしなきゃダメだって言うから、俺、制服脱がせるの手伝ったんだよね。それでさ、見ちゃったんだ……」
 マズイ、まさか───!?

「先生がシャツのボタンはずしたら、そりゃあもうハデにつけられてたからなぁ、キスマーク。ほかにも歯形とか……あれ全部ブレイン様がつけたんだろ?なら、相当な執着されてんじゃねーの?」
「まぁっ!なんと破廉恥な!」
 カイエンが言うのに、キャロライナ嬢は真っ赤なほっぺたを両手でおおいながらさけぶ。

「なっ!?見た……のか……?!」
「うん、バッチリな!まぁすぐに『思春期の君タチには刺激が強すぎるカラ』って、保健室からふたりそろって追い出されたけど」
 まさか、アレを見られていたとか……。
 なんだよ、それ!
 はずかしすぎんだろ!!

 思わぬ事実があかされ、顔が熱くてたまらない。
 え、ていうか、それをカイエンはさておき、うちの子にも見られたのか??

 ───つーかそもそもその前にも、カイエンが『セブンが俺をかかえて保健室まで連れてった』とか言ってなかったっけ。
 なにそれ、子どもに介護されてめんどうをかけてしまった親の気分だよ!
 居たたまれなすぎるだろ!!

「いやぁ、あんなの見せられちゃったら、『めっちゃ愛されてる』としか言いようがなくなるじゃん。あとテイラーって肌白いから余計に目立つし、めっちゃエロかったっていうか……」
「~~~っ、ちがうっ!!あれは俺が嫌だって言ったのに、おもしろがってつけられただけで……っ!そんなの嫌がらせでしかないだろ?!」

「───つまり、殿下からあなたへの愛があふれているだけで、あなたはなんとも思っていないとでも?なんの自慢なのかしら、それ!!殿下をお慕いするワタクシへの当てつけかしら?!」
 カイエンのからかいにこたえれば、今度はキャロライナ嬢の目が据わってくる。

「そ、そんなつもりは……っ」
「でも殿下はこれまで、だれと枕を交わそうと、その制服をあたえられたりはしませんでしたわ!ワタクシが知るかぎり、ただの一度も!」
 それに気圧されたところに、さらに身を乗り出して熱弁をふるわれた。

「あたえたって……大丈夫です、この制服も借りただけですから!本人から、ちゃんとかえせって言われてるし!」
 それだってウソじゃない。
 直接部屋までかえしに来いという意味深な発言だったことを伏せれば、だけど。

「あー……」
「まぁ!」
 俺の発言に目を丸くするふたりに、ようやく信じてもらえたのかとホッと息をつこうとしたところで、ふいに背後に人の気配を感じた。

「おや、では私からの切ない片思いということになってしまうね?こんなにも私はキミのことを思っているのに」
「っ!?」
 腰にクる甘く響く低い声が聞こえたと思ったら、背後からのびてきた腕にギュッと抱きしめられ、つむじの近くにキスされる。

「ブ、ブレイン殿下!?」
 ふりかえって見上げた先にいたのは、たった今話題の中心になっていた、先ほど回廊でわかれたばかりのブレイン殿下、その人だった。

 いったい、どうしてここに───??

 最初に思ったのはそれだった。
 だって、さっき回廊のところで会って、教室に行くという俺は見送られてきたばかりなのにさ。
 しかも、あんな一方的に俺からお断りをしたような感じだったっていうのに……。

「どうして……」
「フフ、思った以上に興味深い話題だったので、立ち聞きを少々」
 なんだって?
 立ち聞きを少々とは……??

「ハッ!殿下におかれましては、ご機嫌うるわしゅう」
「レッドサヴィナ家のご令嬢も、ご機嫌うるわしゅう」
 呆けていたことに気づいて、あわてて淑女の礼を尽くすキャロライナ嬢に、ブレイン殿下は本当に機嫌がよさそうにかえしている。

 いや、だからなんで、あいかわらず俺を抱きしめたままなんですか!?
 しかもその手が、脇腹から腰にかけてさりげなくなでまわし、かぎりなくあやしい動きを見せている。

 チュッ
「なっ!?いきなり人前でなにするんですか!?」
 そのイタズラな手に気を取られたところで、無防備になっていたこめかみに音を立ててキスされた。 
 思わず抗議の声をあげれば、至近距離からほほえみかけられる。

 うっ、まぶしい!
 もはや凶器とも言えるくらいの顔面偏差値の高さに圧倒され、文句を言う気さえ失わされていく。
 なんなんだよ、このイケメンエロ・テロリストが!!

「キミに用があるからむかえに来ただけだよ。そのついでに、少々『』をね?」
「はぁ?なにを言って……ひぁっ……!」
 なにを言っているのかとあきれた目線をくれてやろうとしたところで、ふいにその指先が首すじをひとなでしていった。
 とたんに全身に広がる甘い疼きは、カイエンにされたときの比ではなかった。

「そこの赤髪の少年、この子の真価に気づいた慧眼は賞賛にあたいするけれど……でも手を出すのはダメだよ。この子は、私のモノだからね?」
「───は、ハイっ!」
 艶然とした笑みを浮かべたままブレイン殿下が話しかければ、カイエンは顔を赤くしたまま何度もうなずいている。

「なんでそんなこと……っ!」
「さぁて、行こうか?」
 わざとふたりに誤解をさせるようなことをしたブレイン殿下に抗議の声をあげようとしたところで、有無を言わせぬいきおいでグイッと腰を引き寄せられ、そのまま教室の外へと連れ出されたのだった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃がはじまる──! といいな!(笑) 本編完結済、ロデア大公立学園編、はじめました! 本編のあと、恋愛ルートやおまけのお話に進まずに、すぐロデア大公立学園編に続く感じです。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...