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マツヲ。

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97:急展開の断罪劇

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 なんでいきなり『星華せいかとき』の主要どころのヤツらからの、俺の好感度が爆あがりしてんだよ?!
 意味がわからなくて、混乱する。

 そもそも俺みたいなモブ、ちょっと前までは友だちらしい友だちもいない、ただのだったんだからな?!
 うっかり先日気づいたときはびっくりだったよ、マジでパレルモ様の取りまき仲間くらいしかいないじゃん!っていう。

「そんな『抜けがけ』とか言われても、知らねぇよ!テイラーからその程度の認知しかされてない、あんたが悪いだけだろ」
「クソ、本当のことだけに言いかえせねー!」
 しれっとドヤ顔をしつつも毒舌なセブンに、なぜだかカイエンはくやしそうに歯噛みする。

 うん、ドヤ顔決めてるうちの子はかわいい。
 いつもこんなふうに表情ゆたかだったら、もっとクラスの皆も取っつきやすくなるだろうに……。

 だって、セブンは見た目こそ無愛想をきわめていてツンツンしがちだけど、本来の中身はすなおなイイコだし、思いやりもあってやさしいヤツなんだ。
 まして顔の造作はととのっていて、かわいらしさがありつつも、きちんとカッコいいんだから最高だろ。

 やっぱりうちの子がいちばんだ、なんて親バカを発動したところで、ハッと気づく。
 そもそもパレルモ様とリオン殿下のにらみ合いをしていた最中だっただろって。

「───よいかパレルモ、あらためて言うぞ!貴様には公爵家の嫡男としての覚悟と知識が圧倒的に足りていない。これ以上、ダグラスの手をわずらわせるな!」
 そう思った矢先に、奇しくもちょうどリオン殿下が念押しをしている声が聞こえてくる。

 その直後だった。

「ふぇ、ふえぇ~~ん!!」
「パレルモ様っ!?」
 教室内に、大きな泣き声が響きわたる。

 もちろん声の主はパレルモ様だ。
 あわてて駆け寄ろうとしたその瞬間、チリッとした刺激が首のうしろに走った。

物語創作者シナリオライター権限を確認しました。シナリオ改変の要求を一部受諾。物語改変シナリオチェンジ、発動します。なお、システム管理者より業務連絡です。権限不足のため、一部の改変は却下されます』
 いつかも聞いたことのある、少し高めの合成された機械音声に似た声が響く。

 この声、ベルが転入してきたときに、俺の却下後にリテイクを伝えていたときのヤツだ……!
 聞きおぼえのあるその声に、ドキリとした。
 だって、つまりはこの教室のなかにその権能を奪った犯人がいるってことだろ?!

 いったい、だれなんだ!? 
 とっさに教室内を見まわそうとしたところで、こちらをにらむひとりの女子生徒と目があった。
 顔としては、メガネをかけているということ以外、これといって特徴もない平凡で地味なモブ顔だ。

 髪の毛だって、派手な色味のキャラクターが目立つクラスのなかでは落ちついたほうの深緑だし、それをうしろでひとつにまとめているのもシンプルなリボンだけだった。
 体型もどちらかと言えば小柄で、顔立ちの幼さからするに、おそらくはパレルモ様とおなじくらいの歳だろうか?

 ───つーか、だれだっけ?
 ダメだ、テイラーとしてはクラスメイトなんて、パレルモ様以外ろくに認識していなかったし、『』にしたってゲーム本編に出てくるモブくらいまでしか、きちんと認識できていない。

 そういう意味では、真性のモブなわけで。
 そりゃ認識できてなくても、あたりまえだった。
 でもこのタイミングで俺のことをにらんできているということは、まさか、この生徒が権能の力を奪った改変の犯人なのか───!?

「ゆるせない、パレルモたんを泣かせるなんて……!!」
 こちらをするどいまなざしでにらみつけたままに、低めの声でつぶやく。
 すわ確定か、と思った瞬間。

「そうだ、そうだ!!従者の分際で、己の主を泣かせるなんて、とんでもないヤツだ!」
「ふざけるな、ダグラス!!マイエンジェルのパレルモ様を泣かせるなんて、地獄へ落ちろ!!」
 教室内から一斉にブーイングがあがった。

 あぁ、なるほど。
 魅了の魔法にかかったままの、信者たちからの苦情だったかぁ……。
 しかも直接の原因になったリオン殿下には言えないから、間接的な原因になった俺が標的になったと。

「パレルモ様っ!」
「来ないで!テイラーなんて、大っキライだ!!」
「っ!?」
 のばした手を、パシッと払われる。

 ズキン……!!

 子どものカンシャクのようなものだとわかっているハズなのに、面と向かって『大キライ』と言われるだけで、どうしてこんなに胸が痛いんだろう?
 でも明確に拒否されたのは、これがはじめてだったから……。

「パレルモ!発言を撤回しろ!ダグラスはなにも悪くないだろうが!」
 俺の横からリオン殿下が声をあげた。
「ボクだって、悪くないもんっ!そんなイジワル言うリオンくんもキライだ!!」
 なのにその言葉は、まるっと拒否される。

 その直後、バン、と大きな音がして教室のドアがひらかれた。
 小柄で、ピンクの短い髪の生徒が顔を出す。

「ちょっと、なにがあったんですか!?なんでパレくんが泣かされてるの?!」
 あらわれたのは、都合よく担任とともにもどってきたベルだった。

「パレくん、大丈夫?!だれかにヒドイことされたの!?」
「うえぇん、ベルくぅ~ん!!みんながいじめるよ~!!」
 教室に入るなり、こちらへ駆け寄ってきたベルに、パレルモ様はいきおいよく抱きつく。

「なんてこと!皆さん、こんなにかわいらしくて、おやさしいパレくんをいじめるなんて、とんでもない!!今すぐあやまってください!!」
 口では『皆さん』と言いつつも、その視線は俺の顔へと固定されていた。

「なんだって!?パレルモくんをいじめるとは、なにごとですかダグラス!?」
 しかもあろうことか担任教師までもが、俺がパレルモ様をいじめた前提で咎めてくるとか!

 おいおい、なんで俺が犯人なんだよ?!
 むしろ泣きたいのは、こっちなんだからな!?
 なのに自分で思っていた以上にパレルモ様からの『大っキライ』にダメージを受けていたせいで、とっさに反論する言葉も出てこなかった。
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