ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

文字の大きさ
120 / 188

120:腹黒殿下は下心を隠さない

しおりを挟む
 そもそもブレイン殿下は『嫉妬した』なんて言っていたけれど、リオン殿下のなかでの俺への好感度は、ようやくマイナスだったそれがプラスに変わってきたばかり程度でしかないだろうに。

 こんなふうに好感度がカンストしてるどころか、オーバーフローしてるのなんてブレイン殿下だけだし、なにより俺がそういうことをしたいと思うのは、この人だけなのにさ。
 なにをそんなに心配することがあるんだろうか?
 かぶった布団の下から、じっとその顔を見つめる。

「それ、は……その……キミの顔が……」
 俺からの問いかけにこたえようとして、しかし言葉をえらんでいるからなのか、語尾がゴニャゴニャとほどけて消えていく。
 なんていうか、顔を少し赤らめさせているし、いつものキビキビとした雰囲気とはちがう感じだ。

 いったい、俺の顔がなんだって言いたかったんだろうか……?
 セリフのつづきを待っていても、気まずそうに視線をさまよわせるブレイン殿下は、口を開こうとはしない。

 俺にとっては、この沈黙がとても重たかった。
 その先につづく相手の言葉を待つあいだは、ものすごい緊張した。

 だって、こんなことくらいで嫉妬するほど愛されてるのかって、うれしくなる気持ちもある一方で、そんなに言いにくいような内容なのかと、ネガティブな発想をしてしまいそうにもなるから。
 特にこの顔に関しては、ブレイン殿下とは比べるべくもない。

 前世の『』からしたら十分神作画できらびやかな貴族顔かもしれないけれど、このゲームの世界となると話は別だ。
 テイラーは、いかにもにぎやかし要員の悪役モブらしく、メインキャラクターたちと比べたら、ずいぶんとあっさりした顔立ちでしかないもんなぁ……。

 あっちこっちに目線をさまよわせ、落ちつかない様子だったブレイン殿下が、小さくせきばらいをした。
 心なしかそのほっぺたは、さっきよりかは赤みが薄れているように見えた。

 いよいよさっきの気になるセリフのつづきが聞けるのかと思って、居ずまいを正す。
 ───まぁ、ベッドの上に起きあがり、布団を肩からかけた状態でしかないんだけど。

「……キミにとっての私は、リオンとおなじ『王族』カテゴリーの存在ではないのかな?」
 たっぷりの間をあけて、ふいに投げかけられたブレイン殿下からの問いは、まったくの想定外のものだった。

「え……?」
 なにそれ、どういう意味だ?
 とっさに問われた言葉の真意がわからなくて、ぽかんの間の抜けた顔をしてしまった。

 いや、たしかにブレイン殿下はこの国の王子様だし、なんならリオン殿下よりも王位継承権は高い位置にある。
 そういう意味では、まぎれもなく王族ではあるのだけど……。

 今、ふつうに俺はブレイン殿下のことを、王族のカテゴリーから除外してかんがえていた。
 問われてはじめて、そのことに気がついた。

 なんでブレイン殿下を王族でカテゴライズしなかったんだ?
 そう自分に問いかけようとしたところで、こたえにたどり着く。

 うわぁ、俺もたいがいすぎんだろ!?
 カァッと頬が熱くなってくる。
 だってそれは……。

「うん?いいよ、遠慮なく言ってかまわないから」
 もうすでに俺のこたえを察したのか、ブレイン殿下はにこにこと機嫌のよさそうな顔をして、発言をうながしてきた。

「あ、あなたは今、俺にとっては……『恋人』なんだと思っていたんですけど、それは単なる勘ちがいだったんでしょうか!?」
 たったそれだけのことを口にするのに、ものすごいはずかしさが込みあげてきて、相手の顔すら、まともに見られない。

「うんうん、キミにもちゃんと自覚が芽生えたようで、なによりだよ」
 でもその声を聞くだけで、ブレイン殿下が満面の笑みを浮かべているんだろうなってことは、よく伝わってくる。

「で、でもあくまでも『魅了香チャーム・パフューム』を流した犯人を無事に捕まえるまでの、かりそめの『恋人役』ですけどね?!」
 そりゃ俺個人としては、この関係がホンモノになってくれたらいいのに、と願ってはいるけれど。

「……やれやれ、キミもなかなか頑固だね……どのみちムダな抵抗だと思うけどな」
 小さなため息とともに、呆れたような声でつぶやかれる。
 悪かったな、どうせ頑固者ですよ!

 でも俺がこの世界に来たいちばん理由は、この世界に侵食し、管理者権限の一部権能をうばった犯人を捕まえて、その力を取りかえすことだ。
 これだけは、なにがあろうと順位を動かせはしない。

 俺の愛する『星華せいかとき』の世界を取りもどすためなら、どんな苦労だろうとかまわない。
 それくらいの覚悟は、とっくに決めていた。

 ……まぁ、もうだいぶ目の前のこの人に流されて、引きかえせないところまで来てしまっている気がしなくもないけれど。
 それでもいざとなったら、その目的を優先するためなら、この関係すら、なかったことにしないといけないかもしれないともかんがえていた。

「う~ん、こうなったらキミがすなおに私の手のなかに落ちてくれるまで、何度も啼かせてあげなくちゃいけないね?キミの場合は、はずかしい目に遭うのが、いちばん追いつめられるみたいだし」
「っ?!」
 なんだよ、それ!?
 不穏すぎるんですけど??!

「まぁ、キミが快楽に蕩ける顔は、なにより私の心の琴線をかき鳴らしてくれるからねぇ……フフ、思い出すだけで、朝だというのにまたからだが火照ってきそうだよ」
 あいかわらずブレイン殿下は、清々しいほどに俺の前ではオープンスケベだな?!

 それって、言い方こそふつうめかしてるけど、あいかわらずの猥談だからな?!
 要は、俺の最中の顔を思い出すだけでヌケるってことじゃん!!

「~~~~~っ、最っっ低です!!」
 キッとにらみつけたところで、どこ吹く風なんだろうけど。
「つまり俺が悪いっていうよりかは、ブレイン殿下の嫉妬にかこつけた、一方的な性癖の押しつけを受けたってことですよね?!」

 なんとなくくやしくて、口調が少しトゲトゲしいものになってしまった。
 でもしょうがないだろ、これは相手のほうが悪い。
 そりゃ俺に問われたところで、はっきりと口に出せるわけがないよな?

「まぁ、そうとも言うね!その代わりと言ってはナンだけど、愛しいキミを甘やかすためなら、少しくらいの融通は利かせてあげられるよ?」
「そうやって開きなおるところですよ!!」
 うん、みじんも反省の気配が見えないヤツだ。

 昨夜までの艶っぽさはどこへいってしまったのか、色気もなくぎゃあぎゃあと言い合いに発展しそうになったところで、コンコンと控えめに寝室のドアがノックされた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃がはじまる──! といいな!(笑) 本編完結済、ロデア大公立学園編、はじめました! 本編のあと、恋愛ルートやおまけのお話に進まずに、すぐロデア大公立学園編に続く感じです。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 番外編。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

処理中です...