ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

文字の大きさ
121 / 188

121:愛を育むことでも命がけ!

しおりを挟む
 前回同様に、たぶんめちゃくちゃ高級なポーション風呂に入れてもらい、身仕度をととのえられたところで、朝食の席につく。
 直接的な痛みとかはとれているものの、なんとなくからだはダルいままだった。

「ハァ……こんなに毎晩自室に帰れないとか、まるで俺がとんでもない遊び人みたいになっちゃってるじゃないですか!ホント、勘弁してくださいよ……」
 思わず泣きごとをもらしたところで、目の前の美麗な顔を見る。

 よく美人は3日で飽きるとか言うけど、そんなもんじゃ全然見慣れないからな?!
 毎回目にするたびに、『うっ、まぶしい!』ってなるから、絶対。
 少なくとも俺は今、そのまぶしさを噛みしめている。

「うん?私たちが愛し合っているのは、なにも悪いことではないだろう?それこそ『』的にも大変説得力が出るし、私の生活にもうるおいが増えて、実によろこばしいこと尽くしじゃないか。気にする必要はないよ」
 全然うなずけない内容なのに、うっかり納得しそうになってしまうから、本当に美というのは大きな力だと思う。

 でも、ここで譲るわけにはいかなかった。
 だって俺には、このままではマズイことになる未来しか見えなかったから。

「それが十分よろしくないことになり得るんですよ、俺の場合」
「キミの場合……?」
 げんなりとした俺の様子に、ブレイン殿下は首をかしげる。
 そんなささいな仕草ですら、絵になる人だ。

「えぇ、パレルモ様をほったらかしにしたら、命がないものと思わなきゃいけないので」
 それは領地を出てこの学校に入るときに、パレルモ様の父親であるライムホルン公爵ご本人から呼び出され、直々に言われたことだ。

「なんだい、それは。恋人の前でほかの男の名前を出すとか、どういうつもりかな?」
「……冗談とかじゃないですからね?俺にとっては今の状況ですら、命がけの生活送ってるようなものなので」
 まだどことなく信じていなさそうな様子に、若干くちびるをとがらせて抗議する。

「───とりあえず、話を聞こうか」
 こうして、ブレイン殿下はようやく俺が本気なことを知って、話を聞く気になったらしかった。





「……というわけで、俺がパレルモ様の面倒を見られていない今の状態は、非常にマズイと言えるわけです」 
「あぁ、それはさぞ大変な任務だったね、お察しするよ」
 かいつまんで俺たち取りまき連中の置かれた環境について説明すれば、それだけでブレイン殿下は、ほぼすべてを察したらしい。

「はい……まして同室となったベル・パプリカは、ろくでもないヤツでしたからね……」
 最初はナニがあろうと、作中で片思いをしていたヒロイン相手になるのなら、最終的には問題ないかと油断していたけれど。
 俺的には、とんでもないヤバいヤツだったもんな……。

「あぁか。私としてもキミにたいする不敬罪に問いたい輩だったね。今ごろは懲罰房で、おとなしくしているだろうけど」
「そんな人物との同室をゆるしてしまったこと自体が、おそらくライムホルン公爵にとってはゆるしがたい罪に思われているんじゃないかと……」
 急に機嫌の低下するブレイン殿下に、苦笑をもらす。

 ───そう、問題はベルの俺への態度なんかじゃなくて。

 公爵から厳命されているにもかかわらず、少しでもパレルモ様を危険にさらしてしまったことこそが、この場合の問題だった。
 ついでに言えば、同室を解除される前から俺はブレイン殿下の部屋に入りびたりになっていたし、それもまたその原因と判じられかねないと思う。

「恋人である私の名前を出しても、その罪は減じられないのかい?」
「えぇ、俺の相手がライムホルン公爵家でどうとでもできるような下位のものではなく、それよりも立場が上のブレイン殿下だなんて、かえって重大な裏切り行為と見なされるでしょうね」
 そこで一度区切ると、小さくため息をつく。

「全力でパレルモ様にお仕えしなくてはならない立場でありながら、それを放棄し、己の恋愛にうつつをぬかすなんてとんでもないと言われるでしょう……」
 あの公爵閣下なら言いそうなことだ。

 だからこうしてブレイン殿下との時間を優先し、パレルモ様を放置しているとも言える状態の俺は、いつ何時、ライムホルン公爵からの叱責で処分されるかわからないと言ってもいい。

 そりゃ俺の命だけなら、たぶんブレイン殿下にすがれば守ってもらえるかもしれないけれど。
 というか、それが目的で公爵よりも立場が上のブレイン殿下をたぶらかしたと断じられるであろうことは明白だった。

 だからこそ、それは選べない対処法だった。
 だってそんなことをしたら今度は、かの公爵の怒りは俺個人どころか我が家全体に波及してしまう。

 もしライムホルン公爵が俺を処刑すると言い出したなら、甘んじて受け入れるしかない。
 そうしないと、俺の付き人をはじめとする周囲の人を巻き込んでしまうんだ。
 俺のせいで死ぬ人なんて、できることなら作りたくないに決まってるだろ!

「なるほど、八方塞がりだな……私が下手にキミのことをかばえば、逆に今度はキミの家にも累がおよぶということだね?」
「っ!」
 あえて言葉にせずに濁した部分も、あやまたずにブレイン殿下は拾いあげてくれた。

「ひょっとしてキミが、『恋人のふり』という身分にこだわるのも、それが原因だったりするのかい?」
「………もちろん、それだけではないですけれど……」
 俺には、この世界の改変を正すというミッションがあるわけだし。

「そうか……いずれにしても、私としても無視はできない状況というわけか……」
 そしてあごに手をあてて、長考するような仕草をしたまま、ブレイン殿下は黙り込んだ。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃がはじまる──! といいな!(笑) 本編完結済、ロデア大公立学園編、はじめました! 本編のあと、恋愛ルートやおまけのお話に進まずに、すぐロデア大公立学園編に続く感じです。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 番外編。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

処理中です...