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141:心配な人、全員集合!
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気まずい沈黙が、その場を支配する。
なかば横から抱きしめられている状態のまま、どうしていいかわからずに固まっていれば、先にその空気を壊してくれたのは、やっぱりセラーノ先生のほうからだった。
「……まぁブレインに、君のことを手放すつもりがみじんもナイのはわかってルし、アレを敵にまわすのは正直避けたいところダカラネ、僕はせいぜい『役得』をねらうとすルヨ」
ん?
思ったよりも口調が明るいな……?
さっきまでのガチトーンから一転して、急に軽やかな雰囲気を出してきたセラーノ先生の変わり身に理解が追いつかないでいれば、糸目をさらに細くして笑いかけられる。
「あのネ、前にも言ったと思うンだけど、君はもう少し危機感を持ッタほうがイイヨ?さっき僕がなンて言ったかおぼえてル?」
「え……?」
さっきセラーノ先生が、なにを言ったかだって?
そう言われて、必死に記憶をたどる。
俺が言われたなかで、問題がありそうなことといったら……。
「『こんなふうに、悪い大人がつけ入るすきを狙ッテいるかもしれないしネ?』とかですか……?」
「そうそう、まさに今なんてその状況ダケド、もっと前───なンなら最初のほうに言ったコトだヨ?」
俺からの回答に、コクコクとうなずきかえしてくる。
もっと前って、なにを言われたんだっけ??
わからなくて必死に首をひねってかんがえこめば、ニヤリと口もとをゆがめて笑われた。
「あのネ、『君は強めの薬をかがされてタ以外は、なにもサレてなかッタから。ちゃんと僕が確認しておいタからネ?』ッテ言ったの、おぼえてナイ?」
「あぁ、うん、それはなんとなくおぼえてるんですけど……って、まさか!?」
サァッと顔から血の気が引いていく。
「ンフフ、そりゃからだのすみずみまで確認したヨネ。君はどう見ても、手首は無理やりつかまれタみたいに赤くなってルし、頬にしたって殴られタみたいに腫れてルし、気を失っていルンだもの。真っ先に確認すべきトコロデショ」
淡々と言われるけれど、こっちの気持ち的にはそれどころじゃない。
「えっ、いや、その……」
見られたってことか!?
ナニを、どこまで────??!
そこに思いいたり、血の気が引くどころか、あたまのなかまで真っ白になっていった。
「いやぁ、ブレインのヤンチャのおかげで、一瞬判断に迷いかけタけど、あいかわらず情熱的というか……まぁでも安心してイイヨ、ソコはケガひとつなくキレイなままだッタからネ~」
言われてる言葉の意味はわかるのに、あたまが理解するのを拒否してくる。
うわあぁぁぁ、いたたまたれないなんてモンじゃない!!
さっきはあたまのなかまで真っ白になりかけたけど、おかげで今は正反対に、耳まで真っ赤だ。
バレてるっつーか、マジで全部見られたってことじゃん、これぇっ!!
俺だって、人並みの羞恥心くらい持ち合わせてるっつーの!
そりゃ、朝の身じたくのときに入れてもらったポーション風呂のおかげで、全身に散らされたキスマークは薄れていたし、ついでに昨夜のうちになかに出されたモノはちゃんと処理してもらってたけど!
それにしたって、そんなこと言えるのなんて、ちゃんとなかまで確認されたからこそじゃん、もう!!
「君は本当に無意識下でも、色っぽくなっちゃッテ、どれだけブレインから愛されたンだろうネ?」
「うぅ………」
ウソだろっ?!
顔から火を吹きそうなほどに、熱い。
思わず耳をふさいでギュッと目をつぶり、聞こえないふりをよそおいたくなっても仕方ないよな?!
てか、泣いていい案件だろ、これ?
なんならあまりのはずかしさに叫びだしてしまいそうだったけど、人間、本当にテンパると一切の声が出なくなるらしい。
くちびるがわなわなとふるえるばかりで、なにかを言おうとしても言葉にならず、結局つぐむしかなかった。
「───まぁ、それにしたって、あくまでも医療行為の一環ダカラネ。ついでに麻痺毒の中和薬を飲ませルのも口移しだッタけど、それにしたッテ、あくまで君の意識がなかッタンだから仕方ナイことダヨネー。そうそう、イリョーコーイ、イリョーコーイ」
「それ、思いっきりウソっぽい言い方!!」
思わずツッコんでしまったのも、俺のせいじゃないだろ。
「ンフフッ、僕的にはだいぶ役得だッタけど……どうせ気づいてなかッタヨネ?ま、そういうわけダカラ、君はもっと危機感を持ッタほうがイイってのは事実だヨ」
「…………………」
たしかに、そんな話を聞かされるまで、なにをされたか気づいてもいなかったんだから、薬で眠ってるあいだの俺は無防備すぎるというか、感覚がにぶいのか……。
なんにしても、これだけは言える。
───あああ、もうこんなの一生の不覚だ……っ!!
「大丈夫ダヨ、君のあられもない姿を見たのは僕だけダカラ」
思いっきりあたまをかかえたところで、背中にまわされた腕で、そっとはげますようになでられた。
「なにそれ、全然はげましにもなってないんですけど!……って、え………?」
なんだろう、すごく嫌な予感がする。
わざわざそんな『僕だけ』なんて強調するような言い方をする理由って、なんだろう?
そんなの保健室にいるんだから、セラーノ先生だけなのは、あたりまえなんじゃないのか……?
「おや、気づいちゃったカナ?みんな君のことが心配で、駆けつけて来てるンだヨネ~」
そうして、音を立てて紗の幕が開かれる。
とたんに周囲の音が聞こえてきて、紗の幕越しに見えていた、うすらぼんやりとした背景に溶け込んでいたカラフルな一角が、鮮やかさを増した。
「「テイラーッ!!」」
「っ、ダグラス!」
名前を呼ばれ、そこからいくつもの人影が飛び出してくる。
「えっ、ジミー??って、リオン殿下!?それにカイエン、セブンまで……!?」
俺にとっては予想外の豪華メンバーが、つどっていたのだった。
なかば横から抱きしめられている状態のまま、どうしていいかわからずに固まっていれば、先にその空気を壊してくれたのは、やっぱりセラーノ先生のほうからだった。
「……まぁブレインに、君のことを手放すつもりがみじんもナイのはわかってルし、アレを敵にまわすのは正直避けたいところダカラネ、僕はせいぜい『役得』をねらうとすルヨ」
ん?
思ったよりも口調が明るいな……?
さっきまでのガチトーンから一転して、急に軽やかな雰囲気を出してきたセラーノ先生の変わり身に理解が追いつかないでいれば、糸目をさらに細くして笑いかけられる。
「あのネ、前にも言ったと思うンだけど、君はもう少し危機感を持ッタほうがイイヨ?さっき僕がなンて言ったかおぼえてル?」
「え……?」
さっきセラーノ先生が、なにを言ったかだって?
そう言われて、必死に記憶をたどる。
俺が言われたなかで、問題がありそうなことといったら……。
「『こんなふうに、悪い大人がつけ入るすきを狙ッテいるかもしれないしネ?』とかですか……?」
「そうそう、まさに今なんてその状況ダケド、もっと前───なンなら最初のほうに言ったコトだヨ?」
俺からの回答に、コクコクとうなずきかえしてくる。
もっと前って、なにを言われたんだっけ??
わからなくて必死に首をひねってかんがえこめば、ニヤリと口もとをゆがめて笑われた。
「あのネ、『君は強めの薬をかがされてタ以外は、なにもサレてなかッタから。ちゃんと僕が確認しておいタからネ?』ッテ言ったの、おぼえてナイ?」
「あぁ、うん、それはなんとなくおぼえてるんですけど……って、まさか!?」
サァッと顔から血の気が引いていく。
「ンフフ、そりゃからだのすみずみまで確認したヨネ。君はどう見ても、手首は無理やりつかまれタみたいに赤くなってルし、頬にしたって殴られタみたいに腫れてルし、気を失っていルンだもの。真っ先に確認すべきトコロデショ」
淡々と言われるけれど、こっちの気持ち的にはそれどころじゃない。
「えっ、いや、その……」
見られたってことか!?
ナニを、どこまで────??!
そこに思いいたり、血の気が引くどころか、あたまのなかまで真っ白になっていった。
「いやぁ、ブレインのヤンチャのおかげで、一瞬判断に迷いかけタけど、あいかわらず情熱的というか……まぁでも安心してイイヨ、ソコはケガひとつなくキレイなままだッタからネ~」
言われてる言葉の意味はわかるのに、あたまが理解するのを拒否してくる。
うわあぁぁぁ、いたたまたれないなんてモンじゃない!!
さっきはあたまのなかまで真っ白になりかけたけど、おかげで今は正反対に、耳まで真っ赤だ。
バレてるっつーか、マジで全部見られたってことじゃん、これぇっ!!
俺だって、人並みの羞恥心くらい持ち合わせてるっつーの!
そりゃ、朝の身じたくのときに入れてもらったポーション風呂のおかげで、全身に散らされたキスマークは薄れていたし、ついでに昨夜のうちになかに出されたモノはちゃんと処理してもらってたけど!
それにしたって、そんなこと言えるのなんて、ちゃんとなかまで確認されたからこそじゃん、もう!!
「君は本当に無意識下でも、色っぽくなっちゃッテ、どれだけブレインから愛されたンだろうネ?」
「うぅ………」
ウソだろっ?!
顔から火を吹きそうなほどに、熱い。
思わず耳をふさいでギュッと目をつぶり、聞こえないふりをよそおいたくなっても仕方ないよな?!
てか、泣いていい案件だろ、これ?
なんならあまりのはずかしさに叫びだしてしまいそうだったけど、人間、本当にテンパると一切の声が出なくなるらしい。
くちびるがわなわなとふるえるばかりで、なにかを言おうとしても言葉にならず、結局つぐむしかなかった。
「───まぁ、それにしたって、あくまでも医療行為の一環ダカラネ。ついでに麻痺毒の中和薬を飲ませルのも口移しだッタけど、それにしたッテ、あくまで君の意識がなかッタンだから仕方ナイことダヨネー。そうそう、イリョーコーイ、イリョーコーイ」
「それ、思いっきりウソっぽい言い方!!」
思わずツッコんでしまったのも、俺のせいじゃないだろ。
「ンフフッ、僕的にはだいぶ役得だッタけど……どうせ気づいてなかッタヨネ?ま、そういうわけダカラ、君はもっと危機感を持ッタほうがイイってのは事実だヨ」
「…………………」
たしかに、そんな話を聞かされるまで、なにをされたか気づいてもいなかったんだから、薬で眠ってるあいだの俺は無防備すぎるというか、感覚がにぶいのか……。
なんにしても、これだけは言える。
───あああ、もうこんなの一生の不覚だ……っ!!
「大丈夫ダヨ、君のあられもない姿を見たのは僕だけダカラ」
思いっきりあたまをかかえたところで、背中にまわされた腕で、そっとはげますようになでられた。
「なにそれ、全然はげましにもなってないんですけど!……って、え………?」
なんだろう、すごく嫌な予感がする。
わざわざそんな『僕だけ』なんて強調するような言い方をする理由って、なんだろう?
そんなの保健室にいるんだから、セラーノ先生だけなのは、あたりまえなんじゃないのか……?
「おや、気づいちゃったカナ?みんな君のことが心配で、駆けつけて来てるンだヨネ~」
そうして、音を立てて紗の幕が開かれる。
とたんに周囲の音が聞こえてきて、紗の幕越しに見えていた、うすらぼんやりとした背景に溶け込んでいたカラフルな一角が、鮮やかさを増した。
「「テイラーッ!!」」
「っ、ダグラス!」
名前を呼ばれ、そこからいくつもの人影が飛び出してくる。
「えっ、ジミー??って、リオン殿下!?それにカイエン、セブンまで……!?」
俺にとっては予想外の豪華メンバーが、つどっていたのだった。
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