ヒロイン王子は負けたくない!

マツヲ。

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*Ep.16 勇者によるとんでもない人助け

 たった今ジェイクから言われたセリフがあまりにも想定外すぎて『理解がまったくできない』とばかりに、おかしな顔になってしまったんじゃないかと思う。
 ちょっと待ってくれよ、って……?

「だから、あなたが疲れているなら、僕が代わりにシますって言ってるんです!」
 そう叫ぶジェイクは、後ろ姿からでもわかるくらい耳まで真っ赤に染まっていて、彼なりにとんでもない申し出をした自覚はあるらしい。
 とはいえ、これも彼からすれば多少変則的ではあるけれど、人助けの精神からくる申し出であることに疑いようはなかった。

「でも……おまえはそれでいいのか?オレのこと、嫌ってるんだろ?そんなヤツのなんて、触りたくないに決まってるだろ!?」
「それでもっ、そんなに苦しそうな人のことは放っておけません!!」
 無理はするなと助け船を出したオレに、しかしジェイクは即座に正義感にあふれる言葉をかえしてくる。

 ズキン……
 その瞬間、かすかにオレの心は痛みを訴えてきた。
 わかっていたことでも、こうして明らかになると、傷つくこともあるんだな、なんて。

 オレのことが嫌いなのだろうとオレに問われた彼は、しかしそれを明確に否定しなかった。
 ジェイクといえば、ゲームのなかでは正直者でウソがつけない主人公として知られているからこそ、もしオレのことが嫌いではないのなら、きっと即座にその言葉を否定していたはずなのに……。

「あの……?」
 オレからの返答がないことを不審に思ったのか、ジェイクからは気づかわしげな声で問いかけられ、ハッとして我にかえる。

 いけない、オレが嫌われて傷ついてるなんて知ったら、ジェイクのことだ、気にしてしまうかもしれない。
 せめてオレくらいは、ジェイクにとって気兼ねなく不満をぶつけられる存在でいないと!

 ある日突然、自国の王様から平凡な農民だったはずの自分が『神託の勇者』だなんて、責任の重たい役職を押しつけられたんだ。
 それくらいの捌け口を用意するのも、ジェイクを勇者に任命した国王の身内としての取るべき責任のひとつだろ。

「おまっ……本当にあきれるくらいのお人好しだな……わかった、今夜のことは、おたがいに事故だと思って忘れることにしような?」
「……そうですね……」
 まるであきれて声を失っていたのだと言わんばかりにごまかしたところで、ジェイクがゆっくりとこちらをふり返った。

 そこでようやく見た相手の顔は、オレが想像していたとおり真っ赤に染まっている。
 なんならこれまで不快感を必死に耐えてきたからなのか、ジェイクもまた涙目になっていた。

「っ!?」
 だけどこちらの姿を目にした瞬間、ジェイクは息を飲み、とっさに口もとを腕でおおってしまった。
 なんだよ、そんなに吐き気をもよおすほどオレの姿が見苦しかったのかよ?!

 そりゃ、もうまっすぐ座っているのもツラくなってて、ソファーにだらしなくもたれかかり、あたまもぼんやりとしているせいで、表情ひとつとりつくろえなかったりするけれども。
 でもかろうじて自分の粗末なモノは見せないようにって、手で隠すくらいの気づかいは見せたつもりなんだからな?!

「いいですか、触りますよ!あ、あとで『無理やり襲われた』とか、『責任取れ』とか言わないでくださいねっ!」
 苦々しげな気持ちでうつむいたところで、いつの間に距離を詰めてきたのか、至極マジメな顔をしたジェイクがソファーの横に腰かけてきた。

「ん、だいじょうぶだって……だってこれは、人助けのためにすることだろ……?勇者なら、人助けをすることに特別な意味なんてなくてもいいモンじゃん……」
 ジェイクからすればそもそも不快なことだというのに、近くで苦しむ人を見捨てられなくて、やむなく手伝うことになっただけなんだから、『責任』もなにもないだろうに。

 それとも、あいかわらずジェイクからはオレがそんなことを盾に、関係を迫るようなクズに見えてるんだろうか?
 ハハッ、オレはそこまで信用ないのか、なんて……。

 ズキン、ズキンッ……
 そう思った瞬間、ふたたび胸のあたりが痛みを訴えてくる。
 あぁどうしよう、傷ついた顔なんて見せちゃダメなのに……。

「その、おたがいに顔が見えないほうがいいと思うんです!だからこのまま僕に寄りかかってください、そしたら後ろから支えますので」
「あぁ、わかった……」
 その申し出は、顔を見られたくないオレにとっては、むしろ都合のいいものだった。

 ついでに言えばソファーにきちんと腰かけているのだってツラくて、さっきまでひじ掛けのところに寄りかかっていたくらいなんだ、寄りかかってもいいというのなら、それはすなおに助かることだけど。
 ジェイクの言葉に甘えて寄りかかれば、すぐに背後から抱きしめるように腕がまわされた。

「っ!?」
 ヤバい、こんな状態だっていうのに、ジェイクの存外厚い胸板とか、筋肉質な固い腕とか、そっちに気が取られそうになる。
 それに背中に感じるあたたかさはまちがいなく人肌によるものだからこそ、さんざん出して落ちついたはずの下腹の奥は、ふたたび歓喜にわなないた。

「失礼します!」
「んっ」
 ジェイクの手が硬さを失っているオレのをやさしく包み込むようにしてにぎり、ゆるゆるとしごきだす。

「やっ、あぁっ……んぅっ!」
 ちょっと待って、ウソだろ?!
 これまでの比じゃないほどに、一気に全身に快感の波が押し寄せてくるなんて!

「あっ、まって、ンッ……!」
 ジェイクの手の動きは、けっして特別なものではなかったと思う。
 なんなら拙いと言ってもいいくらいだったはずなのに、それなのに、このからだのなかを駆け巡る刺激は、これまでの何倍もの強さを持っていた。

 ひっきりなしにあがる嬌声のせいで、ツバだってろくに飲み込めなくなって、タラリラと口はしから垂れてきた。

「やらっ、しょれらめ、らからぁっ!」
 これまでも散々己の手で手荒くしごいてきたそこは敏感になりすぎて、マメのできたジェイクの手のひらで包まれてこすられたら、快楽が上まわりすぎて耐えられそうになくて。
 舌っ足らずな声しか出せなくなっていた。

「なにが『ダメ』なんですか?!」
 この野郎、そんなこと聞いてくるんじゃねぇ!!
 マジメゆえにかえって単なる羞恥プレイみたいになってんじゃねーか!!

「だから、その……そっちは自分でいっぱいシたから……ジェイクにまでされたら、きっとキモチよすぎてしんじゃうからぁっ!」
 懸命にハッキリとした声でしゃべろうとしてうまくいかずに、どうにもたどたどしい発音になってしまう。
 だって、『もう敏感になりすぎてていっそ苦しいんだ』なんて言いわけ、口にするのもはずかしすぎた。

「やらぁ……あうぅ、ん~~~っ!!」
 それくらい、ジェイクの手に触れられるたびに強烈な刺激が脳天まで走り抜け、必死に口もとに腕をあてて声を抑えようとしているのにガマンするなんてもう無理だった。
 視界はチカチカと明滅し、今にも意識が飛んでしまいそうになる。

「本当に……が危ないってのに……!でも、その……僕の手でいじられるの、そんなに気持ちいいんですか!?」
「ンッ」
 ジェイクにたずねられ、顔を真っ赤に染めたオレは必死でうなずく。

「へぇ、そっか……わかりました、じゃあ……こっちだけにしますね?」
 そう宣言したとおり、今度は先っぽだけをていねいに指先で責め立ててくるなんて。

 だからおまえの気づかいは、ていねいすぎてむしろ鬼畜の所業になってるんだってば!!
 そんなとこだけイジられたってイケるわけないだろ?!

「あぁんっ、やらあぁっ!」
 そう言いたかったはずなのに、セリフはまとも出てきてくれなくて、代わりに出るのは甘ったるくてあたまの悪そうなあえぎ声だけだ。

 マジでこれ、思った以上にヤバいかも……!?
 自分の手ではないせいで、次にどう動くのかも見当がつかなくて、ジェイクがいじっているそこも、もうずっと先走りの汁があふれたまま、グチグチと卑猥な音を立てている。

 そのせいで目をつぶってもなお、耳からもあえぎ声と汁めいた音によって己の痴態を突きつけられているなんて、もうどうしていいかわからない。
 クソッ、だからなんで、こんなに拙いはずの動きなのに声が止められないほど気持ちがいいんだよ?!

「やっ、もういいからっ!でる、でるぅっ……もうむりぃっ!!」
 込みあげてくる快楽は大きなうずを巻き、オレの意識を飲み込もうとする。
 ただもうオレにできることなんて、衝撃にそなえるように目をぎゅっとつぶり、そして勝手に全身が緊張のあまりに固まっていくのを甘受するだけだった。

「いいんですよルーイ王子、そのままイッても。あとは僕が片づけときますからね」
 耳元でやさしくささやきかけられ、その瞬間にキュウっと下腹のあたりが収縮する。
 そして次の瞬間、視界はホワイトアウトした。

「あ……あぁっ……!」
 とめどない快楽の波が、何度も打ち寄せては返し、そしてあふれまくったそれが全身に広がっていく。
 まるで雲の上にいるみたいにふわふわとしたその感覚とは裏腹に、からだのほうはもうダルすぎて、目を開けることはおろか、声を出すことさえもできなくなっていた。

「大丈夫、あなたはただの被害者なんです。だからなにもかも忘れて、今はただゆっくりと休んでくださいね……?」
 最後に聞こえたのは、やっぱり耳元でやさしくささやいてくるジェイクの声だけだった。
 その声に、心だけでなく意識までもがいっしょに溶かされていく。

 からだはクタクタに疲れ切っていて、でも背中はほのかにあたたかくて。
 ジェイクがいてくれるなら、もう大丈夫だ。
 そんな安心感に包まれ、そこでオレの意識はゆっくりと薄れていったのだった。
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