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原始人ライフ
昨日の親友は今日の怨敵1
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「あれが、ミーナの、村?」
「うん。歓迎するねジューゴ!」
モノミクス同士の共食い(?)と言うグロテスクなものを見た後、3時間ほども歩き続けた。その間、あっちこっちの木陰に隠れ、物音がすれば呼吸すら止めて潜みと生きた心地のしない道中。
そして、辿り着いたセーフゾーン!!
堅牢な門扉に鉄条網・・・・・・いやいや、そんな訳がない。
巨大な木の門に木柵・・・・・・でもない。
てか、ぶっちゃけ何もない。
「ミーナ、恐竜が来たらどうするの?」
「え? 槍で刺すよ」
な~んて、志原の顔でアマゾネスな発言。ああ、やっぱりだ。やっぱり石器時代な人の考えは計り知れねぇ。
「じゃ、じゃぁさ。それは良いとして、寝床は? ってか、家は!?」
この村、と言うか集落には 人の住処として大事なものが抜けている。それは、家です! いや、言われなくてももう想像がついている。ミーナたちの家は目の前にでっかく空いている洞窟なのだ。そう、この時代にはまだ家がないのだ。
「家? あるじゃない」
正にその洞窟を指さすミーナにもう絶望するしかない。
怠け者な長男豚さんでも藁の家を建てたというのに、なんとこの時代の人間は家を建てるという感覚が無いのだ。それはつまり、外敵から身を守ろうとする気が無いと言っているようなもの。
「あ、あれ? ジューゴ、泣いているの?」
これが泣かずにいられようか。人間が洞窟暮らしなんて蝙蝠も仰天してひっくり返る・・・・・・ん? それなら普通になるのか?
「ミーナ! 駄目だこんな暮らしじゃ!」
「え? なんで?」
「だってプライバシーも何もあったもんじゃないし、衛生面だって悪そうだし、それに、恐竜が襲ってきたら守り切れない!」
「だから戦うんでしょ?」
不思議そうにキョトンとした表情で聞き返してくる。何を当たり前のことをって感じだ。
だ、駄目だ。モノミクスはまだ良い。だが、例えばタルゴサウルスにでも襲われたら一瞬で全員美味しく頂かれてしまう。戦うとか何とか、そんな相手じゃない!
「ミーナ!」
「え、え、え?」
ガシッと両肩を掴み、ミーナに迫る。
「俺と一緒にこんな場所から逃げよ、うっ!?」
愛の告白とも取れる様なセリフを口走ろうとすると、突然体が背中の方に引っ張られる。それも、もの凄い力でだ。
って、俺、浮いている!?
高々と宙を舞い、5mも後方に尻から落ちる。
一体何が起きたのか、全く分からない。痛む尻を擦りながら見上げると・・・・・・。
「何だお前は!」
あ~ら不思議。小鹿のそっくりさんが俺に睨みを利かせている。
俺だって馬鹿じゃない。「おう! 小鹿じゃないか、お前もこっちに来ていたのか」な~んて言うつもりはない。この男はこっちの世界での小鹿なのだろう。
そして、こっちの世界の小鹿の気になる人は当然の如くミーナ。さっきから俺に睨みを聞かせながら、ミーナをチラチラと覗き見ている。主に胸の谷間を!
「い、いってーな! この野郎!」
だがな、俺だって好きな娘の目の前で投げ飛ばされて黙っちゃいられない。例え顔はかつての親友のそれだったとしてもそんなものは関係な・・・・・・。そういや小鹿の野郎、俺が死んだのを良いことに哀しむ志原に取り入ってやがったな。此処で恨みを晴らしちゃる!
「人に名前を聞く時はまず自分から名乗るのが礼儀だろうが! この原始人め!」
ちなみに、言って思ったが、原始人はもしかしたら悪口じゃないかもしれない。それに、礼儀なんてものはこの時代には発明されていない。
「何だこのチビ助は! 殺されてぇのか!」
凄みを利かせてくるオーガ(仮)はその視線だけで人を殺せそうなほどに怖い。
「オーガ、止めて!」
あ、どうでも良いが、(仮)は外しても良いようだ。やっぱりオーガなのかい!
「そうか・・・・・・お前がオーガなら、積年の恨み、ヒデブッ、は、晴らしてや、ゲフッ」
まだ話の途中だというのに、オーガは容赦なく俺に攻撃を加えてくる。まったくもって騎士道精神がない。あ、当然そんなものまだないけどね。
それにしても、向こうの小鹿は強面でも一切暴力を振るえない性格だった。おまけに気が弱いせいでじゃんけんも何時も最初にグーを出す。
ッ!? そうだ!
「ま、待て! じゃーんけーん」
負ける勝負は捨て、勝てる勝負で戦う。これこそ文明人――
ボコォッ!
腹を鈍器で殴られたような衝撃を受け、また数m吹っ飛ぶ。・・・・・・だが、舐めちゃいけない。俺が出したのはパー。オーガはグー。か、勝った。
ガクリ。
「うん。歓迎するねジューゴ!」
モノミクス同士の共食い(?)と言うグロテスクなものを見た後、3時間ほども歩き続けた。その間、あっちこっちの木陰に隠れ、物音がすれば呼吸すら止めて潜みと生きた心地のしない道中。
そして、辿り着いたセーフゾーン!!
堅牢な門扉に鉄条網・・・・・・いやいや、そんな訳がない。
巨大な木の門に木柵・・・・・・でもない。
てか、ぶっちゃけ何もない。
「ミーナ、恐竜が来たらどうするの?」
「え? 槍で刺すよ」
な~んて、志原の顔でアマゾネスな発言。ああ、やっぱりだ。やっぱり石器時代な人の考えは計り知れねぇ。
「じゃ、じゃぁさ。それは良いとして、寝床は? ってか、家は!?」
この村、と言うか集落には 人の住処として大事なものが抜けている。それは、家です! いや、言われなくてももう想像がついている。ミーナたちの家は目の前にでっかく空いている洞窟なのだ。そう、この時代にはまだ家がないのだ。
「家? あるじゃない」
正にその洞窟を指さすミーナにもう絶望するしかない。
怠け者な長男豚さんでも藁の家を建てたというのに、なんとこの時代の人間は家を建てるという感覚が無いのだ。それはつまり、外敵から身を守ろうとする気が無いと言っているようなもの。
「あ、あれ? ジューゴ、泣いているの?」
これが泣かずにいられようか。人間が洞窟暮らしなんて蝙蝠も仰天してひっくり返る・・・・・・ん? それなら普通になるのか?
「ミーナ! 駄目だこんな暮らしじゃ!」
「え? なんで?」
「だってプライバシーも何もあったもんじゃないし、衛生面だって悪そうだし、それに、恐竜が襲ってきたら守り切れない!」
「だから戦うんでしょ?」
不思議そうにキョトンとした表情で聞き返してくる。何を当たり前のことをって感じだ。
だ、駄目だ。モノミクスはまだ良い。だが、例えばタルゴサウルスにでも襲われたら一瞬で全員美味しく頂かれてしまう。戦うとか何とか、そんな相手じゃない!
「ミーナ!」
「え、え、え?」
ガシッと両肩を掴み、ミーナに迫る。
「俺と一緒にこんな場所から逃げよ、うっ!?」
愛の告白とも取れる様なセリフを口走ろうとすると、突然体が背中の方に引っ張られる。それも、もの凄い力でだ。
って、俺、浮いている!?
高々と宙を舞い、5mも後方に尻から落ちる。
一体何が起きたのか、全く分からない。痛む尻を擦りながら見上げると・・・・・・。
「何だお前は!」
あ~ら不思議。小鹿のそっくりさんが俺に睨みを利かせている。
俺だって馬鹿じゃない。「おう! 小鹿じゃないか、お前もこっちに来ていたのか」な~んて言うつもりはない。この男はこっちの世界での小鹿なのだろう。
そして、こっちの世界の小鹿の気になる人は当然の如くミーナ。さっきから俺に睨みを聞かせながら、ミーナをチラチラと覗き見ている。主に胸の谷間を!
「い、いってーな! この野郎!」
だがな、俺だって好きな娘の目の前で投げ飛ばされて黙っちゃいられない。例え顔はかつての親友のそれだったとしてもそんなものは関係な・・・・・・。そういや小鹿の野郎、俺が死んだのを良いことに哀しむ志原に取り入ってやがったな。此処で恨みを晴らしちゃる!
「人に名前を聞く時はまず自分から名乗るのが礼儀だろうが! この原始人め!」
ちなみに、言って思ったが、原始人はもしかしたら悪口じゃないかもしれない。それに、礼儀なんてものはこの時代には発明されていない。
「何だこのチビ助は! 殺されてぇのか!」
凄みを利かせてくるオーガ(仮)はその視線だけで人を殺せそうなほどに怖い。
「オーガ、止めて!」
あ、どうでも良いが、(仮)は外しても良いようだ。やっぱりオーガなのかい!
「そうか・・・・・・お前がオーガなら、積年の恨み、ヒデブッ、は、晴らしてや、ゲフッ」
まだ話の途中だというのに、オーガは容赦なく俺に攻撃を加えてくる。まったくもって騎士道精神がない。あ、当然そんなものまだないけどね。
それにしても、向こうの小鹿は強面でも一切暴力を振るえない性格だった。おまけに気が弱いせいでじゃんけんも何時も最初にグーを出す。
ッ!? そうだ!
「ま、待て! じゃーんけーん」
負ける勝負は捨て、勝てる勝負で戦う。これこそ文明人――
ボコォッ!
腹を鈍器で殴られたような衝撃を受け、また数m吹っ飛ぶ。・・・・・・だが、舐めちゃいけない。俺が出したのはパー。オーガはグー。か、勝った。
ガクリ。
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