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千姫ルート 上海要塞防衛戦2
上海要塞防壁建造作戦(エロ度☆☆☆☆☆)
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もともと無茶な計画で建設を予定されていた上海要塞だが、急遽変更された計画はそれに輪をかけたものだった。
なにせ、倒壊させるための城壁。
見たことも聞いたこともない設計思想だというのに、ぶっつけ本番で当たるしかない。
長年、清正の下で城壁の数多の城の建設をとり仕切って来た棟梁の岡部又左衛門(フィクション。安土城天守の造営を指揮した岡部又右衛門から)にとっても、頭を悩ませるものであったのは間違いない。
銃眼や忍び返しなど城壁に工夫をすることはさほど珍しくはないとは言え、流石に意図した時に敵に向かって倒れるものなど造ったことも考えたこともない。
・・・・・・たしかに、渡された設計図の通りに作ればできるのかもしれない。
ただ、この設計図は明らかに素人が描いたもの。
本当にそのまま造っても良いものだろうか。
問題はそれだけではない。
これまで倒れないように敵を侵入させない様にと精魂込めて造って来た。
だというのに、還暦も近い歳にもなってその信念を曲げる様な物を造れと言う。
それにも自尊心を傷つけられ、嫌気がさした。
・・・・・・そして、もう一つ。
「おにぎり持ってきましたよ~」
男の汗と土と木の匂いが立ち込めるその場に全くそぐわない声。
身に合わない大きなざるに一杯に握り飯を抱えた千姫がそこにいる。
握り飯も彼女が握ったのだろう、不揃いなだけではなく、彼女の掌に合わせた様にやたらと小さい。
・・・・・・ただし、随分と上達したなとも思える。
始めは握ってあるのかどうかも怪しく、手に取ればぼろぼろと崩れた。
一昨日くらいから始めたにしては・・・・・・まぁ、成長速度が早いのか遅いのかについては又左衛門には分からないが・・・・・・。
「皇后様、俺、俺にください」
「てめぇ、先輩が先に決まってるだが!」
などと、先を争う部下達を見て頭を抱える。
・・・・・・ついでに言うなら先輩が先とかいうなら又左衛門が真っ先に食べるべきだ。
もっとも、又左衛門はそんなことに興味はない。
せっかく造り上げた厳格な現場の空気がかなり緩むのが問題なのだ。
「・・・・・・皇后様、もうこのようなことをなさいますな」
又左衛門は握り飯を一つ手にしながらはっきりとそう言う。
今回の城壁の設計変更はどうやらこの姫君にあるらしいということは伝え聞いている。
正直に言えば迷惑極まりない。
「で、ですが、私に出来ることはこのくらいしか・・・・・・」
又左衛門の顔が怖かったのだろうか、ビクッと怯えたように震える。
又左衛門とて千姫が自分が出来ることで役に立とうと頑張っていることは理解している。
不出来でも努力して役に立とうとする人間は嫌いではない。
だが、それがこの戦の大将を務めると言われれば話は別。
その座は本来であれば又左衛門の主である加藤清正のものだったはず。
それがどうにも又左衛門は許せなかった。
戦働きは出来なくても、清正のために半生を尽くしてきた彼からすれば、そこに不満を持つのも当然。
それに、この程度で怯える様な者が戦の役に立てるとは思えない。
「うぅ、すいません。でも、明日はもっと上手く握ってみせます!」
別にそこに文句を言ったのではないのだが・・・・・・。
ふと見れば、千姫に文句を言ったことに対して非難するように、部下たちがもの言いたげな視線で見てくる。
彼等は割と早い段階で今回のことを受け入れていた。
直接清正と接することが多い又左衛門達棟梁衆だけが不満を言っている。
もっとも、それも7割がたがほだされてきているのだが・・・・・・。
正直、又左衛門も熱意に満ちた若者は好きだ。
でも、それとこれとは違う。
「い、今! お味噌汁の作り方も習っているんです! 明日・・・・・・はまだ無理かもしれませんが、明後日にはきっと!」
又左衛門が怖くなどないのか、身を乗り出すように腕に力を込めて千姫が言う。
「・・・・・・もう、いい」
言いたいことは山ほどあれど、何時の間にやら又左衛門よりも部下たちの心を掴んでいる気がする。
下手に怒鳴れば、逆に又左衛門の方が排されかねない。
「又左衛門様に認めていただけるまで頑張ります!」
「・・・・・・変な姫様だ」
ぼそりと呟く。
それが聞こえたのか聞こえなかったのか、千姫の方は他の場所に届けようというのだろう、一度挨拶するとトテテと小走りで去っていく。
「それにしても、お姫様育ちの皇后様がおさんどんねぇ。一体全体どうしてこんなことをしているんだか・・・・・・」
だがそんな悩みも、目の前で最後の握り飯を取り合う部下たちの阿保っぷり見ているとどうでもよくなる。
「おめぇら! 最後のは俺が食う! サッサと仕事に戻りやがれ!」
「へ、へい!」
尻を蹴り上げて急かしてくる又左衛門に、部下たちは慌てて仕事に戻る。
・・・・・・実はわりと千姫のためにという名目が生きているのだろう。
仕事は予定を大きく超える速度で進んでいる。
これなら、間に合うかもしれない。
自分の背丈を越え始めた造りかけの城壁を見ながら一頻り物思いにふけた後、又左衛門も仕事に戻る。
なにせ、倒壊させるための城壁。
見たことも聞いたこともない設計思想だというのに、ぶっつけ本番で当たるしかない。
長年、清正の下で城壁の数多の城の建設をとり仕切って来た棟梁の岡部又左衛門(フィクション。安土城天守の造営を指揮した岡部又右衛門から)にとっても、頭を悩ませるものであったのは間違いない。
銃眼や忍び返しなど城壁に工夫をすることはさほど珍しくはないとは言え、流石に意図した時に敵に向かって倒れるものなど造ったことも考えたこともない。
・・・・・・たしかに、渡された設計図の通りに作ればできるのかもしれない。
ただ、この設計図は明らかに素人が描いたもの。
本当にそのまま造っても良いものだろうか。
問題はそれだけではない。
これまで倒れないように敵を侵入させない様にと精魂込めて造って来た。
だというのに、還暦も近い歳にもなってその信念を曲げる様な物を造れと言う。
それにも自尊心を傷つけられ、嫌気がさした。
・・・・・・そして、もう一つ。
「おにぎり持ってきましたよ~」
男の汗と土と木の匂いが立ち込めるその場に全くそぐわない声。
身に合わない大きなざるに一杯に握り飯を抱えた千姫がそこにいる。
握り飯も彼女が握ったのだろう、不揃いなだけではなく、彼女の掌に合わせた様にやたらと小さい。
・・・・・・ただし、随分と上達したなとも思える。
始めは握ってあるのかどうかも怪しく、手に取ればぼろぼろと崩れた。
一昨日くらいから始めたにしては・・・・・・まぁ、成長速度が早いのか遅いのかについては又左衛門には分からないが・・・・・・。
「皇后様、俺、俺にください」
「てめぇ、先輩が先に決まってるだが!」
などと、先を争う部下達を見て頭を抱える。
・・・・・・ついでに言うなら先輩が先とかいうなら又左衛門が真っ先に食べるべきだ。
もっとも、又左衛門はそんなことに興味はない。
せっかく造り上げた厳格な現場の空気がかなり緩むのが問題なのだ。
「・・・・・・皇后様、もうこのようなことをなさいますな」
又左衛門は握り飯を一つ手にしながらはっきりとそう言う。
今回の城壁の設計変更はどうやらこの姫君にあるらしいということは伝え聞いている。
正直に言えば迷惑極まりない。
「で、ですが、私に出来ることはこのくらいしか・・・・・・」
又左衛門の顔が怖かったのだろうか、ビクッと怯えたように震える。
又左衛門とて千姫が自分が出来ることで役に立とうと頑張っていることは理解している。
不出来でも努力して役に立とうとする人間は嫌いではない。
だが、それがこの戦の大将を務めると言われれば話は別。
その座は本来であれば又左衛門の主である加藤清正のものだったはず。
それがどうにも又左衛門は許せなかった。
戦働きは出来なくても、清正のために半生を尽くしてきた彼からすれば、そこに不満を持つのも当然。
それに、この程度で怯える様な者が戦の役に立てるとは思えない。
「うぅ、すいません。でも、明日はもっと上手く握ってみせます!」
別にそこに文句を言ったのではないのだが・・・・・・。
ふと見れば、千姫に文句を言ったことに対して非難するように、部下たちがもの言いたげな視線で見てくる。
彼等は割と早い段階で今回のことを受け入れていた。
直接清正と接することが多い又左衛門達棟梁衆だけが不満を言っている。
もっとも、それも7割がたがほだされてきているのだが・・・・・・。
正直、又左衛門も熱意に満ちた若者は好きだ。
でも、それとこれとは違う。
「い、今! お味噌汁の作り方も習っているんです! 明日・・・・・・はまだ無理かもしれませんが、明後日にはきっと!」
又左衛門が怖くなどないのか、身を乗り出すように腕に力を込めて千姫が言う。
「・・・・・・もう、いい」
言いたいことは山ほどあれど、何時の間にやら又左衛門よりも部下たちの心を掴んでいる気がする。
下手に怒鳴れば、逆に又左衛門の方が排されかねない。
「又左衛門様に認めていただけるまで頑張ります!」
「・・・・・・変な姫様だ」
ぼそりと呟く。
それが聞こえたのか聞こえなかったのか、千姫の方は他の場所に届けようというのだろう、一度挨拶するとトテテと小走りで去っていく。
「それにしても、お姫様育ちの皇后様がおさんどんねぇ。一体全体どうしてこんなことをしているんだか・・・・・・」
だがそんな悩みも、目の前で最後の握り飯を取り合う部下たちの阿保っぷり見ているとどうでもよくなる。
「おめぇら! 最後のは俺が食う! サッサと仕事に戻りやがれ!」
「へ、へい!」
尻を蹴り上げて急かしてくる又左衛門に、部下たちは慌てて仕事に戻る。
・・・・・・実はわりと千姫のためにという名目が生きているのだろう。
仕事は予定を大きく超える速度で進んでいる。
これなら、間に合うかもしれない。
自分の背丈を越え始めた造りかけの城壁を見ながら一頻り物思いにふけた後、又左衛門も仕事に戻る。
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