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千姫ルート 上海要塞防衛戦5
季夏3(エロ度☆☆☆☆☆)
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季夏は煌々と燃える炎を見上げていた。
本来であれば恐ろしいそれも、今の季夏には安息をもたらしてくれる慈悲にすら思えた。
・・・・・・だと言うのに、なぜこの足は逃げようとするのか。
それが季夏には不思議でたまらなかった。
「私、まだ生きようとしているの?」
裸足のままで風上に向けて走る。
草や木で肌を割かれようと今は気にしている暇もない。
「・・・・・・痛い。でも、今は」
泣きたくなる気持ちを無理矢理抑え込みながら走る。
ただただ生き延びるために。
「・・・・・・居勝様」
明軍に捕まっても、倭軍に捕まっても碌なことにならない。
それが分かっているので道を歩くことも出来ない。
林の奥に隠れるようにして進む。
「居勝様、必ず生きてお会いします」
朝に会ってしまったがゆえに未練が生まれてしまったのかもしれない。
だが、どうしてももう一度会いたい。
それが終われば、自らの手で人生を終わらせる。
これから出世していくべき居勝には、やはり自分は相応しくない。
「でも、一目だけ、もう一目だけ。それだけだから」
自分に言い聞かせるように呟き、当て所なくただ炎から離れる。
「っ!?」
人の気配、いや、集団の気配に気づき、慌てて隠れる。
相手は・・・・・・知らない言葉を使うところを見るとどうやら倭軍の兵だろう。
「ついてない。・・・・・・ううん。どちらでも同じ、か」
とにかく見つからないようにやり過ごすだけ。
息をひそめて物陰に隠れるだけなら、とりわけ何の経験も必要ない。
季夏にだって出来ることだ。
それに、どうやら倭軍の兵達も移動しようとしているらしい。
あと半刻(1時間)も隠れていれば行ってしまうだろう。
その後にどこかに逃げればいい。
・・・・・・だが、そう思っていたのもつかの間、季夏は危急の要件が出来てしまう。
碌な食べ物も与えられずに過ごしたせいか、空腹だったのだ。
それも、今にも腹が鳴りそうなほどに。
今までどうせ死ぬのだからと気にも留めていなかったことが、少しでも生きようとした結果気になってしまう。
クキュゥ
その可愛らしい音が出てしまうことは、彼女にとって本来悪いことではなかったのだ。
だが、そのタイミングが悪すぎた。
倭軍の将がその音に気付き、兵を差し向けてくる。
季夏は必死に逃げようとしたが、痩せ細った季夏では速度が違い過ぎてあっという間に捕まってしまう。
そして、その男の前に差し出される。
言っていることは全く分からない。
こちらの言うことも通じるとは思えない。
だが、季夏は明軍の非道を見て来た。
それに、倭冠のうわさも聞いている。
更に言えば、彼等にとってここは敵地、敵地で得たものは戦利品である。
どうされようと季夏に抗う術はない。
「・・・・・・また辱めを受けるくらいならいっそ」
舌を噛み切るのは痛いのだろうか。
俯いて地面を見つめていた季夏は覚悟を決めて口を開く。
・・・・・・が、目の前に縄の様なものを差し出され、驚いてしまう。
それは、恐らく倭軍の食料なのだろう。
半分にちぎってその片方を差し出した兵士が食べ出す。
そして、安全だと言うようにそれを見せつけ、半分を差し出してくる。
・・・・・・食べろということだろうか。
戸惑いつつも空腹は疾うに限界を超えている。
季夏は外聞など気にせずにそれに齧り付いた。
それはどことなく味噌の味がするもので、決して美味しいものではないはずだが、今の季夏には十分なご馳走でもあった。
その後には米を干した物も与えられ、咽たのを見るや水も与えられた。
死なないように食糧を与えたと言うことは、性奴にでもしようと言うのだろう。
どうせもう穢れた身、居勝をもう一目見れさえすればそれでいい。
とにかく体力が回復するまではこのまま利用させてもらう。
季夏はそう覚悟を決めた。
しかし、それから3日の間倭軍の兵は傷を手当てし食料を分けてくれる以外特に何をすることも無かった。
それどころか移動の時には馬に乗せ、拘束すらされなかった。
「いったいこれは?」
季夏は戸惑うが、そのまま倭軍の捕虜となる以外の道がなかった。
だが、逃げ出すことは諦めず、倭軍の隙をずっと窺い続けるのだった。
本来であれば恐ろしいそれも、今の季夏には安息をもたらしてくれる慈悲にすら思えた。
・・・・・・だと言うのに、なぜこの足は逃げようとするのか。
それが季夏には不思議でたまらなかった。
「私、まだ生きようとしているの?」
裸足のままで風上に向けて走る。
草や木で肌を割かれようと今は気にしている暇もない。
「・・・・・・痛い。でも、今は」
泣きたくなる気持ちを無理矢理抑え込みながら走る。
ただただ生き延びるために。
「・・・・・・居勝様」
明軍に捕まっても、倭軍に捕まっても碌なことにならない。
それが分かっているので道を歩くことも出来ない。
林の奥に隠れるようにして進む。
「居勝様、必ず生きてお会いします」
朝に会ってしまったがゆえに未練が生まれてしまったのかもしれない。
だが、どうしてももう一度会いたい。
それが終われば、自らの手で人生を終わらせる。
これから出世していくべき居勝には、やはり自分は相応しくない。
「でも、一目だけ、もう一目だけ。それだけだから」
自分に言い聞かせるように呟き、当て所なくただ炎から離れる。
「っ!?」
人の気配、いや、集団の気配に気づき、慌てて隠れる。
相手は・・・・・・知らない言葉を使うところを見るとどうやら倭軍の兵だろう。
「ついてない。・・・・・・ううん。どちらでも同じ、か」
とにかく見つからないようにやり過ごすだけ。
息をひそめて物陰に隠れるだけなら、とりわけ何の経験も必要ない。
季夏にだって出来ることだ。
それに、どうやら倭軍の兵達も移動しようとしているらしい。
あと半刻(1時間)も隠れていれば行ってしまうだろう。
その後にどこかに逃げればいい。
・・・・・・だが、そう思っていたのもつかの間、季夏は危急の要件が出来てしまう。
碌な食べ物も与えられずに過ごしたせいか、空腹だったのだ。
それも、今にも腹が鳴りそうなほどに。
今までどうせ死ぬのだからと気にも留めていなかったことが、少しでも生きようとした結果気になってしまう。
クキュゥ
その可愛らしい音が出てしまうことは、彼女にとって本来悪いことではなかったのだ。
だが、そのタイミングが悪すぎた。
倭軍の将がその音に気付き、兵を差し向けてくる。
季夏は必死に逃げようとしたが、痩せ細った季夏では速度が違い過ぎてあっという間に捕まってしまう。
そして、その男の前に差し出される。
言っていることは全く分からない。
こちらの言うことも通じるとは思えない。
だが、季夏は明軍の非道を見て来た。
それに、倭冠のうわさも聞いている。
更に言えば、彼等にとってここは敵地、敵地で得たものは戦利品である。
どうされようと季夏に抗う術はない。
「・・・・・・また辱めを受けるくらいならいっそ」
舌を噛み切るのは痛いのだろうか。
俯いて地面を見つめていた季夏は覚悟を決めて口を開く。
・・・・・・が、目の前に縄の様なものを差し出され、驚いてしまう。
それは、恐らく倭軍の食料なのだろう。
半分にちぎってその片方を差し出した兵士が食べ出す。
そして、安全だと言うようにそれを見せつけ、半分を差し出してくる。
・・・・・・食べろということだろうか。
戸惑いつつも空腹は疾うに限界を超えている。
季夏は外聞など気にせずにそれに齧り付いた。
それはどことなく味噌の味がするもので、決して美味しいものではないはずだが、今の季夏には十分なご馳走でもあった。
その後には米を干した物も与えられ、咽たのを見るや水も与えられた。
死なないように食糧を与えたと言うことは、性奴にでもしようと言うのだろう。
どうせもう穢れた身、居勝をもう一目見れさえすればそれでいい。
とにかく体力が回復するまではこのまま利用させてもらう。
季夏はそう覚悟を決めた。
しかし、それから3日の間倭軍の兵は傷を手当てし食料を分けてくれる以外特に何をすることも無かった。
それどころか移動の時には馬に乗せ、拘束すらされなかった。
「いったいこれは?」
季夏は戸惑うが、そのまま倭軍の捕虜となる以外の道がなかった。
だが、逃げ出すことは諦めず、倭軍の隙をずっと窺い続けるのだった。
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