古からの侵略者

久保 倫

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上川端商店街ぜんざい広場③

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 壬生と永倉が、声のした商店街側入り口の方を向くと、身長2mを越えているニット帽を被った大男が立っていた。
 身長だけでない。体の厚みも腕の太さも相当なものだ。

 丸太のような巨腕。
 アタシのウェストより太いかも、などと永倉は思った。
 胸囲なんか、サイズ的にはアタシの身長くらいかな。
 もし殴ってもアタシの方がケガしそうだ。
 
 その後ろに野球帽を被った男と、バンダナを巻いた男が控えている。
 二人とも2mには達しなそうだが、それでも身長190センチくらいありそうだ。
 野球帽の方は、ニット帽に負けず劣らずの腕の太さをしている。
 バンダナの方はさほど筋肉質には見えないが、手足が長い。
 壬生は、リーチの長さに自信はあるが、バンダナの男のそれは、自分以上と判断した。

「ハーフかな。」
「そんな感じですね。」
 壬生と永倉は、小声で大男の容姿について話し合った。

 肌の色は白いが、きめの細かさに若干かける。目の色も薄い。
 帽子でわからないが、髪の色も黒ではなさそうだ。眉から察するにプラチナブロンドだろう。

 ハーフと永倉は、判断したが、純粋な白人の可能性もありそうだ。

 後ろの二人も、眉や帽子などで隠しきれていない髪から察するに、同じプラチナブロンドと判断してよさそうだ。

「伊西、その男が昨日、おまえを蹴り倒した男か。」
「はい。」
 秋夢の目が壬生を見た。
「我が名は、秋夢。貴殿の名前は?」
「壬生、壬生 朗。」
「壬生!?」

 なんだろう、壬生さんの姓に反応したけど。

 永倉は不思議に思ったが、アキムは永倉に目もくれず話し始める。
 
「なるほど。見ただけで、その強さはよくわかる。伊西、不意を突かれたというが、よく生きて帰ったものだ。私でも危ないではないか。この男、相当な強者だ。」
「恐れ入ります。」
「しかし、これほどの男が近くにいて気が付かぬか、伊西。」
 アキムの後ろにいる野球帽が会話に割り込んできた。
李作イサクさん、近くに潜んでいたので。」
「李作、厳しい事を言うものではないぞ。伊西は若い。気づかぬこともあろう。」
 アキムが窘める。
「しかし……。」
「まぁ、厳しい事ばかり言うと伊西が委縮する。すでに城跡で言い聞かせたではないか。」
 バンダナを巻いた男がイサクと呼ばれた野球帽の肩を叩く。
蔵宇治クラウジ、甘い。あれほどの男の一撃を受けているのだぞ、死んでもおかしくなかった。」
「李作、我らはこの時代に六人しかおらぬのだ。少ない仲間は大切にせねば。」
「なればこそであろう……。」

「ちょっと待て。話しかけておいて、こっちを放り出して内輪話をするな。」

 壬生が蔵宇治と李作との会話に割り込んだ。

「そうであるな。二人ともしばし口を慎め。」

 二人は、秋夢の言葉で会話を打ち切った。

「失礼した。」
「なら、その詫びとして、彼女を逃がせ。昨日、そこのイサイとやらを蹴り倒したのは僕だ。彼女は関係無い。僕をどうしようと構わないが、彼女は君達に何もしていない。彼女に助けを求めさせないことは約束する。」
「ちょっと壬生さん。」

 壬生が自己を後回しに、自分を助けようと考えていることを悟り、永倉は声を上げる。

「男なら女の子を守れ。尊敬する父の言葉なんです。」 
 
 イケメンは内面もイケメンだぁ。
 壬生は、心配しないで、と言わんばかりの笑みを見せる。


 ヤバイなぁ……。


「その娘がいるのは、お主が追い出すのを邪魔したからではないか。」
「「はぁ!?」」
 アキムの言葉で永倉は、我に返って声を上げる。
 壬生も同時に声を上げた。

「何を言っている?」
「お主のせいで人払いの術がその娘に効かぬ。もっともお主の加護はその娘にだけだ。何故かは興味はあるな。」
「意味が分からないことを言うなッ!」

 さすがに壬生が声を荒げる。

「僕は空手が少々できるくらいだ。催眠術の類は知らない!」
「ほう、からて、とかいう技を使うのか。初めて聞く技だ。」
 秋夢が一歩前に歩み寄ってくる。

 その表情に嘘やからかいの雰囲気はない。

「この人、空手を知らないのかな?」
「空手も映画とかで、世界的に知られたと思うんですけど。」
 壬生と永倉は小声でささやき合う。

 日本語をしゃべる以上、外国人であっても日本にそれなりに関心を持って情報を集めるだろう。
 日本に来て、街中で空手道場の看板を見ることだってあっただろうに、空手を知らないなんてあり得るか。

 そう言えばイサイと呼ばれた奴はパーカーや揚げ物を知らないようだった。

 一体こいつら何者なんだ。
 いくら何でも、現代日本の一般的なことを知らな過ぎる。

 考え込む壬生に秋夢が声をかけてきた。

「からて、とやら見せてもらえるか。」
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