おバカな超能力者だけれども…

久保 倫

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対峙

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 白野達は4人そろって、ホテルのバイキングで朝食をとった。
「今日は、君たちは合コンだったな。行きたまえ、新宿でも雑踏の中の方がかえって安全だろう。」
「そうでしょうか?」
「黒江ちゃん、心配かね。心配はいらん。白野君もいるし、何かあれば連絡する。携帯に気を付けておきたまえ。いつでも出られるようにな。」
「ふぁい。」
 あくびを噛み殺しながら白野は返事した。
「大丈夫なんでしょうか?」
「白野君しっかりしたまえ。」
「はい、とにかく眠いです。」
 白野はコーヒーを飲んだ。
「まぁ、学校には行きたまえ。学校のようなところで無茶はすまい。私は事務所に行く。各人、携帯はマナーモードにしないように。」

 白野と黒江は、京王線に乗り学校へ向かう。
「白野さん、どうしたの?昨日の晩、急に部屋に来てOneDriveのアカウントとパスワード教えろとか言うし。」
「うん、コピーしたファイルに吉良の居場所の手掛かりになりそうなものないかなって。居場所通報して逮捕してもらえば安全でしょ。」
「それで寝不足なの。」
「そう、何にもわかんなかった。明け方に寝ちゃったよ。」
「もう、無理しない方がいいよ。警察だって事務所を捜索したり、防犯カメラとかで足取り追ったりするでしょ。まず逮捕されるんじゃない。」
「そうだけどさ、何もせずにはいられなかったんだよ。」
「もう、体調悪い状態でお酒飲んで酔いつぶれちゃったりしてもしれないよ。」
「気を付けるよ。」
「もう、先生は白野さんがいるから大丈夫なんていうけど、何が大丈夫なんだろ。」
「頼りなくてごめん。まぁ、授業中に寝て寝不足は解消しておくよ。昼休みもどっかで寝ておく。」
「一日アパートで寝ていたら。」
「いや、それは怖いし。」
「甲斐さんにチクったりしないよ。それともまさかチクられるようなことしてないでしょうね?」
 出た、ジト目。勘弁してくれ。
「まさか、私や蔵良さんの寝顔見るのに『Mark2eyeball』使ってないでしょうね。」
「黒江さんならともかく蔵良さんの寝顔なんて見やしないよ。」
「あ~、私なら見るんだ、おバカ。」
「見ないよ。見たいけど、乱れた寝姿とかさ。」
「なんで、私の寝姿知ってるのよ!」
 黒江は、真っ赤になって胸元抱えた。
「えっ!?」
 ヒョットシテ、クロエサン、ネゾウワルイ?
「ほんとぉに見てないでしょうねぇぇ。」
「見てない見てない!」
 ヤバイ。昨日浴衣だったからひょっとしてはだけちゃったとか。
「想像とかしてないでしょうねぇ。」
「……してないしてない。」
「反応が遅いわねぇ。」
 ヤバイ、ヤバイヨ!
「大学前~大学前~。」
「あっ、駅に着いた。降りなきゃ遅刻だ!」
 ちょうど電車が止まった。扉が開くのももどかしく白野はホームに飛び出した。
「あ~、待ちなさい!」
 待てと言われて待つ馬鹿はいない。白野はホームを全力疾走で走った。
「何で逃げるのかな。」
 笑顔の黒江が、改札で待ち構えていた。
 「時間停止」怖い。
「さぁ、大学行こ。遅刻しちゃうわよ。」
 その笑顔、可愛いけど、怖いです。

 何とか黒江に覗きなどしていないことを納得してもらい、大学のキャンバスで別れた。その間たっぷりジト目でにらまれ、バッグで叩かれもしたが。
 黒江が、別の校舎に入ったのを見て、白野は校門に向かった。甲斐を探すために、授業は自主休講である。

 京王線八王子駅で降りてバスで目的の解体業者の近くまで向かう。
 3に分類されていた文書ファイルに乗っていた業者名から検索して一番近い八王子まで来たが、甲斐がいるかどうか。
 とりあえず、解体業者のところまで歩こう。その後で『Mark2eyeball』を使えそうなところを探す。

「よし、田家たけ、お前は埼玉に行ってトレーラーヘッド取って来い。場所はこのメモに書いてある。」
「わかりました。」
 田家はメモを受け取りポケットにしまった。
「他のもんは、悪いが新宿に一度行ってくれ。先々代の監視と、先々代の顧問弁護士と職員、バイトを調査してこい。」
「先々代や弁護士はともかく、バイトが大変です。いつ来るのか。ひょっとしたら今日休みなんてこともあり得ますぜ。」
「そいつはしょうがない。とにかく、今は標的を撃ち漏らさないようきっちり把握せんといかん。」
「バイトくらい見逃しては?特に女の子の方。組長も気に入っていたじゃないですか。」
「俺個人の感情で、見逃せるか。俺をはめてくれた奴はただではおかない。そうしないと舐められるからな。どこにも属さない一家になる以上、甘い顔は禁物だ。敵に回せば恐ろしい、と印象付けないかん。」
「はい。」
「バイトや職員は顔写真の確保くらいでいい。幸か不幸か、弁護士先生も先々代も新宿だ。一気にケリをつける。そのための段取りが大事だ。」
「姐さんはどうします?」
「特に狙わない。引退して先々代の後妻になるようだが、特に俺を破門にするために何かしたわけじゃない。巻き添えを食うことがあれば、しょうがないが、積極的に狙う必要はない。」
「詳細は任せてもらいますよ。」
「無論だ、だが間違っても手を出すなよ。一気にしとめる。先々代は難しいだろうから誘惑にかられるかもしれんが、我慢してくれ。そうでないと、弁護士はともかくバイトが逃げるかもしれんからな。」
「はい。」
「全員、6時になったら新宿から離れろ。それ以降の動向は不要だ。もし、明日新星会の事務所にいなければ、自宅に戻ったのだろうし、いれば監視続行するだけだ。」

 全員が新宿に向かった後、甲斐はタブレットで文書を作成する。
 プリンターは無いので、コンビニで印刷するしかない。甲斐はバッグにタブレットと財布も入れコンテナの外に出る。
 廃車置き場を囲う木の間を抜け歩道に出た時、歩いている歩行者とぶつかりそうになった。
「失礼。」
 一礼して相手を見た。
「甲斐……。」
 視線のあった学生らしい青年が自分の名を口にしたのを甲斐は聞き逃さなかった。
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