過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第5章 唯愛の賢妻と傲慢勇者

~女の戦いとサマーホワイトクリスマスの恋人①~傲慢勇者の誕生日⑧

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少し長くなってしまいました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次話にて5章終了となります。
よろしくお願いします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

参加者全員の挨拶を終えた俺はぐったりしていた。
まぁ主に気疲れが原因なんですけどね?

「お疲れ様です、ユウジ様」

椅子に怠そうにどっかりと座った俺の様子を見て、サーシャが声を掛けてきた。

サーシャはいつもそうだ。
俺をよく見てくれている。さすが俺の専属メイド。

「どうぞ」

渡されたのは冷たいおしぼり。
なるほど、助かる。
俺はおしぼりを顔に当て、椅子にうなだれかかるようにしてしばらく休むことにした。

「膝使われますか?」
お?今日は大胆だな、サーシャ

サーシャは真面目で常識人だ。
人前でいちゃいちゃすることには抵抗があるみたいで、いつもは控え目なんだが.....

家族の前なら多少大胆になることはあっても、あまり面識のない、例えばシャル達や委員長達がいるような場合はいちゃいちゃしないと思っていた。
どちらかというと、こういう場合はセリーヌの役割だ。

それがどうして.....いや、今は甘えておこう。

「頼めるか?」
「はい」

固い無機質な感触の椅子から、柔らかくも温かい引き締まった柔膝に頭を移した。

サーシャの甘い匂いが鼻をくすぐる。
頭をなでてくれる感触がとても気持ちいい。

「いかがですか?」
「ん。すごく気持ちいいよ、ありがとう」
「ありがとうございます。ユウジ様のお役に立てて嬉しいです」
「・・・」

俺は思う。
今はおしぼりを顔に当てているから見えないが、きっと今サーシャは俺が愛した笑顔で微笑んでいてくれてるに違いない。

そう、たんぽぽが満開に咲き誇ったような美しい笑顔で.....

だったら、おしぼりを顔に当てている場合じゃない!
サーシャの笑顔こそなにものにも替えがたい清涼剤じゃなかろうか!

俺はおしぼりをどけて確認する。

「もう、おしぼりはよろしいんですか?」
ほら、やっぱり美しい!

にこっと微笑むサーシャの笑顔に思わず見惚れた。
あぁ、そうだ。俺はこの笑顔に恋をしたんだ。

思わず手を伸ばし、サーシャの頬に触れた。

「とても美しい。俺はサーシャの笑顔が一番好きだ。いつまでも見ていたいよ」

ここであかりなら、「ヘイネさんよりも?」とか聞いてくるんだろうがサーシャはそんなことはしない。
現時点でのお嫁さんの中では一番嫉妬深いのはサーシャであるのに。不思議なものだ。

そういう意味では、あかりはなにげに俺の最愛であることに一番固執しているのかもしれない。
なのにいろいろと人の恋路の応援をしている。
最愛である確率が減るのでは?
まぁヘイネ以外に俺の最愛を譲るつもりはないけどな。

にしても、女の子はよくわからないなぁ。

そんなことを考えていたら、サーシャが頬に添えられた俺の手に自分の手を添えて

「いつまでもユウジ様のお側におります」

それはもう恋する乙女のように頬を染め、また俺が愛した笑顔でにこっと微笑んでくれた。

「・・・」

あぁ、もう本当に美しいな!俺の愛しのメイドサーシャは!

気持ちが通じあった俺達は自然と見つめ合い、そして、

「サーシャ・・・愛している」
「ユウジ様・・・愛しています」

珍しくもサーシャからそっと控え目な、それでも情熱的な口付けをプレゼントされた。


□□□□

「ユウジ様~」
「甘えん坊だな、サーシャは」

しばらくサーシャの膝枕を堪能していた俺だが、結局はいつものようにサーシャに胸を貸す状況になった。
俺の胸の中で頭をすりすりとしているサーシャはとても愛おしい。

そんな優しさ溢れる時間にも終わりが訪れた。
いや、終わりだと語弊があるな。始まりか。
多少騒がしくはなるが、より優しさ溢れる時間になることだろう。

「サーシャ姉はまたユウ様に甘えてますの?仕方のない姉ですの」
「ごめんね、サーシャお姉ちゃん。邪魔しちゃって」

可愛い可愛いちびっこ達セリーヌとアオイの登場である。

セリーヌはサーシャを注意してはいるものの、自分の専用場所である俺の膝上に座ってすりすりと甘えてくる。

微笑ましい。本当似た者、義姉妹だ。

そしてそんな義姉であるセリーヌを温かい目で見守りつつも、同じように義姉であるサーシャと俺のいちゃいちゃを邪魔してしまったということで申し訳なさそうにしているアオイ。

苦労しているんだな。本当よくできた末妹だ。

てか、末妹が一番しっかりものな気がするのはご愛敬なのだろう。

「セリーヌちゃんも私の事言えないじゃないですか」

「セリーヌはいいんですの。ユウ様はセリーヌのもふもふを愛されてますの。だからいつでもユウ様がもふもふできるようお側にいる必要があるんですの!」

「ごめんね。ユウジ義兄さん。お姉ちゃんが我が儘ばかり言って.....」

なんだろう。
言い争ってはいるんだが、嫌な気持ちにならない喧嘩。
喧嘩というよりはじゃれあいなんだろう。
本当の姉妹のようだ。

「そうだな。セリーヌのもふもふは極上だからな。遠慮なく触らせてもらう」

もふもふ、もふもふ

「あぁん。はぁ、ユウ様。くすぐったいですの」
ぶっ!?な、なんか妙に色っぽいな.....ドキドキする

セリーヌを抱いて以降、たまにではあるがセリーヌの仕草に妙に色っぽさを感じることがある。
いや、本当いろんな意味で成長著しいセリーヌには驚かされっぱなしである。

「?ユウ様どうされましたの?」
「なんかセリーヌが妙に色っぽいなって思ってさ」
「本当ですの!?」
顔が近い、近い。キスしちゃうぞ?

ほのかに香る少女と大人の甘い匂い。
これが少女から大人への階段を上っている段階のセリーヌの香りだろうか。

ふむ、悪くないな!

「あぁ、すごくドキドキするよ」
「ユウ様に抱いて頂いたおかげですの!これからも女の魅力を磨いていきますの!」

ふんす、と息巻き、両の手を胸の前で握りしめているセリーヌはとても可愛らしい。
こういうところは年相応でなんかほのぼのとして安心する。

「そして、ユウ様をお姉様同様骨抜きにしますの!」
.....え?今なんと言いました?骨抜き.....?

「おい、サーシャ」
「・・・」

俺の言葉に、肩にしな垂れかかっていたサーシャの身体がびくっと跳ねた。
あきらかに視線も逸らされた。

(あぁ、これはあれだな。確信犯だな。原因はきっとお嫁さん会議。本当録でもないことばかりをセリーヌに教えやがる!俺の純真無垢なセリーヌをけがしやがって!ヘイネも、サーシャも、あかりもおしおきだ!)

「サーシャ、アウトー!.....後でおしおきな」
「ユウジ様!?そ、そんな許してください!」

あれ?サーシャさん?
今にやりとしませんでしたか?
そういえば昔も『おしおき』のワードに反応していたような.....

「ダメ。ヘイネも、あかりも同罪」
「うぅ.....。そ、それでおしおきはいつ頃でしょうか?」

あれあれあれ?やっぱり喜んでる?
これはもしや.....

「やっぱりサーシャだけおしおきなし」
「ええええ!?そ、そんな.....」

サーシャは絶望したかのように頭から崩れ落ち、頭を垂れた。
やっぱりか.....サーシャはMだな。
あとで可愛がってあげよう。げへへ

てか、サーシャのこの反応は傍から見たら普通に変だよな。
おしおきがなくなったのに残念がるとか.....
セリーヌの教育によろしくない気がする。

俺が真剣にセリーヌの教育について考えていたら、それは起こった

「なんでサーシャ姉はおしおきがなくなったのに残念そうなんですの?普通、ユウ様に怒られないなら嬉しいはずですの。それなのに.....セリーヌの知らないなにかがあるんですの?」

ふぁ!?
まさかセリーヌがそこに気付くとは.....
お嫁さん会議は本当にいろいろと問題あるだろ!

どうすんだよ、これ・・・

どうするつもりだ?との意味合いを込めて、原因であるサーシャを見ると、

「ユウジ様~、おしおきお願いします~!私だけなしは嫌です~!」

サーシャはまだ崩れ落ちてぐずっているようだ。

てか、まだ落ち込んでんのかよ!?
どんだけMなんだよ!楽しみで仕方がないです!

サーシャは役に立たん。
となると、頼れるのは.....

どうする?との意味合いを込めて、しっかりもののアオイを見ると、

「・・・」

あからさまに視線を逸らされた。

ですよねー。
こんなことを聞かれても困るよな。
ごめんよ.....アオイ

「ユウ様?どういうことですの?」
やはり俺にくるのか.....くそ!サーシャ、覚えてろよ!

「セリーヌは知らなくていいことだよ。気にすんな!サーシャがおかしいだけだから」
「・・・」
あ、あれ?セリーヌさん?

セリーヌはとても悲しそうな顔で俯いてしまった。
その姿を見て、俺は正直かなり焦った。

いつもなら、「わかりましたの!」と言って終わりそうなものなのに.....

まさかの事態にどうしたらいいかわからず、とりあえずアオイに救いを求める。
俺の視線の意図を汲み取ったアオイも困惑している。
アオイもどうやらセリーヌの態度に驚いているみたいだった。
となると、アオイにも頼れない。

こうなったら、男である俺が頑張らねば!

「どうした?セリーヌ」
「.....ユウ様はまだセリーヌを子供扱いしていますの。以前ユウ様は言ってくれましたの。セリーヌをレディーとして見ると.....」

うん、確かに言った。
そして、今でもちゃんとレディーとして見ている。
だからこそ純愛からステップアップして、キスを交わし、そして身体も重ねた。

「分かっていますの。それはとても嬉しいですの」
「だったら.....」
「違いますの!ユウ様はまたなにか秘密にされましたの。それはきっとセリーヌには言えないことだとユウ様が判断された結果ですの。きっとセリーヌを子供だと思っているからこそ話せないと判断したんですの」

う、う~ん。
セリーヌはそう受け取っているのか.....
どうしたものか.....

はぁ.....本当は純真無垢なままでのセリーヌがよかったんだが、仕方ない

俺は意を決して、膝上にいるセリーヌを優しく包み込んだ。

「セリーヌは俺の事をどう思ってる?」
「.....?とてもステキな方ですの!セリーヌの大好きな人ですの!」
あ、改めて聞くと恥ずかしいな・・・

「ありがとう。でも俺はすごいエッチだぞ?それについてはどう思う?」
「ユウ様になら全てを捧げますの!」
「違う。俺はセリーヌが考えもしないようなことをするのも好きだぞ?」
「え.....?そ、それはどんなことですの?」

俺とセリーヌの関係は身体を重ねてもいるし、狂愛を使ってもいるが、純真も純真だ。
いや、狂愛を使っているのに純真というのも変な話だが.....

話が逸れた。
つまり、所謂ドノーマルな愛だ。
内容だけなら、まだ身体を重ねていないエステルの方がはるかに上だ。

なんでお嫁さんであるセリーヌよりも、お嫁さんになったばかりのエステルが上なのか.....

これは偏に俺がそれを望んだ結果だからだ。
セリーヌにはラブラブな愛をありったけ詰め込んだ。
エステルには己の欲望をありったけ詰め込んだ。

セリーヌには純真無垢なままでいて欲しかった.....
それでもちゃんと愛せる自信があった。

しかしそれはもう敵わない望みになってしまった・・・

「セリーヌ、聞いてくれ。俺はセリーヌがびっくりするぐらいエッチだ。あんなことやこんなことをいろいろ知っている。セリーヌには想像できないようなこともいろいろだ」

───ゴクッ。

セリーヌが息を飲む音が聞こえた。
どんなことを想像しているのかすごく気になるな・・・

いや、マジで気になる。
純真なセリーヌが考えるすごいエッチなことってなんだ!?.....ハッ!落ち着け!色魔、色魔

セリーヌの説得が先だ!

「セリーヌはさっき子供だから話してくれない、と言ったな?」
「はいですの」
「だけどそれは違う。話さないんじゃない。話したくないんだ」
「どういうことですの?」

セリーヌが不安げに見上げてくる。
俺はセリーヌを安心させるべく身体を強く抱きしめ、話を続けた。

・・・。

覚悟を決めろ!
一世一代の変態な告白の開始だ!

「セリーヌに変な知識を持って欲しくなかったんだ。セリーヌはとても純真だ。なにも知らないぐらいに純真だ。俺はそれをとても美しく感じる。だからこそ変な知識を持って欲しくない。セリーヌの知らないことは俺が教える。セリーヌを俺色に染めたいんだ。セリーヌの全てを俺色に染めるつもりだからセリーヌはなにも知らなくていいし、知る必要もない。全てを俺が教えてやる。だから安心してくれ。話せないんじゃない、まだ話さないだけだ」

ふぅ。なんだか変態感ありありだが、嘘も悔いもない!

「.....本当にユウ様が教えてくれるんですの?」
「『約束』する。だから俺に全てを任せろ。ヘイネにも負けないぐらい完全な俺色に染めてやる.....覚悟しろよ?恥ずかしいからできないとかは許さないからな?」

「.....嬉しいですの。これで本当にセリーヌの全てがユウ様のものになるんですの。しかもお姉様に負けないぐらいユウ様に愛される身体になるなんて幸せですの!」

あぁ、なるほど。
俺色=愛される身体か。
そういうふうに受け取ることもできるのか。
まぁ、間違ってはいないな、うん。

「セリーヌ、俺の全てを受け取ってくれ」
「はいですの!頑張りますの!」

気持ち晴れやかなセリーヌの笑顔はとても可愛らしいものだった。

あぁ、もう本当にいじらしいな!俺の慈愛の愛姫セリーヌは!

「ユウ様、早速なにか教えて欲しいですの!」

俺の可愛い愛姫からのお願いだ。
断れるはずがない!

期待の眼差しを向けてくるセリーヌと見つめ合い、そして、

「セリーヌ・・・愛している」
「ユウ様・・・愛してますの」

いつもの唇を重ねるだけの軽いキスとは異なり、お互いの舌を絡めあったり、口内をなめあったり、唾液の交換をしたりなどの激しいキスを交わすことになった。

キスが終わって後、

「す、すごいですの.....」
「おいおい、こんなの序の口だぞ?」
「!!!」

驚いてる、驚いてる。
これは染めがいがありそうだぜ!


□□□□

なんだかんだ言って、お嫁さん達といちゃいちゃすることができて、俺の誕生日はとても満足だ。

引き換えに非常に疲れた気もしたが.....

いやいや、いいんだよ!
例え今日の主役が俺だったとしても、
本来なら癒されたり祝福されたりする立場だったとしても、
愛しい人達が満足してくれるなら頑張るのが男ってもんだ!

そう、自分自身で納得することにした。はぁ.....


さて、誕生日パーティーもそろそろお開きだ。
最後に一つ俺からみんなにプレゼントをしたいと思う。

今日はなんと言っても、12月24日!
俺の誕生日ではあるが、地球的にはクリスマスイヴである。
今頃地球では、恋人がいちゃいちゃしたり、家族でクリスマスを楽しんだりしているのだろう。

え?地球にいたときの俺のクリスマスはどうだったって?
聞くなよ.....
クリスマス?なにそれ?おいしいの?
そんなイベントとは無縁の生活でしたが?なにか?

ちっ。嫌なことを思い出しちまった。

話を戻そう。

グズニールやショーマリーにいた時は余裕もなかったし、滞在期間も短かったのであまりイベントごとには関心がなかった。

しかし、今は違う。
余裕もあるし、大切な家族もある。
ここで生きていくと決めたなら、たくさんの思い出を作りたいし、大切な人達と思い出をたくさん共有したい。
それならイベントごとには積極的に関わる必要性があるだろう。

だからこっそりと準備をしていた。
そろそろお披露目をしてもいい頃合いだろう。

俺はセリーヌ達とまったりしながら、本題を切り出した。

「そういえば、サーシャやセリーヌは毎年クリスマスはどんな感じだったんだ?」

「くりすます、ですか?」
サーシャは首を傾げ、なにそれ?といった感じの様子だ

あれ?イリアスにはクリスマスないの?
地球の文化をいろいろ取り入れてるのに!?

「ユウ様、くりすますってなんですの?」
お前もか!セリーヌ!

ショーマリーにもどうやらクリスマスはないらしい。

あれ?まずいんじゃね?
おいおい!準備した意味ないのか!?
いや、準備する前に確認しとけって話だよな.....

まぁ、教えればいいだけの話だが、そうなるとサプライズの意味はなくなるような.....仕方ないか。

「クリスマスってのは俺の世界で行われてたイベントの一つだな。本来は宗教的な意味合いのあるイベントなんだが、俺の住んでた国では圧倒的大多数の人間がそんなもんは無視して、恋人や家族と一緒に過ごす、ちょっとロマンチックなイベントとして捉えてる。本当は12月25日の明日なんだが、前夜の24日もイヴと称して楽しでたりする」

まぁ、イヴイヴなんてのもあるみたいだが、今はいいだろ。
それは重要じゃないしな。

俺は説明を続ける。
なるだけ興味を持ちそうな話題を考えつつ。

「彼氏持ちの女の子なんかはクリスマスを楽しみにしてたりするんだぞ?例えば.....」

そう言って、感想を聞こうと日本組の女の子を見渡す。

詩乃.....はダメだ。
基本俺と同様ボッチだったらしいから、縁のないイベントだろう。

委員長.....もダメだろうな。
キスの反応を見た限り付き合ったこともなさそうだ。

えっと.....赤山?青石?だったか?
よく知らん二人に聞いてもどうしようもないだろう。

たまちゃん.....もダメだろうなぁ
なんか三十路前の独身ということで地雷を踏みそうな気がする。
まぁ、俺は気にしないがな!たまちゃんなら全然ok!

そして、あか.....じゃなくて翠川はダメ、絶対!
あまり関わりたくない!

となると、頼れるのはあかりだけか。

「あかりはどうだ?クリスマス」
「やっぱり憧れはあるよ。クリスマスに好きな人と、うぅん!雄司君と二人でクリスマスデートとかしてみたいな。綺麗なイルミネーションを一緒に見たりしたいよ。女の子にとってクリスマスは特別な日かなって思う。あとはホワイトクリスマスなんてのもいいよね!日本の東京だとなかなか巡り合えないし」

そう語るあかりはどこか楽しそうだ。
サーシャやセリーヌなんかもよく分かってはいないようだが、少し興味を持っているみたいだ。

「アカリさんのお話だと、くりすますというのは恋人と過ごす特別な日なんですね!」
そういう訳じゃないんだけどね。

「よくわからないですの。でもセリーヌはユウ様とくりすますを過ごしたいですの!」
うん、セリーヌはクリスマスじゃなくてもそう言いそうだよな

サーシャとセリーヌは、単純にあかりの言葉から『恋人と過ごす特別な日である』というふうにクリスマスを理解したみたいだ。
間違ってはいないのでまぁ、よしとする。

しかし、次に飛び出したエステルの言葉はとんでもないものだった。

「今日がそのくりすますなんじゃな?そして恋人と過ごす特別な日.....つまり特別な日にプロポーズされた妾はお師匠様にとって『特別な彼女』ということになるのじゃな!もぅ!お師匠様は妾のこと好きすぎなのじゃ!照れるのじゃ!」

言い終えたエステルはそれはもう嬉しそうな表情とともに、おおいに照れている。
特別な日にプロポーズされた、という事実が本当に嬉しいのだろう。
照れているエステルはすごくかわいい。

.....じゃなくて!

ちょっ!?おまっ!
なに争いの種を撒くようなこと言ってんの!?
しかもなにげに特別な彼女のところを強調してるし!

これはまずいんじゃなかろか.....
俺は恐る恐る他のお嫁さん達を見ると、

「「「・・・」」」

エステルの発言に押し黙るサーシャ、セリーヌ、あかり。

ひぃぃ!怖い!
サーシャだけでなく、セリーヌやあかりも!?

「い、いやいや。エステル様『だけ』が特別ではないんですよ?私達みんながユウジ様の特別なんですから」

サーシャは笑顔でエステルに話しかける。
笑顔だ、笑顔なんだけど.....
なんというか笑ってないような気がする。怖い.....

「そ、そうですの!セリーヌだってユウ様の特別な彼女ですの!それに特別というならセリーヌ『こそ』まさにそうですの!もふもふも愛されてるし、今後はユウ様のお好みの女にしてもらえる約束をしましたの!」

ぶっ!?ちょっとセリーヌさん!?
今ここでそれを持ちだすのか!?

言い終えたセリーヌは小さい胸を張ってどや顔をしている。
表情を伺うと、「勝ちましたの!」といいたげな.....

「「・・・」」

セリーヌの発言で事情を知らないあかりとエステルが今度は押し黙る。

「み、みんななに言ってるの?雄司君の特別はみんなだよ!」

おぉ!さすがあかりだ!
内助の功!縁の下の力持ち!嫁の鑑!

「.....だけどね?」

頼りに.....え?だけど?
な、なにをいうつもりだ?
なんかとてつもなく不安だ.....

「みんなと違って、私と雄司君は『幼なじみ』なんだよ?みんな知らないのかもしれないけれど、昔から幼なじみは必ず結婚する運命って決まってるの。つまり私と雄司君は運命で結ばれることが決まってたの。これこそまさに特別なんじゃないかな?努力や才能じゃないの。『運命』なんだよ?」

あかりはとてもにこやかにみんなに言い放った。

しかし俺にはサーシャやセリーヌ、エステルを睥睨するかのように、そして勝ち誇ったような眼差しで見渡したように見えた。

いやいやいや!
お前はなにを言ってるんだよ!?
確かに幼なじみが結婚相手っていうルートは定番だけどさ!
俺らは幼なじみ?な関係だったろ!
なにちゃっかりとポジティブな関係だったことにしてるんだよ!

「「「・・・」」」

あかりの発言?挑発?にサーシャ、セリーヌ、エステルの3人が押し黙る。

「「「「ふふふ.....」」」」

サーシャ、セリーヌ、あかり、エステルがお互いを見つめ合って、いや睨み合って不気味な笑いをしている。

ドン引きである。
会場も、家族も、ゲストもドン引きしている。

どうすんだよ、この雰囲気.....

「お、おい。いいかげんに.....」

「ユウジ様は黙っててください!これは女の戦いなんです!ユウジ様の専属メイドとして負けられません!」

おおぅ!?
サーシャにこんなに反発されたのは初めてだ.....
てか、いつのまにか女の戦いになってるし。

「ユウ様、申し訳ないですが少しお待ちくださいですの!ユウ様の特別をセリーヌが護りますの!」

いやいや。
セリーヌが敵対?しているお嫁さん達も俺の特別だから
特別に敵対して、特別を護るって意味わかんないから。

「雄司君には手間かけさせないからちょっと待っててね。雄司君の最愛は誰にも渡さないから!」

あの既にめんどくさいんだが。
それに特別じゃなく最愛になってるし。
なにちゃっかりと自分が最愛であるアピールしてんの。

「お師匠様は少し待つのじゃ!今、妾がこれに勝って、お師匠様にいっぱい誉めてもらうのじゃ!」

目的変わってるから。
別にこれに勝って?も誉めないから。

はぁ.....こいつらなんなんだよ。
説明しただろ、少しロマンチックな日なんだって。
これじゃ殺伐としすぎだろ。

もうほっとこう。


□□□□

女の戦い?から離れた俺は、改めてクリスマスを楽しむ計画を練る

「アオイ、サリー、イサ、アマリリス。ちょっといいか?」
「「「「?」」」」

俺に呼ばれた四人が近づいてくる。
四人も女の戦い?にドン引きしてるみたいだ。

「今からちょっとの間だが、お前達を俺の恋人にしようと思う。あそこで争ってる連中の代わりで悪いが、いいか?」
「「「「!?」」」」

目を見開いて驚く四人。
アオイ以外はちょっと嬉しそうな表情が垣間見える。
アオイは困惑してるみたいだ。

「俺は楽しむべきところを邪魔するやつがすごく嫌い、というか嫌だ。しかもここにはゲストもたくさんいる。多少のじゃれあいならまだしも、本気で喧嘩するようなバカ共はもう知らん。ゲストにも失礼だしな。少しの時間だが、お前達さえよければ、今からお前達が俺の恋人だ。どうする?」

サーシャ達を見ると、まだ喧嘩してるし、本当どうしようもないな
クリスマスは新たな恋人と楽しもう!

しばらく待っていると、サリーが口を開いた。

「じ、じゃあ、あにさまの膝上に座っていいの?」
「いいぞ?いっぱいもふもふもしてる!」
「あにさま!」

おっと!
飛び込んできたサリーを受け止め、優しくもふる。

もふもふ、もふもふ

「あ、あにさま?耳も触ってほしいな?.....ダメ?」
「ダメじゃない。いっぱいもふもふしちゃうぞ!」
「嬉しい!あにさま大好き!」

俺の胸の中ですりすりと甘えてきてるサリーはとてもかわいい。


「アイサやアマリリス、アオイも遠慮しなくてもいいぞ?なにか希望とかないか?」

サリーは受け入れてくれたみたいだ。
他のみんなも甘えてくれたら嬉しいのだが.....
クリスマスなんだし、いちゃいちゃしたいしな!

「でででで、でしたらサ、サーシャ殿やア、アカリ殿がいつもしているように、ユウジ殿の肩に、そそそ、そのし、しな垂れかかっても、い、いいでありますか?」

次に甘えてきたのはアイサだった。
煙りがでてるんじゃないかってぐらい真っ赤になってるが.....

「いいぞ?全身を俺に預けるように、な?」
「し、失礼するであります」
「遠慮するな、腕も組んどけ」

アイサが恐る恐る腕を絡めてくる。
そして全体重をかけるようにしな垂れかかってきた。
サーシャやあかりとは違う柔らかい感触。
ふむ。悪くないな!

「どうだ?」
「安心するであります。なんかこうユウジ殿に全てを守ってもらっているような気がするであります」
「大げさなやつだな.....。でも安心しろ?アイサは俺が必ず守ってやる。お前は俺のものだ」
「~~~!は、恥ずかしいであります!」

アイサの耳元で愛を囁く。
愛の囁きも恋人の特権だよね!

顔を真っ赤にして俯いているアイサはウブでなんとも可愛らしい。


サリーやアイサが受け入れてくれたのだから、アマリリスも大丈夫だろう。

「アマリリスはなにかあるか?」
「エステルミタイニナデテホシイ」
「いいぞ?こい」

頭を差し出してきたアマリリスの頭を優しくなでる。
てか、差し出さなくてもいいんだが.....まぁいいか。

アマリリスのサラサラな髪を堪能する。
髪を梳くように撫でると甘い匂いが鼻をくすぐる。

「どうだ?」
「クフフ。トテモ気持チイイノジャ!」
「あー。そこは真似しないでいい」
「ソウ?デモゴ主人ノ手トテモ温カイ」

アマリリスは最近、人の真似をすることが多々ある。
よく人を見ている証拠だ。と言っても、変なのが多いが。
アマリリスなりに人間界に順応しようと必死なんだろう。

出会った時とは違い、頑張っているアマリリスに感激した。
だから精一杯なでてあげた。

「気持チイイ。ゴ主人モット」
「こうか?」
「モット」
「はいはい」
「モット。モット」
「本当遠慮ないな!?」
「イッパイ甘エル。ダッテ私ハゴ主人ノ恋人ダカラ」

なるほど。
案外、一番恋人になりきっているのはアマリリスなのかもしれない。

目を細めて気持ちよさそうにしているアマリリスはなんとも美しい!


さて、最後は俺の可愛らしい奏姫アオイの番だ。

アオイはきっとセリーヌに対して遠慮するだろう。
それはとても美しい姉妹愛。

仮にアオイの気持ちを知らなかったら、俺も無理強いはしなかっただろう。
でも、俺はアオイの気持ちを知ってしまった。

アオイはとてもいい子だが、自分を抑えすぎる。
もう自分の気持ちに素直になってもいいだろう。

真夏のホワイトクリスマスにふさわしい恋人をどうやって説得しようか、俺はわくわくしながらアオイを見つめた。
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