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第1章 最愛の女神と旅立ち
~チートと約束~①
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「アウラ様、申し訳ありません。すぐ終わらせますので。」
アウラ様から仕事の進捗状況を催促され、慌てて謝罪するヘイネ様。
う~む、悪いことをした。俺にできることは・・・
ヘイネ様の頭に手を置き、優しく撫でた。
「ちょっ!ユウジさん、やめてください!」
目を細め、まんざらでもないような印象だったが手を振り払われてしまった。
(あるぇ~?なでなでってまずかったのか?アイツらはいつも嬉しそうだったんだがな・・・)
なんだか少しショックを受けてしまった。
「あのですね、嫌ではないんですよ?ただあまり優しくされちゃうと・・・その、好きになっちゃうかもしれないので・・・我慢してるんです!」
ユウジがあからさまにショックを受けていたのを見て、慌てて訂正するヘイネ。
「そ、そうですか・・・すいません」
お互い顔を真っ赤にして俯きあってしまった。
(なんだか今日のヘイネ様はいつもと違ってドキドキするな・・・ってこれも聞こえているのか。でもこのままだとヘイネ様怒られちゃうよな?ならば・・・)
「ヘ、ヘイネ様。俺のスキルなんですが・・・」
声上擦ってなかったかな?
「う、うん・・・。」
(~。ど、どうしよう、意識しちゃうと上手く話せないよ!冷静に、冷静に!)
・・・。
「ヘイネ様、手よろしいですか?」
俺は意を決して提案してみる。
提案すると同時に答えを聞かずに、カウンター上に置いてあるヘイネの手を優しく、それでも少し強引に引っ張った上で握ってみた。
「あ・・・」
ヘイネの驚きと少し嬉しそうな感情が入り混じった声が聞こえた。
「とても温かいです、そして少し恥ずかしいですね」
そう言って、俺は頭をぽりぽりと掻いてみた。
多分顔は真っ赤になっているんだろう。
(もう!そんなに恥ずかしがられたら、逆に冷静にさせられちゃうじゃない。でも、ありがとう・・・)
ユウジの不器用な、それでも精一杯な優しさにヘイネは心が温かくなっていた。
「ユウジさん、その、そのままでいいので、説明に入らせて頂きますね。まず、アウラ様が下賜される加護の数をこちらのサイコロを振って決めます。出た目の数だけ好きなスキルやアイテムなどと交換となります。お好きなものを申請されて構いませんが、スキルだけはアウラ様に最後確認だけさせて頂きます。ここまでよろしいですか?」
にっこりと微笑む
(おぅ、さすが元上位神。お仕事モードになるとしっかりするな。・・・にしても、スキルは大体予想通りだな。意外だったのはアイテムだ。好きな物が貰えて、ヘイネ様の言い方だとアウラ様の確認はないらしい。)
「ヘイネ様。アイテムの場合なんですが、使い捨てタイプですか?それとも永久タイプですか?」
「?・・・物にもよりますが?さすがにお金とか高級なアイテムは使い捨てタイプになります。それ以外ならなんとでもなりますね」
「わかりました。説明の続きをどうぞ」
(ふむふむ、多分あれなら永久かもしれないな・・・)
「アウラ様からスキルの確認が取れましたら、皆様一斉に王都まで転移されます。また皆様にはスキルとは別に神回ポイントが与えられます。」
「神回ポイント?」
聞き慣れないキーワードに思わず聞き返してしまった。
「はい、神の言葉、所謂神託ですね。この場合はアウラ様になります。不定期とはなりますが、神託を皆様にクエストと言う形で下賜され、その貢献度によって、創造神様が、ユウジさんの言葉を借りるなら最高神様ですかね。直々にプレゼントを下賜されるみたいです」
(ーーー!!!最高神やっぱり居たのか!まぁ正確には創造神みたいだけど。でも上位神からのクエストなのにプレゼントは創造神から???なら創造神が直接クエスト発注でよくないか?忙しそうだから無理かな?)
俺が考えこんでいると、ヘイネ様は苦笑しながら教えてくれた。
「一般的に創造神様は知られていないんですよ。下位神すらも知りません、上位神が最高位なんです。ですが、ユウジさんは創造神様の存在に確信めいたものをお持ちでしたよね?ですから教えても問題ないかなと、独断です」
そう言って、ヘイネ様はウインクしながら舌をちょろっと出した。
雄二はその仕種を可愛いいな、ちくしょう!と思いながらもちょっとイラッとしたので、少し意地悪をしてみた。
(創造神様~!ここに下位神のくせに『独断』で神界機密?を漏らしてる女神様がいますよ~!)
心読でそれを聞いたヘイネは大慌てである。
「ちょっと!ユウジさん、それ洒落にならないから!」
あたふたしているヘイネ様を見て、溜飲が下がる俺
「ごめん、ごめん、ヘイネ様。冗談です笑」
「意地悪な人!」
頬をぷくっと膨らませて怒りながらも、どこか楽しそうなヘイネ様。
(やっといつも通りなヘイネ様に戻ったな)
「さて、ヘイネ様。創造神様からのプレゼントですが、ヘイネ様はどのへんの範囲まで可能と思われますか?」
俺は先程までの砕けた様子から一変、真剣な表情でヘイネ様を見つめた。
ヘイネ様もその表情から何かを感じたのだろうか、居住まいを正して真剣に向き合う。
「恐らく貢献度によると思いますが、不可能なものはないかと思われます。それこそ死者の蘇生だって可能かもしれません」
(ー!創造神様、半端ないな。高い要求には高い貢献度が必要なのだろう。でもそれなら・・・)
「た、例えばです。俺が、がむしゃらに頑張ったらヘイネ様の神界での罪を赦してもらうことは可能ですか?」
「え?・・・前例がないのでなんとも言えないですが、可能だとは思います。ただ・・・それはやめてください。罪は罪。結果はどうあれちゃんと償いたいと思います。」
ヘイネは毅然とした態度ではっきりと言い放った。
(!・・・くそ、頑固者め!)
俺は心の中で悪態をつきながら、それでも食い下がる。
「なら、・・・逆にヘイネ様の罪を重くして神界を追放。一般民にしてしまうことは可能でしょうか?」
そう言って俺は、ヘイネ様と繋いでる手に少し力を入れた。
一瞬ヘイネ様はビクッとした。
それでも俺が真剣な眼差しで見つめていることに気付き、恐る恐る
「か、可能だと・・・思います」
その言葉が聞ければ今はいい!
新しい目標もできた!
あとは俺が頑張るだけだ。
力を入れていた手を少し緩め、優しくヘイネ様に声をかける
「ヘイネ様!サイコロを振らせてください」
どこかポっ~としているヘイネ様だが、仕事は卒なくこなす
「はい、こちらがサイコロです」
俺は受けとったサイコロを勢いよく転がす。
ころころころころ・・・
『2』
出た目は2だ!
良くもないが、最悪の1は回避できた。
(よかった・・・。もちろん6がよかったが、1を回避できたことは喜ばしいことだ)
「ではお好きな物をご申請ください」
なんかヘイネ様が2のサイコロを見て恨めしそうな顔をしている・・・怖いよ!
「ではアイテムからなんですが、一週間に一度でもいいのでヘイネ様と会話もしくは逢える権利をお願いします」
「えぇ!?」
意外だったのだろう、目を大きく見開いて驚いている
そんなヘイネ様を無視し、俺は言葉を続ける
「貰えるアイテムなんですが、多分魔力を消費して使うタイプですよね?なら誰かと会話や逢う内容の魔道具なら永久タイプのアイテムだと思うんです。実際そこまで魔力を消費するアイテムではないでしょうから。問題は相手がヘイネ様で神様というです。一般民より遥かに魔力が必要でしょうが、多分俺なら問題無いはずです」
「確かにユウジさんなら魔力面は問題ないとは思います。ですが、本当に私でよろしいんですか?あの子たちもいるのに・・・」
とても複雑そうな顔をしてこちらの様子を伺うヘイネ様。
「ん?アイツらはあてがあるんですよ。ぶっちゃけ、アイツらよりもヘイネ様と逢うほうが遥かに難しいんです。だから大丈夫です。」
うん、大丈夫だ。問題ない。
「そ、そうですか・・・。でもせっかくの加護なのに、本当によろしいんですか?」
不安なのだろうか、少し俯いて尋ねてくるヘイネ様
(もう、じれったいな!こうなったら!)
「いいんです!俺がヘイネ様に逢いたいんです!ヘイネ様とデートがしたいんです!俺とじゃ嫌ですか?」
ヘイネ様はボンっと音をたてて、顔がみるみる紅潮していく。
顔を隠すためだろう、両手を動かすが、そうは問屋は卸さん。
繋いでる手は絶対に離さない。一分でも一秒でもヘイネ様の温もりを感じていたいから。
手を離してもらえないと判断したヘイネ様は、俯いてう~だの、えへへだの言ってるが無視だ!
(にしても、女の子の手って柔らかくて気持ちいいんだな。普段意識したことないから改めて意識してみるとこれもこれでありかもしれん・・・)
ぷにぷにぷに
ぷにぷにぷに・・・
ぷにぷにぷに・・・・・・
げへへ、たまらんな!
「ユウジさん?」
ハッと我に変える。なんかヘイネ様の視線が冷たい・・・。
あ、ありがとうございます!
なんか変な感情が芽生えそうな気がした。
ヘイネ様が落ち着いたところで、最後はスキルだ。
実はこのスキル、長年考えてきた最強で最凶なスキルだ。俺だからこそ使えるスキルで、俺以外にはあまり有用でないスキル。このスキルならアウラ様すら出し抜けるだろう・・・。何たって意味が分からないスキルだからだ。問題があるとすれば、それはヘイネ様だ。
「ヘイネ様。新しいスキルは可能ですか?そんなに難しいスキルではないんですが」
俺はヘイネ様を見つめる
「新しいスキルですか?創造するってことです?」
首を傾げるヘイネ様
「創造スキルとは似てるようで少し違うんです。多分ですが、どの世界にも無い全く新しいスキルです。神様の力で作れないでしょうか?」
俺はヘイネ様にぐいっと近づく
「た、多分大丈夫だと思います。参考までにどのようなスキルか教えてもらえませんか?」
頬が赤くうっすらと染まるヘイネ様。可愛い。
ただスキルの内容を伝えても大丈夫かは悩み所だ。
このスキルの有用性はヘイネ様しかわからないだろう。
仮に裏切られたとしたら、ヘイネ様だけでなく、アイツらとも逢えない。それだけは避けたい。
だから悩む。伝えるべきか、うまくごまかすべきか・・・。
ヘイネ様を見つめ、瞳に俺しか映らないよう、じっくりみつめる。
最初照れていたヘイネ様も、俺の真剣な態度から何かを感じとったのか、ヘイネ様も見つめ返す。
俺は意を決して、ヘイネ様に尋ねることにした。
ヘイネ様を信じて・・・。
「ヘイネ様。スキルを教える前に確認したいことがあります」
「・・・」
二人で見つめ合う。
「ヘイネ様は俺の事が好きですか?俺はヘイネ様が好きです」
ヘイネ様が一瞬ビクッとした。
「わ、わたしも・・・ん!」
何か言おうとしたところを俺は人差し指で遮った。
驚くヘイネ様。
まだ言葉が足りないのだ。
「ヘイネ様。仮に俺の事を好きだとして、どこまで好きでいてくれますか?例えば、ヘイネ様の家族や友人がいたとします。俺とその人達と、どちらを取りますか?どちらかを選んだ場合もう一方は死にます。いえ、状況によっては殺すかもしれません、または殺されるかもしれません。それを踏まえた上でもう一度聞きます。俺の事が好きですか?俺はヘイネ様が好きです」
ヘイネ様は目を大きく見開いて驚いている。
そして俯いて、何かを考えているようだ。
(やはり難しい問題だったかな。それなりに付き合いがあるとは言え、アイツらと過ごしてきた時間と比べれば余りにも短い。でもこれで受け入れてもらえないなら、スキルのことはごまかすしかないな・・・)
「お答えを頂けますか?」
「・・・」
(やっぱりダメだったか・・・。気持ちが固まるまで待っていてあげたいが、あまり長いようだとアウラ様に変に思われてしまう。ここらがタイムリミットだろう仕方ない・・・)
俺がヘイネ様に言葉をかけようとしたその時、ヘイネ様が口を開いた。
「一つ聞いてもいい?」
真剣だ、とてつもなく真剣だ。だからごまかせない。
「なんでしょう?」
「私がユウジさんを選んだ場合、あの子たちと同じように愛してくれる?」
「・・・はい?」
(ど、どういうことだ?いや、意味はわかる。もちろん、アイツらとヘイネ様に上下はない。みんな好きだ!いやいや、今はそうじゃなくて・・・)
「ふふ、混乱してるみたいね」
ヘイネ様を見つめる
ヘイネ様は妖艶な笑みを浮かべて微笑む、美しい。
今この瞬間なら美の女神アウラ様ですら足元にも及ばないだろう、そう俺は見惚れていた。
「あんまり見つめられると恥ずかしいのだけど」
ハッと我に返る。少し残念だ、いや、かなり残念だ。もっと見つめていたかった・・・写メに保存しておけば、すごく悔やまれる。そもそも神界でスマホ使えるのかな?
「話を進めてもいいかな?」
若干呆れたような顔で苦笑している、だから俺は・・・
「もう少し見惚れていたかったかも。世界はアウラ様を美の女神としているかもしれないが、俺の中では間違いなくヘイネ様が美の女神なんだから」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
沈黙が続く。
(な、なななにを言ってるんだ俺は!?くさい、くさすぎる!お前鏡見てみろよ!イケメンか?現実を見ろ!良くてフツメン、悪くてブサメンだろ。あれか?白馬でも用意すればよかったのか?いやいや、白馬とかないわー。どうすんだよ、この状況!アウラ様待たせてるのに、なにいちゃついてんの!?いや、ヘイネ様とならいつまでもいちゃいちゃしたいけど、違うだろ!とにかく落ち着け、深呼吸だ、深呼吸)
少し落ち着いたので、ヘイネ様の状況を恐る恐る確認する。
(・・・うっわ~。めっちゃ嬉しそうなとても人前に出せないだらしない顔で固まってる。ずっと思ってたが、この人嘘つけないタイプなんだろうなぁ。顔に表情が出すぎる。いや、今の顔も愛しいよ?愛しいけどさ・・・。さすがに今の顔は美の女神とは言えないかな~。てか、再起動しないんだけど、どうすんのこれ・・・はぁ)
さっきから頬を軽くぺちぺちしたり、顔の前で手の平をひらひらしたり、耳元で甘い囁きをやってみたりしたが全く無反応である。
(これかなりやばいんじゃね?さすがにアウラ様を待たせすぎな気がする・・・ヘイネ様初すぎんだろ!どうしよう・・・普通にやってダメならショック療法しかないか)
「ヘイネ様~。早く戻ってもらわないと揉んじゃいますよ~。いいんですか~?本当に揉みますよ~?」
「・・・」
無反応。
さすがに俺も少しイラッとしてきた。
確かに原因は俺だが、あくまで神様だろ!
神様が人間なんかに容易くやられるなよ!
もう我慢ならん、揉んでやる!絶対にだ!!
あまり乱暴にしないように、それでも少し力を入れて、大山脈を両の手で鷲掴む。
・・・いやいや、なんだこの弾力ありえないだろ!?弾き返されるとか想像を軽く超えてきた。
「んぅ・・・あん!」
ヘイネ様から漏れる甘美な声。
!!!
(やばい、今のはやばかった。押し倒さなかった俺はノー○ル賞を受賞してもおかしくない功績なはず。てか、まだ再起動しないのか・・・固まってるのに感じるとか器用すぎんだろ。とりあえず揉むのはダメだ!俺がもたん!で、デートが楽しみになったぞ、これ!)
口元がついついだらしなく歪んでしまうのは、悲しい男の性であろう。
「あとはこれしかないよな・・・。ヘイネ様?聞こえているかはわからないですが、俺は本当はもうちょっとロマンチックなそれでムードのある場所でしたかったんですからね?あとで文句言わないでくださいよ?・・・それでは失礼します」
雄司はヘイネ様へと体を乗りだし、目を閉じて、ヘイネ様の唇と自分の唇を合わせた。
舌は入れない、唇だけが重なりあうキスだ
どれだけ時間がたっただろう、次第にヘイネ様が覚醒していくのが唇から伝わってくる
(あともう少しだな、きっと覚醒したら驚き騒ぐにちがいない。ここまで面倒かけられたんだ、俺の我が儘にも付き合ってもらうか・・・)
だんだん覚醒していくヘイネ。
目に光りが灯り、今の状況が鮮明に映りだしてくる。
(え?え?なに?ユウジさんが目の前にいる?なにこれ?唇が熱い・・・?キ、キス?今キスしてるの!?)
錯乱状態でどうしていいかわからない。
ただ体は自然と離れようとしていた。
しかし、雄司はそんなことは想定済みだ。
いつのまにかカウンター横に移動し、中腰ながらも椅子に座っているヘイネの腰に手を回し逃がさないようにしている。
もう片方の手は少し力を入れて、ヘイネの頭を支え自分の顔に押し付けるようにしてる、まるでキスから逃がさないように。
(んぅ!動けない!?ずっとキスしてる!どうして?んぅ!!!舌!舌も入ってきた!?激しいよ!)
「ぷはっ・・・はぁはぁ。ゆ、ユウ・・・んぅ!?」
そう簡単に逃がさない雄司。
息継ぎで少し唇から離した瞬間、声をかけようとしたヘイネはまたしても唇を塞がれてしまった。
しばしキスが行われている間、始めは抵抗しようと体に力を張っていたヘイネも、だんだんと体の力がなくなっていき、今では雄司に体を預けている状態だ。
ようやく二人の唇が離れた時、お互いの唇と唇の間に銀色に輝く逆ブリッジの橋がかかっていた。
「ふぁ・・・ユウジさん、もっと・・・」
ヘイネ様はその美しい顔をほんのり桜色に染め、綺麗な碧眼をとろんっと潤ませ見つめてくる。
肩で荒く息をして、女性特有の甘い香りを醸し出し、甘くお願いしてくるのだ。
ほんの少し前に見た美の女神とはまた違う、美に理性をガリガリと削られる。
(ぐっ・・・!これはやばい!今すぐにでもヘイネを俺のモノにしたい!押し倒したい!唇を、胸を、すべてを蹂躙したい!!)
雄司だって年頃の男の子である
性欲だって当たり前のようにある
ヘイネの甘い誘惑に乗りたいし、乗ってあげたい
でも今はダメだ!
気を抜くと一気に理性が吹っ飛びそうだ
ヘイネは誘惑に負けてしまっているのだろう
雄司の胸の中で頭をすりすりと押し付け、たまにとろんっと潤んだ碧眼でキスの催促をしてくる
(まずい、まずい、まずい!理性が保てなく・・・んぅ!?ヘイネからキスを!油断した!舌も入ってきた!?ちょっ、ヘイネこんなに激しいのか!?まずい、意識が・・・もうこのままヘイネを・・・!ダメだ、ダメだ。意識を保て!)
理性が保てなくなりかけたその時、カウンターに置いてあったペンに偶然手が触れた。
そのままペンを握ると、自分の手の甲におもいっきり突き立てた。ペンはそのまま手を貫通し、カウンター上には血がなみなみとあふれていた
「ぐああぁぁ!・・・はぁはぁ。ぐぅ・・・さすがに、はぁはぁ、転移前の、ぐっ、体じゃ、きつい、よな、はぁはぁ」
さすがのヘイネも雄司が苦しんでる状態を見て、正気にもどったようだ
状況を見る、愛しい人の手からおびただしい血の量が流れている
(わ、私は一体何をしていたの?状況は分かっている。欲望に負けて・・・結果ユウジさんが傷ついて・・・)
みるみるヘイネの顔が青ざめていく
(ぐぅ・・・ま、まずい。はぁはぁ、ヘイネ、が錯乱、するか、はぁはぁ、もしれない。な、んとかし、ないと、はぁはぁ。きっ、と言、葉だけじゃ、届かな、い、はぁはぁ。)
次第に意識がどんどん遠ざかりそうになりながらも、怪我していない手でヘイネを強く抱きしめ、耳元で囁く。
強く抱きしめた際、ヘイネは怯えた表情をしていた。だから優しく囁いたのだ。
「ヘ、イネ。俺は怒って、いないか、ら、治療、を頼、む。この、ままだ、とや、ばそうだ」
その言葉に正気に戻ったヘイネはすぐさま回復魔法をかけ、雄司は事なきを得た。
アウラ様から仕事の進捗状況を催促され、慌てて謝罪するヘイネ様。
う~む、悪いことをした。俺にできることは・・・
ヘイネ様の頭に手を置き、優しく撫でた。
「ちょっ!ユウジさん、やめてください!」
目を細め、まんざらでもないような印象だったが手を振り払われてしまった。
(あるぇ~?なでなでってまずかったのか?アイツらはいつも嬉しそうだったんだがな・・・)
なんだか少しショックを受けてしまった。
「あのですね、嫌ではないんですよ?ただあまり優しくされちゃうと・・・その、好きになっちゃうかもしれないので・・・我慢してるんです!」
ユウジがあからさまにショックを受けていたのを見て、慌てて訂正するヘイネ。
「そ、そうですか・・・すいません」
お互い顔を真っ赤にして俯きあってしまった。
(なんだか今日のヘイネ様はいつもと違ってドキドキするな・・・ってこれも聞こえているのか。でもこのままだとヘイネ様怒られちゃうよな?ならば・・・)
「ヘ、ヘイネ様。俺のスキルなんですが・・・」
声上擦ってなかったかな?
「う、うん・・・。」
(~。ど、どうしよう、意識しちゃうと上手く話せないよ!冷静に、冷静に!)
・・・。
「ヘイネ様、手よろしいですか?」
俺は意を決して提案してみる。
提案すると同時に答えを聞かずに、カウンター上に置いてあるヘイネの手を優しく、それでも少し強引に引っ張った上で握ってみた。
「あ・・・」
ヘイネの驚きと少し嬉しそうな感情が入り混じった声が聞こえた。
「とても温かいです、そして少し恥ずかしいですね」
そう言って、俺は頭をぽりぽりと掻いてみた。
多分顔は真っ赤になっているんだろう。
(もう!そんなに恥ずかしがられたら、逆に冷静にさせられちゃうじゃない。でも、ありがとう・・・)
ユウジの不器用な、それでも精一杯な優しさにヘイネは心が温かくなっていた。
「ユウジさん、その、そのままでいいので、説明に入らせて頂きますね。まず、アウラ様が下賜される加護の数をこちらのサイコロを振って決めます。出た目の数だけ好きなスキルやアイテムなどと交換となります。お好きなものを申請されて構いませんが、スキルだけはアウラ様に最後確認だけさせて頂きます。ここまでよろしいですか?」
にっこりと微笑む
(おぅ、さすが元上位神。お仕事モードになるとしっかりするな。・・・にしても、スキルは大体予想通りだな。意外だったのはアイテムだ。好きな物が貰えて、ヘイネ様の言い方だとアウラ様の確認はないらしい。)
「ヘイネ様。アイテムの場合なんですが、使い捨てタイプですか?それとも永久タイプですか?」
「?・・・物にもよりますが?さすがにお金とか高級なアイテムは使い捨てタイプになります。それ以外ならなんとでもなりますね」
「わかりました。説明の続きをどうぞ」
(ふむふむ、多分あれなら永久かもしれないな・・・)
「アウラ様からスキルの確認が取れましたら、皆様一斉に王都まで転移されます。また皆様にはスキルとは別に神回ポイントが与えられます。」
「神回ポイント?」
聞き慣れないキーワードに思わず聞き返してしまった。
「はい、神の言葉、所謂神託ですね。この場合はアウラ様になります。不定期とはなりますが、神託を皆様にクエストと言う形で下賜され、その貢献度によって、創造神様が、ユウジさんの言葉を借りるなら最高神様ですかね。直々にプレゼントを下賜されるみたいです」
(ーーー!!!最高神やっぱり居たのか!まぁ正確には創造神みたいだけど。でも上位神からのクエストなのにプレゼントは創造神から???なら創造神が直接クエスト発注でよくないか?忙しそうだから無理かな?)
俺が考えこんでいると、ヘイネ様は苦笑しながら教えてくれた。
「一般的に創造神様は知られていないんですよ。下位神すらも知りません、上位神が最高位なんです。ですが、ユウジさんは創造神様の存在に確信めいたものをお持ちでしたよね?ですから教えても問題ないかなと、独断です」
そう言って、ヘイネ様はウインクしながら舌をちょろっと出した。
雄二はその仕種を可愛いいな、ちくしょう!と思いながらもちょっとイラッとしたので、少し意地悪をしてみた。
(創造神様~!ここに下位神のくせに『独断』で神界機密?を漏らしてる女神様がいますよ~!)
心読でそれを聞いたヘイネは大慌てである。
「ちょっと!ユウジさん、それ洒落にならないから!」
あたふたしているヘイネ様を見て、溜飲が下がる俺
「ごめん、ごめん、ヘイネ様。冗談です笑」
「意地悪な人!」
頬をぷくっと膨らませて怒りながらも、どこか楽しそうなヘイネ様。
(やっといつも通りなヘイネ様に戻ったな)
「さて、ヘイネ様。創造神様からのプレゼントですが、ヘイネ様はどのへんの範囲まで可能と思われますか?」
俺は先程までの砕けた様子から一変、真剣な表情でヘイネ様を見つめた。
ヘイネ様もその表情から何かを感じたのだろうか、居住まいを正して真剣に向き合う。
「恐らく貢献度によると思いますが、不可能なものはないかと思われます。それこそ死者の蘇生だって可能かもしれません」
(ー!創造神様、半端ないな。高い要求には高い貢献度が必要なのだろう。でもそれなら・・・)
「た、例えばです。俺が、がむしゃらに頑張ったらヘイネ様の神界での罪を赦してもらうことは可能ですか?」
「え?・・・前例がないのでなんとも言えないですが、可能だとは思います。ただ・・・それはやめてください。罪は罪。結果はどうあれちゃんと償いたいと思います。」
ヘイネは毅然とした態度ではっきりと言い放った。
(!・・・くそ、頑固者め!)
俺は心の中で悪態をつきながら、それでも食い下がる。
「なら、・・・逆にヘイネ様の罪を重くして神界を追放。一般民にしてしまうことは可能でしょうか?」
そう言って俺は、ヘイネ様と繋いでる手に少し力を入れた。
一瞬ヘイネ様はビクッとした。
それでも俺が真剣な眼差しで見つめていることに気付き、恐る恐る
「か、可能だと・・・思います」
その言葉が聞ければ今はいい!
新しい目標もできた!
あとは俺が頑張るだけだ。
力を入れていた手を少し緩め、優しくヘイネ様に声をかける
「ヘイネ様!サイコロを振らせてください」
どこかポっ~としているヘイネ様だが、仕事は卒なくこなす
「はい、こちらがサイコロです」
俺は受けとったサイコロを勢いよく転がす。
ころころころころ・・・
『2』
出た目は2だ!
良くもないが、最悪の1は回避できた。
(よかった・・・。もちろん6がよかったが、1を回避できたことは喜ばしいことだ)
「ではお好きな物をご申請ください」
なんかヘイネ様が2のサイコロを見て恨めしそうな顔をしている・・・怖いよ!
「ではアイテムからなんですが、一週間に一度でもいいのでヘイネ様と会話もしくは逢える権利をお願いします」
「えぇ!?」
意外だったのだろう、目を大きく見開いて驚いている
そんなヘイネ様を無視し、俺は言葉を続ける
「貰えるアイテムなんですが、多分魔力を消費して使うタイプですよね?なら誰かと会話や逢う内容の魔道具なら永久タイプのアイテムだと思うんです。実際そこまで魔力を消費するアイテムではないでしょうから。問題は相手がヘイネ様で神様というです。一般民より遥かに魔力が必要でしょうが、多分俺なら問題無いはずです」
「確かにユウジさんなら魔力面は問題ないとは思います。ですが、本当に私でよろしいんですか?あの子たちもいるのに・・・」
とても複雑そうな顔をしてこちらの様子を伺うヘイネ様。
「ん?アイツらはあてがあるんですよ。ぶっちゃけ、アイツらよりもヘイネ様と逢うほうが遥かに難しいんです。だから大丈夫です。」
うん、大丈夫だ。問題ない。
「そ、そうですか・・・。でもせっかくの加護なのに、本当によろしいんですか?」
不安なのだろうか、少し俯いて尋ねてくるヘイネ様
(もう、じれったいな!こうなったら!)
「いいんです!俺がヘイネ様に逢いたいんです!ヘイネ様とデートがしたいんです!俺とじゃ嫌ですか?」
ヘイネ様はボンっと音をたてて、顔がみるみる紅潮していく。
顔を隠すためだろう、両手を動かすが、そうは問屋は卸さん。
繋いでる手は絶対に離さない。一分でも一秒でもヘイネ様の温もりを感じていたいから。
手を離してもらえないと判断したヘイネ様は、俯いてう~だの、えへへだの言ってるが無視だ!
(にしても、女の子の手って柔らかくて気持ちいいんだな。普段意識したことないから改めて意識してみるとこれもこれでありかもしれん・・・)
ぷにぷにぷに
ぷにぷにぷに・・・
ぷにぷにぷに・・・・・・
げへへ、たまらんな!
「ユウジさん?」
ハッと我に変える。なんかヘイネ様の視線が冷たい・・・。
あ、ありがとうございます!
なんか変な感情が芽生えそうな気がした。
ヘイネ様が落ち着いたところで、最後はスキルだ。
実はこのスキル、長年考えてきた最強で最凶なスキルだ。俺だからこそ使えるスキルで、俺以外にはあまり有用でないスキル。このスキルならアウラ様すら出し抜けるだろう・・・。何たって意味が分からないスキルだからだ。問題があるとすれば、それはヘイネ様だ。
「ヘイネ様。新しいスキルは可能ですか?そんなに難しいスキルではないんですが」
俺はヘイネ様を見つめる
「新しいスキルですか?創造するってことです?」
首を傾げるヘイネ様
「創造スキルとは似てるようで少し違うんです。多分ですが、どの世界にも無い全く新しいスキルです。神様の力で作れないでしょうか?」
俺はヘイネ様にぐいっと近づく
「た、多分大丈夫だと思います。参考までにどのようなスキルか教えてもらえませんか?」
頬が赤くうっすらと染まるヘイネ様。可愛い。
ただスキルの内容を伝えても大丈夫かは悩み所だ。
このスキルの有用性はヘイネ様しかわからないだろう。
仮に裏切られたとしたら、ヘイネ様だけでなく、アイツらとも逢えない。それだけは避けたい。
だから悩む。伝えるべきか、うまくごまかすべきか・・・。
ヘイネ様を見つめ、瞳に俺しか映らないよう、じっくりみつめる。
最初照れていたヘイネ様も、俺の真剣な態度から何かを感じとったのか、ヘイネ様も見つめ返す。
俺は意を決して、ヘイネ様に尋ねることにした。
ヘイネ様を信じて・・・。
「ヘイネ様。スキルを教える前に確認したいことがあります」
「・・・」
二人で見つめ合う。
「ヘイネ様は俺の事が好きですか?俺はヘイネ様が好きです」
ヘイネ様が一瞬ビクッとした。
「わ、わたしも・・・ん!」
何か言おうとしたところを俺は人差し指で遮った。
驚くヘイネ様。
まだ言葉が足りないのだ。
「ヘイネ様。仮に俺の事を好きだとして、どこまで好きでいてくれますか?例えば、ヘイネ様の家族や友人がいたとします。俺とその人達と、どちらを取りますか?どちらかを選んだ場合もう一方は死にます。いえ、状況によっては殺すかもしれません、または殺されるかもしれません。それを踏まえた上でもう一度聞きます。俺の事が好きですか?俺はヘイネ様が好きです」
ヘイネ様は目を大きく見開いて驚いている。
そして俯いて、何かを考えているようだ。
(やはり難しい問題だったかな。それなりに付き合いがあるとは言え、アイツらと過ごしてきた時間と比べれば余りにも短い。でもこれで受け入れてもらえないなら、スキルのことはごまかすしかないな・・・)
「お答えを頂けますか?」
「・・・」
(やっぱりダメだったか・・・。気持ちが固まるまで待っていてあげたいが、あまり長いようだとアウラ様に変に思われてしまう。ここらがタイムリミットだろう仕方ない・・・)
俺がヘイネ様に言葉をかけようとしたその時、ヘイネ様が口を開いた。
「一つ聞いてもいい?」
真剣だ、とてつもなく真剣だ。だからごまかせない。
「なんでしょう?」
「私がユウジさんを選んだ場合、あの子たちと同じように愛してくれる?」
「・・・はい?」
(ど、どういうことだ?いや、意味はわかる。もちろん、アイツらとヘイネ様に上下はない。みんな好きだ!いやいや、今はそうじゃなくて・・・)
「ふふ、混乱してるみたいね」
ヘイネ様を見つめる
ヘイネ様は妖艶な笑みを浮かべて微笑む、美しい。
今この瞬間なら美の女神アウラ様ですら足元にも及ばないだろう、そう俺は見惚れていた。
「あんまり見つめられると恥ずかしいのだけど」
ハッと我に返る。少し残念だ、いや、かなり残念だ。もっと見つめていたかった・・・写メに保存しておけば、すごく悔やまれる。そもそも神界でスマホ使えるのかな?
「話を進めてもいいかな?」
若干呆れたような顔で苦笑している、だから俺は・・・
「もう少し見惚れていたかったかも。世界はアウラ様を美の女神としているかもしれないが、俺の中では間違いなくヘイネ様が美の女神なんだから」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
沈黙が続く。
(な、なななにを言ってるんだ俺は!?くさい、くさすぎる!お前鏡見てみろよ!イケメンか?現実を見ろ!良くてフツメン、悪くてブサメンだろ。あれか?白馬でも用意すればよかったのか?いやいや、白馬とかないわー。どうすんだよ、この状況!アウラ様待たせてるのに、なにいちゃついてんの!?いや、ヘイネ様とならいつまでもいちゃいちゃしたいけど、違うだろ!とにかく落ち着け、深呼吸だ、深呼吸)
少し落ち着いたので、ヘイネ様の状況を恐る恐る確認する。
(・・・うっわ~。めっちゃ嬉しそうなとても人前に出せないだらしない顔で固まってる。ずっと思ってたが、この人嘘つけないタイプなんだろうなぁ。顔に表情が出すぎる。いや、今の顔も愛しいよ?愛しいけどさ・・・。さすがに今の顔は美の女神とは言えないかな~。てか、再起動しないんだけど、どうすんのこれ・・・はぁ)
さっきから頬を軽くぺちぺちしたり、顔の前で手の平をひらひらしたり、耳元で甘い囁きをやってみたりしたが全く無反応である。
(これかなりやばいんじゃね?さすがにアウラ様を待たせすぎな気がする・・・ヘイネ様初すぎんだろ!どうしよう・・・普通にやってダメならショック療法しかないか)
「ヘイネ様~。早く戻ってもらわないと揉んじゃいますよ~。いいんですか~?本当に揉みますよ~?」
「・・・」
無反応。
さすがに俺も少しイラッとしてきた。
確かに原因は俺だが、あくまで神様だろ!
神様が人間なんかに容易くやられるなよ!
もう我慢ならん、揉んでやる!絶対にだ!!
あまり乱暴にしないように、それでも少し力を入れて、大山脈を両の手で鷲掴む。
・・・いやいや、なんだこの弾力ありえないだろ!?弾き返されるとか想像を軽く超えてきた。
「んぅ・・・あん!」
ヘイネ様から漏れる甘美な声。
!!!
(やばい、今のはやばかった。押し倒さなかった俺はノー○ル賞を受賞してもおかしくない功績なはず。てか、まだ再起動しないのか・・・固まってるのに感じるとか器用すぎんだろ。とりあえず揉むのはダメだ!俺がもたん!で、デートが楽しみになったぞ、これ!)
口元がついついだらしなく歪んでしまうのは、悲しい男の性であろう。
「あとはこれしかないよな・・・。ヘイネ様?聞こえているかはわからないですが、俺は本当はもうちょっとロマンチックなそれでムードのある場所でしたかったんですからね?あとで文句言わないでくださいよ?・・・それでは失礼します」
雄司はヘイネ様へと体を乗りだし、目を閉じて、ヘイネ様の唇と自分の唇を合わせた。
舌は入れない、唇だけが重なりあうキスだ
どれだけ時間がたっただろう、次第にヘイネ様が覚醒していくのが唇から伝わってくる
(あともう少しだな、きっと覚醒したら驚き騒ぐにちがいない。ここまで面倒かけられたんだ、俺の我が儘にも付き合ってもらうか・・・)
だんだん覚醒していくヘイネ。
目に光りが灯り、今の状況が鮮明に映りだしてくる。
(え?え?なに?ユウジさんが目の前にいる?なにこれ?唇が熱い・・・?キ、キス?今キスしてるの!?)
錯乱状態でどうしていいかわからない。
ただ体は自然と離れようとしていた。
しかし、雄司はそんなことは想定済みだ。
いつのまにかカウンター横に移動し、中腰ながらも椅子に座っているヘイネの腰に手を回し逃がさないようにしている。
もう片方の手は少し力を入れて、ヘイネの頭を支え自分の顔に押し付けるようにしてる、まるでキスから逃がさないように。
(んぅ!動けない!?ずっとキスしてる!どうして?んぅ!!!舌!舌も入ってきた!?激しいよ!)
「ぷはっ・・・はぁはぁ。ゆ、ユウ・・・んぅ!?」
そう簡単に逃がさない雄司。
息継ぎで少し唇から離した瞬間、声をかけようとしたヘイネはまたしても唇を塞がれてしまった。
しばしキスが行われている間、始めは抵抗しようと体に力を張っていたヘイネも、だんだんと体の力がなくなっていき、今では雄司に体を預けている状態だ。
ようやく二人の唇が離れた時、お互いの唇と唇の間に銀色に輝く逆ブリッジの橋がかかっていた。
「ふぁ・・・ユウジさん、もっと・・・」
ヘイネ様はその美しい顔をほんのり桜色に染め、綺麗な碧眼をとろんっと潤ませ見つめてくる。
肩で荒く息をして、女性特有の甘い香りを醸し出し、甘くお願いしてくるのだ。
ほんの少し前に見た美の女神とはまた違う、美に理性をガリガリと削られる。
(ぐっ・・・!これはやばい!今すぐにでもヘイネを俺のモノにしたい!押し倒したい!唇を、胸を、すべてを蹂躙したい!!)
雄司だって年頃の男の子である
性欲だって当たり前のようにある
ヘイネの甘い誘惑に乗りたいし、乗ってあげたい
でも今はダメだ!
気を抜くと一気に理性が吹っ飛びそうだ
ヘイネは誘惑に負けてしまっているのだろう
雄司の胸の中で頭をすりすりと押し付け、たまにとろんっと潤んだ碧眼でキスの催促をしてくる
(まずい、まずい、まずい!理性が保てなく・・・んぅ!?ヘイネからキスを!油断した!舌も入ってきた!?ちょっ、ヘイネこんなに激しいのか!?まずい、意識が・・・もうこのままヘイネを・・・!ダメだ、ダメだ。意識を保て!)
理性が保てなくなりかけたその時、カウンターに置いてあったペンに偶然手が触れた。
そのままペンを握ると、自分の手の甲におもいっきり突き立てた。ペンはそのまま手を貫通し、カウンター上には血がなみなみとあふれていた
「ぐああぁぁ!・・・はぁはぁ。ぐぅ・・・さすがに、はぁはぁ、転移前の、ぐっ、体じゃ、きつい、よな、はぁはぁ」
さすがのヘイネも雄司が苦しんでる状態を見て、正気にもどったようだ
状況を見る、愛しい人の手からおびただしい血の量が流れている
(わ、私は一体何をしていたの?状況は分かっている。欲望に負けて・・・結果ユウジさんが傷ついて・・・)
みるみるヘイネの顔が青ざめていく
(ぐぅ・・・ま、まずい。はぁはぁ、ヘイネ、が錯乱、するか、はぁはぁ、もしれない。な、んとかし、ないと、はぁはぁ。きっ、と言、葉だけじゃ、届かな、い、はぁはぁ。)
次第に意識がどんどん遠ざかりそうになりながらも、怪我していない手でヘイネを強く抱きしめ、耳元で囁く。
強く抱きしめた際、ヘイネは怯えた表情をしていた。だから優しく囁いたのだ。
「ヘ、イネ。俺は怒って、いないか、ら、治療、を頼、む。この、ままだ、とや、ばそうだ」
その言葉に正気に戻ったヘイネはすぐさま回復魔法をかけ、雄司は事なきを得た。
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