過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第5章 唯愛の賢妻と傲慢勇者

~図書館とマジック創造~エステル攻略戦②

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会話パート

「」ユウジ {}エステル {{}}エステルの心

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『帝国図書館』

帝国エクスペインが誇る公的機関の大図書館
東西南北4つの大陸からその英知の全てを集めた一大図書館だ
市民開放エリアと閲覧有料エリアに区分されており、所蔵されている蔵書は30000冊ほどらしい
ここには国やギルド所有の秘蔵機密文書が保管されており、Sランク冒険者なら閲覧が許可されている

□□□□

このイリアスは4つの大陸で構成されている

北の大陸『ボレアス大陸』
農作物等が育ちにくい不毛な大地で強力な魔物もかなり多く、人間族が生活するには非常に厳しい場所らしい
その代わり鉱石や魔物の素材が豊富でそれが主な輸出源になっているのだとか
マジックアイテムの素材の大半はボレアス大陸産らしい
主にドワーフや一部の獣人族が大陸の一部を生活拠点にしていて、大陸の大半は魔族や魔物の棲み家になっているみたいだ

南の大陸『ノトス大陸』
自然豊かで、地球で言うところのジャングルに相当する大陸らしい
自然の中に国家が存在し、自然と共に人々も生活しているのだとか
主な輸出源は農作物や豊富な実や野草などの自然の恵、そして魚や獣の皮や肉なんだとか
服などの生地や市場に出回っている食材の大半はノトス大陸産らしい
主に獣人族やエルフが大陸のほとんどを占めていて、奴隷の大半はノトス大陸からやってきているのだとか

西の大陸『ゼピュロス大陸』
ここは別名海の国とも呼ばれ、所謂猟師や海女さんの大陸らしい。そして一大商業大陸でもあるのだとか
海と共に生き、海と共に死ぬ。もちろん海賊とかもいるらしいが、海賊王やワンピ○スはないみたいだ
主な輸出源は当然海産物となるが、その他に真珠などの宝石の大半もゼピュロス大陸産らしい
主に獣人族と人間族が大陸の大半を占めていて、猟師や海女さんなどの仕事は獣人族が、商いは人間族が執り行うと上手く分業しているんだとか

東の大陸『エウロス大陸』
俺達がいる大陸だ。春夏秋冬の四季があり、どちらかと言うと地球の日本に近い印象を受ける
基本的に輸入に頼っている大陸なんだとか
四季があるから農作物や海産物もそれなりに取れるのだが、味が他の大陸よりも落ちるらしい
その代わり人材が豊富で人材派遣や技術提供が主な収入源になるのだとか
魔法学校もエウロス大陸とゼピュロス大陸の二つにあるみたいだが、エウロス大陸のほうが最先端らしい
各大陸の官僚に相当する地位の人々は大体エウロス大陸の魔法学校卒業生らしい
主にというか圧倒的に人間族が大陸全土を占めているみたいだ
あまり他種族を見ないのはこの影響なんだろうな

全部エステルに説明してもらったものだ
そもそも4大陸に別れていたことも知らなかった

(個人的にはゼピュロス大陸の海女さんが気になるところだな!決してやましい気持ちがあるわけではない!その仕事ぶりを観察したいだけだ!海女さんは現代の生けるマーメイドだしな!確か・・・女性は男性よりも多くの皮下脂肪を持つため、冷たい水の中でも長時間活動ができるんだっけか?いつか行けたらいいな~。げへへ・・・というか、きっと魔王はボレアス大陸にいるんだろうな。こっちでの拠点が『魔王国ヴィスニッツ』なんだろうが。そうなると他の魔将とかも他の大陸にいる可能性もあるんだような?う~ん。すぐ転移できるように準備しとかないとまずいか?しかし・・・他の大陸の国の転移護符とかエクスペインでは見たことないぞ?ソフィアの話だとエクスペインはこの大陸随一のオークション会場らしいが・・・その辺りも確認しとかないとな。神回Pの使い方が未だによくわからないのがイラだたしいが、貯めておくにこしたことはないからな)

□□□□

帝都エクスペイン・『貴族区』帝国図書館

この帝国図書館にはエステルの希望で定期的に訪れるようにしている
そもそも俺がSランク冒険者になったのも、エステルが秘蔵文書なるものを読みたがったからだ
エステル自身もSランク冒険者になれば、俺抜きで帝国図書館での秘蔵文書を閲覧できる
実際、エステルならSランク冒険者になれるだけの実力もあるのだが、Sランク昇格試験を受ける為に必要なAランク冒険者になるまでには結構時間がかかるらしい

そういう理由もあってエステル自身はSランク冒険者になるつもりはないみたいだ
でも俺はこのエステルの言い分は建前だと思っている

(本当は少しでも長く俺と一緒にいたいからSランク冒険者になりたくないんだよな?分かってる、分かっているぞ?エステル!というか、俺とエステルは基本いつも一緒だからエステルがSランク冒険者になる必要もないし、しかも俺とエステルはいつも一緒にいるって『約束』もしたもんな!)

そんな訳で俺とエステルは今、帝国図書館に来ている

ちなみに俺は来てもすることがないし、読みたいものもない
だから、いつもとりあえずエステルに付いていくことにしている
そして付いていく理由もちゃんとある
エステルはいつものように秘蔵文書エリアに移動していき、なにやら小難しい本を持ってきてはそのまま俺の膝上に座った

俺が付いていく理由、それは・・・エステルに椅子を提供してあげることだ!
エステルの柔らかくもむちむちなお尻を、冷たくて固い椅子に座らせるなど許されることじゃない!
・・・すいません、俺やることありました。エステルのお尻の感触を堪能することです!
それに膝上抱っこならエステルをずっとなでなでしてあげられるしな!
エステルもそれが分かっているので、当たり前のように俺の膝上に座ってきたのだろう
あ、多分分かっているのはなでなでの部分で、お尻の感触を楽しんでいるのは分かっていないと思うが

そんな訳でエステルが、俺の膝上で真剣に秘蔵文書を閲覧しているのはもはやおなじみの光景だ
こういう光景って親子みたいに見えたりするんだろうか?

そういう状況の中、俺はエステルが真剣に読んでいるものが気になったので覗いてみたのだが・・・

「あれ?それってこの前読んでなかったか?」
{1回読んだだけでは覚えられないのじゃ}

こういう体勢だからかエステルが何を読んでいるかは大体わかる

今エステルが読んでいるのは『スキル大全』と呼ばれる分厚い本だ。
厚さはタウ〇ページぐらいだと思ってくれていいだろう
イリアスにおける全ての魔法やスキルが載っている、と言われている大全書らしい。誇張しすぎだろ!
正直読みたいとは思えない程の分厚さだ
日本の図書館でもきっとほこりを被ってる類の本だろう

そんな本よく読めるな?と以前エステルに聞いたことがある
その時エステルが、{お師匠様の質問にいつでも答えられるようにするためなのじゃ!}と答えてくれて、そのあまりの健気さにエステルを思わず抱きしめたことがあったので今でもなんとなく覚えていた本だ

(それにしても俺の為に何回も読んで覚えてくれているのか・・・なんて可愛いやつなんだ!)

「ありがとう。エステル!エステルがあまりに可愛いから抱きしめてもいいか?」
{お師匠様はなに言っておるのじゃ?既に妾は抱きしめられておるのじゃ}

おっと!ごく当たり前のように抱きしめていたか!
まぁ断られても抱きしめちゃうので結果は変わらないんだがな!

(それにしても何回も読むとか効率悪くないか?いや読むこと自体はいいのだが、帝国図書館に来ないと読めないってのは効率悪いよな。書き写せばいいのだろうがこの量はな・・・しかもイリアスの筆記具だと書き写すのも大変だし保管も大変なんだよな。エステルもそれが分かっているから持ってきてないんだろうな)

現状イリアスの紙については羊皮紙やパピルスが使われている。そしてペンは羽ペンだ
たまに万年筆らしきものがオークションで流れたりするが基本は羽ペンである
食文化とかは現代に近いのに、こういうところは中世風というとてもめんどくさい世界がイリアスだ

そして羊皮紙とかの質がとても悪い。ハッキリ言ってものを書くのに適しているとは到底言えない代物だ
そして非常に粗悪だ。すぐボロボロになってしまうので保管も一苦労するのである
本などには劣化防止などの特殊な魔法がかけられているが、市販の紙などには当然魔法はかかっていない
だからエステルも筆記具を持参していないのだろう

(しかしそれでは効率が悪すぎる!愛しいエステルの為になんとかしてあげたい!ここはやはり娯楽大国日本の知識を活かすべきだろうな。日本の文具用品の無駄な可愛さは定評がある!ペンはやはりボールペンがいいだろう。万年筆とかは人を選ぶし。そしてノートはやはりあれしかないよな!・・・世界創造!)

「エステル、これを使って書き写してみたらどうだ?」
{お、お師匠様!これ可愛いのじゃ!!}

そこで俺がエステルの為に創り出したのは1つのペンと1つのノートだ
エステルはピカチ〇ウ君が気に入ってるみたいなので、ピカチ〇ウ君のマスコットがついたボールペン
そしてラブリーファントも気に入ってるみたいなので、キャロの絵柄が書かれているジャ〇ニカ学習帳
それぞれをエステルに手渡した

【マジックペン『ピカチ〇ウボールペン』を作成しました】
【マジックノート『キャロ学習帳』を作成しました】

単純に日本で売られているようなマスコット商品だが、それでもイリアスの羊皮紙や羽ペンに比べれば天と地ほどの差があるはずだ
更にエステルの為にちょっとした工夫もこのペンと学習帳には凝らしてある

早速可愛いペンと学習帳を手にしたエステルは意気揚々とスキル大全を書き写していくわけだが・・・

{・・・?なんじゃこれ?}

「驚いたろ?俺の『無限書庫』のスキルを少しいじったスキルだ。『無限書庫』をそのまま渡してもエステルは喜ばないだろうから、マジックアイテムにそのスキルを付与しておいたんだ。そうだな、仮に『書写書庫』とも呼ぼうか。俺の為に頑張ってくれているエステルへのご褒美だな。使うか使わないかは任せるよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『書写書庫』ランク:不明
勇者ユウジがエステルの為に創り出したスキル
『無限書庫』の劣化版
特定のペンで特定のノートに書き写したものは半永久的に特定のノートに保存される
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{どういうスキルを付けたのじゃ?}

『ペンには『書写』のスキル。普通のペンとしても活用できるが、本の文字をなぞることでなぞった文字を記憶できるようにしてある。そして記憶させてある状態のペンをノートに触させることでノートに記憶した文字を一気に書き写すことができるな。あくまで作業効率をUPさせる為の手段だ。ノートには『書庫』のスキル。こっちは一度書き写したものは半永久的に保存される仕組みにしてある。ノートに魔力を込めることで調べたい項目を自動で検索する機能も付けておいた。ノートに書き写しておけばいつでも好きな時に読めるだろ?』

(エステルは合理的な考え方をするが、ただ与えられるだけって環境を嫌がる傾向があるんだよな。俺の『無限書庫』ならただ読むだけで自然と知識本の内容頭の中に入ってくる保存されるが、エステルはきっと受け取らない。だからピカチ〇ウボールペンに『書写』スキルを、そしてキャロ学習帳には『書庫』のスキルを付与した。結局結果は同じになるんだが書き写すという過程を経ているから、エステルもそれなりには納得してくれるだろう)

{お師匠様ありがとうなのじゃ!・・・それにしてもお師匠様が羨ましいのじゃ。自由にスキルを創造できて、しかも自由にマジックアイテムも作成できるのじゃ}

「欲しいものあるんだったら言ってくれ。エステルの為ならなんでも創ってあげるぞ?それにスキル作成は確かに俺の力の一部だが、マジックアイテム作成は魔導を習えば誰でもできるようになるぞ?エステルならすぐ習得できるよ。なんだったら教えてあげてもいいぞ?ただし理論の方は図書館の本でなんとかしてくれよな?俺はなんとなくできているから理論はさっぱりだ!」


こうして俺とエステルの魔導講座が始まったのだった


□□□□

side -エステル- ~開始~

今、妾とお師匠様は帝国図書館に来ておるのじゃ
目的は帝国図書館に所蔵されている秘蔵文書を閲覧する為なのじゃ

{{妾はとにかく知識が欲しいのじゃ!}}

お師匠様は妾になんでも聞いてくる。それが妾はたまらなく嬉しいのじゃ
妾を、妾自身を必要としてくれるお師匠様の役に立ちたいのじゃ

妾は帝国図書館に着いたら真っ先に秘蔵文書エリアに移動する。時間は有限なのじゃ
そしてお目当ての本を見つけたら当然のようにお師匠様の膝上に座らせてもらうのじゃ
お師匠様の膝上は妾の場所だからなのじゃ!
妾が座るとお師匠様は嬉しそうな顔をするし、なでなでもしてくれるのじゃ

妾はこのなでなでがとても好きなのじゃ
たまにサーシャやあかりからもなでなでしてもらう機会もあるのじゃが、お師匠様のなでなでのような幸せは得られないのじゃ
やはりお師匠様のなでなでは特別なのじゃ。幸せなのじゃ

今日もお師匠様はいつものようになでなでをしてくれているのじゃ

{{気持ちいいのじゃ~、幸せなのじゃ~。いつまでもこうしていてもらいたいのじゃ。とても満足なのじゃ。体が、心が落ち着くのじゃ}}

だから妾の思考能力も三割UPした・・・ような気もするのじゃ
これならきっと今日こそは『スキル大全』を網羅できるはずなのじゃ

今妾の前には『スキル大全』と呼ばれるとても分厚い本があるのじゃ。もちろんこれも秘蔵文書なのじゃ
この世の全ての魔法やスキルが掲載しているらしいのじゃ

{{全てという部分は本当かどうかは眉唾ものじゃな。実際この本に載ってなさそうなスキルや魔法をお師匠様はたくさん持っておるしの。まぁお師匠様が特別だという見方もできるからなんとも言えぬのじゃが・・・}}

お師匠様が妾に求めてくる知識は幅広いものじゃ
日常の常識から雑学、そしてスキルや魔法のことなど・・・
もはや妾はお師匠様の頭脳とも言えるのではないのだろうか

{{妾がお師匠様と一心同体・・・う、嬉しいのじゃ!}}

特にスキルや魔法についてはお師匠様はとても喜んでくれるのじゃ
妾もお師匠様が喜んでくれるから頑張りたくなるのじゃ
だからスキル関連や魔物の研究は特に念入りにするようにしているのじゃ
全てはお師匠様に喜んでもらってなでなでしてもらう為に!

そういう訳で、妾はいつも通りなでなでを堪能しながら
研究に勤しんでいたら・・・

「あれ?それってこの前読んでなかったか?」
{1回読んだだけでは覚えられないのじゃ}

びっくりしたのじゃ!お師匠様が本に興味を示していたことに
お師匠様はたまに本について尋ねられることもあったのじゃが、決まって興味なさそうな顔をしているのじゃ

だから気になってなぜ質問してきたのか尋ねてみたら、

「俺は本の内容が知りたいんじゃない。エステルが俺に説明している姿を見たいんだ。俺は自信満々に説明しているエステルの姿に見惚れ、恋をしている」

お師匠様からそう言われた時は、妾は体が真っ赤になるぐらい恥ずかしかったのじゃ
お師匠様が妾に捧げてくれるひたむきな愛情が、妾はとても嬉しくて、そして同時に悩ましいものでもあるのじゃ

{{妾だってお師匠様が大好きなのじゃ!だからこそ頑張れるのじゃ!だからこそお師匠様の役に立ちたいのじゃ!お師匠様、妾をもっと見てほしいのじゃ!妾をもっと愛して欲しいのじゃ!妾だけを愛して欲しいのじゃ!!}}

□□□□

お師匠様から可愛らしいペンとノート?を貰ったのじゃ
どちらもスキルを付与した特別製らしいのじゃ

いつもそうなのじゃ
妾が困っていたりするとさりげなくフォローしてくれるのじゃ
お師匠様が妾をしっかり見ていてくれている証なのじゃ
嬉しいのじゃ。嬉しいのだけれど・・・ただ最近よく思うのじゃ

妾はお師匠様から貰ってばかりなのではないかと・・・
妾はお師匠様に何かを与えてあげられているのだろうかと・・・

{{妾もなにかお師匠様にプレゼントしたいのじゃ。それも妾だけの特別な何かをあげたいのじゃ!妾は器用ではないからサーシャやあかりみたいに料理も裁縫も上手くできないのじゃ。だから妾は妾なりのやり方でお師匠様に何かプレゼントしたいのじゃ!}}

だから妾はお師匠様から魔導、マジックアイテムの作成を教わることにしたのじゃ
お師匠様は戦いに強いだけでなく、一流の魔導技師でもあるのじゃ
妾だけでなく、お師匠様の家族にもよくマジックアイテムを創っているのも見かけるのじゃ
お師匠様から教わればきっと妾もお師匠様の為に何かを創れるはずなのじゃ


こうして妾とお師匠様の魔導講座が始まったのじゃ


□□□□

まず妾はお師匠様の言われた通り帝国図書館の本からマジックアイテム作成の知識を得ることにしたのじゃ
お師匠様はいつもなんとなくスキルを使っているらしいからあまり詳しく説明できないらしいのじゃ
そもそもなんとなくスキルを使えること自体がすごいのじゃが・・・
やはりお師匠様は規格外なのじゃ!

確か以前こんなことも言っていたのじゃ!

~~回想開始~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「俺の師匠はさ、とにかく出鱈目だったんだよ。魔法という観点から言えばエステルとは真逆かもしれないな」

{妾とは真逆?どういうことなのじゃ?}

「物事には必ず原因と結果があるものだろ?例えば、エステルなら原因や過程を追及した上で結果を求めるはずだ。魔法錬成のスキルなんてまさにその極致だよな。だけど俺の師匠は結果だけで物事を創りだしちゃうんだよ。所謂『即興創造』とか『思い付き創造』とか言われるものだな。思い付いたらいきなりその場で物事を創り出してしまうんだ。創り出した経緯なんか本人すらも分かっていないんだから恐れ入るよ」

{な、なんじゃそれは?無茶苦茶なのじゃ。ただ、いくらなんでもその世界にないものなら創れないのではないか?}

「いやだから、ないなら創っちゃおうってのが師匠の考え方なんだよ。どうやって創造してるのか聞いてもわからないらしい。なんとなくできるらしい。俺は、そんな師匠からなんとなくできたスキルをなんとなく貰ってたんだ、今までは。だけどエステルに出会って、なんとなく使っていたスキルがどういうものなのか、どうやって活用していけばいいのか分かるようになったんだ。魔法は強力な力だからな。知らないことは単純に恐怖でもあった。だからエステルが教えてくれることは俺にとってなによりもかけがいのない言葉なんだよ。だからいつまでも俺の側にいて俺に色々教えてくれ」

~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

お師匠様が知らないことは恐怖だと言っていたのじゃ
だから妾は帝国図書館に通おうと決心したのじゃ
妾がお師匠様の恐怖を取り除いてあげるのじゃ!
お師匠様のなんとなくは妾が全部意味付けてあげるのじゃ

もちろん今回のマジックアイテム作成も妾にお任せなのじゃ!

「いいか、エステル。マジックアイテムに一番重要なのは確かな・・・イメージだ。魔法もイメージが大事だが、魔法以上にマジックアイテムは重要だ。魔法はおおよそのイメージさえあれば創造できるが、マジックアイテムの場合はおおよそではダメだ。出来損ないができる。いい例が別荘にあるマッサージチェアだな」

{{あれが出来損ない?もともとどういうものがわからぬが、それでも十分なのではないのか?そもそも魔法もおおよそのイメージでは創造できぬのじゃ。それはお師匠様の莫大な魔力があってこそ為せる技なのじゃ。だから妾達からすれば魔法もマジックアイテムもそうそう変わらないはずなのじゃ}}

「まずは創り出したいものの形状を思い浮かべるんだ。より明確にだぞ?それができたら構造をイメージしていく。ここが一番重要なところだ。ここが疎かになると駄作ができる」

ふむふむ。なるほどなのじゃ
とりあえず妾は目の前にあるピカチ○ウボールペンで試してみることにしたのじゃ

{{まずはペンの形状を明確にイメージするのじゃ。といっても、目の前にあるのでイメージ自体は難しくないのじゃ。形状が出来上がったので、構造をイメージするのじゃ。ピカチ○ウをカチッと押したら書ける・・・ん?意外と簡単にできる・・・?・・・創造!}}

妾の目の前には明らかにお師匠様がくれたペンとは違う、なんか変なペンが出来上がっていたのじゃ

{{どうしてじゃ!?しかも書けぬのじゃ!訳がわからぬのじゃ!!妾はちゃんと忠実に・・・イメージできていたはずじゃぞ!?}}

妾はバッと勢いよくお師匠に顔を向けてみたら、お師匠様はニヤニヤした顔で妾の結果を見ていた
まるで結果が分かっていたかのようじゃ

「今エステルは目の前のペンをそのままイメージしただろ?それは確かなイメージにはならないぞ。イメージとはその人の想いだ。ただ見たものをイメージしたところでなんの想いも込められていないだろ?だから失敗したんだ。いいか?マジックアイテムとは想いが込められているから絶対に同じ物が創れないものなんだ。そのペンもノートもこの世でただ一つのマジックアイテムなんだぞ」

{お師匠様、その説明はおかしいのじゃ!護符などを始め、世の中には同じマジックアイテムが山ほどあるのじゃ!}

護符だけではないのじゃ
生活に用いられているマジックアイテムなどもそうじゃ

「いいところに気付いたな!確かに世間一般に使われているマジックアイテムは想いなんか欠片もない所謂増産型だ。エステルも増産型のマジックアイテム作成ならもう取得しているはずだ。失敗とは言え、ペンを作成できているからな。ただ俺がエステルに教えているのは所謂特化型のマジックアイテム作成だ。質も強度もなにもかもが全く違う。この世に存在しないマジックアイテムだ。第一俺が教えてあげるんだ。エステルも増産型よりも特化型のほうがいいだろ?」

ぐぬぬ。確かに教えてもらうならお師匠様と同じ力がいいのじゃ
もう一度じゃ!今度は一からイメージするのじゃ!

{もう一度やってみるのじゃ!}
ピカチ○ウをイメージ、イメージ

「よしよし、いい感じだぞ!ただピカチ○ウ君の外見を想像するだけじゃダメだ!もっと明確にピカチ○ウ君の自然体の姿を想像するんだ!想い浮かべろ、エステル。ピカチ○ウ君がみんなのパンツを生き生きと覗き走り去っていく姿を!!」

{そこまで!?ピカチ○ウよりお師匠様のにやけた顔が真っ先に思い浮かぶのじゃ・・・}

「ぶっ!?お、俺のことはいいんだよ。そもそもにやけてなどいないしな!」

お師匠様がなにか言い訳めいたことを言っておるが、要はそれだけ明確なイメージが必要ということなのじゃな
とりあえず元気に走り回っているピカチ○ウをイメージするのじゃ

「イメージできたか?イメージできたなら次は一番大事な構造のイメージだな」

構造、構造。明確なイメージ、イメージ・・・
構造?そもそも妾はこのペン初めて見たのじゃ
全くイメージできないのじゃ・・・

{イメージできないのじゃ・・・}
「な?だからそう簡単にできるものじゃないんだよ。俺のマジック創造クリエイトは、俺が今まで得てきた知識の全てが集約されたものなんだ。だからエステルが知らないこともたくさんある。もちろんその逆もしかりだな。エステルが知っていて俺が知らないこともたくさんある。今後はエステルのエステルだけにしか創れないマジックアイテムをたくさん創ってみたらいい。とりあえず今回は・・・」

そう言ってお師匠様はピカチ○ウボールペンを持ちだし、中ほどをくるくる回し出したのじゃ
妾はお師匠様がなにをしているのかわからぬのでただだだ見つめるのみなのじゃ
しばらくしたらピカチ○ウボールペンが二つに分離してしまった

きっとお師匠様は妾にペンの構造を教える為にペンを壊してしまったのじゃと思っていたら・・・

「なに悲しい顔してんだよ?こういう仕組みなんだからちゃんと覚えるんだぞ?」
{!!!}

{{ぐぬぬ。これがさっきお師匠様が言ってた妾の知らぬことなのじゃな!?・・・しかしお師匠様が知っていて妾の分からぬことがあるというのも・・・}}

その後妾はお師匠様に詳しく構造のことを説明してもらうことになったのじゃ
どうやらこのボールペンとやらはお師匠様の故郷のものであるとかも教えてもらったのじゃ

{お師匠様の故郷は随分と文化が進んでおるのじゃな}
「う~ん。魔法の方が便利だけどな~。こういう無駄なところだけやたら革命的に進歩してるんだよなぁ」

□□□□

{もう一度創ってみるのじゃ}
「もう大丈夫だろ。楽しみにしてるぞ?」

お師匠様からたっぷり説明を受けた妾は早速マジックアイテム作成に乗りだしたのじゃ
イメージは完璧、構造も理解したのじゃ
今度こそ成功させてお師匠様に誉めてもらうのじゃ!

{イメージ、イメージ・・・マジック創造}

【マジックペン『ペカチ○ウのボールペン』を作成しました】
【スキル『マジック創造』を取得 ランク:不明】

妾とお師匠様の前にはピカチ○ウの愛くるしさとは掛け離れた明らかに異質なまがい物が出来上がっていたのじゃ
ピカチ○ウの顔が悪そうな顔つきで舌を出しているマスコットのペカチ○ウ
ちゃんと書けるのでボールペンとしては成功なのじゃが・・・

{・・・}
「・・・」

{{・・・あれ?ピカチ○ウじゃなくてペカチ○ウができたのじゃが?ど、どういうことなのじゃ!?イメージは完璧なはずじゃった!ちゃんとスキルも獲得したから間違いマジック創造は成功したはずなのじゃ!}}

{お、お師匠様・・・}

こ、こんなのじゃ誉めてもらえないのじゃ・・・
悲しいのじゃ。泣きそうなのじゃ・・・
お師匠様にたくさんなでなでしてもらいたいのじゃ・・・

「ん~。これはこれで可愛いんじゃないか?きも可愛いってやつだな。それに失敗した原因は分かってるんだ。エステルはピカチ○ウ君のイメージを完全に・・・はイメージしきれていないんだよ。さっきも言ったろ?ピカチ○ウ君がみんなのパンツを生き生きと覗いている姿を思い浮かべろって。エステルは絶対思い浮かべていないだろ?それはピカチ○ウ君に失礼だぞ?ピカチ○ウ君の自然体の姿はパンツを覗くことだ。そもそも俺の幻影だしな。マジック創造において重要なのはイメージだと言ったろ?それも自然体なイメージだ。今回はそれが原因だな。いきなりピカチ○ウ君がモデルなのは難易度が高すぎたか。ランク不明クラスだしな!だから気にすんな!!」

{エロねずみじゃな!?}

結局お師匠様の言っていることが正しいのかよくわからぬので、試しにノートも創造してみたのじゃ
妾とお師匠様が見守る中、出来上がった結果は・・・

{で、できたのじゃ・・・}
「だから言っただろ。自然体なイメージが重要なんだって!」

{{じ、冗談じゃなかったのじゃな・・・。パンツを覗くのが自然体とかどんだけ欲望まっしぐらなのじゃ!さすがお師匠様の幻影というべきか・・・ピカチ○ウ作成は諦めるのじゃ・・・}}

「とりあえずマジック創造の取得おめでとう!エステル。よくやったな!ご褒美だ!」
{くふふ。これじゃ、これがほしかったのじゃ!ほめられながらのなでなでは最高なのじゃ!}

あぁ~やっと誉めてもらえたのじゃ!
これが妾の一番の至福なのじゃ!
妾はお師匠様にもたれかかるようにして、至福の時を楽しんだのじゃ

しかし困ったのじゃ・・・
妾が創ったペカチ○ウはどうしたらいいものか・・・
お師匠様は可愛いと言ってくれたが、妾はとてもそうとは思えぬ
お師匠様にあげる最初のマジックアイテムがこれというのも・・・
かと言って捨ててしまうというのも・・・

ペカチ○ウについて妾が悩んでいたら、お師匠様が・・・

「エステルにはピカチ○ウボールペンあるし、このペカチ○ウは俺が貰ってもいいだろ?」

{え?・・・しかしそんな可愛くもないボールペン貰ってもお師匠様は嬉しくないのではないか?}

まさかお師匠様の方から欲しいと言ってくるとは思わなかったので少々驚いたのじゃ
まさかお師匠様に限って妾がかわいそうだから仕方なくとかはないと思うのじゃが・・・
妾は相当困惑していたのだと思う
だからなのかお師匠様は明るく笑って答えてくれたのじゃ

「なんか勘違いしてそうだから言っておくが、俺が欲しいからもらうんだぞ?俺にとっては可愛いとか可愛いくないとかは関係ないんだ。このペカチ○ウがエステルの初めての作品・・・・・・だからこそ価値があるんだ。・・・いいか?エステルの初めては俺が全部貰う。エステルの初めては全て俺のものだ!だからエステルも全ての初めてを俺に寄越すつもりでいろ。心も体も全部だ!俺がエステルの初めて全部を必ず受け止めてやる!だから『約束』しろ!」

{!!!}

{{『約束』・・・。この『約束』をしたら妾はお師匠様のものになるのと同じなのじゃ。妾だってとても嬉しいのじゃ。こんなにも激しくお師匠様にもとめられているのじゃから。お師匠様だけの妾か・・・。でも反対に妾だけのお師匠様でいてほしいのじゃ・・・どうしたらいいのじゃ・・・}}

{・・・『約束』はするのじゃ。ただ妾からの答えはまだ待っていて欲しいのじゃ。もう少し考えたいのじゃ}

「あぁ、構わないさ。結果は変わらないからな!過程が少し変わるだけに過ぎない」

お師匠様また待たせてしまってごめんなのじゃ・・・
どうしても妾はお師匠様を独り占めしたいのじゃ・・・
でもそれが難しいことも十分分かっておるのじゃ・・・

「エステル・・・好きだ」
{お師匠様・・・妾も好きなのじゃ}

そして、妾とお師匠様は見つめ合いそのまま口付け約束をした


こうしてまた、お師匠様の妾攻略戦は『保留』という形で幕を閉じたのじゃ
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