過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第5章 唯愛の賢妻と傲慢勇者

~賢妻の我儘と奴隷の救出~

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前書き

会話パート

「」ユウジ {}エステル {{}}エステルの心

  []有象無象 【】奴隷

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

体調を崩しておりました
 またいつものように更新していこうと思います
 よろしくお願いします

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

迷宮大国サラセニア・シュバイン邸 ~とある夜~

 今、屋敷内には怒号と断末魔、そして一つの軽快な音が鳴り響いておる

「よっと!」
────ザシュッ
 [ぎゃあああああああ]

「せいっ!」
────ブシュッ
 [ぐがあああああああ]

「もいっちょ!」
────グチャッ
 [・・・・・・・・・]

お師匠様の場違いとも言える軽快な掛け声とともに築かれる私兵団の死々累々の山々
 既に潜入して10分。その数は100人を越えようとしていたのじゃ

{・・・うぷっ}
 「・・・エステル大丈夫か?」
は、吐きそうなのじゃ・・・

 お師匠様が心配そうな表情で妾の顔を覗き込んできたのじゃ
 そして妾の背中を優しくさすってくれているのじゃ

────妾はこの場に起きいている、あまりの凄惨さに、あまりの血生臭さに、精神を保っているだけで限界なのじゃ・・・


今、妾とお師匠様はシュバイン邸にきているのじゃ

 ・・・え?どうして妾も一緒なのかじゃと?

 妾が着いてきている理由、それは少し前に遡るのじゃ・・・

□□□□

商都リブループ・ユウジ別荘 ~制裁会議~

 「────という訳なんだ。情報も揃ったし今夜豚屋敷に行ってくるよ」
 〔急ですね!?〕
 [急ですの!?]
 《急だね!?》
 {急なのじゃ!?}

お師匠様からの突然のミッション遂行宣言
みな一様に驚きつつも、まぁお師匠様じゃし大丈夫だろうということで納得したみたいなのじゃ

 お師匠様が教えてくれた詳細は以下なのじゃ

①ミッション遂行は今夜
②解放奴隷は男女含めて全部で14人
③シュバイン邸には私兵団・奴隷団含めて250名

 「豚を始末したら奴隷達をここに連れてくるから、サーシャ大変だろうがよろしく頼むな」

 〔はい!お任せください!〕
 「よし、いい子だぞ!」

そう言ってお師匠様はサーシャの頭をなでなでしているのじゃ
 サーシャはとても気持ちよさそうなのじゃ

妾もお師匠様に誉めてもらいたいのじゃ!
お師匠様のなでなではとても気持ちいいものなのじゃ
 お師匠様の膝上にいる妾とセリーヌは普通になでなでされておるが、やはり誉めてもらいながらのなでなでは格別なのじゃ!

だからお師匠様に誉めてもらえることをしたいのじゃ!

 妾が何かお師匠様の役に立てることはないかと考えている間にも、お師匠様はミッション遂行後についての指示を家族に矢継ぎ早に出しているのじゃ

 サーシャと詩乃はお師匠様から出された指示の全体管理
セリーヌ・あかり・アオイ・サラ・フアナは料理の担当
サリー・ミー・テレサ・ジーンはお風呂の担当
ハリー・アイサ・スハイツは布団敷きの担当

みなそれぞれに役割が与えられているようじゃ

奴隷が14人もいるとなるとそれなりに大変な作業なのじゃ
家族みなが与えられた仕事に励もうとやる気に満ちておるのじゃ
 それはいい、それはいいのじゃが────

・・・?妾には何も指示がこないのじゃ?どういうことなのじゃ?

 {お師匠様!妾は?妾はなにをすればいいのじゃ?}
 「ん?エステルの事は家族のように思ってはいるが、正式にはまだ客人扱いなんだから何もしなくてもいいぞ?・・・もし気にするようならなにかを手伝ってくれさえすればいいよ」

 {{ぐぬぬ。なにかと言われてものぅ・・・妾は不器用じゃからあまり料理は得意ではないし、お風呂や布団敷きなどは人数が足りているはずなのじゃ・・・そもそも妾はお師匠様の役に立ちたいのじゃ!そして誉めてもらいもらいたいのじゃ!なにか、なにかないか?みなと違ってお師匠様の役に立てることは・・・}}

その後もお師匠様からは細かい指示が出されていたのじゃ

妾は一人悶々と考えておったのじゃがいい案が浮かばないのじゃ
 これだとお師匠様から誉めてもらえないのじゃ・・・嫌なのじゃ!
 早くしないとお師匠様がシュバイン邸に行ってしまうのじゃ!

────ん?なぜお師匠様が一人で行くことが前提なのじゃ?

そう考えた妾はお師匠様に・・・

{お師匠様!妾も一緒に・・・}
 「ダメだ」

 速攻で断られたのじゃ。しかも絶対に許可しないというオーラを纏われながら・・・

{なぜなのじゃ!?なぜ妾は付いていったらいけないのじゃ?}
 「────そもそもなにしに行くのか分かってるのか?」
 {奴隷を助けにいくのじゃろ?}

 「違うぞ?主目的はシュバインを始末しにいくことで奴隷の救出は副次的なものだ。そもそもシュバインの報復に備えてのミッションなんだから、もともとシュバインが報復をしないようなやつなら、本来奴隷自体も救出しないんだぞ?そこんところ間違えるなよ?それに間違いなくシュバイン以外も始末することになる。必ず抵抗されるだろうしな。俺は抵抗するようなら容赦はしない」

そうなのじゃ。つい奴隷救出だと思っていたのじゃ
今回はテレサ達強奪に対する報復に備えてのミッションだったのじゃ
 それにお師匠様のいう通り抵抗は必ずされるじゃろう

{それならそれで妾も手伝えることがあるのではないか?}

 「ダメだ。それにこれは俺の考えでもあり願いでもあるんだが、サーシャやあかり、エステルにはきれいなままでいてもらいたいんだ。そもそも今まで人を殺したことなんてないだろ?もしかしたら死体すら見たことない可能性あるよな?・・・魔物とは全然違うんだよ。きっと嫌な気分になるぞ?下手したらトラウマものだ。だから俺はエステルを連れて行きたくない」

 〔ユウジ様・・・〕
 《雄司君・・・》
 {お師匠様・・・}

 {{・・・ハッ!って違うのじゃ!!お師匠様が妾達の事を考えてくれるのは嬉しいのじゃが、妾はお師匠様の役に立ちたいのじゃ!誉めてもらいたいのじゃ!}}

サーシャやアカリが恒例のようにお師匠様との甘いキスをしていく中、遂に妾の順番がきたのじゃ

「エステル・・・愛してるぞ」
 {・・・}
 「?」

 妾の態度に不審がりながらもお師匠様がキスをしようとしてきたから────

{・・・嫌じゃ!お師匠様とはキスしたくないのじゃ!}
 「〔《!!!》〕」

 妾の行動に驚くサーシャ達
お師匠様だけはすごく悲しそうな顔をしているのじゃ

{{うっ。。。心が痛むのじゃ・・・でもここは妥協できないのじゃ!妾はお師匠様に付いていきたいのじゃ。でも絶対お師匠様は許さないのじゃ。だったらここは譲れないポイントなのじゃ!}}

 {お師匠様が妾を一緒に連れていってくれぬならキスはしたくないのじゃ!}


そして冒頭に戻る

□□□□

シュバイン邸・邸庭

  [ヒィィ!ば、化け物ぉぉぉぉ!]
 [お、おい。こ、こんなの聞いていないぞ!?]
 [こ、殺されるぅぅぅ]
 [お、俺は歯向かわないぞ!?みみ、見逃してくれ!]

お師匠様の圧倒的な強さに私兵団や奴隷団は戦意喪失して蜘蛛の子を散らすように逃げていったのじゃ
辺りには私兵団や奴隷団が投げ出していった武器と、お師匠様が切り刻んだ死体の山、そして先程までとは違った静寂だけが残っていたのじゃ

{・・・お師匠様ごめんなさいなのじゃ、うぅ}
 「いいから、いいから。気にすんな。初めのうちはみんなそういうものなんだよ・・・俺は割と平気だったけど」

お師匠様は優しく背中をさすりながらそう語りかけてきたのじゃ

妾は正直ナメていたのじゃ。この阿鼻叫喚の地獄絵図を
 お師匠様は確かに言ったのじゃ。魔物とは違うと・・・
 でも妾は心のどこかでそんなに大差はないと軽く考えていたのじゃ

妾はまたチラッと死々累々の山を見る
死体から漂う死臭、飛び散る臓腑、流れ拡がる血・・・

{・・・うぅぷ}
 「・・・無理して慣れる必要なんてないから見るなよ」

お師匠様が背中をさすってくれていた妾は遂に限界を迎えて、そのままその場で吐き出してしまったのじゃ・・・

□□□□

{うぅ、、、ぐす。・・・ごめんなさいなのじゃ、ごめんなさいなのじゃ、、ぐす。ぐす}

 妾は今、お師匠様の胸の中で泣いているのじゃ

 お師匠様の役に立ちたくて我儘を言ってまで付いてきたのに足手まといになっている事実に
 お師匠様の忠言を無視してまで付いてきたのにこの体たらくとなっている事実に
好きな人お師匠様の前で汚物を吐き出してしまった自分の惨めさと恥ずかしさに

 そんな様々な思いで妾はもう胸が押し潰されてしまったのじゃ

「落ち着くまでこのままでいてやるよ」
 錯乱して震えている妾をお師匠様は優しく抱きしめているのじゃ

────。

お師匠様に抱きしめられてしばらくしたら、大分気持ちは落ち着いてきたのじゃ

 ・・・しかし体の震えは一向に止まる気配がないのじゃ
最初ほどではないのじゃが、細かくぷるぷると震えているのじゃ

 お師匠様が言うには初めて人を殺したり死体を見たりすると起きる症状なのだとか・・・

{{いつまでもこのままではいけないのじゃ。いつまでもお師匠様の邪魔をしていてはいけないのじゃ。治まるのじゃ、治まるのじゃ、いい加減治まるのじゃ!}}

 妾が心の中で無理矢理にでも震えを治めようとしていたらお師匠様が・・・

「大分落ち着いたようだけど、震えは止まらないみたいだな」
 {・・・ごめんなさいなのじゃ}
 「だから気にすんなって。とっておきのおまじないしてやるから」
 {とっておきのおまじな・・・んむぅ!?}

 妾がおまじないの内容を尋ねようとした今まさに、お師匠様からの熱いキスがきたのじゃ
唇を重ねるだけの軽いキスではなく、舌を入れてきての深めのキス
妾の口内はすっかりお師匠様に蹂躙されてしまったのじゃ

嬉しいのじゃ。嬉しいのじゃが・・・

{・・・ぷはっ!お、お師匠様!?}
 「・・・ふぅ~。ごちそうさまでした。な~んだよ?家ではお預け喰らったんだからいいだろ?それに震えも止まってるみたいだしな。一挙両得だろ、俺がな!」

 {べ、別にキスぐらいならいつしてくれても構わないのじゃ・・・そ、そうじゃなくてじゃな!妾が言いたいのは・・・そ、その先程まで妾は汚物を吐いていたじゃろ?キスは嬉しいのじゃが・・・き、汚く思わぬのか?}
さすがの妾でもきになるのじゃ・・・

「・・・?なにが?エステルに汚いものなんてないだろ」
 {・・・へ?}
ど、どういうことなのじゃ!?

 「変態なのは否定はしないが、どんなエステルだって愛せるし、キスできる。たかだか吐いた程度でなんの障害にもならん。なんだったらエステルの聖水だって飲めるぞ?」
・・・聖水?聖水ってなんなのじゃ?

そこでお師匠様から教えてもらった衝撃事実・・・
喜んでいいのか、はたまた怒ったほうがいいのか分からぬところなのじゃ・・・

 とりあえず妾がすべきことはただ一つなのじゃ!

 {・・・本当なのじゃな?}
 「・・・本当だ!」
お師匠様からはとても嬉しそうな笑顔とサムズアップ

妾の顔が真っ赤になったのは言うまでもないのじゃ

□□□□

シュバイン邸・屋敷内

 今、妾はお師匠様にお姫様抱っこをされながら、一心にお師匠様を見つめておるのじゃ

 [き、貴様なにも・・・]
「はいはい、名乗るほどのものじゃないですよっと!」
────ザシュッ

妾の視界にはお師匠様だけが、耳にはお師匠様の温かい心音が聞こえているだけなのじゃ

 [し、しんにゅ ・・・]
「静かにしてくださいねっと!」
────ブシュッ

 しかし体だけは揺れていて、たまに血飛沫が舞ってくることもあるのじゃ

 [貴様!ここがシュバイン様のお屋敷と知ってのろう・・・]
「いちいち教えてくれなくていいですよっと!」
────グチャッ

妾とお師匠様は、お師匠様の変態性を確認した後いよいよシュバイン邸に乗り込むことになったのじゃ
 でも妾には不安があったのじゃ

 また情けない姿をお師匠様に見せることになるのではないか
 またお師匠様の邪魔をするのではないか役に立てないのではないか

 そんな妾の胸中を慮って、お師匠様が提案してくれたのが「その①俺だけを見てろ」なのじゃ

初めは意味が分からなかったのじゃが、お師匠様はすぐさま妾をお姫様抱っこしてくれたのじゃ
 そしてシュバイン邸へと駆けだし始めたのじゃ

{{なるほどなのじゃ。お師匠様だけをひたすら見ていればいいのじゃな。そうすれば阿鼻叫喚の地獄絵図を見なくても済むと。しかもさりげなく片耳を塞いでくれているのじゃ。妾に断末魔や人を斬っている音を聞かせぬようにと。視覚と聴覚から妾を護ってくれてるのじゃな。さすがなのじゃ・・・お荷物になっている感じはひしひしと感じるがここは我慢なのじゃ!お師匠様が提案してくれた約束を守る為にも!}}

お師匠様がただひたすら我が物顔でシュバイン邸を蹂躙しているようじゃ
障害物などまるでないかのように────
飛んでくる血飛沫の量がその凄さを物語っておるのじゃ

 そしてたまに立ち止まっては浄化魔法で衣類をクリーニングして、ついでに妾と熱いキスを交わしていくのじゃ
 ・・・いや正確には違うのじゃ
妾と熱いキスをするために、たまに立ち止まってはついでに衣類をクリーニングしているのじゃ

 それがお師匠様が妾の胸中を慮って提案してくれた「その②俺をやる気にさせてみろ」なのじゃ

 お師匠様が妾の為に、妾が変な気遣いをせぬように、そして妾がお師匠様の役に立てるようにと、考えてくれた内容なのじゃ

 だったら妾はお師匠様の為にも頑張りたいのじゃ!

そして何度かその行為を続けていくうちに、とある部屋に到着したみたいなのじゃ

 それでも妾は一心にお師匠様を見つめるのみなのじゃ
 きっとシュバインとやらがいる部屋についたのじゃろう
 でも妾が見たいのはシュバインではない、お師匠様の顔なのじゃ

 だから気にもならないのじゃ

 お師匠様が何かを言っておるようじゃが全く聞こえないのじゃ
 きっとシュバインとやらと話しておるのじゃろう
 でも妾が聞きたいのはシュバインとの会話ではない、お師匠様の優しい心音なのじゃ

 だから気にもならないのじゃ

 ・・・。

 紫電一閃!一瞬お師匠様の体が動いたのじゃ
 お師匠様からはやれやれといった表情が伺えるのじゃ
 きっとシュバインは始末されたのであろう

 それなら妾がするべきことはただ一つなのじゃ!

 {お疲れ様なのじゃ!それとありがとうなのじゃ!}
 「・・・」

お師匠様が何かを言っているようだが聞こえないのじゃ
耳を塞いでいることを忘れているようなのじゃ

{{はぁ~。本当お師匠様はどこか抜けておるのじゃ・・・まぁそういうところも可愛くてほっとけないのじゃがな}}

 妾が耳を塞がれていることを伝えたら、照れ臭そうな笑顔を向けてきたのじゃ
 そんなお師匠様の笑顔が妾の心を熱くしたのは、お師匠様には内緒なのじゃ

「エステルもお疲れ。ちゃんと「その①俺だけを見てろ」と「その②俺をやる気にさせてみろ」を守れたな。偉いぞ!ご褒美だ、なでなでしてやる!その調子で「その③」も頼むぞ?」

 {キターーーー!!くふふ。これが妾は欲しかったのじゃ!お師匠様に誉めてもらいながらなでなでされるのが妾の至福の時間なのじゃ!}

こうして妾は至福の時間を味わいながら、奴隷救出へと向かったのじゃ
当然「その①俺だけを見てろ」と「その②俺をやる気にさせてみろ」を継続させながらなのじゃ

□□□□

シュバイン邸・地下牢

お師匠様と妾がやってきたのは地下牢なのじゃ

{うっ。これはひどいのじゃ・・・}
 「あぁ。これはひどい。やはり豚は始末して正解だったな」

 地下牢は薄暗くてカビ臭く、しかも汚物の臭いも混ざっている不衛生な場所なのじゃ
 とても奴隷を住まわせている場所とは思えないのじゃ
奴隷と言うよりは囚人といった扱いなのじゃ

{これを見るとテレサ達はまだ少しはまともな扱いだったのじゃろうな}
 「あれでまともな扱いってのも胸糞悪いけどな。んじゃあ頼むよ」

 妾は地下牢に潜む影に向かって一言・・・

{助けにきたのじゃ!安心するがよいのじゃ!}

 潜んでいた影からは驚きの声が鳴り響いたのじゃ
 しかしすぐに静寂となったのじゃ
今だ信じられぬと言ったところだろか・・・
 そんな静寂を破ってきたのは一つの影なのじゃ

【あ、あのあなた方はなんなんですか?】

 質問したくなる気持ちはわかるのじゃ
 いきなり現れて助けにきた!と言ったからというのもあるのじゃろうが何よりも・・・

{マ・・・}
 【マ?】
・・・う~ん。言いたくないのじゃ

妾は改めてお師匠様を見る。言わなくてもよいか?との気持ちを強く込めて
 しかし無情にもお師匠様からは無言で首を横に振られたのじゃ

覚悟を決めるしかないようじゃ・・・

{わ、妾はマスクウーマンなのじゃ}
 【・・・。そ、そちらの方は?】
 {マ、マスクマンなのじゃ}
 【・・・。そ、そうですか】
なんとも言えぬ空気が地下牢を包んだのじゃ

 それも仕方ないことなのかもしれないのじゃ
何たって妾とお師匠様は変てこな仮面をつけておるのじゃからな

 シュバイン邸に乗り込むにあたり変装の必要性があったのじゃ
 お師匠様にはユニークアイテムがあったのじゃが、セリーヌとアカリの強い要望に押され折れたみたいなのじゃ
 かく言う妾もなのじゃが・・・

妾とお師匠様が被っている仮面は、セリーヌとアカリが武術大会で使用していた仮面なのじゃ
妾がセリーヌのを、お師匠様がアカリを使用している状況じゃな
 これはアカリの特に強い要望だったのじゃ
 お師匠様曰く、アカリは純情だけど意外と腹黒い、ということじゃから、アカリには何か考えがあるのじゃろう・・・

 アカリは今はいいのじゃ。とりあえず説得しないと!

 気を取り直した妾は事情説明をすることになったのじゃ
大いに不審がられながらじゃがな・・・
妾の精神がごりごり削られた気がしたのじゃ

先程から妾しか話していないのには理由があるのじゃ
 それが、お師匠様が妾の胸中を慮って提案してくれた「その③俺の代わりに説得してね?」なのじゃ

簡単に安請け合いしたのじゃが、まさか意外と厄介なものだとは思わなかったのじゃ
 その後も妾の懸命な説得によりようやく奴隷を救出できたのはそれから1時間後だったのじゃ


奴隷を救出後、気になったことがあったので妾はお師匠様に尋ねてみたのじゃ

{お師匠様?奴隷を救出中に妾を支えていた腕がぷるぷる震えていたようじゃが、どうしてなのじゃ?まさかとは思うが、妾の重さでぷるぷる震えておったのか?それとも妾と奴隷達の会話を笑って聞いておったのか?どちらにしてもお仕置きキスが必要じゃな}

そんなお師匠様の答えは・・・

「・・・。先制攻撃だ」

 答えをはぐらかす為の先制攻撃キスだったのじゃ


 むくれる妾と苦笑するお師匠様、そしてそんな光景を不思議そうに眺める14人の奴隷達

 長いように感じた奴隷救出劇は乗り込んでわずか1時間で決着したのじゃ
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