その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう

すんのはじめ

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第4章

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 そんな調子のまま、ななのちゃんは小学校の卒業式を迎えていた。その日、僕は仕事に来ていたのだが、昼過ぎになって、ななのちゃんが訪ねてきてくれた。

 紺のワンピースに胸に桜の花飾りを付けていた。そして、髪の毛はいつものようにまとめてなくて、左の耳の上にキラキラ光った髪留めをつけていた。

「どう シュウ君 可愛いでしょー お母さんに買ってもらったの 卒業したよ」

「へぇー 可愛いねぇー 少し 大人になったんだ」

「うふっ 少しネ もう 帰るね シュウ君に見せたかっただけだからー 明日 お部屋に行っとくね お祝い しょうね」と、スカートを翻して行ってしまった。

 だけど、僕は、良かった 彼女が嫌っていたお母さんも出席してたみたいだから・・と。

 次の日、仕事から帰ると ななのちゃんが居て

「おかえり ご主人様 お疲れさまでした」と、正座して迎えてくれたのだ。

「やめろよー ななのちゃん そういうのって 悪ふざけだよ」

「そうかぁー こういうのって シュウ君 嫌いなんだ」

「うん なんだかなー ななのちゃんだから そんなことさせたくない」

「ふぅーん 今日は ちらし寿司 作っておいたのよ 冷蔵庫に肉そぼろと卵そぼろ入れてあるから、乗せてね ショウガもあるし 明日のお弁当の分もあると思う」

「んぅー ななのちゃんは?」

「ななは さっき ちょっと 食べたよ お先で ごめんなさい」

「いや それはいいんだけど せっかくなのに食べて無いのはなーって思っただけ」

 そして、僕は用意していた卒業祝いのものを取り出して

「ななのちゃん 卒業おめでとう 僕からのお祝い」中はボールペンとシャープペンシルだ。

「わぁー ありがとう なにー 開けていい?」と、ななのちゃんは箱を開けていって

「シュウ君 ありがとう 大切に使うネ 私 勉強するね 中学いったら シュウ君のためにも」

「あぁ それはいいけど 僕のためじゃぁなくて 自分ためだろー?」

「どっちでもいいやんかー シュウ君のためってことはー 私のためよー」

「昨日 お母さんも来てくれて、お祝いしてもらったの?」と、聞いてみたが・・ななのちゃんは、下を向いたまま何も言わなかった。僕は、しまった また、余計なことを聞いてしまったと、後悔していた。だから、少しだけだけど僕に会いに来たのかと・・・。

 ― ― ― * * * ― ― ―

 学校が休みになった ななのちゃんが公園に絵を描きに来ていた。そろそろ温かくなってきたので外に出てきたのだろう。

 お昼頃には確かに居たはずだったけど、僕が仕事を終えたときには姿が見えなかった。帰ったのかなと部屋に着くと、ななのちゃんが居たのだ。

「おかえりなさい」と、元気な声で迎えてくれた。

「あぁ 少し、びっくり 家に帰ったのかと思ったから」

「うぅん だって 晩ご飯の用意してたから・・今日は 肉じゃが 食べる前に少し温めてね それと卵サラダ 冷蔵庫ね お米研いであるから」

「うん ありがとう でも ななのちゃん そんなに毎日はいいよー ずーと 絵を描いていても・・」

「いいのー こうやってる方が しあわせ 迷惑?」

「いいやー ありがたいけどなぁ 今度 僕が休みの日 どっか 遊びにいこうか?」

「わぁーい いこう いこう どこ?」

「うん 京都 動物園と水族館 どっちがいい?」

「そうだなぁー 水族館がいい 楽しみだなぁー」

「よし 水族館な 今度は夕方には帰ってこようネ」

「うん でも水曜日でしょ? 木曜と金曜はダメだけど それ以外はお母さん帰ってくるの 9時すぎなの だから、少しくらい遅くなっても大丈夫だよ」

「そうなのか じゃぁ ななのちゃんはひとりでご飯食べてんの?」

「うぅん シュウ君ちから帰るでしょ それから ウチのご飯の用意して お母さん 待ってるよ それまで、洗濯して、お風呂は先に済ませちゃうけどね」

「感心だね ななのちゃんはー」

「そんなことー 平気だよ シュウ君 あのねー」

「うん どうした?」ななのちゃんが暗い顔して、下を向いていたから・・

「なんか 話があるのか? いいよ 言ってごらん」

「あのね 私 卒業式の時ね お母さん来てくれなかったんだよ でも、働いてくれてるからしょうがないよねと私 晩ご飯作って、待ってたんだ 夜ね 遅く お母さんが帰ってきた時 、お酒飲んでいるみたいだった 私 悲しくなって 言ってしまったんだ 知らない男の人 家に入れるのも、もう、やめてー 嫌なのって そしたら お母さんが怒ってしまって 子供にはわかんないのよ、何も知らないのに親に意見するなって・・ 私 そんなつもりじゃぁ無かったのにー 意見だなんて」と、長いまつ毛から涙が落ちてきていた。

 その時、僕はその小さな肩を初めて抱きしめたのだろう

「ななのちゃん お母さんは、君を育てて守ろうと必死なんだよ 卒業式のワンピースも用意してくれたんだろう? 君が考えているようなことじゃぁないかも知れないよ 苦労して、色んな事情があるんだと思う 君は言ってくれたよね ここに居る時がしあわせだって 僕が力になれることがあったら協力するから そのまま 君は明るく真直ぐに生きていくんだよ」

 とたんに、ななのちゃんは、僕に抱き着いて、もっと激しく声をあげて泣いていた。ようやく、収まったのか、顔をあげて僕を見つめてきた。長いまつ毛も濡れていて、僕は完全に女として意識してしまっていた。もっと、抱きしめて、その可愛い唇に吸い付きたいと衝動的に・・・あっ だめだ この雰囲気はーと

「あっ 肉じゃがは レンヂでいいのかなー」と、ななのちゃんの肩を離して紛らわせていた。
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