その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう

すんのはじめ

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第4章

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 当日は、やっぱり、乗り換えの駅で待ち合わせをして、ななのちゃんは卒業式に着ていたワンピースで来ていた。だけど、僕がクリスマスの時にプレゼントした靴を履いていた。

 京都駅から歩くのだけど、彼女は僕に腕を絡ませるようにして手を繋いできていた。そして、時々、僕の顔を下から見上げてくる顔がすごく可愛らしかったのだ。

 ななのちゃんはオットセイと京都の海という水槽のマイワシに興味を示していて、ずいぶんとそこに立ち止まっていた。だけど、ずーと僕の手を離さないで、ワァーと声を上げながら見とれていたのだ。

 出てきた後は、お昼を回っていたのだが、清水の坂を歩いてみたいというので、地下鉄に乗って、しばらく歩くのだが四条通を歩いて、途中の洋食屋さんでお昼ご飯にした。

「なかなかフライものはシュウ君に作ってあげれないからね」と言っていたのだ。

 僕は、サラッと僕のことを思ってくれている彼女のことが嬉しかった。だから、ふたりともクリームコロッケと海老フライの定食にしたのだ。

「おいしいー やっぱり レストランはちがうネ」と、ななのちゃんは、ほんとうにおいしそうにほおばっていた。


「あのさー 私 清水寺は入らなくてええねん 行くまでの道をシュウ君と歩きたいだけなんや」

「そうなんか 歩くだけ?」

「うん 歩くだけ 腕 組んで 仲のいい カップルみたいやろー」

「カップルに見えるかなー」

「なんでも ええねん カップルでも お兄ちゃんと妹でも 新婚さんはちょっと無理カナ」

 そして、食べ終えて、八坂さんを抜けて、ぶらぶらと歩き出していた。途中、いろいろな店を覗きながら、彼女も「可愛いね きれいね」とか言っていたももの、それを欲しがる様子も無かったので、僕は、組紐でできた髪留めの飾りを選んで、彼女に買っていた。

「シュウ ありがとう 可愛い」と、その場で髪留めを付け替えていた。その後は、跳ねるように歩いていて

「ねぇ シュウ この辺りを歩いている人の中で、誰が一番 しあわせな気持ちだと思う? それは ななよね」

「そうか それはわかったからー そんなに大きな声で言うと 逃げてしまうよ」確かに、道行く人の中にはななのちゃんのことを見返している者も居たのだ。それは、ななのちゃんが可愛いせいもあるのだろう。

「そうか しあわせは自分だけで感じるものだね だけど、私は シュウにも伝えたい」

「僕は ななのちゃんが しあわせそうな顔をしていると わかるよ」

 そして、帰りに駅に着くときは離れていたのだけど、急に傍に寄ってきて、別れる時に

「・・・いやだぁー ちゃんってー だからね 私のことを・・ななのって」と、ポツンと言って走って行ったのだ。

 

  次の日も晴れていて、ななのちゃんは公園の芝生で絵を描いていて、昨日、買った髪飾りをしていた。僕は、仕事の合間に近寄って行って

「やぁ 良い天気になったね」

「うん 気持ち良いよ 昨日 ありがとう 楽しかった」

「そうだね ななの それ 可愛いよ」僕は、抵抗なく ちゃん付けをやめていた。

「えっ うん 可愛い? シュウ ななは もう直ぐ ご飯を用意して、お帰りをお待ちしています」と、笑顔を向けてきていた。

 家に帰ると、飛び出してきてくれて

「今日はネ イワシ団子 作ってみたんだー」

「へぇー そんなの よく 作れたなー」

「ウン お魚 買う時にね 骨とか取ってもらってネ 普通イワシなんかお魚屋さん嫌がるんだけど、ななはね 可愛くお願いするの それを、買ってきて、包丁で細かくして、卵と小麦粉、生姜を混ぜて、焼いたの 後は、大根と油げを煮たやつ」

「そうかー 色々と考えてくれるんだなー ななのちゃんは」

「うーん うぅーっ ちゃん?」

「いや ななの だね」

「よーしっ 私ね 家にお料理の本 あるから 見てるんだぁー」

「そうか でも それで作れるんだから ななのは たいしたもんだよ」

「なんといっても シュウのためだからネ でも、本当はネ シュウに作りたてを食べてもらいたいんやー いつも 温めさせてゴメンネ」

「そんなことないよ いつも おいしいよ」

 ななのちゃんが帰った後、本棚の隅に置いてあるノートを見ると、びっしりと細かく丁寧に書き込まれていた。彼女が家計簿代わりに使っているものだ。その日、買ってきたもの、金額と残金。その横のほうには、その日の料理と余ったであろう食材の量。ポリ袋にはレシートの束。冷蔵庫を覗くと、ラップとポリ袋に包んで入れてあり、冷凍のほうのものには日付と食材名を書いて整理されて並べられていた。

 確かに、僕もななのちゃんが来てくれるようになって、だいぶ食費が減って助かっていたのだ。

 僕は、改めて 彼女が描く絵と同じように、丁寧な性格に感心していて、もしかすると貴重な原石なのかもと考えさせられていた。
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