その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう

すんのはじめ

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第14章

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 その冬の年末は実家には帰らずに、のんびりと過ごすことに決めていた。なんとなくサナエと顔を合わすはめになるのを避けていたのだ。

 だけど、大晦日の日に、マーケットの肉屋に足が向いていた。ななのがきっとバイトしてるだろうからと、未練たらしく、その姿を見てみたかったのだ。

 ドキドキしながら遠目に店の様子を伺うと 居た 元気に声を出して動き回っている懐かしい姿があった。相変わらず、短パンにエプロン姿なのだ。声を掛ける勇気もなく、コンビニでビールとつまらないおつまみを買って帰ってきたのだ。ななのが去ってからは、自分で食事を作っても旨くなくて、だんだんと出来合いのものとか外食ですますことが多くなっていたのだ。空しいと 自分でも はっきりと感じていたのだ。そんなに ななのの存在が大きかったのかとも・・・。

 明けて2日の日。前の同僚のつばきちゃんと初詣に行くという約束をしていた。職場の忘年会で一緒になった時に、着物を着てもどこも行く所ないから連れてってと、約束してしまっていたのだ。

 待ち合わせに現れたつばきちゃんは、襟元は白いのだけど裾に向かって紺地で全体に大きな椿が散りばめられているもので、彼女は比較的背も高く、首も長いので、着物姿が似合っていて、普段とは違うお化粧もしていて、僕は意外と美人じゃあないかと思ってしまった。

「待った? お母さんに送ってきてもらっちゃった」

「いや まぁ 似合うね 着物 いい感じだよ」

「そう ありがとう うれしいー」

 最初は八坂神社に行こうと言っていたのだが、混雑してそうなので、途中で変更して東山の駅で降りて、平安神宮に向かった。それでも、参道は混んでて、つばきちゃんは歩き始めて、腕を組んできていたのだが、そのうち手だけを繋いで僕の後ろから歩いていた。お詣りを済ませて、三条通をぶらぶら歩いていたのだが、今度は、ゆっくりと腕を組んできていた。

「あんまり くっつくなよー 胸に触ってるじゃぁないか」

「いいじゃぁない でも ななのちゃんに叱られるカナ?」

「・・・」

 京都駅の近くのお店に入って、ようやく落ち着いて

「ねぇ お正月はななのちゃんと会わないの?」

「・・・ もう ずーと 会ってない」

「えー どうして? 別れたの?」

「あのなー 別れるもなにも 彼女とは なんでも無かったんだからー」

「だってさー ななののこと、ずーと見守ってくださいねって言われてたやん そーいえば あの子 もう、1年近くサッカーにも来てないみたいやね ねっ なんか あったんでしょ?」

「ななのは まだ これから色んな経験をしなきゃぁなんないし・・・ 僕にとらわれていても・・」

「そうね いろいろと気持ちが揺れることもあるよねー 高校生なんて、まだ 子供だもんね じゃぁ 先輩 私とじゃぁ だめ?」

「うーん つばきちゃんのことは 女性としては見てるよ 明るいし、可愛いよ だけど、女として意識してない 後輩だ」

「もぉー なんなの それってー 結局 魅力感じてないってことじゃぁない」

「まぁ いいじゃぁないか 珠には、こうやって飲みに行くぐらいで・・」

「じゃぁ とことこ飲んで 先輩に寄りかかっちぉーカナ」

「まぁ ほどほどにしてくれよー でも 聞いたことあるよ 中学校の白石先生と良い感じなんだって?」

「あぁ ダメ あの人は 忙しそうで デートも出来ないんだものー ちょっとお付き合いしたけど・・自然消滅 それに、真面目すぎて、合わない 真面目なのは良いんだよ だけど あの人の場合、生真面目すぎて、こっちが息詰まりそうなの 一緒に歩いていても、手もつないでくれなかったわ つまんないウワサ流れちゃったんで困ってます 先輩なんて、自然に手を取って歩いてくれていたわ 嬉しくなっちゃったー」

 その後、つばきちゃんは結構飲んだと思うけど、最初の店を出た後も、まだ、時間も早いからとぐずぐず言い出したので、居酒屋風の店に連れて行って、帯が苦しいと言いながら、又、飲んでいて

「先輩は わたすのことも しっかり 見守るんすからね ななのみたいな 子供なんかには負けないっす」と、かなり酔ってきていた。

 帰りの電車の中では、ふらふらしていて、僕はずーと支えていたのだ。だけど 雰囲気的に このままじゃぁ 流されてしまうような気もしていたのだ。心の中にぽっかりと空いてしまったななのの影を埋めてしまうのかもと、優柔不断な僕が居た。
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