65 / 69
第14章
14-6
しおりを挟む
久々に僕は、クラブの女の子のサッカーの練習に参加していた。朝宮監督は歓迎していてくれるけど、指導というより、一緒にやって、時々教えるといった具合だった。心のどこかには、ななの達が来ていないかと期待していたのだが、彼女達の姿は無かったのだ。
練習を終えて帰ろうとすると つばきちゃんが寄ってきて
「先輩 私 スポーツインストラクターとトレーナーの資格受かったよ 民間の資格だけどね」
「そうか へぇー 頑張ってるんだネ お祝いしなきゃぁなー」
「そうだよ お祝いして! 飲みに連れてってー」
「わかった だけど あんまり 飲み過ぎるなよ!」
僕達は仕事を終えた後、隣の町の居酒屋で待ち合わせをしていた。僕は、女の子を待たすのは悪いからと、急いで行っていたのだ。
「わぁー 良かったぁ 先輩 まだだったらどうしょうかと思ってたの」
「まぁな 待たすのは悪いからな」
「先輩の そういうとこ好き!」
牛スジこんが好きだと言う彼女は口に運びながら
「おいしいー うちではお母さんが、臭いって作らせてくれないのよね 両親が二人ともお酒飲まないから これの おいしいのって知らないんだ」
「そうか ご両親はふたりとも・・」
「あー 今 じゃあ なんで私が飲むんだと思ったでしょ 成人式の時 悪友に誘われてからネ そうだ あんとき 私 ふわふわしちゃって 奪われそうになったんだ」
「そう つばきちゃんは飲み過ぎるけらいがあるからな」
「そんなことないよ あれから気つけてる でも、大丈夫だったのよ 友達が守ってくれたから 心配しなくても純潔は守られてるよ この前は先輩だから、調子に乗っちゃったカモネ」
「心配なんて・・それはそれは・・ 今日はほどほどにな」
「でも 前 話したことは覚えているよ 付き合ってほしいって言ったことも 交わされちゃったけどね」
「まぁ そーいうんじゃぁないけど・・」
「いつも 先輩って ごまかすんだからぁー ねぇ 今年 大卒の男の子 新人 入ってくるのって知ってる?」
「ああ 聞いてるよ 体育系の大学だってっな」
「そーなのよ 私 いい加減 年でしょ 早くお嫁に行かせて、追い出そうとしてるんカナーって」
「そんなこと無いだろうー 手が足りないからー・・」
「草むしりの? 手は足りてるわよー 焦ってるんじゃぁないけど、私、ずーと 走ってるばっかーだったでしょ だから ねぇ 先輩 私じゃぁ 本当に駄目? だって彼女にするんだったら、経験して無いほうが良いでしょ!」
「そっそれはー・・ どうでも・・ だけど・・」
「だけどー なに? ななのちゃんのことがが忘れられない?」
「いや もう 済んだことだ」
「だったら 私 先輩がその気になるように・・ 頑張るから・・ ねぇ お正月の時も お母さん 迎えに来てくれたヤン 誰?って聞かれたから 彼氏って言ったの」
「えぇー それは・・」
「うそ! 先輩ですって、ちゃんと言っておいたわよ そんなに・・私が、彼女じゃぁ困る?」
「そんなんじゃぁ 無いって! ただ、僕は 彼女なんていう気にならないんだ」
「だからー 私が その気にさせるって いいでしょ とりあえずでも・・
「うー ・・・ まぁな」
と、僕は、また、押し切られて中途半端な返事をしてしまっていた。なんと、優柔不断なことなんだろう。だけど、ななのの顔が頭に浮かんできていたのは確かなんだ。初めて、見たときから僕の心に住み着いて、ななのが溌剌となんかしている時とか、一緒に過ごしている時とは、違うんだ。僕には、ななのが必要なんだと。情けないことに、踏ん切りがついていなかったのだ。
その年の春、僕は異例ということだったが、本庁勤務の主任に昇格していた。そして、つばきちゃんは別のスポーツ施設に転属になっていた。どうも、国民スポーツ大会に備えてということらしい。
つばきちゃんの後釜に入ってきたのは、後藤伸介という青年で大学の時はやはりサッカーをやっていたということだった。それに、市立病院の医局長の息子という触れ込みだった。だけど、僕には、はきはきとした返事をするし、とても好青年で好感を持っていたのだ。
僕は、前にも増してやることが多くなってきていて、仕事に追われる毎日になっていた。それにつれて、今までのマンションは本庁には少し遠かったので、引っ越しをした。家賃補助は少し減らされたけど、行き帰りに時間を費やすよりは良いかなと考えたのだ。
そんな中、夏になってタカシから秋に結婚するから出席してくれと連絡があったのだ。相手はと聞くとサナエの名前が出てきた。僕は、しばらく唖然としたと思うが、とりあえず祝福の言葉を言ったと思う。
式は地元の小さなホテルで行われた。そして、かがみさんも同級生なんだからと、出席していたのだ。子供も預けてきていて、独身みたいに紺色のワンピースドレスで着飾っていたのだ。披露宴の終わりのほうは流れで立食パーティみたいになっていて、僕達高校のグループが集まっているテーブルにタカシとサナエが挨拶に来て
「みんな 今日は ありがとうな やっぱり サナエと居るのが一番 落ち着くからアタックしたんだよ」と、タカシが打ち明けていた。
「シュウも早く いい人みつけてネ」と、サナエは僕とのことも何にも無かったかのようにしらぁーとして言ってきたが、かがりさんが
「あー ダメ ダメ 秀君は宝物でも簡単に逃しちゃうんだからぁー そーいうとこは、だらしないんだからぁー 優柔不断のまんまなのよ」
「かがり・・さん ・・・ 僕は・・」
「なぁに 君のお義姉さんとして 心配してるんじゃない グズグスしてるからぁー」と、ワイン片手に平然と言ってのけていて、僕は女は強いと感じさせられていたのだ。
そして、翌春には、つばきちゃんから結婚式の案内状が届いていた。あれから、時々飲みに行くといった間柄だったけど、その時には、そんなこと一言も言っていなかったのに・・。しきりと僕に売り込みを掛けてきていたくせに・・。ななののことも、時々 思い出していて、大学で元気に勉強しているんだろかとか・・・ますます きれいになっているんだろうなとか・・・
つばきちゃんのことを 内内で周囲に聞いてみると、お見合いをして、一気に話が進んだと言うことだった。お相手は私立病院に勤務する薬剤師で、両親も薬局を開業しているから、ゆくゆくは継ぐことになるらしい。女って 変わり身が早いなと思っていた。
僕は、ななのが居なくなってから3年経っていて、肉屋にバイトに来ているようでもなく様子がつかめずに居て、その間は気が抜けたようだったが、仕事が忙しくて、そっちに没頭していったのだ
練習を終えて帰ろうとすると つばきちゃんが寄ってきて
「先輩 私 スポーツインストラクターとトレーナーの資格受かったよ 民間の資格だけどね」
「そうか へぇー 頑張ってるんだネ お祝いしなきゃぁなー」
「そうだよ お祝いして! 飲みに連れてってー」
「わかった だけど あんまり 飲み過ぎるなよ!」
僕達は仕事を終えた後、隣の町の居酒屋で待ち合わせをしていた。僕は、女の子を待たすのは悪いからと、急いで行っていたのだ。
「わぁー 良かったぁ 先輩 まだだったらどうしょうかと思ってたの」
「まぁな 待たすのは悪いからな」
「先輩の そういうとこ好き!」
牛スジこんが好きだと言う彼女は口に運びながら
「おいしいー うちではお母さんが、臭いって作らせてくれないのよね 両親が二人ともお酒飲まないから これの おいしいのって知らないんだ」
「そうか ご両親はふたりとも・・」
「あー 今 じゃあ なんで私が飲むんだと思ったでしょ 成人式の時 悪友に誘われてからネ そうだ あんとき 私 ふわふわしちゃって 奪われそうになったんだ」
「そう つばきちゃんは飲み過ぎるけらいがあるからな」
「そんなことないよ あれから気つけてる でも、大丈夫だったのよ 友達が守ってくれたから 心配しなくても純潔は守られてるよ この前は先輩だから、調子に乗っちゃったカモネ」
「心配なんて・・それはそれは・・ 今日はほどほどにな」
「でも 前 話したことは覚えているよ 付き合ってほしいって言ったことも 交わされちゃったけどね」
「まぁ そーいうんじゃぁないけど・・」
「いつも 先輩って ごまかすんだからぁー ねぇ 今年 大卒の男の子 新人 入ってくるのって知ってる?」
「ああ 聞いてるよ 体育系の大学だってっな」
「そーなのよ 私 いい加減 年でしょ 早くお嫁に行かせて、追い出そうとしてるんカナーって」
「そんなこと無いだろうー 手が足りないからー・・」
「草むしりの? 手は足りてるわよー 焦ってるんじゃぁないけど、私、ずーと 走ってるばっかーだったでしょ だから ねぇ 先輩 私じゃぁ 本当に駄目? だって彼女にするんだったら、経験して無いほうが良いでしょ!」
「そっそれはー・・ どうでも・・ だけど・・」
「だけどー なに? ななのちゃんのことがが忘れられない?」
「いや もう 済んだことだ」
「だったら 私 先輩がその気になるように・・ 頑張るから・・ ねぇ お正月の時も お母さん 迎えに来てくれたヤン 誰?って聞かれたから 彼氏って言ったの」
「えぇー それは・・」
「うそ! 先輩ですって、ちゃんと言っておいたわよ そんなに・・私が、彼女じゃぁ困る?」
「そんなんじゃぁ 無いって! ただ、僕は 彼女なんていう気にならないんだ」
「だからー 私が その気にさせるって いいでしょ とりあえずでも・・
「うー ・・・ まぁな」
と、僕は、また、押し切られて中途半端な返事をしてしまっていた。なんと、優柔不断なことなんだろう。だけど、ななのの顔が頭に浮かんできていたのは確かなんだ。初めて、見たときから僕の心に住み着いて、ななのが溌剌となんかしている時とか、一緒に過ごしている時とは、違うんだ。僕には、ななのが必要なんだと。情けないことに、踏ん切りがついていなかったのだ。
その年の春、僕は異例ということだったが、本庁勤務の主任に昇格していた。そして、つばきちゃんは別のスポーツ施設に転属になっていた。どうも、国民スポーツ大会に備えてということらしい。
つばきちゃんの後釜に入ってきたのは、後藤伸介という青年で大学の時はやはりサッカーをやっていたということだった。それに、市立病院の医局長の息子という触れ込みだった。だけど、僕には、はきはきとした返事をするし、とても好青年で好感を持っていたのだ。
僕は、前にも増してやることが多くなってきていて、仕事に追われる毎日になっていた。それにつれて、今までのマンションは本庁には少し遠かったので、引っ越しをした。家賃補助は少し減らされたけど、行き帰りに時間を費やすよりは良いかなと考えたのだ。
そんな中、夏になってタカシから秋に結婚するから出席してくれと連絡があったのだ。相手はと聞くとサナエの名前が出てきた。僕は、しばらく唖然としたと思うが、とりあえず祝福の言葉を言ったと思う。
式は地元の小さなホテルで行われた。そして、かがみさんも同級生なんだからと、出席していたのだ。子供も預けてきていて、独身みたいに紺色のワンピースドレスで着飾っていたのだ。披露宴の終わりのほうは流れで立食パーティみたいになっていて、僕達高校のグループが集まっているテーブルにタカシとサナエが挨拶に来て
「みんな 今日は ありがとうな やっぱり サナエと居るのが一番 落ち着くからアタックしたんだよ」と、タカシが打ち明けていた。
「シュウも早く いい人みつけてネ」と、サナエは僕とのことも何にも無かったかのようにしらぁーとして言ってきたが、かがりさんが
「あー ダメ ダメ 秀君は宝物でも簡単に逃しちゃうんだからぁー そーいうとこは、だらしないんだからぁー 優柔不断のまんまなのよ」
「かがり・・さん ・・・ 僕は・・」
「なぁに 君のお義姉さんとして 心配してるんじゃない グズグスしてるからぁー」と、ワイン片手に平然と言ってのけていて、僕は女は強いと感じさせられていたのだ。
そして、翌春には、つばきちゃんから結婚式の案内状が届いていた。あれから、時々飲みに行くといった間柄だったけど、その時には、そんなこと一言も言っていなかったのに・・。しきりと僕に売り込みを掛けてきていたくせに・・。ななののことも、時々 思い出していて、大学で元気に勉強しているんだろかとか・・・ますます きれいになっているんだろうなとか・・・
つばきちゃんのことを 内内で周囲に聞いてみると、お見合いをして、一気に話が進んだと言うことだった。お相手は私立病院に勤務する薬剤師で、両親も薬局を開業しているから、ゆくゆくは継ぐことになるらしい。女って 変わり身が早いなと思っていた。
僕は、ななのが居なくなってから3年経っていて、肉屋にバイトに来ているようでもなく様子がつかめずに居て、その間は気が抜けたようだったが、仕事が忙しくて、そっちに没頭していったのだ
10
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる