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第2章
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10月になって、平日は図書館で、土曜日は絢がうちに来て勉強するというパターンが続いた。ある日、図書館から二人で出てくると
「いとはーん」と大きな声で手を振って男の人が近づいて来た。
「こんにちわ、この人がいとはんの彼氏なんだ」と言った瞬間、
絢は「こんなとこでいとはんとか叫ばないでよっ」と言って手をグーにしてその人のお腹に突き出していた。
その人は笑いながら「めんご」と言いながら去って行った。
「ごめんなさい。会社の人で配達の途中だと思う」と絢は頭を下げていた。
最近の絢は、授業にとにかく集中しているようだった。一生懸命、先生の言葉を聞いているし、ノートも都度書いていた。
この前、先生が「もう、成績順に席を決めるのは止めにします。だけど上から10番まで前に貼り出します。」と発表していた。
誰かの父兄から、成績順に席を決めることについて、なんか言われたみたい。
まもなく中間テストが始まった。二日間の強行スケジュールだった。
絢は今回は算数も「まぁまぁかな」って言っていた。
金曜日に結果が先生の机の横に貼り出される。いつものように石川進のトップは不動だった。二番早瀬いづみ、三番杉沢健一、四番水島基、五番本町絢と続いていた。
その時、僕と絢と早瀬いづみが エッ っと同時に声を出していた。
早瀬いづみの「えっ」はどういう意味があるのかはわからなかった。
絢は下を向いて、左の胸に流している束ねた髪の毛をしきりに撫でていた。
絢に後で聞くと、僕とは合計点で2点しか差がなかった。でも本当によく頑張っている。不思議なことに、徐々にクラスの中で絢は人気が出てきているようだった。成績が上がって来て、以前のような暗いイメージも無くなってきているのだ。でも、それから、しきりに早瀬いづみは僕に話しかけてくるような場面が多くなっていた。だけど絢が前の席にいるので、僕にはそれを気にしていたのだ。
どんどん季節は冬に向かっていた。僕と絢の二人三脚は相変わらず続いていたが、最近の絢は、のめりこんでいるかのように、ノートの書き込みが増えていて、ぼくも圧倒されていた。 もうすぐ期末テストが始まる。
「最後だね。貼り出されるの」
その時僕は、絢が何かに目標を決めているのだなって感じていた。
期末テストが始まったが、その期間中、絢とは一言も話さないまま過ぎて行った。早瀬いづみは教科が終わる度に、あそこの問題どうだったとか、色々話しかけてくる。なおさら絢とは話にくい状況だった。
冬休みに入って23日は僕の誕生日だ。クリスマスと一緒にされるので、昔からなんか損した感じに思っていた。
「お誕生日には絢チャンにも来てもらいましょうょ。向こうのお母さんにお伺いしておくから」と言っていたけど、
本当に来ることになった。期末テスト以来、ろくに話をしていなかった。
駅に迎えに行った時、少し微笑みながら改札から出てくる絢を見て、僕は少しドキドキしてしまった。絢は髪の毛を上の方に巻き上げて真珠みたいな飾りで留めていて、一握りの髪の毛を耳の前に持ってきていて、顔つきも普段と雰囲気が違って見えたからだ。なんか顔もキラキラして輝いているようだった。唇も少し、赤く、ツヤツヤしているように思えた。
家に着いてダッフルコートを脱ぐと、襟元は大きめの白いレースで、上半身はウェストまでかなり絞ってあって、半袖に白い薄手のカーディガンを着ていた。スカートはふんわりしていて、全体的にピンクのツルツルした生地なので豪華な感じだった。完全にアニメから飛び出した美少女なのだ。
「まぁー、なんて可愛いのでしょう。女の子は良いわねぇー可愛くて」と母は感嘆しているようだ。
確かに、僕も、絢はこんなに可愛かったのかと初めて思った。
「おばさん、今日は呼んでいただいてありがとうございます。これは母が持っていきなさいって、どうぞよろしくお願いしますとことづかってきました」と言ってケーキの箱を差し出した。
なんか、いつもより丁寧な言葉づかいだ。
お昼まで期末テストの復讐をしようと僕の部屋に二人で入った。絢は手下げの袋から教科書とリボンのついた包みを取り出し、
その包みを「はいっ、お誕生日おめでとう」と僕に手渡してきた。
「開けてみて、気にいってもらえるかな」
ブルーのフェルト地で作ったブックカバーみたいだった。内側には刺繍したアルフアベットが散りばめてあった。しばらく眺めて、気づいた。 M・O・T・O & A・Y・A。色が分けてある。照れくさいのと嬉しいのと同時だった。
「ありがとう」
もちろん、女の子からこんなの貰うのは初めてだったから・・・。
絢と僕は教科書のテスト範囲を読んで答えを二人で確認していたが、前と違って絢は殆ど正解している。まさか、今度は絢に抜かれたかもと思った。
どんどん進めていく絢の顔を近くで見ると、唇がつやつやしている。薄い色のリップを塗っていたのかな。そして、服のせいか、いつもより膨らんでいる胸に見とれていた。
それに気づいたのか絢がこっちを見て「モト君、さわってもいいよ」
すこしの時間が空いたように思えた。
僕は思い切ったように絢の左胸に手を伸ばした。力が入ったのか
「いたいっ」って絢が両腕で塞ぐようにしていたが、思い切ったように、僕の手を添えるようにして自分の胸に持って行った。
「もっと、やさしくね」と頬が紅くなっていた。
ゴムまりみたいに柔らかく、はねかえってくるようで・・・。
絢は何か言ったと思ったけど・・・僕は 「好きだよ」という言葉、出せなかった。
その時、お母さんが「どう、用意できたわよ」って
僕と絢の留メ具は完全に掛かってしまったようだ。
「いとはーん」と大きな声で手を振って男の人が近づいて来た。
「こんにちわ、この人がいとはんの彼氏なんだ」と言った瞬間、
絢は「こんなとこでいとはんとか叫ばないでよっ」と言って手をグーにしてその人のお腹に突き出していた。
その人は笑いながら「めんご」と言いながら去って行った。
「ごめんなさい。会社の人で配達の途中だと思う」と絢は頭を下げていた。
最近の絢は、授業にとにかく集中しているようだった。一生懸命、先生の言葉を聞いているし、ノートも都度書いていた。
この前、先生が「もう、成績順に席を決めるのは止めにします。だけど上から10番まで前に貼り出します。」と発表していた。
誰かの父兄から、成績順に席を決めることについて、なんか言われたみたい。
まもなく中間テストが始まった。二日間の強行スケジュールだった。
絢は今回は算数も「まぁまぁかな」って言っていた。
金曜日に結果が先生の机の横に貼り出される。いつものように石川進のトップは不動だった。二番早瀬いづみ、三番杉沢健一、四番水島基、五番本町絢と続いていた。
その時、僕と絢と早瀬いづみが エッ っと同時に声を出していた。
早瀬いづみの「えっ」はどういう意味があるのかはわからなかった。
絢は下を向いて、左の胸に流している束ねた髪の毛をしきりに撫でていた。
絢に後で聞くと、僕とは合計点で2点しか差がなかった。でも本当によく頑張っている。不思議なことに、徐々にクラスの中で絢は人気が出てきているようだった。成績が上がって来て、以前のような暗いイメージも無くなってきているのだ。でも、それから、しきりに早瀬いづみは僕に話しかけてくるような場面が多くなっていた。だけど絢が前の席にいるので、僕にはそれを気にしていたのだ。
どんどん季節は冬に向かっていた。僕と絢の二人三脚は相変わらず続いていたが、最近の絢は、のめりこんでいるかのように、ノートの書き込みが増えていて、ぼくも圧倒されていた。 もうすぐ期末テストが始まる。
「最後だね。貼り出されるの」
その時僕は、絢が何かに目標を決めているのだなって感じていた。
期末テストが始まったが、その期間中、絢とは一言も話さないまま過ぎて行った。早瀬いづみは教科が終わる度に、あそこの問題どうだったとか、色々話しかけてくる。なおさら絢とは話にくい状況だった。
冬休みに入って23日は僕の誕生日だ。クリスマスと一緒にされるので、昔からなんか損した感じに思っていた。
「お誕生日には絢チャンにも来てもらいましょうょ。向こうのお母さんにお伺いしておくから」と言っていたけど、
本当に来ることになった。期末テスト以来、ろくに話をしていなかった。
駅に迎えに行った時、少し微笑みながら改札から出てくる絢を見て、僕は少しドキドキしてしまった。絢は髪の毛を上の方に巻き上げて真珠みたいな飾りで留めていて、一握りの髪の毛を耳の前に持ってきていて、顔つきも普段と雰囲気が違って見えたからだ。なんか顔もキラキラして輝いているようだった。唇も少し、赤く、ツヤツヤしているように思えた。
家に着いてダッフルコートを脱ぐと、襟元は大きめの白いレースで、上半身はウェストまでかなり絞ってあって、半袖に白い薄手のカーディガンを着ていた。スカートはふんわりしていて、全体的にピンクのツルツルした生地なので豪華な感じだった。完全にアニメから飛び出した美少女なのだ。
「まぁー、なんて可愛いのでしょう。女の子は良いわねぇー可愛くて」と母は感嘆しているようだ。
確かに、僕も、絢はこんなに可愛かったのかと初めて思った。
「おばさん、今日は呼んでいただいてありがとうございます。これは母が持っていきなさいって、どうぞよろしくお願いしますとことづかってきました」と言ってケーキの箱を差し出した。
なんか、いつもより丁寧な言葉づかいだ。
お昼まで期末テストの復讐をしようと僕の部屋に二人で入った。絢は手下げの袋から教科書とリボンのついた包みを取り出し、
その包みを「はいっ、お誕生日おめでとう」と僕に手渡してきた。
「開けてみて、気にいってもらえるかな」
ブルーのフェルト地で作ったブックカバーみたいだった。内側には刺繍したアルフアベットが散りばめてあった。しばらく眺めて、気づいた。 M・O・T・O & A・Y・A。色が分けてある。照れくさいのと嬉しいのと同時だった。
「ありがとう」
もちろん、女の子からこんなの貰うのは初めてだったから・・・。
絢と僕は教科書のテスト範囲を読んで答えを二人で確認していたが、前と違って絢は殆ど正解している。まさか、今度は絢に抜かれたかもと思った。
どんどん進めていく絢の顔を近くで見ると、唇がつやつやしている。薄い色のリップを塗っていたのかな。そして、服のせいか、いつもより膨らんでいる胸に見とれていた。
それに気づいたのか絢がこっちを見て「モト君、さわってもいいよ」
すこしの時間が空いたように思えた。
僕は思い切ったように絢の左胸に手を伸ばした。力が入ったのか
「いたいっ」って絢が両腕で塞ぐようにしていたが、思い切ったように、僕の手を添えるようにして自分の胸に持って行った。
「もっと、やさしくね」と頬が紅くなっていた。
ゴムまりみたいに柔らかく、はねかえってくるようで・・・。
絢は何か言ったと思ったけど・・・僕は 「好きだよ」という言葉、出せなかった。
その時、お母さんが「どう、用意できたわよ」って
僕と絢の留メ具は完全に掛かってしまったようだ。
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