絢と僕の留メ具の掛け違い・・

すんのはじめ

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第4章

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 1年の夏休みも終わろうとしていた。久々に絢を呼び出した。近くの私立の工業高校に進んだ小学校の同窓の田中大樹から嫌なウワサを聞いたからだ。大樹によると

「絢チャンが最近、うちの学校の先輩だけど、あんまり良くないグループと遊んでいたらしいんだ。電車の中で絢チャンを見かけて、紹介しろっと、小野雅恵に言ったみたい。小学校の時、絢チャンと同じグループの小野雅恵。あいつは中学に行ってからおかしくなったみたいで・・・。彼女に絢チャンは誘われていたらしい。なんか、カラオケに行ってトラブルになったみたいだ」

 図書館のロビーで絢を待っていると、小学校同級の早瀬いづみが男と連れ立って出てきた。すると何かもめているみたいで、口論していた。見ていると、けんか別れしたみたいだった。その後、僕が座っているのに気づいて、

「あー 水島君じゃあないー 久しぶりだね 元気なのー」

 隣に座ってきた。前よりきれいになっていた。

「何を言い合っていたん?」と聞いたら

「付き合っていたんだけど、あんまり細かいこと言うから、けんか別れしたんだ あんな奴 カスやー」

 その後も、高校生活のことを話込んでいたら、

 その時、絢がやってきた。絢は胸に大きなひまわりの絵のノースリーブのTシャツにジーンのミニスカート姿だった。今まで、あんまりこんな格好を見たことが無かった。

 絢は、二人が並んでいるのを見て、少し間を置いて

「久しぶりー元気?」

 と、一応 早瀬いづみに向かって簡単に挨拶しながら、うす笑いで図書館の中に入って行った。

「あー まだ絢チャンと続いていたんだ。ごめんネ、彼女勘違いしたかしら、説明しといてネ。でも、私 小学校の時 それとなく水島君のこと好きだったんだよー でも 彼女がね うふっ じゃー又ネ」

 と言いながら早瀬いづみは立ち去って行った。なんだよーぉ その時 言ってくれよー 違ったかもしれないじゃぁないかー でも・・・絢のほうが・・・

 中に入ってゆくと、絢が教科書を広げて、ノートに何か書いていた。隣に座っても、なんの反応も無い。完全に不機嫌な証拠だ。なんの話もしないまま、30分も経っただろうか、絢が突然、

「考えることがあるから帰る」と言って片づけて、出口に向かった。

 僕は、後を追いかけて、表に出たところで

「待ってよ、絢 話がある」と言って呼び止めた。

 後ろから声をかけて

「最近、年上の男のグループと遊んでいるって聞いたんだけど、大丈夫なんか」

 絢は急に振り返って、僕の胸元を突いてきた。同時に

「モト君こそ、なんなん? いづみチヤンと仲良く話していたやんか、彼女 きれいやもんねぇー ウチが来る前に待ち合わせしてたん? ウチの話も聞かないし、今まで、ウチの手も握ってくれたことも無いくせに、ウチ等 なんなん? 付き合ってるんかぁー? なんでそんな風に言われやなあかんの」

 と言い放って、駅に向かって走って行った。

 留メ具が外れてしまった。
 
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