ある白猫の生涯

すんのはじめ

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 夜も涼しくなってきて、俺は見張り小屋で過ごすことが多かった。だけど、その日は異常を感じていた。獣の臭いがしてきていた。奴だ 久々に気配を感じていた。夕方に魚のガラをお母さんが庭に埋めたのだ。俺にくれればいいものを 「岩ちゃんには 喉に刺さったら大変だものねーぇー」と、埋めてしまったのだ。奴は何故か敏感に感じ取ったのだろう おそらく 狙ってきたのだ。

 俺は、いつでも飛び出せる態勢で待ち受けていた。やっぱり 来た! 納屋の陰から様子を伺っているのだ。俺は息を殺して、奴がその埋めたところに来るまでは我慢するつもりだった。

 1m位出てきては辺りを伺って、又少し来ては辺りを伺うといったかなり用心している様子だった。そして、匂いを嗅いで目的の場所を見つけたのか、土を掘り出した。その時だ 俺は 奴の背中めがけて跳んだ。しかと 振り返った奴の喉元に喰らいついたのだが、奴も俺の腕を引っ掻いていて、すぐに逃げ去る態勢で、すばやく走り去ろうとしていた。追いかけたのだが、納屋と塀の隙間に逃げ込まれて逃がしてしまったのだ。一瞬のことだった。だけど、確実に喉元を捉えていたので、かなり痛手を負ったはずと実感があったのだ。

 朝になって、ミナツちゃんが俺の小屋にご飯を持ってきてくれた時、腕の傷を見て

「まぁー 岩ちゃん 何したのよー 血が出てる お母さんんー」と、言いながら家の中に走って行った。

『何 騒いでるんだよー これっくらい』

 お母さんを連れて戻ってくると、俺を見たお母さんは

「あららー よその猫と喧嘩でもしたの? 血が出てる ミナツ 岩のここをホースで洗い流し流しなさい こすらないでね 痛がるからー お母さんはオロナインを取って来るわ」

 その後、外の水道のところに抱きかかえられて

「おとなしくしてるのよ 岩ちゃんの為だから バイキンでも入ったら歩けなくなるからね!」と、俺の腕を押さえてホースから水を勢いよく流しているのだ。そして、戻ってきたお母さんは嫌がる俺の腕に何かを塗りつけていた。

「うん とりあえず これで 大丈夫 しばらくは 草むらとかに言ったら駄目よ! 喧嘩も勿論ね!」

 と、お母さんは勝手なこと言っていたけど 『もともとと言えば 俺にくれてれば良いのに あんなとこに埋めたりするからだよー 俺は、身体を張って守ったんだぞ!』

「岩ちゃんは この辺りの猫と喧嘩してとか、そんなドジしないよねー 獣相手だったんでしょ! 我が家を守ってくれているんだものねー 内緒で晩ご飯には目刺し付けてあげるね」

『ふにゃー』『ミナツちゃんはわかってくれているんだ 俺の相棒だもんなぁー』

「岩ちゃんは 無茶しないで 私が帰って来るまで長生きしてるのよ!」と、頭を撫でてくれていて

『なにを言っているんだろう この子は・・・』
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