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第11章
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僕は、絢と会っていた。絢は僕の手を取って握っていた。何の話か、覚悟してきているんだろう
「沖縄に行くことにした。県の関係だけど。ただ、僕の最終目的ではないと思っているんだ。周りには、いろんな島があるし、サンゴの生息地も近いから、色々調べて、環境研究が出来るようなところを探すつもりだ。だから、自分でも、将来的にどうするのか、わからないんだ。経済的にも、不安定だし、だから、絢を連れて行くのは・・甲斐性なくて、ごめん」
「モトシ 何言ってんのよ ウチ そんなこと、覚悟してたわよ ウチは、モトシに付いて行くって、決めてんの モトシには、迷惑かけないから、一緒のとこに行く。なんとか、するわよ」
「学校の先生になるのは、難しいだろう?」
「うん、無理して、モトシが他の所に行ったら、周りに迷惑かけるし、とりあえず、学校の先生はあきらめるけど、そのうちにね」
「絢にあんまり 負担かけるのもなぁ」
「そんなこと無いって ウチ モトシに完全にふられるまで、付いて行く。一緒に居られるんだったら、仕事、なんでもするもん コンビニだって、ハブ捕りだってなんでも・・海にでも潜るわよ 海女さんでも・・・」
「絢 どこまで・・ それって 笑えない すまない」
「そんな風に言わないで モトシが海の環境を守ろうって言っているの ウチは好きだよ 思う通りにやってよ モトシ ウチ等 もっと お互い、信じ合おうよ」と、絢に言われてしまった。
- - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - -
私は、前期試験が終わって、直ぐに実家に向かった。お父さんとお母さんに、許しをもらう為だった。どう言っても、反対されるのは解っていた。他の皆からしたら、普通じゃぁ無いもの。
「お父さん お願い 私は、どうしても彼と一緒に行きたい」
「絢 大学の時は、ワシは、お前の好きなようにすれば良いと思った。半分、あきらめもあったけどな でも、4年間というのもあったからな 楽観的だった 今度は、違う 相手の男には、何の保証も無いじゃないか 一生の問題だ お前には、何の不自由もさせないように、お母さんも、大切に育ててきたつもりだ。それを、無駄にしろと言うのか」
「お父さんとお母さんには、感謝しています。 でも、彼がいなかったら、今、生きていることの楽しさを感じなかったわ だから、ずーと、付いて行きたい」
「しかしな ワシはあいつにも会ったことも無いし、どんな人間なんかもわからないし 確かに、絢が小さい頃は彼に感謝していたが でも、あいつから、絢と一緒になりたいとかも言われてないんだぞ」
「それはね 私が勝手に付いて行くって言っているだけだから・・」
「そんな無茶苦茶な話、認めるわけないじゃないか 絢 少し、冷静になれ 絢には、もっと条件の良い男を見つけて、幸せになって欲しいんじゃ」
「私は、ずーと考えてきたわ 彼が居るから、私も頑張れる 全てよ それが 私の幸せだし」
「ワシ等の気持ちの考えてくれ もし、それでもと言うなら、親子の縁を切ってもと言うのか」
「あなた そこまで、言わないでも・・ 絢も、変な気にならないでね」と、黙っていたお母さんが初めて言った。
「モトシ君は、こっちへ帰ってきて、仕事する気は無いのか」
「そんな人なら、私は、好きになっていません 今の夢に向かって進んでいる彼が好き そばに居たいの・・・」私は、最後まで、泣かないで、言い切れた。
「絢 先生になるのは、どうするんだ 絵を通じて教えて行くんじゃぁないのか」
「とりあえず 採用試験は受けない 免許があれば試験はまだ先でも受けられるし」
その時、お兄ちゃんが帰ってきた。私は、味方してくれると思っていたが
「紳は 呼ぶな あいつが居ると、言い含められるからな お母さんと相談する 絢がこんなに思い入れが強いと思ってもなかった 誰に似たんだろう」
「あら 私は、絢の気持ちわかるわよ 女の幸せってそんなものよ 頑固なのは父親ゆずりじゃあない?」とお母さんが言ってくれた。
― ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―
お盆の最終日、恒例となってる会社の人たちが集まって、中庭でバーベキューをしていた。私、お母さんと二人で浴衣姿だった。
数日前、会社の及川さんに
「いとさん 社長はね、いとさんを宝物みたいに思ってはりますんや そやから、不幸になるかもしれへんのは、忍びないんでっせ せやから、社長の気持ちを考えて、はやまったことをすんのだけは、止めてといておくれやすな」と、言われていた。
私は、ビールをみんなに継いでまわってた時、山本さんが
「いとはん 去年よりも、又、ずーと、べっぴんさんにならはられましたなぁー。来年、卒業でっしゃろー こっちで、先生にならはるんでっか?」と、聞いてきたのだが、
「絢は 卒業したら、沖縄に行く。親なんて、寂しいものでな 子供の幸せを願っても、それを押し付けても、うまくいかないかも知れんし、何が正解なのかわからん 絢が、自分で、幸せを掴もうとしているんだったら、それを信じるしかできんのだよ 自分の子供でも、本人の意思を無視するなんてことはできん 特に、この子は思い入れと意思が強い子だから」と、お父さんは、言いだした。
私は、持っていたビール瓶を、山本さんに預けて、背中からお父さんにおもわず抱き着いていった。
「ありがとう お父さん ウチ 幸せになるよ」
「おいおぃ こんなだから、可愛くて、いつもだまされるんだ」と及川さんに向かって、言っていた。
「社長 大学に行かはってからでっせー こんな明るく活発な娘さんにならはったんはー いとさん 良かったですなぁー」と及川さんも言ってくれて
「ありがとう 及川さんもお母さんも」私、涙が出てきていた。
「絢 そんな、泣き虫じゃぁ もとし君を支えられないよ」と、お母さんに言われた。
「絢 ただし、あっちの働く場所とか住むところはワシが決める。それくらいの心配はさせろ わかったな」
私は、意味がわからなかったけど、とりあえず「うん」と返事してしまった。
「沖縄に行くことにした。県の関係だけど。ただ、僕の最終目的ではないと思っているんだ。周りには、いろんな島があるし、サンゴの生息地も近いから、色々調べて、環境研究が出来るようなところを探すつもりだ。だから、自分でも、将来的にどうするのか、わからないんだ。経済的にも、不安定だし、だから、絢を連れて行くのは・・甲斐性なくて、ごめん」
「モトシ 何言ってんのよ ウチ そんなこと、覚悟してたわよ ウチは、モトシに付いて行くって、決めてんの モトシには、迷惑かけないから、一緒のとこに行く。なんとか、するわよ」
「学校の先生になるのは、難しいだろう?」
「うん、無理して、モトシが他の所に行ったら、周りに迷惑かけるし、とりあえず、学校の先生はあきらめるけど、そのうちにね」
「絢にあんまり 負担かけるのもなぁ」
「そんなこと無いって ウチ モトシに完全にふられるまで、付いて行く。一緒に居られるんだったら、仕事、なんでもするもん コンビニだって、ハブ捕りだってなんでも・・海にでも潜るわよ 海女さんでも・・・」
「絢 どこまで・・ それって 笑えない すまない」
「そんな風に言わないで モトシが海の環境を守ろうって言っているの ウチは好きだよ 思う通りにやってよ モトシ ウチ等 もっと お互い、信じ合おうよ」と、絢に言われてしまった。
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私は、前期試験が終わって、直ぐに実家に向かった。お父さんとお母さんに、許しをもらう為だった。どう言っても、反対されるのは解っていた。他の皆からしたら、普通じゃぁ無いもの。
「お父さん お願い 私は、どうしても彼と一緒に行きたい」
「絢 大学の時は、ワシは、お前の好きなようにすれば良いと思った。半分、あきらめもあったけどな でも、4年間というのもあったからな 楽観的だった 今度は、違う 相手の男には、何の保証も無いじゃないか 一生の問題だ お前には、何の不自由もさせないように、お母さんも、大切に育ててきたつもりだ。それを、無駄にしろと言うのか」
「お父さんとお母さんには、感謝しています。 でも、彼がいなかったら、今、生きていることの楽しさを感じなかったわ だから、ずーと、付いて行きたい」
「しかしな ワシはあいつにも会ったことも無いし、どんな人間なんかもわからないし 確かに、絢が小さい頃は彼に感謝していたが でも、あいつから、絢と一緒になりたいとかも言われてないんだぞ」
「それはね 私が勝手に付いて行くって言っているだけだから・・」
「そんな無茶苦茶な話、認めるわけないじゃないか 絢 少し、冷静になれ 絢には、もっと条件の良い男を見つけて、幸せになって欲しいんじゃ」
「私は、ずーと考えてきたわ 彼が居るから、私も頑張れる 全てよ それが 私の幸せだし」
「ワシ等の気持ちの考えてくれ もし、それでもと言うなら、親子の縁を切ってもと言うのか」
「あなた そこまで、言わないでも・・ 絢も、変な気にならないでね」と、黙っていたお母さんが初めて言った。
「モトシ君は、こっちへ帰ってきて、仕事する気は無いのか」
「そんな人なら、私は、好きになっていません 今の夢に向かって進んでいる彼が好き そばに居たいの・・・」私は、最後まで、泣かないで、言い切れた。
「絢 先生になるのは、どうするんだ 絵を通じて教えて行くんじゃぁないのか」
「とりあえず 採用試験は受けない 免許があれば試験はまだ先でも受けられるし」
その時、お兄ちゃんが帰ってきた。私は、味方してくれると思っていたが
「紳は 呼ぶな あいつが居ると、言い含められるからな お母さんと相談する 絢がこんなに思い入れが強いと思ってもなかった 誰に似たんだろう」
「あら 私は、絢の気持ちわかるわよ 女の幸せってそんなものよ 頑固なのは父親ゆずりじゃあない?」とお母さんが言ってくれた。
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お盆の最終日、恒例となってる会社の人たちが集まって、中庭でバーベキューをしていた。私、お母さんと二人で浴衣姿だった。
数日前、会社の及川さんに
「いとさん 社長はね、いとさんを宝物みたいに思ってはりますんや そやから、不幸になるかもしれへんのは、忍びないんでっせ せやから、社長の気持ちを考えて、はやまったことをすんのだけは、止めてといておくれやすな」と、言われていた。
私は、ビールをみんなに継いでまわってた時、山本さんが
「いとはん 去年よりも、又、ずーと、べっぴんさんにならはられましたなぁー。来年、卒業でっしゃろー こっちで、先生にならはるんでっか?」と、聞いてきたのだが、
「絢は 卒業したら、沖縄に行く。親なんて、寂しいものでな 子供の幸せを願っても、それを押し付けても、うまくいかないかも知れんし、何が正解なのかわからん 絢が、自分で、幸せを掴もうとしているんだったら、それを信じるしかできんのだよ 自分の子供でも、本人の意思を無視するなんてことはできん 特に、この子は思い入れと意思が強い子だから」と、お父さんは、言いだした。
私は、持っていたビール瓶を、山本さんに預けて、背中からお父さんにおもわず抱き着いていった。
「ありがとう お父さん ウチ 幸せになるよ」
「おいおぃ こんなだから、可愛くて、いつもだまされるんだ」と及川さんに向かって、言っていた。
「社長 大学に行かはってからでっせー こんな明るく活発な娘さんにならはったんはー いとさん 良かったですなぁー」と及川さんも言ってくれて
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「絢 そんな、泣き虫じゃぁ もとし君を支えられないよ」と、お母さんに言われた。
「絢 ただし、あっちの働く場所とか住むところはワシが決める。それくらいの心配はさせろ わかったな」
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