13 / 45
第一章 「新たな家族」と「未来への路」
新しい世界で。3
しおりを挟む
「え~っと、あの、ぼくは、ぶんかんににゃりたいです。あにうえは、きしとして、くにをささえるし、おうちもつぎましゅ。だから、ぼくは、ぶんかんとして、くにをささえたいでしゅ。」
父上と母上、兄上の顔はあっけにとられていた。
「レイ、本当に、文官になりたいのか?」
「ダメでしゅか?」
「ああ。この家に生まれた人間は、初代の想いを継いで、騎士になる。それが一族の定めだ。それに、文官になるための試験は超難関なんだ。騎士になる以上に大変といわれている。ダメったらだめだ。俺がさっきレイに聞いたのはどんな騎士になりたいかということだ。文官という回答は想定していない。」
反対されるとは思っていた。騎士の一族に生まれて、騎士にならないのは認められないだろうと。でも、ここであきらめたら、だめ。せっかく生まれ変われたんだから。でも、幼い身体のせいか、涙目になってしまった。
「ルーリス様、レイは毎日、図書室にこもって本を読んでいます。字もあっさり読めるようになっていますし、文官のほうが向いているのではないかしら?それに、アンジェスノーラ伯爵家から、文官を出すというのもいいのでは?レイが文官として高位の位置につけば、騎士たちが動きやすくなりますでしょう。」
「母上の言う通りです。それに、父上がそんなに反対したがるのは、一族の定めだからじゃないはずですよ。現に、5代前の当主の弟は文官になっていたはずです。きっと、レイが騎士の家出身だからと周りの文官からいじめられるんじゃないかとかって思ってるんでしょう?」
「あにうえ、どういうことにゃのですか?なんできしのいえしゅっしんだからいじめらりぇるにょですか?」
「ありゃ、レイ、知らなかったの?この国では代々騎士と文官の対立が激しいこと。騎士が動くのはお金がかかるからね。それに、騎士には字が汚くって真面目じゃない輩も多いから、書類が汚いだとかって文官たちがお小言をよく言うんだよ。そんな文官たちに、騎士も剣を振えないやつに言われたくないって言い始めてね。まあ、貴族が誇りを胸に行動するがゆえに起こる衝突だよ。さて、これを聞いても、レイは、文官になりたいの?」
「はい。もちりょん。だかりゃ、ちちうえ、みとめてください。」
「だそうですよ、父上。」
「くっ、…………わかった。」
「やった~!ありがとうございましゅ。ちちうえ。」
「ただし、最低限の護身術は覚えるようになさい。」
「はい!!」
「そうですわね~、家庭教師が見つかるまでは、セバスに礼儀作法を教えてもらいなさい。さらに、家庭教師ではなく、私が護身術を教えましょう。」
「え、俺が護身術を教えようと思っていたのに…………………。」
「ダメですか?ルーリス様…。」
「い、いや、も、もちろんティナに任せるよ。」
「うわぁ~~!ははうえがおしえてくださるのでしゅか?」
「ええ。こうみえて、結構体を鍛えているのですよ、レイ。」
「あ~ゴホンッ。レイ、文官になるための勉強は家庭教師に任せるとして、礼儀作法、護身術以外に習いたいことはあるかな?」
「え~っと、あっ、「にこ」と「こうどう」と「かどう」と「さどう」と「ばじゅつ」をならってみたいでしゅ。」
そう、この世界は基本的には地球でいうところの西洋風なのだが、芸術面だけは中華風と和風が混ざったような文化なのだ。それに、文官になったら、芸術をいかに理解しているかが出世に響く。文官は、文化人であることを誇るらしく、高位の人間であるほど、芸術面に詳しいのだ。だから、芸術面の理解が無ければ、高官に会う際に話が合わせられなくなってしまうらしい。ゆえに、文官での出世を狙うなら、最低限、茶道・香道・華道のいずれかを極めておく必要があるんだと。
「「「・・・。」」」
「わ、わかった。馬術は私が休日に教えよう。それ以外については少し待ってくれ。(騎士の一族である私に、そんなつてあったかな…。)」
「ありがとうごじゃいます。ちちうえ。次のお休み、楽しみにしてますね。」
「話し込んでしまったな。もう夜も遅い。シャワーを浴びて、早く寝なさい。おやすみ、レイ、カーウェル。」
「おやすみなさい。二人とも。」
「はい、お休みなさい。父上、母上。」
「おやしゅみなさいなしゃ~い。」
父上と母上、兄上の顔はあっけにとられていた。
「レイ、本当に、文官になりたいのか?」
「ダメでしゅか?」
「ああ。この家に生まれた人間は、初代の想いを継いで、騎士になる。それが一族の定めだ。それに、文官になるための試験は超難関なんだ。騎士になる以上に大変といわれている。ダメったらだめだ。俺がさっきレイに聞いたのはどんな騎士になりたいかということだ。文官という回答は想定していない。」
反対されるとは思っていた。騎士の一族に生まれて、騎士にならないのは認められないだろうと。でも、ここであきらめたら、だめ。せっかく生まれ変われたんだから。でも、幼い身体のせいか、涙目になってしまった。
「ルーリス様、レイは毎日、図書室にこもって本を読んでいます。字もあっさり読めるようになっていますし、文官のほうが向いているのではないかしら?それに、アンジェスノーラ伯爵家から、文官を出すというのもいいのでは?レイが文官として高位の位置につけば、騎士たちが動きやすくなりますでしょう。」
「母上の言う通りです。それに、父上がそんなに反対したがるのは、一族の定めだからじゃないはずですよ。現に、5代前の当主の弟は文官になっていたはずです。きっと、レイが騎士の家出身だからと周りの文官からいじめられるんじゃないかとかって思ってるんでしょう?」
「あにうえ、どういうことにゃのですか?なんできしのいえしゅっしんだからいじめらりぇるにょですか?」
「ありゃ、レイ、知らなかったの?この国では代々騎士と文官の対立が激しいこと。騎士が動くのはお金がかかるからね。それに、騎士には字が汚くって真面目じゃない輩も多いから、書類が汚いだとかって文官たちがお小言をよく言うんだよ。そんな文官たちに、騎士も剣を振えないやつに言われたくないって言い始めてね。まあ、貴族が誇りを胸に行動するがゆえに起こる衝突だよ。さて、これを聞いても、レイは、文官になりたいの?」
「はい。もちりょん。だかりゃ、ちちうえ、みとめてください。」
「だそうですよ、父上。」
「くっ、…………わかった。」
「やった~!ありがとうございましゅ。ちちうえ。」
「ただし、最低限の護身術は覚えるようになさい。」
「はい!!」
「そうですわね~、家庭教師が見つかるまでは、セバスに礼儀作法を教えてもらいなさい。さらに、家庭教師ではなく、私が護身術を教えましょう。」
「え、俺が護身術を教えようと思っていたのに…………………。」
「ダメですか?ルーリス様…。」
「い、いや、も、もちろんティナに任せるよ。」
「うわぁ~~!ははうえがおしえてくださるのでしゅか?」
「ええ。こうみえて、結構体を鍛えているのですよ、レイ。」
「あ~ゴホンッ。レイ、文官になるための勉強は家庭教師に任せるとして、礼儀作法、護身術以外に習いたいことはあるかな?」
「え~っと、あっ、「にこ」と「こうどう」と「かどう」と「さどう」と「ばじゅつ」をならってみたいでしゅ。」
そう、この世界は基本的には地球でいうところの西洋風なのだが、芸術面だけは中華風と和風が混ざったような文化なのだ。それに、文官になったら、芸術をいかに理解しているかが出世に響く。文官は、文化人であることを誇るらしく、高位の人間であるほど、芸術面に詳しいのだ。だから、芸術面の理解が無ければ、高官に会う際に話が合わせられなくなってしまうらしい。ゆえに、文官での出世を狙うなら、最低限、茶道・香道・華道のいずれかを極めておく必要があるんだと。
「「「・・・。」」」
「わ、わかった。馬術は私が休日に教えよう。それ以外については少し待ってくれ。(騎士の一族である私に、そんなつてあったかな…。)」
「ありがとうごじゃいます。ちちうえ。次のお休み、楽しみにしてますね。」
「話し込んでしまったな。もう夜も遅い。シャワーを浴びて、早く寝なさい。おやすみ、レイ、カーウェル。」
「おやすみなさい。二人とも。」
「はい、お休みなさい。父上、母上。」
「おやしゅみなさいなしゃ~い。」
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
World of Fantasia(ワールド・オブ・ファンタジア)
緋色牡丹
ファンタジー
生きる意味を見出せない三十二歳の男・山田緋色。
夏の夜、光の渦に呑まれ、彼が目を覚ましたのは――幻想の森だった。
壊れた愛車、知らない空、そして湖に浮かぶ青髪の少女。
異世界での出会いが、“止まった人生”を再び動かしていく。
異世界叙情ファンタジー、開幕──
※この小説は、小説家になろう、カクヨムにも同時掲載しています。
挿絵はAIイラストを使ったイメージ画像です。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる