この度、転生することになりまして

藍風月

文字の大きさ
16 / 45
第一章 「新たな家族」と「未来への路」

新しい世界で。5

しおりを挟む

「レイシェン様、おはようございます。目覚めの時間でございますよ。」

「まだもうちょっとにぇるの~」

「今日は、王都に遊びに行かれるのではないのですか?カーウェル坊ちゃんがすでにお待ちですよ。」

「にゃ!そうだった!!ふぁ~、おはよ~シェバス。」

「おはようございます。」

初めて、屋敷の外に出れるとあって、興奮して昨日は眠れなかったのだ。

その後、急いで自室で着替えを済ませ、兄上の待つ、玄関ホールに向かう。今日の朝食と昼食は王都の街中で食べるんだって。
ちなみに、今日はお忍びなので、平民風の服を着せてもらった。また、白髪と白眼を隠すために、フードを被ることになった。
セバスは大丈夫だといっていたが、ちゃんと擬態できているだろうか…?

「おはよう!レイ。昨日はちゃんと眠れたのかな?興奮してなかなか寝れなかったり~…」

「……………ギクリ……」

「やっぱりか~。ふふ、昔の私もそうだったからよくわかるよその気持ち。でも、興奮はちょっと抑えようね、レイ。そして、今日見る王都は、これから私たちが国に仕えるものとして、守ることになる民と国の姿だ。よく目に焼き付けておきなさい。きっと驚くだろう。」

そんなに素晴らしい街なんだろうか?でも、兄上の声がちょっと暗くなったような…?それに、兄上に言われるほど興奮してたかな?

「ああ、興奮してた。」

んんん??

「な、なな、ぼくのこころをよんだにょですか!」

「そんな特殊能力ないよ。レイは顔に出やすいからね。さ、そろそろ行こうか。」

「むむ~~~。は!ここではにゃしてにゃいで、はやくいきましょう!あにうえ。」

「ふふ、そうだね。では、護衛達、私とレイの守りを頼む。」

「「「「「承知いたしました。坊ちゃん。」」」」」

「ぴゃ~~!」

いつの間にか、僕たちと同じ平民風の服を着た、5人のおじさんが立っていた。
全然気づかなかった…。この人たちが護衛なんだね。

「よりょしくね、ごえいのおじちゃんたち。」

「はい!もちろんであります、レイシェン様。それと、我らは秘密裏にお守りすることになっておりますゆえ、あまり気にしないでくださいね。」

五人のうちのリーダーみたいな人が答えてくれた。
秘密裏にってかっこいいよね。

「うん!じゃあ、そろそろいこうよ、あにうえ。」

「そうだな。父上と母上には私がここに来る前に挨拶しておいたし、そろそろ行こうか。」



そこから、二人仲良く歩き始めた。兄上は、今日、職人街って呼ばれているところに連れて行ってくれるんだって。
歩いている最中に僕に説明してくれたんだけど、僕たちも住むこの王都は、大きく五つに分けられるんだって。

一つ目が、「宮殿街」。まず、王宮と呼ばれるのが、王族たちの住む内宮と、国王様が執務をされる際や国賓をもてなす際に使う棟などがある外宮の二つ。「宮殿街」と呼ぶのは、王宮に、文官たちの仕事する区域と騎士たちの本部がある区域を加えるみたい。
二つ目が僕たちの住む、「貴族街」。文字道理、貴族が屋敷を構えるあたりのことを指すんだよ。ここには、貴族向けのお店とかも多くて、とってもきれいなところなの。
三つ目が、今日僕たちが行く、「職人街」。王都で一番賑やかとされる区画で、いろんな職人さんたちが住んで工房を開いているんだって。いろんな道具を使うから一軒家が多いみたい。王都に二つある市場のうち、小さいほうがこの区画にあるんだって。イメージを聞いたら、雑多って言われたよ。
四つ目が、王都に住む平民が暮らすとされる、「平民街」。住む人数に対して土地が狭いから、日本でいうところのアパートみたいなつくりのお家がほとんどなんだって。王都の市場の大きいほうもあるみたいだよ。
五つ目が、「スラム街」。王都を五つに分けた時に、そこが他の四つを足し合わせたより多いくらいの面積を占めるんだって。でも、これ以外の事を何も教えてくれなかった。

こんな風に、兄上が王都について説明をしてくれている内に、僕たちは、貴族街を抜けて、職人街に着いたみたい。
まずは、おなかを満たすために、市場に向かうよ。

「ん~、あにうえ、おいしいにおいがするよ!」

「おう、この区画では、食べ物を売っている屋台があるからね。今日の朝食は、レイの気になった屋台のものにしようと思って。」

その言葉を聞いて、僕はうれしくなって飛び跳ねた。屋敷で食べるご飯はもちろんおいしいんだけど、外で食べるものにはまた、違ったおいしさがあるって料理長が言ってたの。

「やった~!じゃあね、あにうえ、あそこのパンではさむやつがうっちぇるところにいきたいの。」

来た時から気になっていた、屋台を指さしつつ言う。

「あ~、あれか!レイは、良いものを当てるのがうまいな。あの店は、この市場で一番人気の屋台なんだよ。今はあまり混んでないけど、昼頃になったら行列ができるんだ。」

「わ~、そうにゃんだ。ね~ね~、はやくいこうよ!」

「おう、すまない。」

その店は、店先にあるいくつかの食材から、お客さんが好きなものを三つ選んで、それを店主がパンにはさんで売るスタイルみたい。どれを選んでも、一つ銅貨1枚と賤貨30枚なんだって。日本でいうなら、一つ130円くらいかな?おいしいし、やすいね。

僕は、レタスとハムとチーズ。兄上は、サーモンと玉ねぎと醤油のドレッシングを選んだよ。とってもおいしかった。また食べたいな~。

その後、兄上が、近くにあるおすすめの工房にいくつか連れて行ってくれたの。多くの工房では、自分の工房で作ったものを工房の店先で売っているみたいだよ。
一つ目の工房は、武器に関する鍛冶が専門みたい。でね、そこで兄上が、店主から剣を受け取ってたよ。なんでも、従騎士認定試験以降使う剣、成長の祝いとして父上が注文してたんだってさ。兄上、突然のサプライズにとっても嬉しそうだったよ。
次に、文具の作成がメインの工房に連れて行ってくれたよ。そこでね、僕が勉強に仕えるようにって、インクとペンを買ってくれたの。軽いから、子供の僕でも使いやすいの。
他にも、色々な工房を見て回ったよ。




「あれ、あにうえ、どこ………?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

World of Fantasia(ワールド・オブ・ファンタジア)

緋色牡丹
ファンタジー
生きる意味を見出せない三十二歳の男・山田緋色。 夏の夜、光の渦に呑まれ、彼が目を覚ましたのは――幻想の森だった。 壊れた愛車、知らない空、そして湖に浮かぶ青髪の少女。 異世界での出会いが、“止まった人生”を再び動かしていく。 異世界叙情ファンタジー、開幕── ※この小説は、小説家になろう、カクヨムにも同時掲載しています。 挿絵はAIイラストを使ったイメージ画像です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...