この度、転生することになりまして

藍風月

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第一章 「新たな家族」と「未来への路」

新しい世界で。(sideカーウェル) 兄の想い

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今日の夕食時、ようやく父上から従騎士認定試験を受けることを認めてもらえた。本当にうれしい。けれど、もし受かったら、長い間家族と会えないので少し寂しくもある。


私には、レイシェンという弟がいる。
10歳以上年が離れているから、次期当主の座を争うことはないだろうと思い、思い切り可愛がっている。黒や茶など濃い色素の多いこの国では珍しい、白髪白眼を持った弟は、生まれたばかりのころから、夜泣きをほとんどしないなど賢さの片鱗を見せていた。さらには絵本の読み聞かせをしていたら、ある日、図書室に行きたいと言い出した。さすがに、まだ文字を読めないだろうと思い、止めたのだが、あっさりと読めるところを見せられてしまった。あの日から、屋敷中でレイは天才だって言われ始めた。
この時ほど、レイとの年齢差に感謝したことはない。年の近い兄弟は、跡継ぎの座を争うことが多く、下手をすれば、一族を割りかねないからな。
あと、レイのようなタイプは、一族では本当に珍しいんだ。代々騎士をしてきた我が一族では、いわゆる脳筋しかいないからね。嫁いでくる人も、普段はうまく擬態しているみたいだけど、そんな人ばかりだし。レイがよくこもっている図書室なんて掃除と補充以外で入った人間はここ200年くらいいないんじゃないかな?


でも、さすがに、父上の問いに、「騎士になりたい」ではなく、「文官になりたい」って言いだしたのは驚いたよ。
レイは、生まれて3カ月くらいで歩き始める者もいる一族の人間にしては、初めて歩いたのが遅かった。ついでに、運動を嫌っているのもうすうす気づいてたけど、そんな修羅の道を行くとは・・・・。
一瞬、父上も母上も固まってたよ。

当然、弟を溺愛する父上は反対するだろうと思ったけど、母上が弟を応援し、護身術を教えると言い出すとは思わなかったよ。生まれたばかりのレイに化け物と言いかけた母上は、負い目を感じてたみたいで、レイとあまりかかわろうとしてなかったから。

もちろん、私は、弟の歩む道を応援するよ。
あと、レイが他に習いたいことって言われたときに、あんな雅なものを列挙するとは思わなかったけど。賢いレイのことだから何か理由があるのかなとは思うよ。

今日は食後に、可愛く賢いレイとの思い出作りとして、一緒に風呂に入りました。とっても楽しかった。にしても、この風呂ってやつは画期的だよな。一日の疲れが吹き飛ぶし。これを広めた当時の王妃様に感謝だね。


それから、明日、お忍びで王都を見て回ることにしたよ。もし、弟が国のために文官になりたいと思うのであれば、絶対に見ておくべきものだからね。

ここ3~400年、この王国は停滞してるんだ。それに伴って、人があふれた王都の治安も少しずつ悪化している。表通りはきれいで美しい街だけど、一歩裏に入ればスラム街。犯罪が横行し、孤児も多い。ほんの300年前にはスラムさえないきれいな街並みだったというのに。地方によってはもっと酷いところも多いとか。

はじめは、悪化する街に対して、国に仕えるの貴族の多くが改善策を練った。けれど、手を打つのが遅く、あまり効果がなかったらしい。結果、今では誇りだなんだといいつつ、民の現状を見て見ぬふりをしているものも多い。


私は騎士として、弟は文官としてこの国を支えたいと望んだ。
まだ幼いとはいえ、弟は、貴族として支える側に立つ誇りを持っているように思う。ならば、守るべき民と国の現状を見せなくては。

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